今月30日には相鉄新横浜線の第一期区間が開業し、いよいよJR東日本との直通が始まる相模鉄道ですが、2017年登場の20000系電車が相鉄の歴史では初となるローレル賞を受賞し、都心乗り入れ対策の一環であるブランドアッププロジェクトで採用された新たな塗装であるYOKOHAMA NAVYBLUEがグッドデザイン賞を受賞するなど大きな躍進を遂げました。JR東日本直通運転に備えては、新形式12000系が新規に設計~導入された為、馴染み深い相鉄車両が乗り入れという実感が薄いのが残念なところですが、それでも直通開始を知らせる駅貼りポスターや新規開業の羽沢横浜国大駅が記された路線図を見ると期待が大いに膨らみます。
獅子口をイメージしたという、極めて独特な力強い正面デザインが印象的な12000系。直通先であるJR東日本の埼京線がE233系で統一されている為、同系を母体にする11000系ベースの車両ですが、車体は現在山手線向けに増備中のE235系同様、sustina S24で製造されている為、雨樋が外側に出ず滑らかな仕上がりで、独自性は非常に強いものとなっています。
本形式は11月30日から直通運転主体になる為、本線西谷以東の区間といずみ野線で運用される機会は激減します。なお、編成数や乗務員区所の違いなどから定期列車での乗り入れは新宿までとし、埼京線新宿~大宮間と川越線への直通は原則行なわず、行先が入っている為ダイヤ乱れや間合いなどで想定された東京臨海高速鉄道りんかい線での運用も現段階では絶対無いとのことです。(保安装置は問題ないので入線自体は可能)
先に登場した9000系リニューアル車や20000系と同じく、グレートーンで高級感と落ち着きを感じさせる車内。窓の構造や座席、扉にE233系・11000系との共通性が窺えますが、強化ガラスを多用して見通しを良くした袖仕切りやアシストレバー付き貫通扉などに強い独自性が現れています。写真右はフリースペースで、10両全車に設置されることになりました。標準車両の流れを汲む形式ですが、数々の制約がある中これ程の上質な車内に仕立てるのは見事ですね。
車内案内表示器はすっかりお馴染みの17インチワイド液晶画面ですが、11000系などとは表示内容が全く異なります。また、ドアチャイムはJR東日本タイプの3打点ですが、戸閉装置は10000系・11000系で実績のあるスクリュー軸駆動や、直通先のE233系7000番台が採用するリニアモーター駆動ではなく、ドア横のスイッチで操作が可能になる半自動機能付きのラック式を搭載しています。
待望だった相互直通まであと僅かとなり、また歴史的な転換点が訪れようとしていますが、早く相鉄本線から新宿へ直行出来る驚きを実感したいですね。