1980年代も末期になると、それまで主力だった6000系の老朽化に伴い置き換えを進めることになりましたが、長年に渡り路線の規模から準大手私鉄だった相鉄が正式に大手私鉄認定された1990年に8000系は登場しました。増備途中の1993年からは、車体デザインを変えた兄弟系列である9000系と並行して1999年まで10両編成13本が増備され、平成時代の相鉄を象徴する車両となりました。その後は車体塗装の変更や室内更新を経て今日に至るまで安定した活躍を見せていましたが、今年の相鉄新横浜線開通に伴う20000系・12000系増備やホームドア新設計画もあり、初期編成の一部に暗雲が立ち込めて来ました。
新塗装・行先表示フルカラーLED化を受けながら、登場以来のGTOサイリスタによるVVVFインバータ制御装置と原型に近い車内設備を維持するトップナンバー編成。現在はVVVF制御装置の更新が進んでおり、9000系は全編成完了した一方で8000系は半分程度とペースが非常に緩く、ネイビーブルー化された編成も未だ登場していません。
今年機器更新を受けながらも、登場以来の原型ドアと三色LEDによる行先表示を維持する最終増備車8713F。この編成は相模大塚駅構内で脱線し下回りを破損してそのまま廃車になってしまった3000系の代替で新造されました。経年が浅いこの編成は間違いなくネイビーブルー化の対象ですね。
オレンジ系の座席に手摺りで構成された袖仕切りは登場以来のもので、かつては8000系・9000系共に全てこの内装でした。現在は11000系と同様の座席モケットへの交換・袖仕切り大型化、戸袋へ手を引き込まれる事故を防止する為東京メトロ車に類似した窓と扉本体が平面のステンレス製ドアへの交換など、段階的にではありますが各種更新が進められ、このタイプの内装は減少して来ました。車内案内表示はLEDによる三段表示式のものを妻面窓上部に設置していましたが、後期車(8710F〜8713F)からはチャイム付きの一般的な1段表示のタイプがドア上部に設置され、それに倣い妻面側の表示器を撤去の上後年に設置されました。
相鉄線名物とも言える4ドアセミクロスシート車。新7000系の最終増備車7755Fで試験採用されたものですが、好評につき8000系と9000系でも引き続き採用され、5号車と8号車に連結されています。当時は非常に珍しい4ドアセミクロスシート車両でしたが、この座席配置は首都圏近郊路線の4ドア車化を検討していたJR東日本も参考にしており、E217系やE231系近郊型で実現しました。
8000系の廃車と言えば、2004年3月の湘南台駅構内で保線車と衝突してしまい、10両以外での使用を考慮していない構造が災いして僅か10年余りの短い生涯に幕を下ろした8707Fのことが浮かびますが、来年で8000系も登場から30年目を迎えることもあり、いよいよ置き換えも視野に入って来るようになりました。
しかしながら、直角カルダン駆動・ディスクブレーキ付き台車、油圧式自動窓にセミクロスシート車両の連結など、一時期の相鉄らしさを残す8000系には末長く活躍して欲しいと思うマニアは少なくないのではないでしょうか。ニュースリリースでは8000系も順次YNB化する旨が伝えられてはいますが、YNB化からは除外され置き換えが控えている新7000系と共に注視して行きたいところです。