阪急電鉄の神戸本線・宝塚本線は2010年代に入っても消費電力の大きい抵抗制御の5000・6000系が数多く在籍し、主力車両として運用されていました。これら旧来の車両の置き換えを実施すべく開発されたのが1000系で、2013年6月6日に導入計画が発表され、同年11月28日より営業運転を開始し2021年までに神戸線に8両編成11本、宝塚線に9本が導入されています。阪急電鉄による1000番台の車両形式は1954年に導入された本格的な高性能車1000形以来のことで、一部メディアでは識別のため1000系(2代)などとも表記されます。
2006年登場の9000系のコンセプトは引き継ぎながらもコストダウンを図った新しいデザインの車体となり、屋根上機器カバーの廃止や側扉間を3分割、車端部を2分割としドア窓寸法も8000系並みのサイズに戻した為、在来形式に近い雰囲気になりました。写真の1002Fはワーナーブラザース・ディスカバリー グローバル・コンシューマープロダクツとのタイアップ企画で2024年8月23日から「トムとジェリー号」として2025年3月27日まで運用される予定です。
阪急では長らく編成内に制御電動車が設定されていましたが、1000系では両端を付随制御車とし、1975年登場の6300系以来の仕様となりました。正面は定期列車で他車両の増結は行わないので、1960年登場の2000系以来引き継がれて来た銀の幌受けが廃止されています。
車内設備は在来車同様マホガニー木目調の化粧板にゴールデンオリーブの座席を引き継いでいますが、阪急では初めて大型袖仕切りとスタンションポールを新設しており、車内の印象は大きく変化しています。9000系で採用されたパワーウインドウや自動の妻面貫通扉は廃止され再び手動に戻りました。
車内案内表示装置は32インチフルハイビジョン対応の大型液晶画面を設置し、行先や路線図の他、駅間では画面の表示を分割してニュースや天気予報、広告の表示も行います。
登場後は在来車置き換えのため、相当数が増備されると思われましたが、2021年度の1019Fで増備は終了し、今後の神戸線・宝塚線の車両増備は新形式2000系に移行することが発表されました。