町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

登山電車の顔として今なお健在、箱根登山鉄道モハ2形

2020年09月27日 | 小田急グループの鉄道・路線バス

箱根登山鉄道の前身である小田原電気鉄道では、1919年の鉄道線開通時にチキ1(後のモハ1)電車を導入していましたが、チキ1形の主要部品にはアメリカ製の輸入品が使用されていました。しかし1921年に強羅〜上強羅(初代:現在の早雲山)間に開通するケーブルカーでは軌道・巻上げ装置・車両をスイスから輸入していた為、鉄道線の増備車もスイス製の電装品を導入することになりました。そうして登場したのがチキ2形で、1950年の小田原〜箱根湯本間の小田急直通開始と共に複電圧化、1952年に形式称号改定(チキモハ)1955年には木造車体の鋼体化、その後もパンタグラフの交換や室内更新、走行機器の高性能化など様々な改造を受け今日まで活躍を続けています。

会社創立時の車体塗装だった緑色に復刻されたモハ2109号車と標準塗装の108号車2両編成。箱根湯本〜強羅間開通100周年の記念行事の一環で登場しました。同車にこの色が施されるのは初めてではなく、1998年〜2000年にも創立70周年記念で緑にリバイバルされており、19年ぶりに再び緑塗装に戻ったことになります。何れも両運転台であるため、モハ2同士の編成からモハ1両への増結までフレキシブルな運用をこなしています。

モハ12両と組み3両編成で運用中の姿(後部1両がモハ2)1031072両が引退してからはモハ1とモハ2は別々に運用される機会が増え、3両編成での運用は減少気味で更にリバイバル塗装車が存在するため、標準塗装で揃った編成は見られなくなりました。

宮ノ下駅で交換待ちの為に並んだモハ2109号車と108号車。かつては旧型車同士の並びは日常的に展開されていましたが、モハ1形・モハ2形合わせて4両にまで減少した今は既に見ることが難しくなってしまいました。なお写真の108号車はロマンスカーのSE車をモチーフにした金太郎塗りですが、現在は上写真のモハ1形104と同じ直線的な塗り分けに戻っています。

乗務員室直後はロングシート、扉間は4人掛けボックスシートを配置する車内。ボックス席が近代的で不釣合いですが、これは後年に交換されたものです。モハ1103107同様、寄木細工をモチーフにした座席モケットが目を引きますね。 

何れも近代化されてるとはいえ、登場から実に93年、車体の鋼体化など近代化改造からも65年という長寿命で冷房は疎か扇風機さえ設置されていない希有な存在ですが、3100形アレグラ号の増備計画がある為引退の時期が確実に近づいて来ました。箱根へ足を運ぶ際は、乗車・撮影を出来る限り行いたいところです。

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懐かしのHiSEカラーで活躍する箱根登山鉄道2000形サン・モリッツ号

2020年09月25日 | 小田急グループの鉄道・路線バス

箱根登山鉄道では初となる冷房車として1991年に登場した2000形は、当初2両編成でしたが1993年からは輸送力増強に伴い旅客列車の3両化を推し進めるべく1997年には中間車を増備し、2両編成で登場した2本に増結を行い3両編成化するも1000形の冷房化改造による補助電源確保の為中間車を転用改造することになり20012002編成は再び登場時の組成に戻ります。その後は1999年に2001編成が姉妹提携を結ぶスイスのレーティッシュ鉄道カラーになり、好評の為2002年には2003編成も改められ更に同編成は2009年にレーティッシュ鉄道の看板列車である氷河急行塗装になっています。2014年には3000形アレグラの就役と連結運転に備えて2両編成の塗装が揃えられますが、2001編成は2018年に登場時塗装に戻り結果として22本・31本の全編成が異なる塗装になりました。

箱根登山線の車両は小田急ロマンスカーをモチーフにした塗装になるのが習わしでしたが、先に登場した1000形ベルニナ号がSE車のカラーをベースにしたように2000形サン・モリッツ号はHiSE車の装いです。かつてはロマンスカーの象徴的カラーでしたが、今やベースになったHiSEは引退して久しく懐かしい姿になりました。

登場時と比較すると、連結器やパンタグラフの交換、前照灯・尾灯のLED化で大分印象が変わっています。2021年からは走行機器更新や冷房装置の移設(室内から屋上へ)が実施を予定しているので、また大きな変化が生じますね。

車内はボックスシートを中心にした設備でしたが、混雑緩和の為20012002編成は2010年にロングシート化されました。白い化粧板と赤系座席モケットの組み合わせは同時期に増備されていた親会社の小田急1000形と通じる雰囲気があります。

3000形アレグラ号に合わせて設置された17インチ液晶画面。設置と共にドアチャイムも換装され、新幹線N700系と同じ音色のチャイムが開閉時に鳴動します。

来年から始まる車体更新工事が施工されれば、塗装もそれに合わせて大幅に変更される事が予想される為、懐かしのロマンスカーカラーはその時までに見納めになるかも知れません。今は旧型車のモハ12型が注目の的ですが、今後も活躍する主力形式も記録しておきたいですね。

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箱根の山を行き来する赤い1000形

2020年09月23日 | 小田急電鉄

小田急全線に姿を見せて夏を盛り上げた箱根登山カラーの赤い1000形ですが、1059Fの代走に就いている1051Fの序でに小田原〜箱根湯本間で本来の登山線運用に従事している姿も撮影して来ました。

箱根登山線ながら定期列車は全て小田急の車両のみとなってしまった小田原〜箱根湯本間。現在ロマンスカー以外の列車は4編成の1000(1本は予備)ですが、そのうち10591061Fはこの区間に来る事は殆ど無かった千代田線直通対応車で1989年からしばらくの間は1251F10両編成を組成し直通準急を中心に運用され、1091Fの登場と入れ替わりで地上専用になりました。後の200410月ダイヤ改正で多摩急行増発に伴い再び1251Fと共に1061Fが再改造を受け4000形が登場する2007年頃まで再び千代田線直通に従事していました。何れも他社線を走行する機会が多かった編成が選ばれてるのは偶然ですかね?

赤い1000形同士の交換シーン。今のところ赤編成のリニューアルの話がありませんが、以前にリニューアル車による試運転が実施されたこともあり、未更新で残るこれら4編成はどうなるのか気になりますね。個人的には登山線のサン・モリッツ号のように3000形アレグラと共通性を持たせたリニューアルを施工してくれれば最高に嬉しい展開なのですが。

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江ノ電1000形1101編成・情報発信トレイン

2020年09月21日 | 小田急グループの鉄道・路線バス

江ノ島電鉄では201812月より、沿線の江ノ島・鎌倉の魅力を発信することを目的とした情報発信トレインを運転しており、10002次車の1101編成を起用して車体に特別ラッピングを施しています。

緑をベースにカラフルな横縞模様が入る装いが一際目を引く1101編成。このカラーリングは、江ノ島を始めとした沿線に広がる植物の新緑から紅葉まで、1年間の季節の移ろいを表現しているのだそうです。

情報発信トレインに起用された1101編成は、1000形の2次車に当たり天井を冷房準備仕様とした車両で1981年に落成しました。翌年の1982年に冷房化を実施しています。走行機器・外観は先に登場していた編成と大差ありませんが、前照灯の設置場所の切れ込みの角部分に丸みがついたのが外観上の識別点です。

車内は通常の広告は一切掲出されず、沿線の風景写真で統一されており、ドア上の液晶画面に表示する内容も観光情報のみを表示します。ドアステッカーもこの編成でしか見られない、えのんくん仕様のものが新たに用意されました。

冷房準備車として落成したため、車内と天井には風道と共に首振り式扇風機も設置され、改造工事施工後も存置されました。しかしこれ以降、冷房装置搭載に当たってはラインデリアを標準装備するようになったことから扇風機が撤去されるようになりました。この為、最期まで非冷房だった初代500形が引退してからは江ノ電唯一の扇風機装備車となっています。

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小田急最後のワイドドア車となった3000形1次車

2020年09月19日 | 小田急電鉄

車体構造の大幅な見直しを図った21世紀対応通勤形電車ととして登場した小田急3000形の内、1.6メートルのワイドドアで製造された1次車も気付けば来年でとうとう20年選手になろうとしています。登場した頃は小田急らしくない車両として話題になりましたが、今や1次車は数少ないワイドドア編成でもあり、標準型車両が増加した今の目では随分と独自性を感じさせる車両になりました。

6両単独で江ノ島線各停運用に充当中の3254F。行先表示は切れまくりで何を表示してるのか判別出来なくなってしまいましたが、正面・側面共にフルカラーLED化されています。

80004両編成と併結して快速急行に運用されるトップナンバー3251F。現在の連結相手はTIOSを搭載しない編成に限定されている為、必ず8000形か1000形未更新車4両編成に限定されています。写真はダイヤ改正前の撮影で三色LEDの行先だった為印象が異なりますね。

1000形未更新車との併結シーン。どちらもステンレス車ではありますが、ビード仕上げとフラット外板の違いがよく分かるシーンです。1000形の廃車が始まったので、この組み合わせが見られるのも、あと僅かですね。

蹴込み板と背の低い袖仕切りを設置する車内。座席は他形式では見られないカラフルなグラデーションのモケットで独自色を主張しています。1.6メートル幅のワイドドアは2000形から引き継がれた設備ですが、乗客の入れ替わりが頻繁な近郊各停では一定の効果があるようですね。

現在のところは他形式との併結10両で急行・快速急行や新宿〜新松田間での近郊各停、または多摩線・江ノ島線の支線で単独運用など幅広く活躍していますが、1000形未更新車や8000形4両が置き換えが完了すると連結可能な編成がなくなる為、遠くない将来は支線区専用になることが予想され、10両で小田原線運用に就く姿は見られなくなるかも知れません。

 

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