8000系の置き換えが進んだ現在の東武鉄道各線で主力車両として活躍しているステンレスの10000系グループの内、ビードプレス車体に設計変更した10030系は伊勢崎線・東上線の幹線での運用が長らくメインでした。しかし新系列の増備や運用変更などから野田線への転属が2013年に初めて発生、同年4月20日より10030系50番台(以下10050番台として記述)の11652Fが営業運転入りし同線の歴史では初めての軽量ステンレス車となりました。その後は中間に入る先頭車の付随車化や車内リニューアル改造、ワンマン対応化など大規模な更新を受ける編成が現れる一方で改造を受けず先輩格の8000系よりも先に廃車された編成もあり、明暗が別れた形となっています。野田線には10030系リニューアル編成と未更新のままの10050系がそれぞれ転入し、このまま安泰かと思われましたが、2024年4月16日に東武鉄道は新形式80000系の導入を発表し同時に既存の60000系も共に5両編成に減車することを発表し8000系と共に置き換えが決定的になりました。
野田線で急行に充当中の11651F。野田線転入に当たり帯色変更・ロゴマーク貼り付けと自動分併装置の撤去が施工されています。10050番台は1992年からの増備分で冷房装置のカバーが連続型になり車内にも補助送風装置を新設した他、途中駅での連結・切り離しを迅速に行うため先述の自動分併装置付き密着式連結器を装備し伊勢崎線系統に多く配置されました。
10000系グループの中でも経年が新しいグループですが、80000系への置き換え後は本線復帰も…と予想されましたがリニューアルも受けていない事や自動分併装置の再設置が必要になること、また2025年時点で経年も30年余に達するため直接廃車にされてしまいそうです。
東上線系統にも6両と4両を固定編成化した10030・10050系が数多く在籍し、VVVFインバーター制御への改造を受けた編成も存在しますが未更新のままの編成も数多く残っています。東上線では東京メトロ有楽町線・副都心線への直通運転対応車として9000系が在籍していますが、こちらは置き換えが発表されており未更新で界磁チョッパ制御のまま残る10030系グループも近い将来は確実に何らかの形で一部のリニューアル車以外は置き換えが進められることが想像されます。
車内は前回記事にした10030系と同じ配色、座席配置ですが天井に補助送風装置が設置されており若干印象が変化しました。さすがに車内案内表示・自動放送ともに未設置のため陳腐化している印象は否めないですね。