東京メトロ半蔵門線では営団地下鉄時代の押上延伸開業に合わせて新形式の08系を10両6編成導入しますが、1981年から運用されている8000系もこの時点では大規模修繕工事を控えており依然として10両編成19本の190両が主力として運用され、2形式が共存する状態が長く続いていました。8000系は2015年に全編成がVVVFインバーター制御化・車内更新を終えており、その後もLEDスクロールタイプだった初期更新編成の車内案内表示器を液晶画面化、三色LEDの行先表示をフルカラーLED化するなど小改造が続き、しばらくの間は現状維持かと思われましたが2019年3月26日発表の中期経営計画「東京メトロプラン2021」内にて半蔵門線へ2024年度にCBCTを導入と併せて新形式18000系の導入が公表されました。2021年8月7日から第1編成(18101F)が運用を開始し、2022年7月現在では7編成が定期運用入りしています。
2003年登場の08系以来18年振りの新形式となった18000系は、先述の中期経営計画内で共に7000系置き換え用に発表された有楽町線・副都心線向け17000系と仕様を極力揃えており8000系・08系のイメージを引き継ぎつつも部品の共通化を図り保守コストを低減させ、環境面にも配慮しながら高品質な輸送サービスを提供しています。
半蔵門線は直通運転先の走行距離が長く、最先端の流行の発信地である渋谷・表参道、芸術の薫り豊かな清澄白河、世界一の高さを誇る東京スカイツリーのお膝元である押上を結ぶことから、「伝統と新しさが交じり合う街に更なる活力を」を設計思想に掲げ、沿線の街に更なる活力を与えるようなデザインとされています。これらのコンセプトが評価され2021年10月20日には製造元である日立製作所と共同でグッドデザイン賞を、2022年5月26日には鉄道友の会よりローレル賞を受賞しました。
車内は様々な目的の利用者に寄り添えるような設備とされ、ラインカラーの紫を基本に色合いを変えながら床敷物、座席、吊り手に取り入れ強化ガラス製の袖仕切り、妻面貫通扉は織物を思わせる図柄を配し開放感を持たせ伝統と新しさが混じり合う町と人々の活気を表現しています。車端部に設置されるフリースペース付近のドアは、レールの一部が切り欠き加工されており、車椅子やベビーカー利用者の乗降性を向上させ、バリアフリー面にも細かな配慮が盛り込まれました。
ドア上の液晶画面は銀座線・丸ノ内線・日比谷線などで見られる3画面タイプが採用されるかと思いきや、オーソドックスな17インチ画面を2台配置するタイプでした。鴨居部には防犯カメラも千鳥配置されるようになり、1両あたり4台が設置されています。
18000系の増備は2025年まで続き、引き換えに8000系は順次廃車になる予定で、これまで離脱した編成は群馬県の北館林で解体処分されています。8000系も大規模修繕で現代の水準を満たす接客設備を持っているので、どこか地方私鉄や海外からの引き合いがある事を期待したいところですね。