開通以来段階的に延伸を繰り返している横浜市営地下鉄は1999年8月29日、横浜市外を超えて藤沢市の湘南台へ至ることになりました。これを受けて更なる運用数増加に伴い3000形の増備が計画されますが、1999年度からの製造分では従来の3000形よりコストダウンを図り、VVVFインバーター制御装置は技術の進展を受けGTOサイリスタからIPMに変更、新たに3000N形(Newの頭文字)と称され6両編成7本(32〜38編成)が製造されています。
1999年6月3日より運転を開始した32編成。1次車と比較して前頭部がステンレス構造になり角張ったフォルムになっています。登場時から2016年11月7日まで「はまりん号」として音符や交通局公式マスコットキャラクターはまりんのラッピングが施され、車内の広告類は市内の小・中学校の生徒によるイラストや横浜市からのお知らせ、イベント情報が掲出されていました。2011年11月1日から12月27日は三井物産フォレストとの提携で「しんりん号」として森と木のラッピングにされた時期もあります。はまりん号指定解除後の現在でも広告類は交通局からのイベント情報や沿線案内などで統一されています。
2本目の増備車である33編成。3000N形は何かとラッピングの機会が多く、この編成も2005年12月16日から2015年7月7日まで横浜港開港150周年のラッピング車として運用されました。1次車3000A形同様に2007年までに全編成に対しワンマン化改造が施工され安定して活躍していましたが、第38編成は2019年8月29日に踊場駅で脱線事故を起こし、車両メーカーの診断の結果廃車とすることが決定。現在は6両編成6本の陣容になり、安全教育用に38編成の破損した先頭車が保管されています。
車内はコストダウンの為に先頭車のボックスシートや天井の照明カバーを廃止、ワイドドアを引き継ぎながらもステンレス仕上げに接着式窓のドアとFRPによる大型袖仕切りなどJR東日本209系で採用された設備を採用しています。これらは後の増備車にも反映されました。座席は人数区分がされた非バケットシートでしたが、現在は3000R・S形より明るい色彩でバケット化されています。
車内案内表示器はLEDによる表示ですが、3000A形で採用された点灯式の路線図は廃止され、路線案内+戸開予告装置との組み合わせになりました。戸閉装置には初めて戸閉力弱め機構を搭載しており、3000N形が初の採用事例でした。
今後1次車に当たる3000A形が全廃されると横浜市営地下鉄で最古参になりますが、こちらは車体に致命的な劣化は無いようで機器更新が決定しており、三菱電機が落札したことが明らかになっています。走行機器と共に車内は大規模な修繕が実施されるかどうかにも期待したいですね。