町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

先行きが気になる小田急1000形ワイドドア車

2020年01月30日 | 小田急電鉄

2007年登場の4000形以来、実に12年振りとなる新型通勤車5000形が登場し、現在は今年春からの営業運転開始に向けて試運転が始まりました。同形式は10両編成6本の導入が決定していますが、この6本という数字は置き換え対象とされている8000形界磁チョッパ制御車2編成にホームドアと位置が合わず、検測車クヤ31への電源供給機能を持たない1000形ワイドドア車4編成と一致しており、まずはこれらが5000形の導入で順次置き換え(クヤ31対応編成はしばらく残留?)になると思われます。

多摩線各駅停車運用に就く1755F。先頭車の改造サハを組み込む編成は1753F1756F4編成が該当します。現在は成城学園前~小田原間と、多摩線・江ノ島線が営業運転を行う範囲ですが、利用者の多い駅にホームドアの新設を行うことを発表したため、いよいよ引退の足音が聞こえて来ました。

上と同じく多摩線運用中の1753F。運用効率化の為に組み替えで6両編成化されたワイドドア編成ですが、改造を2度も施工したことや、ホームドア設置が主流になる時代の変化から寿命を縮めてしまう結果になりました。

改造工時で中間車化されたサハ1050(左)と元からの中間デハとの連結部。改造サハは1.5メートル幅の若干狭いドアや不自然な窓配置、屋根上の無線アンテナ撤去後などに先頭クハだった頃の名残があります。この当時の改造は極力違和感を無くす為、新設の客室部を接合し、外側には継ぎ目を隠す処理を施すなど、手間の掛かる処理が施されました。現在の1000形リニューアル車10両固定化編成が如何にも改造車といった仕上がりなのとは対象的です。因みに、ワイドドア部は幅を縮小する改造時に戸閉装置を交換しましたが、先頭車と改造サハの狭いドア部に関しては交換はされず、開閉時の動作音が異なっています。

改造後の車内。以前記事にした車内と比較すると、幕板部や鴨居の造作が異なっている様子が良く分かります。この車内は4両編成時代の旧1552F1556Fの形態で、跳ね上げ式座席や車内案内表示に液晶画面をドアと乗務員室扉上部に設置していましたが、当時の液晶の劣化が非常に早く1997年頃までに使用を停止し撤去の上、紙の広告スペースとし、更に1998年には扉幅の1.6メートル化と通常の7人掛け座席への交換が施工されました。現在のLED表示器は6両編成化の際に新設しています。

登場時から次世代車の仕様を検討するため試作的要素が強く、短期間の内に改造工事を繰り返したワイドドア編成ですが、標準ドアのグループが未だ大活躍を見せる中で短命に終わる(といっても登場から30年が経過しているのですが)のは試作車ならではの宿命でしょうか。今しばらく全廃までは時間があるので、全編成を今のうちに沢山記録しておきたいところです。

 

 

 

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色褪せぬ人気のフラッグシップ・京急2100形

2020年01月28日 | 京浜急行電鉄

京浜急行電鉄創立100周年の1998年に、1982年以来快特用として運用されて来た2000形に代わるオールクロスシート車両として2100形は登場しました。間近に迫る21世紀に向けた車両ということで、2100の形式が与えられたものですが、従来車とは異なり内外共に欧州の製品を導入した極めて斬新な車両として、また関東では数少ないオールクロスシート車として独特な存在感を放っています。特にVVVFインバータ制御装置にはドイツ・SIMENS社の製品である「SIBAS32」を搭載し、JR東日本E501系に近い(但し2100形は回生制動が切れる速度が高いため、停車時には音階は聞かれず音もやや大きいなど相違点があります)音階調の磁励音が特徴で、機器更新が完了する2015年まで耳にすることが出来ました。

600形をベースにしながら、ワイパーカバーに形式名をスリット状の打ち抜き文字で表現した正面が特徴で、文字部分のスリットで運転士が連結器周りの様子を確認できるようにしています。この正面スタイルは2002年登場の新1000形に引き継がれ、また600形にも車体更新改造時に波及しました。現在の正面にはマスコットキャラ「けいきゅん」のイラストがありますが、これは車体更新の際に貼り付けられました。

久里浜工場公開時に晴れ姿を披露する2100形トップナンバー。行先は定期運用が存在しないエアポート快特の羽田空港行きです。2100形も都営浅草線には入線することが可能ですが、2扉クロスシート車両ということで定期での直通は都営地下鉄側が難色を示しており、臨時列車での運転のみに留まっています。

クロスシートが並び、連続窓に横引きカーテンが設置される車内。特別料金不要の列車では最高レベルの水準で、座席は乗務員室からの操作で転換され常に進行方向を向き、乗客の手での転換は出来なくなっています。この転換座席はノルウェー・エクネス社製で、座席モケットはスウェーデン・ボーゲサンズ社製品と、2カ国の製品を組み合わせています。

ドア上には車体更新改造時に17インチワイド液晶画面とドアチャイムを新規に設置しましたが、更新前はLED表示器で、京急では初採用の設備でした。

SIMENS社の制御装置・主電動機は登場から10年で東洋電機製造のものに更新され、最大の特徴が失われてしまいましたが、その後は格下げ改造などもなく今年で22年目に入ります。前任の2000形は3扉化・ロングシート改造で快特用クロスシート車としての活躍は18年余りでしたが、今後も関東唯一の転換クロスシート車両として長く活躍して欲しいものです。

 

 

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いよいよ残り1編成・歌う京急新1000形

2020年01月26日 | 京浜急行電鉄

京急では会社創立100周年を前に2扉クロスシートの快特用2100形を1998年に登場させましたが、初の試みとしてVVVFインバータ制御装置に国内メーカーではなくドイツのSIMENS社の製品を採用しました。この制御装置はGTOサイリスタを素子に用いており磁励音が音階調になっている非常に珍しいもので、1995年登場のJR東日本E501系の主変換装置で初採用され、日本では2例目でした。そして2002年には700形や初代1000形の置き換え用として2100形の実績を基に2代目1000形が登場、SIMENS製のVVVF制御装置を引き続き搭載し、3例目となる音階を奏でる形式になりました。この新1000形と2100形は、独特な磁励音から「歌う電車」と称されマスコミにも取り上げられたことから、京急=歌う電車のイメージを全国に浸透させました。しかし、SIMENS製VVVFも素子がIGBT化され3次車からは音階は聞かれなくなり、大幅に設計変更されたステンレス車グループからは国内の三菱電機・東洋電機製造の制御装置が採用されました。

歌う電車として名を馳せた1・2次車も、経年劣化と共にGTOサイリスタの製造終了や補修用部品の調達に難がある海外製品ということで、車体更新工事を待たずVVVFインバータ制御装置は国内メーカー製のIGBTを用いた新型に置き換えられることになり、現在では上写真の1033編成のみが最後の歌う電車として活躍しています。

機器更新を受けた編成の例(1413編成)。1033編成と同時期に落成した4両編成ですが、制御装置は既に置き換えられ東芝製IGBTになりました。2007年から採用の三菱・東洋製とも異なる磁励音のため、区別は容易です。

リゾート列車よろしく面積が広い固定窓が特徴の2次車車内。1次車では窓中央部にピラーがありましたが2次車から廃止され、一部機器にマイナーチェンジが加わった5次車までこの内装が引き継がれています。

全ドア上にはLED表示を設置、かつては2100形もこの形態でした。新1000形では開閉時に鳴動するドアチャイムや戸閉力弱め機構を新造時から標準装備しています。

この歌う電車は、メディア露出も多く、特にテレビ朝日の人気番組タモリ倶楽部などでも頻繁に取り上げられ、特に品川駅では接近メロディにもなっている、くるりの楽曲「赤い電車」の歌詞のモチーフになるなど名実共に京急の象徴的存在でしたが、今や消滅間近とは、一つの時代の終わりを実感させられます。今後は昭和の釣り掛け駆動車のように、GTOサイリスタのVVVF音も懐かしい時代の記憶として語られるようになるんでしょうね・・・。



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置き換え迫る相鉄新7000系VVVF車

2020年01月24日 | 相模鉄道

昨年1130日、相鉄は西谷~羽沢横浜国大間の新横浜線1期区間開通に伴うJR東日本との相互直通運転を開始し、長年の悲願だった東京都心乗り入れを果たし、また所有車両が全て新造VVVFインバータ制御車両で統一される大きな歴史の節目になりました。2022年には相鉄新横浜線の2期区間である羽沢横浜国大~新横浜間が開通し同時に東急東横線・目黒線との相互直通が開始され、再び大きな変貌を遂げようとしています。

東急直通対応車として、相鉄では20000系電車を導入し現在は試作車的存在の101編成が運用中ですが、2022年までに量産車となる編成を順次導入し、代替で現在104編成が活躍する新7000VVVF車は順次廃車されることになりました。

1988年に5両+5両の分割編成で導入された新7000VVVF車。3000系の使用実績を踏まえて初の新造VVVFインバータ制御車として登場しましたが、相変わらず直角カルダン駆動方式を踏襲したため、草創期のGTOサイリスタによる大きな磁励音と相まって非常に特徴的かつ重厚な走行音を発します。

大手私鉄入りを間近に控えた1989年までに導入された7753F7754F7755Fは相鉄では初の10両固定編成での導入になりました。編成中に先頭車が入らなくなったため、定員が増加し輸送力が向上しています。

かつては頻繁に見られた中間封じ込め先頭車ですが、現在はとうとう7751Fのみでしか見られなくなりました。登場から長らく非貫通構造で通り抜けは出来ませんでしたが、改造で2006年頃に貫通幌を設置して事実上固定編成化されました。形態は制御車のままで、乗務員室の撤去は行なわれていませんが書類上は付随車化されています。

車内は以前に記事にした抵抗制御編成と特に変わりません。JR東日本との相互直通開始に伴い、女性専用車の位置が海老名寄りに移動しています。

いよいよVVVF編成までも廃車が始まってしまう新7000系ですが、10両編成4本の小世帯ながらバリエーションに富む形態(5両+5両の形態を残す7751F・10両固定編成7752・7753F、クロスシート車を連結する7755F)を楽しめる今、後悔しないように乗車と記録を楽しんでおきたいですね。


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【悲報】E231系500番台、山手線での運用を終了していた件

2020年01月22日 | JR線

予てよりE235系の導入が進み、続々と中央・総武緩行線への転用が進行していたE231500番台ですが、最後まで残存していたトウ506編成が運用離脱し、全編成が山手線から撤退していました。山手線では18年余りの運用で、登場から20周年を待たずに比較的早期の運用終了になりました。

今月は山手線撤退に伴うイベントやヘッドマーク設置も実施されましたが、人が多過ぎる上、撮影地になっている駅先端の騒がしさから敬遠していたのですが、纏まった数が活躍していた頃に撮影した画像が幾つか見つかりました。

最後まで残存していたトウ506編成も偶然御徒町駅で撮影していました。間も無く東京総合車両センターでサハの抜き取りとVVVF制御装置更新、帯色変更など各種改造が実施されるかと思いますが、出場する日を楽しみに待ちたいと思います。


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