町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

〜新興住宅地から国際空港まで〜 異色の千葉ニュータウン鉄道9100形

2021年05月30日 | 京成グループの鉄道

北総鉄道は京成高砂から印旛日本医大までの32.3キロの路線ですが、小室〜印旛日本医大までの区間は第三種鉄道事業者の千葉ニュータウン鉄道が駅施設・線路を保有し、北総鉄道が第二種鉄道事業者として運営管理を行っています。この区間は旧住宅・都市基盤整備公団(→都市整備公団)が開発した千葉ニュータウンの交通機関として、公団が自ら鉄道事業者となり開業させ当初は住宅・都市基盤整備公団千葉ニュータウン線とされ北総開発鉄道(当時)に運転を委託する形態を採っていました。その後鉄道事業法の成立を機に1988年から上下分離方式を導入して北総線と一体化、公団は施設・車両の保有するのみとなりました。その後2004年に公団線区間の業績不振に伴い鉄道事業からの撤退を決定。北総鉄道の親会社である京成電鉄により設立された千葉ニュータウン鉄道に譲渡されています。その会社規模に比して8両編成5本もの電車を保有しているのが特徴で、内1編成は京成からのリース車となっています。

住宅・都市基盤整備公団では極めて独自色の濃い車両を導入しているのも特徴で、1995年に印西牧の原延伸を控えて登場した今回記事にする9100形も斬新な意匠が登場時は話題を呼びました。本形式は千葉ニュータウンのイメージアップもコンセプトになっており、C-Flyer(シーフライヤー「C」はChiba-Newtown(千葉ニュータウン)、Comfortable(快適)、Clean(清潔)、Culture(文化)の頭文字から。Flyerは速い列車の意)の愛称が付いています。現在では8両編成3(1次車2本・2次車1)が在籍し、千葉ニュータウン鉄道所有の北総鉄道管理となっています。

2000年の印旛日本医大延伸を控えて、若干設備を変更し増備された2次車。丸みが強く独特な印象の前頭部が目を引きますが、カラーリングも車内設備を示す為、車椅子スペース付近のドアは青、クロスシート部は黄色と外観から判別出来る斬新なものを採用しました。性能面は京成3700形と同様で、VVVFインバーター制御も同系とほぼ同じ東洋電機製造の装置を搭載しています。

車内設備(2次車で撮影)。ドア窓は戸当たり付近を黒で仕上げ、閉まった際に1枚窓であるかのように見える独自の形状です。車端部クロスシートは1次車では両側に設置しましたが、2次車では片側はロング化され、袖仕切り上部は手摺りが2本に増設されました。また1次車のみの特徴的な設備として、カード式公衆電話が設置されており、1997年の撤去後も区画だけが残されています。また自動放送装置も搭載されていましたが、こちらも後に撤去されました。

元々はLEDスクロール式だった車内案内表示器はLCDに換装されており、情報量が向上しましたが、意外にドアチャイム設置は見送られています。

かつては多彩な車両が運用され、趣味的にも面白かった北総鉄道線系統の列車ですが、現在は設計標準化と親会社からの車両リースによりすっかり画一化されてしまいました。しかしこの9100形は標準車両が目立つようになった京成グループに於いて一際目を引き、独特な存在感を放っています。今後もリニューアル工事などで少しでも長い活躍を期待したいですね。

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初代スカイライナーAE形の遺志を継ぎ活躍する京成3400形

2021年05月28日 | 京成電鉄

日本では初となる空港連絡特急として登場した初代スカイライナーAE形は、1990年に2代目特急車となるAE100形登場後も登場以来の6両から8両編成への組み換え工事を実施し共に活躍を続けました。しかし老朽化とサービス向上の為、1991年からもAE100形を増備し置き換える事が決定されます。しかし、車体は傷みが見られたものの、走行機器の状態は良好で十分に再利用が可能であった為、これらを活用して普通鋼製の車体を新造し3400形として1993年〜1995年に種車と同じく8両編成5本の40両が再デビューを果たしました。

外観は当時最新形式であったステンレス車の3700形をそのまま普通鋼製にしたようなデザインで、ライトグレー塗装をベースにヒューマンレッドとフューチャーブルーの帯を巻き、他形式とイメージを揃えました。何れの編成も書類上は新造ではなく初代AE形を改番の上で改造を実施した扱いになっています。

エアポート快特で京急本線に乗り入れる3400形。都営浅草線直通対応車として改造された本形式は先頭車を電動車にしている為、京急本線にも直通を可能にしており定期運用では空港線羽田空港まで乗り入れを行っています。過去には京急久里浜線三崎口まで入線した実績もありました。

基本的には37001次車に準拠している車内設備。しかし、改造種車は界磁チョッパ制御である事から床には主電動機点検蓋がある他、京成では車椅子スペースを初めて設けました。座席のスタンションポールは後年に設置されたものです。

ドア上には3700形と同様のLED表示器を設置しています。3700形は今後も長期使用が見込まれる為、LCD化改造が施工されましたが廃車が始まっている3400形はLEDのままとされています。

成田空港といえば、開港に至るまで地元住民からの反対運動や過激派の三里塚闘争で大幅に遅れ、開港後もその影響が続いた事は余りにも有名ですが初代AE形もそれらの社会情勢に翻弄され、登場から長らく試運転もままならず留置状態が続き空港特急として活躍したのは僅か13年程度で、特にAE29編成は一度も運用に入れず過激派の放火に遭いそのまま廃車(新造中だった第7編成を急遽2代目AE29編成に改番して穴埋め)になってしまうなど実に不遇な生涯でしたが3400形に生まれ変わってからは本来の使命であった成田空港アクセスの他、新たなハブ空港としての地位を確立している羽田空港への乗り入れも果たし、大車輪の活躍を見せるようになりました。現在は老朽化の為に3408編成が廃車になり置き換えは続行されると思いますが、今のうちに往年のスカイライナーを彷彿とさせる走りを存分に楽しんでおきたいですね。

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国際空港アクセス輸送に就く京成3050形(3000形7次車)

2021年05月20日 | 京成電鉄

2010717日より、東京都心から成田空港へのアクセス改善も目的として京成高砂から印旛日本医大に至る北総鉄道線を東に延伸する形で成田スカイアクセス線(京成成田空港線)が開通しました。この路線は上下分離方式を採用しており、京成電鉄が第二種鉄道事業者として北総鉄道・千葉ニュータウン鉄道・成田高速鉄道アクセス・成田空港高速鉄道に線路使用料を払い、北総線と共用する形態になっている事が特徴です。開通に伴い、スカイライナー用にAE形、特別料金不要の一般列車アクセス特急に3050(30007次車)が導入され、現在は3100形も加わりスカイライナーは最高160キロ、アクセス特急は120キロの高速運転を実施し成田空港への所要時間を大幅に短縮しました。

エアポート快特の種別で京急本線内を行く3050形。基本的な運転形態は成田空港〜押上まではアクセス特急、押上〜泉岳寺・羽田空港までの都営浅草線・京急線内はエアポート快特(京急蒲田通過)としての運転ですが、朝夕は京成本線上野の他、京急久里浜・三崎口を発着する列車も設定されており、それらは京成電鉄所属車が神奈川県まで足を伸ばす数少ない列車となっています。

登場から2019年までの姿。空をイメージしたブルー系のラインで航空機のイラストを描いていましたが、2代目3100形登場に合わせて現在のオレンジ帯に変更されました。なお、3100形に増備車が登場するのに合わせてカラーリングを京成一般車同様にヒューマンレッドとフューチャーブルーの帯に変更し、本線系統で運用されるようになっています。

車内設備も一般車が暖色系のインテリアだったのに対し、空港アクセスを意識して空をイメージした青色系の配色になりました。座席は片持ち式ロングシートで、シートモケットは青地に飛行機のイラストが入る専用品です。

車内案内表示は15インチ液晶画面を配置しましたが、直前まで増備されていた30006次車まではLED表示(現在は液晶画面に換装済み)だった為、京成では初採用になりました。この他京成線区間でのみ自動放送も実施しています。

画一的な京成一般車の中でも白眉と言える存在でしたが、今後は先述のように3100形増備と入れ替わりで本線に転出が予定されている為、3050形によるスカイアクセス線系統の列車は見納めになるようです。

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異彩を放つ東急5050系4000番台"Shibuya Hikarie号"

2021年05月18日 | 東京急行電鉄

渋谷駅周辺は2005年より特定都市再生緊急整備地域に指定され、100年に一度とも言われる大規模な再開発工事が進行しています。それら巨大プロジェクトの先陣を切る形で2012426日、旧東急文化会館跡地に地上34階・地下4階の高層複合施設「渋谷ヒカリエ」が開業しました。東急東横線・田園都市線、東京メトロ副都心線・半蔵門線とは地下3階で直結しており、低層部には東急百貨店が運営する「ShinQs(シンクス)」を始めとするレストラン・商業施設が、中層部はミュージカルや音楽劇を中心に上演する東急シアターオーブ、各種イベントなどで活用されるヒカリエホール、17階以上のフロアはオフィスとして企業各社が本社を置いており、新たな渋谷の文化・情報の発信拠点として機能しています。

2013316日には副都心線と東急東横線の直通運転が開始されますが、開業1周年となる同年426日からは主力の50504000番台の第10編成(4110F)が特別仕様の「Shibuya Hikarie号」として運用を開始しました。車種構成は他の編成と変わりませんが、車体幅を田園都市線・目黒線の限界に合わせて2820ミリから2800ミリとし、東横線以外での営業運転も可能にしている事が最大の特徴です。

ブラックマスクにゴールド系のインパクトがあるカラーリングが特徴ですが、これは渋谷ヒカリエ全体をイメージしており、側面には渋谷を代表するビル群のイラストが入るなど、一際目立つ姿で異彩を放っています。正面のヘッドマークは一時期取り外されていた事がありましたが、現在は再び常時設置されるようになりました。

東武東上線内を走行する4110F。副都心線を介して西武池袋線飯能から東武東上線小川町まで乗り入れますが、突発的な代走で定期運用がない有楽町線での営業運転を行った実績もあります。

車内設備は「アクティブ」「シック」「クリア」をキーワードに、3種類のデザインが設定され、多彩な施設で構成される渋谷ヒカリエと多種多様な魅力が集う渋谷の街を表現した他、ハイバックで座面の厚みを増したロングシートで居住性を向上させました。また、10両編成の手すりの1箇所にのみハートの刻印がされており、エンタメ性も持たせているのが特徴です。写真は「クリア(13810号車)」で、渋谷ヒカリエ外観とオフィスゾーンをイメージしグレー系の座席と紺・白を交互に配置した円形吊り手で透明感を表現しています。この背もたれを高くした座席は2020系グループにも引き継がれました。

「アクティブ(2469号車)」車内。渋谷のアクティブなイメージとショッピングエリアの賑わい、活発さを表現。吊り手は萌黄色・茶色・黒・灰色・緑・紺・白・赤と非常にカラフルでポップな印象になっています。

「シック(57号車)」車内。東急シアターオーブの重厚な内装や未知なる宇宙をモチーフにしており、格調高さと落ち着きを表現しています。

他編成同様に副都心線を介して西武池袋線・東武東上線にも直通し、今後も渋谷文化の広告塔として活躍するであろうShibuya Hikarie号ですが、来る2023年の東急新横浜線開通に伴う相模鉄道への進出や今後2025年程度は主力車両として運用される事を考えると将来的にはデザインの大幅な一新なども想定され、色々楽しみな存在です。現在佳境に入りつつある渋谷駅周辺の開発と共に、今後に注目して行きたいですね。

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武蔵野を駆ける伝統の黄色い電車・西武新2000系(中期・後期車)

2021年05月14日 | 西武鉄道

西武鉄道の通勤車両は長らく非貫通正面・3扉を基本とし、1977年から製造された2000系からは初の4扉車に移行する事になりました。この時点では新宿線のみの配置でしたが、1988年の6次車に分類される車両からは大量製造され池袋線系統にも進出し一気に4扉化を推し進めました。これらの形式は新2000系と呼ばれ既存の2000系とは区別されており、後に101系の廃車発生品を流用して製造された9000系もほぼ同一デザインの車体を採用した為、従来車に代わり一時期の西武通勤車の象徴的存在となりました。現在は9000系が池袋線から撤退し多摩湖線に活躍の場を移した為、本線系統で活躍する最後の黄色い電車となっています。

新車攻勢に晒されながらも、新宿線系統では大活躍を見せる新2000系。製造時期により細かいバリエーションが存在し、最初期車は正面非常用貫通扉の寸法が若干小さいのが特徴でした。写真の編成は中期車(2531F2545F2059F2545Fが該当)に区分される車両で、貫通扉窓寸法が大きくなり左右の窓と揃えられた他、側面ドア窓も拡大され四隅が角張った形状で、京王電鉄の車両を思わせるスタイル(化粧板や座席も京王60007000系と類似していた為、車内はよりその印象が顕著)になっています。 

池袋線所属の後期型編成。ドア窓形状は四隅のRが大きく寸法が小振りな初期車と同じ仕様に戻りましたが、戸閉装置を旧来の床置式から鴨居部分に設置する直動式に改めた為、開閉動作が異なっています。このグループに対しては2007年〜2011年に車体修繕と大規模更新改造が実施されましたが一部に留まり、全編成には及びませんでした。

小川駅で並ぶ国分寺線で運用中の新旧2000系。同線は全列車が2000系列の6両編成で運転されています。2本が並ぶと電装品は共通ながら印象は大分異なりますね。上の写真の編成と隣の旧2000系が行先表示をフルカラーLED化している一方で、新2000系は後期車ながら方向幕で存置されているのも注目点です。

中期車車内。設備の改良は段階的に実施され、座席を3人+4人で仕切るスタンションポールの新設やドア付近の黄色い警戒色化、また床置式戸閉装置の初期車・中期車に対しては注意喚起のドアチャイム設置を行っていますが、これらも全編成には及んでいない為、格差が生じています。

現在は緩やかなペースながら2000系の廃車が進行しており、VVVF試験車を組み込んだ2097F(2016年廃車、現在は前頭部のみ豊島区の丸善池袋店にて展示)以外健在で、2・4・6・8の多彩な編成で柔軟な運用をこなしていますが一番新しい編成でも登場から29年目に入りVVVFインバータ制御車が主流になる中で旧来の界磁チョッパ制御車という事もあり、遠くない将来の置き換えと本線系統撤退が予想されます。今や昭和期の西武を象徴する黄色い車体にステンレスドアの車両なだけに、一日でも長く活躍して欲しいですね。

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