1996年3月30日、東京臨海副都心の交通機関として新木場〜東京テレポート間の第一期区間が開通したりんかい線(2000年までは臨海副都心線と呼称)は、開通に際して重要部検査を委託するJR東日本の209系電車をベースに独自の要素を取り入れた70-000形を登場させました。第一期区間開通後は4両編成で運転されましたが、2002年12月1日の大崎駅延伸に伴う全線開通で埼京線との相互直通運転を開始し編成も10両編成に増強され東京圏の一大ネットワークに変貌しました。2004年10月16日ダイヤ改正日までは開通時からの車両は4両から6両編成化の上で、りんかい線内限定運用とし全車両が新造の10両編成はJR直通対応と分けられた時期もありましたが、その後10両で統一され余剰となった先頭車4両と中間車2両がJR東日本に売却され、209系3100番台として編入される珍事も発生しています。現在は10両編成8本が運用中ですが、2022年5月30日に「経営改革プラン2023年度改訂版」を公表し新型車両の導入計画が明らかになり、現行の70-000形は全編成が置き換えられることになりました。
209系の系譜でありつつも正面マスクやスカート形状が独自のデザインになっている70-000形。写真のZ9編成は2002年度に10両編成で一括製造されドアガラスが金属支持方式から接着式になるなど、より209系の要素が強まっています。なお2002年の時点ではJR東日本ではE231系の新造に移行しており、10両編成導入の際は同系ベースも検討されたようですが既存の車両への増結の必要もあり209系仕様での増備になりました。
現在は全編成がLED前照灯への換装、車内案内表示器の液晶画面化、また自動放送装置の新設を行っている他、2010〜2018年に掛けてGTOサイリスタによるVVVFインバーター制御装置をIPM-IGBT素子を用いた新インバーター制御装置に更新しており、性能的には近年の新系列電車と同等になっています。
車内はJR車に類似するものの、化粧板仕上げのドアや独特な形態の座席の袖仕切り、また初期の車両はドアの手掛けに角張った長方形タイプ(増備車は他社でも見られる通常の形状)のものを採用するなど東京都が90%以上出資している影響か、一時期の都営地下鉄車の要素を感じさせる部分が見受けられます。なおポリカーボネートの仕切りは後年に増設されました。
液晶画面化された車内案内表示器。登場時から長らく漢字・ローマ字・片仮名で繰り返し駅名を固定表示(例:次は 新宿→Next Shinjuku→次は シンジュク)するタイプでしたが、情報量が大幅に向上しています。
後継となる新型車両の仕様はまだ明らかにされていませんが、混雑緩和の為に車体幅を拡大することや床を70-000形より50mm低くすることなどが盛り込まれており、普通に考えればE235系をベースにすることが想像できますが、イメージが公開されるのを期待して待つと共に、70-000形の処遇も他社譲渡を含め検討中とのことなので、しばらくは目が離せなくなりそうですね。