東京メトロ半蔵門線・東急田園都市線への直通運転対応車として製造されながら、乗り入れ開始後僅か3年後の2005年より50050系増備による地上線転用、2011年1月からは老朽化する8000系置き換えや車両改修工事の効率化を目的とする東上線への転属が開始された30000系ですが、2020年には31606F+31406Fが半蔵門線・東急田園都市線への直通運転を終了、2021年には31609F+31409Fが運用離脱並びに東上線転属が行われ、初の転用から実に10年の歳月を掛けて150両全車が東上線に集結、本来の用途である地下鉄直通運用から全面撤退となり池袋駅発着の東上線地上運用の主力車両として活躍しています。
30000系の中では後期車に分類される31612F。この編成は2006年4月に51056Fに乗り入れ他社の保安装置を供出し伊勢崎線・日光線系統の地上専用車になりました。東上線への転属は2014年7月10日で、13日から営業運転を開始しています。2022年3月19日にはHIDだった前照灯のLED化と行先・種別表示のフルカラーLED化を実施し、印象が変化しました。今回新たに採用されたLEDは耐久性が高く、撮影時は1000分の1のシャッタースピードで設定しましたが綺麗に写りました。他編成も順次フルカラーLEDに換装されると思いますが、31612Fと全くの同一品になれば嬉しいですね。
比較的早期に転属が実施された31611F。東上線に一番最初に転用されたのはトップナンバーの31601F(2011年1月26日に南栗橋から森林公園へ回送、同年6月13日より運転開始)でしたが、本編成は2本目で2011年11月28日より営業入りしました。
車内設備。初期車は背の低い仕切りでしたが、後期車(31607Fから)は背の高い大型仕切りに変更され7人掛け座席にはスタンションポールが最初から設けられ2連ユニット窓の片側は固定式になるなど仕様の見直しが図られました。なお、袖仕切りの色は淡い青系で最終増備の31615Fのみ白いものが採用されていましたが、行先をフルカラーLED化した31612Fも白い仕切りに換装されているようです。
新製時からドア上に千鳥配置される車内案内表示器。向かって左に種別・行先を固定表示、右に次停車駅などの内容をスクロール表示する形態は、日比谷線直通用の20070系(現在は20400系化)が踏襲しましたが、50000系列や10000系リニューアル車ではシンプルな1行表示に戻り、本系列のみで見られる仕様となりました。
全編成の転用改造が完了したばかりなので、今後も30000系は東上線で長期間に渡る活躍が見込まれると思いますが、ゆくゆくは大規模リニューアル工事にも期待したいですね。