町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

都心直通果たせず・・・相鉄11000系の悲哀

2019年09月10日 | 相模鉄道

相鉄では2002年より10000系電車を導入し、老朽化の進んでいた2100系・新6000系の置き換えを完了させましたが、今度は経年2530年を経過している2代目5000VVVF車と7000系初期車の置き換えを進めるべく10000系に続いてJR東日本車をベースにした11000系を2009年度より導入しています。既に10000系のベースになったE231系の増備は終了し、第2世代のE233系に以降したため、同系に準拠した車両になりました。

前回の10000系では、いずみ野線内の南万騎が原付近にある東海道新幹線との交差部分に車両限界が狭くなっている箇所がある為、2930mm幅の車体でしたが、11000系導入に際しそれらを解消して、E233系同様の2950mm幅での設計になりました。この為、外観は独自の正面デザインとカラー以外はよりベース車に近付いています。

6代目そうにゃん号に起用されている11004F。都心乗り入れ計画が進む中で、本形式もJR直通を視野に入れた箇所が見受けられましたが、残念ながら改造コストの問題から直通運転は12000系のみが充当されることになり、11000系は自社専用になる事が決まってしまいました。

車内全景。E233系そのものな印象ですが、よく見ると吊り手が相鉄在来車両と共通の三角形だったり荷物棚が金属管構成になっていたり、細かい箇所が異なります。また、乗客の目には見えない部分の変化として主電動機を含めた走行機器の耐寒耐雪設備が簡略化されています。

全てのドア上部に設置される17インチワイド液晶画面。これもE233系と同等の設備で、相鉄では初めての採用ですね。

引き続き相鉄線内のみでの運用になってしまった11000系ですが、もしも相鉄新横浜線の開通が当初の予定通りなら直通用車両に指定され、東京都心で設計の母体になったE233系各番台との共演シーンが見れたはずですが、実現しなくなったのは少々残念です。今後はJR対応改造とは別に、車体のYNB化と室内更新が控えているので、今の姿を記録しておくのも良さそうですね。



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相鉄は次の時代へ。“YOKOHAMA NAVYBLUE”を纏う9000系

2019年09月08日 | 相模鉄道

相鉄では、来たるJR東日本との相互直通運転による東京都心乗り入れに向け、デザインブランドアッププロジェクトの一環として2015年に横浜の海をイメージしたという、深みのある青の「YOKOHAMA NAVYBLUE」(以下YNB)で車体塗装を統一することを発表しました。これは、ステンレスの無塗装仕上げの車両が増える中で車体全体を塗装した人目を引く車両を走らせ、知名度向上と共に利用者から相鉄沿線を居住地の選択肢に入れて貰うことを意図しています。その第一弾として選ばれたのが9000系の9703Fで、2016年3月10日に公開され、4月10日のいずみ野線40周年記念の臨時列車で営業運転を開始しました。

YNB化され、正面の連結器カバー撤去や前照灯の移設で印象が激変した9000系。自動車用の塗料に使用されるマイカ(雲母)を配合している為、独特な輝きを持ち、見る角度や天候などによって色調が変化して見えます。

秋晴れの空の下で撮影した9707F。夏空で撮影した上写真の9702Fとは色調が異なって見えます。この色を選定するに当たっては、阪急電鉄を参考にし、「100年経っても色褪せない、変えない」をコンセプトにしているそうです。これから先、10年・20年・30年と過ぎた先に、相鉄のカラーは伝統の海をイメージした紺色として認識されるようになるでしょうか。

車内もグレーをキーカラーに定めた高級感と落ち着きを備えた設備に大幅に変更されました。8000系室内更新車ともまた異なる形状の袖仕切に、グレートーンのバケットシートを備えています。卵型の独特な形状の吊り手はこのプロジェクトの為に新規に開発されました。

相鉄名物のセミクロスシート車は、ボックス席部分にパーテーションのような形状になり、座席部分はスコットランド製本革シートに改められています。この他、通勤電車では初の試みとして時間帯や季節で色合いが変化するLED照明を採用しました。9000系の兄弟系列である8000系の設計コンセプトは「走る応接間」でしたが、この改造で、よりその思想が濃くなった印象です。

都心直通は新形式12000系が充当されることになりましたが、長年相鉄の主力として馴染み深かった9000系や8000系がYNB化を受けた姿で、JR線乗り入れを行う場面が実現しないのは、少々残念ですが(そもそもJR東日本があのガラパゴス化の極みのような車両の入線は許さないでしょう)、今後は長らく続いた相鉄の技術的特徴を今に伝える車両として、20年でも30年でも長く活躍して貰いたいと思います・・・。

 

 

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東横線沿線散歩・その5 東武東上線9000系

2019年09月06日 | 東武鉄道

2008年上旬に1969年以来長らく主力車両として活躍した東急8000系が運用を終了して以来、VVVF車で統一された東横線ですが、2013年より副都心線を介した東武東上線との直通を開始するに当り、再びチョッパ制御車の運用が復活しました。 

それがこの9000系で、東武鉄道では2000系に続く地下鉄直通対応車として登場し、当時は普通鋼製車体・抵抗制御の8000系の増備が続く中で、東武鉄道初のステンレス車体と自動可変励磁チョッパ制御を採用し、新風を巻き起こしました。1981年に試作要素の強い量産先行車9101Fが1編成登場し、量産車は有楽町線との直通を開始を控えた1987年より10両編成6本(9102F〜9107F)を導入しています。1991年に車体をコルゲートからビードプレス車体に設計変更した9108F、1994年にはビードプレス車体に制御装置をVVVFインバーター制御化した9050系(9151F・9152F)も加わり、10両編成10本の小世帯にしては、バリエーションがあることも特徴です。

2008年に東京メトロ副都心線が開通することに伴って、ATOによるワンマン運転とホームドア対応改造が必要になり、東武側は50000系グループの副都心線対応版である50070系の導入を発表しましたが、9000系もドア位置が異なりホームドア対応が不可能な9101Fを除き対応改造を受けることになり、運転台機器の交換や車内設備の更新を受け運用を開始。2013年には東横線・みなとみらい線にも予定通り直通運転を開始し現在に至ります。

化粧板や座席、客用扉、妻面貫通扉を新品に交換し大型袖仕切りを設置して50070系のイメージに近付けられた車内。以前は10030系や20000系と同じ配色でしたが、以前とは比べ物にならないくらいに明るく清潔感のある車内になりました。

ドア上の車内案内表示はLED1段スクロール式の50000系グループと共通のもので、千鳥配置になっています。

編成数の少なさから、狙うと比較的難しい形式ですが、既に経年30年超えでそろそろ後継になる車両の計画が出てもおかしくないので、置き換えが発表されたメトロ7000系と共に、見かけたら記録しておくべき形式ですね。





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相鉄新時代の幕開け、JR東日本車ベースの10000系

2019年09月04日 | 相模鉄道

相鉄では老朽化の進む6000系置き換えと輸送力増強の為に、8000系と9000系の増備を並行して続けて来ましたが、8000系は1999年、9000系は2001年で製造を終了し、当時残存していた経年30年を超え老朽化が進んでいた2100系と新6000系を全て置き換える為、JR東日本のE231系をベースにした新形式を導入することになりました。

それがこの10000系で、導入コスト削減の為オリジナルの正面デザイン以外はほぼE231系そのものの外観・設備であることから当時大きな話題になりました。E231系との相違点としては車体の幅が20mm狭い2930mmであることや、10両編成(写真上)に1両単位で完結する電動車モハ10300形が連結されていることが挙げられます。この形式の導入で、相鉄車両の最大の特徴だった直角カルダン駆動・油圧式自動窓・車内の鏡は全て解消されてしまいました。

20022月に10両編成2本(10701F10702F)が登場し、翌年からは8両編成で導入されますが、本形式は導入に当たってリース方式を採用しており、10701F-10703F10708F以外は三井住友系列のリース会社が保有し、相鉄がリース料を支払う形態です。上写真の10両編成の10708F(事故廃車になった8707Fの代替)は相鉄の保有ですが、下の8両編成の10706Fはエスエムエルシー・グルス有限会社が所有しています。

赤系の座席モケットが目を惹く車内設備。E2310番台車と全く同一の接客設備で、幅が若干狭いといっても乗客視点から差異を感じることはありません。

ドア上のLED表示もE231系と全く同一で、漢字ローマ字カタカナの3パターンで繰り返し次の停車駅を表示するものですが、10703F以降はスクロール表示に改められました。初期車もこれに合わせて、スクロール表示はしないものの開扉方向や乗り換え路線、近年では駅ナンバリング表示にも対応するように改修されています。

E231系と全く同一仕様ということで、これまでは何となく乗車・撮影共に意欲が湧きませんでしたが、ブランドアッププロジェクトにより、YNB化が発表されていることと、既に本家のE231系通勤型では更新が進行しているVVVFインバータも本形式では現在のところ全編成が原型を保っており、積極的に記録したい形式の一つになりました。

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気付けば残り1編成・・・日比谷線03系(新造)VVVF車

2019年09月01日 | 首都圏の地下鉄

今年の夏は長い雨続きで陰鬱な陽気でしたが、8月後半になってからも曇りや断続的な雨など不安定な空に悩まされました。天候の悪い日はイマイチ撮影意欲が湧かず、更新がずっと滞りましたが、また今月から更新して行きたいと思います。

今日の記事は、13000系増備で気付けば残り1編成となってしまった03VVVF車(現在はチョッパ制御の初期車も改造済み)です。写真の36編成は5次車に分類(2646編成が該当)されるグループで、それまでの高周波分巻チョッパ制御から、IGBT素子を用いたVVVFインバータ制御に改められており、正面にはVの文字を掲出してVVVF編成であることを示しています。

今でこそありふれたIGBTVVVFですが、日本では03系がいち早く採用し、これは世界に先駆けてのことだったことが2005年発行の鉄道ピクトリアル臨時増刊号で触れられていましたが、かなり画期的な車両だったんですね。

暖色系で纏めた車内設備。座席袖の横方向の手すりにモケットが巻きつけられているのはこの世代の営団車両特有です。スタンションポールは後年に増設されました。

全ドア上のLEDによる車内案内表示装置。乗り入れ先でも対応しており、写真は東武伊勢崎線内での表示内容を撮影しました。この設備は熊本電鉄に譲渡された車両にも設置していましたが、地方私鉄では再利用しないことが多いようです・・・。

現在の03系は、熊本電鉄に始まり、経年50年を超える元京王3000系の8800・8900系置き換え用に北陸鉄道にも譲渡が始まりました。今後は長野電鉄なども営団3000系置き換え用に03系導入を検討している旨の噂がありますが、来年までどんな動きを見せるか楽しみでもあります。

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