町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

置き換えが開始される東京臨海高速鉄道(りんかい線)70-000形

2023年07月31日 | 第三セクター鉄道(首都圏・関東)

1996330日、東京臨海副都心の交通機関として新木場〜東京テレポート間の第一期区間が開通したりんかい線(2000年までは臨海副都心線と呼称)は、開通に際して重要部検査を委託するJR東日本の209系電車をベースに独自の要素を取り入れた70-000形を登場させました。第一期区間開通後は4両編成で運転されましたが、2002121日の大崎駅延伸に伴う全線開通で埼京線との相互直通運転を開始し編成も10両編成に増強され東京圏の一大ネットワークに変貌しました。20041016日ダイヤ改正日までは開通時からの車両は4両から6両編成化の上で、りんかい線内限定運用とし全車両が新造の10両編成はJR直通対応と分けられた時期もありましたが、その後10両で統一され余剰となった先頭車4両と中間車2両がJR東日本に売却され、2093100番台として編入される珍事も発生しています。現在は10両編成8本が運用中ですが、2022530日に「経営改革プラン2023年度改訂版」を公表し新型車両の導入計画が明らかになり、現行の70-000形は全編成が置き換えられることになりました。

209系の系譜でありつつも正面マスクやスカート形状が独自のデザインになっている70-000形。写真のZ9編成は2002年度に10両編成で一括製造されドアガラスが金属支持方式から接着式になるなど、より209系の要素が強まっています。なお2002年の時点ではJR東日本ではE231系の新造に移行しており、10両編成導入の際は同系ベースも検討されたようですが既存の車両への増結の必要もあり209系仕様での増備になりました。

現在は全編成がLED前照灯への換装、車内案内表示器の液晶画面化、また自動放送装置の新設を行っている他、20102018年に掛けてGTOサイリスタによるVVVFインバーター制御装置をIPM-IGBT素子を用いた新インバーター制御装置に更新しており、性能的には近年の新系列電車と同等になっています。

車内はJR車に類似するものの、化粧板仕上げのドアや独特な形態の座席の袖仕切り、また初期の車両はドアの手掛けに角張った長方形タイプ(増備車は他社でも見られる通常の形状)のものを採用するなど東京都が90%以上出資している影響か、一時期の都営地下鉄車の要素を感じさせる部分が見受けられます。なおポリカーボネートの仕切りは後年に増設されました。

液晶画面化された車内案内表示器。登場時から長らく漢字・ローマ字・片仮名で繰り返し駅名を固定表示(例:次は 新宿→Next Shinjuku→次は シンジュク)するタイプでしたが、情報量が大幅に向上しています。

後継となる新型車両の仕様はまだ明らかにされていませんが、混雑緩和の為に車体幅を拡大することや床を70-000形より50mm低くすることなどが盛り込まれており、普通に考えればE235系をベースにすることが想像できますが、イメージが公開されるのを期待して待つと共に、70-000形の処遇も他社譲渡を含め検討中とのことなので、しばらくは目が離せなくなりそうですね。

 

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ロングボディで京浜工業地帯の通勤輸送に活躍、川崎鶴見臨港バスの日野ブルーリボン長尺車

2023年07月27日 | 京浜急行バスグループ

神奈川県川崎市の臨海工業地帯から横浜市東部の住宅街に路線を展開する川崎鶴見臨港バスは現在のJR東日本鶴見線の前身である鶴見臨港鉄道の乗合バス部門を起源とする事業者で、1948年に京急グループ傘下に入り現在では京浜急行電鉄の完全子会社となっています。路線の大半は川崎駅・鶴見駅から京浜工業地帯への通勤輸送を担っており朝夕の激しい混雑に対応する為、近年は長尺大型車が目立つようになりました。

車体全長が11.13mで堂々とした印象の2A641号車(2PG-KV290Q32019年式)です。塩浜営業所の所属車両で、いすゞエルガとの統合車種である日野自動車製ブルーリボンのディーゼル車です。いすゞ自動車川崎工場が営業エリアである川崎区殿町にあった関係で、いすゞ車を導入していましたが2004年の工場閉鎖後は指定メーカーが日野自動車に変更されました。

上と同型式で2018年式の2A611号車。このグループより行先表示器が3LEDからフルカラーLEDに変更されました。並行してハイブリッド車も導入されており、一大勢力を築いています。なお尺は違いますが神明町・鶴見の両営業所には殆ど区別が付けられないエルガのディーゼル車が在籍しており、何ともややこしいことになっています・・・。

回送便で営業所に引き上げる2022年式2A661号車をリア部より。このグループの導入で一時的に止まっていた車両置き換えが再開され、残存していたPJ-規制車にまとまった数の廃車が発生しました。ナンバープレートも2010年代末期に導入された上2台は東京オリパラ仕様ですが、今回の新車は通常の緑ナンバー仕様です。

車内設備。前回記事にした京浜急行バスのエルガと比較すると良く分かりますが、車体が長い分座席が一人分多くなっています。しかしディーゼル車もハイブリッド車も車内は全く区別が付かなくなりましたね。

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空港関連輸送で活躍する京浜急行バス・2代目いすゞエルガ

2023年07月25日 | 京浜急行バスグループ

日本全国で普及している2代目いすゞ自動車製エルガが京浜急行バスに導入されたのは2016年度のことで、東京都内・神奈川県内の双方に在来車の代替なども兼ねて導入された為一気に主力車両になっており、OEM供給車である日野自動車の2代目ブルーリボンと合わせて勢力は拡大の一途を辿っています。今回は地域輸送の他に空港関連輸送を担っている羽田営業所所属の2代目エルガを捉えました。

川崎駅〜羽田空港を結ぶ空51系統で運用中のH2848(2KG-LV290N22018年式)。東京オリンピック開催に伴って登録ナンバー品川23120-20となっています。京浜急行バスのノンステップバスは正面の左側に"らくらくくん"のイラストが表示されていましたが、ベビーカーマーク掲出に伴い窓下に移されています。

穴守稲荷付近を回送中のH2771(QKG-LV290N12017年式)2代目エルガが初登場に設定された型式です。一般路線バスではありますが、羽田営業所は空港ターミナル間無料連絡バスを担当しており、専用車に指定されている日野ブルーリボンハイブリッドとブルーリボンシティノンステップ仕様車が車検などの際に写真のように連絡バスの表示を掲げて代走を務めます。

リア部から見るH2942(2KG-LV290N32019年式)QKG-規制車と比較して外観上の変化は無いですが、ドライバー異常時対応システムの標準装備など更に改良が見られます。

車内設備は他社でも見られる標準型の内装で特筆すべき点はありませんが、床がフローリング調仕上げになっており青系の柄が入った座席モケットと合わせて瀟洒な雰囲気を出しています。

かつては関東地方初の試作ノンステップ車を初め、近隣の大森営業所には通勤対策で中扉を両開き仕様にしたスーパーワイドドア車など、極めて特異な車両が見られた東京都内の京浜急行バスですが、現在はすっかり標準仕様の車両で整理されてしまいました。これもまた時代の流れですね

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歌わなくなって久しい京急新1000形(車体更新車)

2023年07月23日 | 京浜急行電鉄

マイナーチェンジを繰り返し現在は1500形の置き換え用として更に増備が続く新1000形ですが、かつては2100形と共に特徴的な音階調の磁励音を発するドイツ・SIMENS社製VVVFインバーター制御装置を搭載し「歌う電車」として知られるようになった初期製造の12次車から更新工事が実施されるようになり、2017917日には更新第一陣となった1001編成が公開されました。内容としては車内の化粧板・袖仕切りなど内装材の交換の他、固定式となっていた先頭車両乗務員室寄り・車端部の窓の開閉式化、屋上換気扇廃止と冷房装置更新などで外観にも変化が生じた他VVVFインバーター制御装置を三菱電機・東洋電機製造・東芝の国内生産品へ更新しており、形態差が非常に多い新1000形に更なるバリエーションが生まれています。

一番最初に更新を受けたトップナンバーの1001編成。報道公開を2017917日に実施し、営業運転には翌18日に復帰しました。この編成は三菱電機製の制御装置に換装され、16次車1177編成同様フルSiCを素子に用いたVVVF制御(MAP-194-15V296)となっています。更新前は都営浅草線・京成線・北総線への直通運用にも就いていましたが、更新後は何故か地上専用車扱いとなってしまい逗子・葉山〜羽田空港間のエアポート急行や朝夕の品川発着の列車で運用されています。

東洋電機製造IGBT-VVVFインバーター制御装置(RG6008-B-M)に換装された1009編成。2編成目となる更新車で、早くも形態差が生じることになりました。制御装置外観は2100形と酷似しており、磁励音も殆ど同じです。2019222日の出場以降、営業運転は線内運用に留まっていましたが、一ヵ月後の322日より直通運用に復帰しました。同一形式内で何故このような差が出来たのかは謎のままです。

ホームドアが設置されていなかった頃の京急川崎駅で、更新を受けたばかりの1次車とIGBT素子による歌わないSIMENS(既に更新で消滅)を搭載していた3次車イエローハッピートレイン、奥には6次車以降のステンレス車と3世代の並びです。

更新工事後の車内設備。化粧板や床材が新品に交換され、座席の袖仕切りがガラス入りの17次車に準じたものになり、やや明るい雰囲気になりました。急ぐ必要性が薄い為か、更新のペースはゆっくりですが、ゆくゆくはアルミ車全編成に及ぶのでしょうね。

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1編成のみの特別カラー、千葉ニュータウン鉄道9800形

2023年07月21日 | 京成グループの鉄道

1984年から2000年に掛けて小室〜印旛日本医大間を開通させた都市基盤整備公団が独立行政法人都市再生機構に移行し鉄道事業から撤退することを受け、事業を引き継ぐべく新たに京成電鉄の100%子会社として設立され200471日からスタートした千葉ニュータウン鉄道では、現在も運用中のC-Flyerの愛称を持つ9100形や、路線開業時に2000形として登場し1994年に形式を改めた緑と赤の帯が特徴的な9000形など、規模の割に個性が光る車両を導入していました。しかし京成3000形ベースの9200形導入で老朽化の進んでいた90001編成が廃車され、残るもう1編成も京成3700形のリース車で置き換えられることになり、2017年より3700形の3738編成が新たに9800形として運用を開始しました。

外観は千葉県の県花である菜の花と海を思わせる黄色と水色の帯に変更された以外、京成在籍時と余り変わりません。未だ9100形は健在であるものの、本系列の導入でますます独自色は薄れてしまいました。なお、車両の管理は北総鉄道が行なっている為、運用範囲は北総車と同一です。

ところで、公式ホームページすらなく保有路線自体も北総鉄道線と一体的に運営されている状況ですから恐らく鉄道に興味のある人間以外には全く認知されていない千葉ニュータウン鉄道の車両達ですが、ラインカラーが奇しくもウクライナの国旗に似ていたことで俄かに注目を集め、検索サジェストに「千葉ニュータウン鉄道 ウクライナ」との表示が見られるようになっています。もちろん全くの偶然で無関係ですが。

車内も京成3700形時代と変わりはなく、変化した点を挙げるならせいぜいドアステッカーの貼り付け位置や黄色い警戒テープの追加くらいです。

車内案内表示装置はLEDでしたが、こちらも京成時代に筐体はそのままで液晶画面化されました。当然ですが、京成・北総の両車と同様にドアチャイムは設けられていません。

京成電鉄の子会社になった今、リース車両と京成車の色違いの新造車を導入するのは自然の成り行きですが、かつての独自の個性を持つ車両が在籍していたことを知る世代としては、やはり寂しいものがありますね。

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