町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

関空アクセス急増を受けて登場、なにわ筋線対応型のJR西日本271系「はるか」

2024年10月17日 | JR西日本

京都・大阪と関西空港を結ぶ特急列車の「はるか」は6両編成を基本とし朝夕時間帯の一部の列車に付属編成の3両編成を連結し9両編成で運転しており、年末年始などの多客期には6両編成から中間車3両を外し他編成に組み込み、残り3両を付属編成として増結する変則的な措置をとっていました。しかし2010年代後半からの訪日外国人旅行客の急増や、2020東京オリンピック開催など更なる需要の高まりから全列車の9両編成化が計画され、付属編成が不足することから新たに車両増備が行われることになりました。この時点で281系の初登場からは20年以上経過していたため、新形式とされ3両編成6本の18両が新造されました。281系には2019年1月より株式会社サンリオとのタイアップでハローキティのラッピングが施工されており増結に用いられる271系も、2024年9月現在全車がラッピング編成として運用されています。

281系と併結で大阪環状線内を走行中の271系。同じくJR西日本管内の特急列車である「くろしお」「こうのとり」用に開発された287系をベースにしながらも281系との一体感を出すためカラーデザインなどは揃えられる一方、前頭部には両開き貫通扉と常用貫通路を備えており、271系同士で連結する際は幌で繋げられ編成間の通行を可能としました。メカニズム面では0.5M方式による全電動車方式で、VVVFインバータ制御は323系で実績のあるフルSiC-MOSFET素子(型式名:WPC16)を搭載しています。

はるか運転開始30周年記念ロゴが入った姿。現在では3両編成で普通車のみが在籍する271系ですが、将来的には6両編成の設計も視野に入れられている他281系も置き換え構想が発表(後に削除)されたことがあるため今後の本格的増備は、なにわ筋線開通の時期に合わせて開始されるものと思われます。

車内は281系の配色を引き継ぎながらも、JR西日本の在来線特急列車で初めて全席コンセント設置した他、多言語表示に対応する大型液晶画面、トイレ設備も車椅子対応とされ、洗面台は水とハンドソープが自動で出る方式になるなど接客設備は大幅にグレードアップしました。セキュリティ面でも防犯カメラを1両当たり8・9台に増やしています。

座席のどこからも見えやすくなった車内ディスプレイはデッキとの仕切り扉上に設置し、4ヶ国語(日本語・英語・中国語・韓国語)で表示し、情報量も一気に増えました。

前述した通り「はるか」運転開始から30周年を迎え、281系も経年30年で特急型電車としては古参の部類に入っています。一度は白紙になった置き換えが本格的に開始されるのも遠いことではないと思いますが、271系も増備開始時にどのような変更を盛り込んで来るか注目されるところです。

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登場から30周年目、関空アクセスから地域輸送までをこなすJR西日本223系0番台

2024年10月15日 | JR西日本

1994年9月4日の関西空港開港に当たり、鉄道による空港アクセスはJR西日本と南海電気鉄道の二社が担う事になり、JR西日本は特急型電車の281系と共に221系の実績を踏まえ快速用として223系0番台を新たに製造しました。開港間近となった同年2〜3月に掛けて6両編成9本と2両編成7本が日根野電車区に配置され、後に設計変更で大量増備され京阪神都市圏輸送の主力車両となる223系グループの初登場になり、1994年度グッドデザイン賞も受賞しています。今年で登場から281系と共に30周年を数えますが、置き換え構想が浮上している281系とは異なり、全車両が体質改善工事を施工され、後継の225系5000・5100番台の登場後も主力車両としての地位を守り続けています。

225系5100番台と併結し、関空・紀州路快速運用に活躍する0番台。本番台はビードレスのフラット外板に正面は丸型の前照灯で、207系1000番台と同様の1C1M方式のGTOサイリスタを素子に用いたVVVFインバーター制御方式を導入するなど他番台には見られない特徴を備えていました。また、編成組み換えの機会が多く1999年には紀州路快速の新設に伴い編成を5両+3両に組み換え、不足する車両数を補うため新快速用2000番台をベースに0番台に仕様を近付けた2500番台が初登場し先頭車4両が新造され0番台の中間車を組み込み、2008年には増発と増車に4両編成への統一のため2500番台3次車が5両から抜いたサハ223-100を組み込む為のクモハ+モハ+クハの3両と0番台3両に組み込むことを前提にモハ223型が単独でそれぞれ合わせて60両が登場。現在は0番台のみの4両編成(H401-409)と、モハ223型2500番台を組み込む編成(H410-416)、更に2500番台にサハのみ0番台を組み込んだ編成(H417・418・H422・423・H426〜432。それ以外は全車2500番台で組成)の3種類が見られます。

安全対策で先頭車への転落防止幌設置が2015年より施工されましたが、登場から25年前後が経過した2018年からは体質改善工事も開始され外観では種別・行先をフルカラーLED化、運行番号表示撤去、前照灯をシールドビームからLED2灯式に換装し従来の尾灯は撤去、排障器一体型の機器保護カバー新設と前面予備ワイパー設置、またVVVFインバーター制御装置の更新が施工され登場時とは印象を大幅に変えました。

空港アクセス主体になることからスーツケースなどの手荷物を持つ利用者が多くなることを考慮して2人掛け+1人掛けとされた車内。登場当時はノルウェーのエクネス社が製造した輸入品で、1人掛け座席には荷物固定用ワイヤーも備えていましたが2006年までに住江工業製に交換されました。座席モケット更新は2011年からで225系5000番台と同一品に改められています。なお写真は2021度以降に施工されたタイプで、吊り手の交換やトイレの車椅子対応化を実施する一方、床材更新や照明カバー撤去は見送られるなど微妙に簡素化されています。

東海道・山陽本線向けの223系グループはWESTビジョンと称する液晶画面に換装された編成が登場する一方で、0番台は登場以来のLED表示が存置されています。多種多様な情報を表示できる液晶画面の案内表示は空港アクセス編成にこそ必要な設備だと思いますが、この点は意外でした。

現在は205系と103系の置き換えも225系で行い、阪和線の一般車両が3ドアで統一されたことから時間帯を問わず普通列車運用にも充当され汎用車的な立ち位置になり、今後も相当長く活躍しそうな予感です。

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古都から空の玄関口を結んで30周年、JR西日本281系「はるか」

2024年04月15日 | JR西日本

1994年9月4日、大阪湾内に完全人工島からなる世界初の海上空港である関西空港が開港しました。東京(千葉県)の成田空港と共に国際線の発着回数が国内線を上回り、西日本に於ける国際拠点空港とされています。空港までの鉄道によるアクセスは、JR西日本と南海電気鉄道が乗り入れを行なっており、JR西日本は281系電車を登場させ京都・新大阪より関西空港に至る特急列車「はるか」を運転しています。開港と同日に運用を開始し、本年で30周年を迎えることになりました。

9両編成(後部3両は271系)で運転される京都行き「はるか」の281系。S字型の独特な曲線を描く前頭部が特徴で、空に輝く雲をイメージしたシャイニングホワイトの車体に、肩部には無限に広がる宇宙のコスモグレー、裾部は成層圏のストラトブルーを配し、柔らかい印象を与えるデザインで、1994年度グッドデザイン賞とブルネル賞を受賞しました。登場直後は5両編成でしたが、乗車率の高さから1年経たずにサハ281を新造し6両化されています。制御装置は同時期に登場した223系0番台・207系1000番台同様のVVVFインバーター制御を採用し、機器更新も実施されていない為登場以来のGTOサイリスタによる大きな磁励音を耳にすることが出来る数少ない形式になりました。

2019年からはサンリオとのコラボレーションでハローキティのラッピングが施されるようになり、基本6両編成は「Butterfly」「Ori-Tsuru」「Kanzashi」、増結用3両編成と271系は「Ougi」のデザインが施されました。車内や座席の枕カバーにも装飾が施されています。海外でも知名度が高いキャラクターのラッピングは好評を博していますが、ライセンス契約の終了の為か本年より順次元の姿に復元されることが明言されています。

ツートンベージュの座席が並ぶ普通車の車内。通常編成では無地の黄色の枕カバーですがハローキティラッピング編成は、ベージュに近い色のイラストがプリントされたものに交換されている為、オリジナルのカバーより統一感があります。乗車時間が特急列車にしては短いので、リクライニング角度は若干浅めに設定されています。

2列+1列配置のグリーン車車内。大型化され枕が設置されたオーソドックスな座席で、テーブルは普通車同様に肘掛け部分に収納されフットレストは欧米からの利用者を意識したのかバータイプのものが設置されています。

2020年度の新型コロナウイルス感染拡大により271系と共に3両編成は全て運用を離脱する憂き目に遭いましたが、2023年からは水際対策緩和による利用者増加で再び9両編成に戻され、全車両が安定して現在も活躍していますが、2018年には2024年〜2027年に新型車を投入し置き換える計画についても存在していたことがあり増結用の271系についても将来的には281系の置き換えの為に6両編成の組成も視野に入れられていることから、なにわ筋線開通時期と合わせていつまで活躍できるかが気になるところです。

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体質改善工事で更なる安全性・快適性向上、充実装備に生まれ変わったJR西日本207系0番台

2024年04月13日 | JR西日本

JR西日本では、分割民営化後初めての新型車両として221系を登場させ、新快速に大量投入し大幅なサービス改善を実施しました。一方でJR京都線・神戸線の各駅停車とJR宝塚線(福知山線)、JR学研都市線(片町線)では相変わらず国鉄から引き継いだ103系が主力を占めており、周辺の私鉄に比べサービス面で格差が生じていました。これらの置き換えと共に、1989年より着工された片福連絡線(現在のJR東西線)に対応可能な通勤型電車として1991年より登場したのが207系です。同年4月30日から学研都市線(片町線)片町〜松井山手間で量産先行車の7両編成が運用を開始し、以降は量産体制に移り走行機器や車内に改良を加えながら約12年間に渡り増備され総勢484両が登場、2005年度に0番台4両と1000番台3両が尼崎脱線事故により廃車、2022年には量産先行車が老朽化により更新を受けずに廃車されましたが、初めて製造された1991年から30年以上経過した現在でも京阪神都市圏輸送の第一線で活躍を続けています。

量産先行車の使用実績を基に1991年度内から増備が始まった0番台。7両固定編成を4両+3両の組成に変更し、JR学研都市線の分割併合にも対応できるようにした最初の編成でした。車両番号は量産先行車が-1から付与されているため、続きの-2からとなっています。0・1000番台は登場から20年以上経過した2014年から体質改善工事が施行されるようになり、Z22編成が最初の編成として同年11月17日より営業運転に復帰しています。

H編成は当初3両編成でしたが、電動車をユニット方式から1両単位に改める設計変更を行った1000番台が登場した後、JR東西線開通直前に組み込み4両化し電動車の車番を-500(元0番台)・-1500(1000番台)とし、異なる半導体素子を用いた制御装置を搭載する車両が混結される特徴ある編成になりました。この写真でも1500番台(女性専用車に指定されている前から3両目)は屋根上の冷房装置が異なっています。

体質改善工事はZ編成と並行して1000番台にも及び、2016年初頭にS22編成が施行されました。機器更新も実施されており、Z・H編成と組んだ7両で使用されています。1000番台T・S編成については特徴的な部分が多く、また改めて別に記事にしたいと思います。

体質改善工事施行後の車内。化粧板や床材、座席は全て新品に更新され、大型化された袖仕切りや増設されたオレンジの手すりが目立ち、大幅に印象を変えました。天井の照明も蛍光灯からLED化されカバーが撤去されています。車内案内表示はLEDスクロール表示のまま存置されましたが、号車表示が追加されました。

 

本年で早くも33年目に入る207系0番台ですが、Z編成は体質改善工事を終えたもののH編成はまだ全編成に及んでいないことから、完了までは相当時間が掛かると思われ、これからも長期間主力車両としての運用が続きそうな予感です。

 

 

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京阪神圏を駆けるJR西日本のイメージリーダー・223系2000番台

2024年04月11日 | JR西日本

京阪神間を結ぶ新快速として1995年から運用を開始した223系は、当時併用されていた221系と主に快速・普通列車で残存していた117・113系の置き換えと新快速列車の130キロ化を目的に1999年から増備が再開されますが、1000番台の実績を基にコスト低減を図り新たに2000番台として製造されることになりました。改良に改良を重ねながら長期に渡り増備され、性能を221系と同一にした6000番台も合わせて8両編成30本・6両編成14本・4両編成81本の総勢648両が製造され、時期により様々な形態差を有しています。

V48編成を先頭に12両の新快速で運用中の223系2000番台。写真は2004年〜2005年に増備されたグループでスカートが拡大されパンタグラフ台座の形状が変更されています。225系の登場後も新快速・快速の主力車両で併結運転も頻繁に行われています。

快速運用で見られる4+4両の8両。先頭に立つV13編成は1999年〜2000年に増備された2000番台1次車に当たり、2000年3月11日のダイヤ改正で新快速運用から221系が撤退し、223系グループに統一されました。また2008年からV20〜V28の9編成が221系との併結用に性能を固定化され、車番に4000を+した6000番台化されていましたが、2021年9月までに原番に戻され元の2000番台に復帰しています。

221系同様に転換クロスシートが並ぶ車内。座席モケット更新は2011年から始まり、225系同様のブラウン系に交換されるようになりました。製造時期の長さから、蛍光灯カバーや床材の素材変更、非常通報装置や消化器を示す表記など乗客には見えない部分も細かく見直されています。

ドア上には小型のLED表示器が設置されていましたが、2020年3月から20.7インチの大型画面に換装されるようになりました。321系・323系で実績のあるWESTビジョンと称する案内表示ですが、既存車両に改造で設置されるのは初めての事例です。

登場から25年を数える2000番台ですが、1000番台に施工されている体質改善工事が完了すれば2000番台にも及ぶことになり、まだまだ京阪神圏の鉄道の顔として長期間活躍するでしょう。

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