町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

2編成のみの少数派8590系、健在

2018年06月30日 | 東京急行電鉄

現在の東急田園都市線には、東武鉄道に直通出来ない少数派の編成が在籍しマニアを喜ばせていますが、今回の8590系のそんな車両の一つです。かつては東横線に配置されていましたが、5050系の増備に伴い田園都市線・大井町線に転出し2007年から活躍を開始しました。しかし、大井町線在籍車は副都心線直通に対応出来ず置き換えられて来た9000系の転入で全廃され、いよいよ田園都市線の10両編成2本を残すのみとなりました。

43K運用で急行に充当される8694F。このグループは8000系をベースに有限要素法を用いたコンピュータ解析で設計された日本で初となる独自開発の軽量ステンレス構造の車両です。歪み防止の為に車体を下膨れの台形にしているのが特徴で、東急の電車で側面にも赤帯を付けた初の事例でもありました。外観が既存の8000系・8500系とは異なり、また混用された事も無い為区別されています。

日中の各駅停車運用に就く8695F。8090系としての登場は1980年で、東横線急行用として活躍しましたが、みなとみらい線への直通が決定すると、地下トンネル区間に対応するため1988年から制御電動車で非常用貫通扉を備えるデハ8590・8690を新製し非貫通の付随制御車との差し替えが施行されました。この時登場したのが写真の先頭車で、8500系の要素が加わった事から8590系と通称されています。この工事で、8090系5両編成を大井町線に、8590系は東横線に配置する状態が長く続きました。

特徴的な車体形状が良く分かる車内(デハ8694で撮影)です。9000系登場後の製造ながら、既存の8090系に合わせる為に座席の袖部はステンレスの手すり構成とし、天井には補助送風として扇風機を併設しています。しかし、7人掛け座席には中仕切りを設置し、車内放送は自動放送装置を設置するなど、9000系の設備を一部に反映させています。現在も自動放送は改修されながら使用され、半蔵門線の放送にも対応しています。

中間車の車内。基本的な構成は8500系中期車に近いですが、ドアガラス押さえの枠が異なっています(上の写真の8690はドア窓に段差がありますが、こちらは扉本体とほぼ平面)。

上の2編成は東横線の運用削減で、1998年にも一時的に田園都市線に転用されており、みなとみらい線よりも先に半蔵門線へ乗り入れ、地下鉄対応の目的を一足早くに達成しました。その後は東横線に復帰し2004年から、みなとみらい線直通を開始し所定の目的を達成するものの、僅か3年ほどで5050系に置き換えられてしまいました。大井町線に移ったグループが早々と全廃され、秩父鉄道や富山地鉄に譲渡されて行きましたが、この2編成は地下鉄直通対応車の本領を存分に発揮し現在も都心乗り入れを行っていることを考えると、実に幸運と言えるのではないでしょうか。8694Fは検査期限も迫っており、近いうちに2020系によって置き換えられてしまいそうですが、どうか廃車後は何処かの地方私鉄での再起を願わずにはいられません・・・。

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小田急アイボリー

2018年06月20日 | 小田急電鉄

2012年に5000形が姿を消して、アイボリーホワイトにブルーのラインを纏う鋼製通勤車が8000形のみになってから、早くも6年の歳月が経過しました。現在の所8000形は160両全車健在ですが、小田急の社長が新型通勤電車の構想を明らかにしており、そう遠くない内に置き換えが始まるかも知れません。今度の新型車もステンレスになることは間違いないと思われるので、8000形が引退すれば小田急の通勤電車は全車両ステンレスにインペリアルブルーの帯になってしまいますね。

快速急行で運用中の8052F。現在は8000形のみで10両を組む事が多いため、急行・快速急行でその姿を多数見ることが出来ますが、果たしてあと何年この光景が見られるでしょうか・・・。

廃車前のイベントで展示された5063F、分割急行の表示を出しています。この時はロマンスカーの10000形と20000形の3車種揃っての引退だった為人が多く、まともに写真を撮影出来なかったことを思い出します。看板列車のロマンスカーよりも小田急の顔としての印象が強い5000形が姿を消す事になっただけでも一つの区切りになった感がありましたが、次は8000形も・・・と考えると、時の流れの速さを実感させられます。

 

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小田急1000形・10両固定編成を追う

2018年06月16日 | 小田急電鉄

1988年より運用を開始して以来、輸送力増強と千代田線への直通運転を控えて大量に増備され、翌年の1989年から先代9000形に代わり千代田線への直通を開始した1000形は1990年代に入ってからも引き続き導入されました。その中で、当時の新宿発着の急行は相模大野での分割併合を行う列車が大半を占めており、必然的に1000形も他形式同様に4両編成と6両編成での増備になりましたが、千代田線直通運用は全列車が10両編成で統一されていることから方針を転換し小田急では初となる10両固定編成が直通専用車として登場しました。1091F~1094Fの4編成が導入され、この編成の運用開始により一部の乗り入れ対応4両+6両が地上線運用にも就くようになりました。後継の3代目になる直通対応車4000形が導入された後も共通運用で活躍しましたが、2010年には全編成が千代田線乗り入れ禁止の指定を受け、その後程なくして地下鉄用ATCも撤去されて正式に地上専用車となり、21年に渡り続いた直通運用から撤退しました。

急行運用に就く1093Fです。1990年~2000年代は、最大8両までしか対応していないホームが多かったこともあり必然的に運用も限られる為、ほぼ千代田線直通運用に限定されていました。その為、営業運転を行う区間は代々木上原~本厚木間の準急運用が中心で(2002年より多摩急行が新設され多摩線にも入線)、新宿に発着する列車へ充当されることは2008年3月15日のダイヤ改正まで殆どありませんでした。

快速急行で運用中の1094F(ダイヤ改正前に撮影)。小田原方・新宿方共に他の編成を連結する事は非常時の救援以外有り得ないので、自動分併装置や貫通路構成仕切は設置されていません。

車内設備は基本的に通常の1000形と共通ですが、全てのドア上部にLEDによる車内案内表示を設置しています。写真では判別しにくいですが、初期の6両・4両と比較すると妻面に設置されている非常通報装置の形状が変化しました。座席は2000年代中盤頃にバケットシートに更新。

小田急では初めて採用になった車内案内表示器、ドアチャイムも鳴動します。1091Fのみ、両脇にスピーカーのスリットが存在する特徴がありました。このLED表示は直通先の千代田線の各種表示にも対応しており、当時の営団地下鉄の車両は直通する私鉄線の案内には非対応(例:「この電車は準急 本厚木行き」のように行先のみを繰り返し表示する。2002年の多摩急行運転開始時に改修)であったことから、かなり先進的な設備だったと言えるでしょう。ダイヤ改正後は種別の呼称を変更(“各停”から“各駅停車”へ)したため、他形式同様に始発駅発車後のあいさつ文等の表示内容を改修(改修前の例:「お待たせしました。本日も小田急線をご利用頂きましてありがとうございます。この列車は急行小田原行きです。」→改修後:「本日も小田急をご利用くださいましてありがとうございます。この列車は急行小田原行きです」など)しました。

現在進行中の大規模更新が完了すれば、こうした差異も無くなってしまいますが工事のペースがゆっくりなので、今しばらくは登場時の面影を残す姿を楽しめそうです。

 

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半蔵門線8000系3・4次車

2018年06月11日 | 首都圏の地下鉄

今年2018年3月26日、東京メトロは平成30年度(第15期)事業計画を発表しました。その中で2020年度より8000系置き換え用の新型車両を導入することが明らかにされ、今年より設計に入るとのこと。現在8000系は10両編成19本の190両が在籍し、2004年から開始された大規模更新が全編成に施行され広範囲に渡り運用中ですが、遂に先が見えたようです。

半蔵門線は1978年8月1日に渋谷~青山一丁目間が開通したのが最初ですが、この時点では距離が短い為車両を保有せず、直通運転を行う東急の8500系を借りて運転していました。約2年半後の1981年4月1日に、この8000系が6両と8両の編成で導入され、その後は増結を繰り返し8両と10両の編成が混在していましたが、8両のまま使用する予定だった初期製造の編成も1994年までに増結を行い、全編成が10両編成になりました。上の写真の第14編成は1987年に10両編成で一括製造されたグループで、登場時は輸送力増強が急がれていた東西線に新型車05系が完成するまでの暫定車として導入され、同線と直通運転を行うJR東日本の総武線津田沼駅と、中央線の三鷹駅まで入線した実績があります。この3次車から戸閉装置が従来の床置式から銀座線01系などと同様の鴨居設置式に変更され、ドアの動作が初期車とは異なり静かで緩やかになりました。

半蔵門~三越前間延伸に伴う増発で登場した4次車。写真の第11編成は10両編成で一括製造されていますが、他の4次車(第15編成~第19編成が該当)は8両編成で落成し、先行して製造されていた3次車の中間車8600形・8700形を組み込んで正規の10両編成になっています。

更新工事後の車内。登場時から8000系の車内は明るいアイボリー系を基調にした車内でしたが、大規模更新工事で化粧板を艶のある白に更新、客扉も同時に大窓の新品に交換され、車内案内表示器・ドアチャイムの新設が行われました。2010年代からは更新内容が更に見直され、ワイド液晶画面に変更されました。初期の更新車もこれに倣い、LED表示器をコイト電工の“パッとビジョン”に換装しています。

2010年以降の更新車が搭載する17インチワイド液晶画面による車内案内表示。(後期車では3次車・4次車では第12・14-19編成、5次車の第10編成が該当)千代田線向けの16000系と同じ三菱電機セサミクロを採用し、アニメーション画像で各種情報を表示できます。後に08系にも波及しました。

 

千代田線の6000系が風前の灯になり、8000系の置き換え発表がされたとなれば、今度は有楽町線・副都心線系統の7000系も遠くない内に置き換えに着手されると思われる為、いよいよ長年御馴染みだった昭和の営団地下鉄スタイルの車輌が消え去る日が近づいて来てしまいましたね・・・・。

 

 

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青帯8500系8637F

2018年06月09日 | 東京急行電鉄

1987年より1編成1社独占の貸切広告電車“TOQ-BOX(トーク・ボックス)”に抜擢され、編成全体に青帯を施し異色の存在だった8637Fですが、この度客用ドアに4色のカラーを施した上で“Bunkamura号”として運用を開始し、注目を集めています。2020系による置き換えが発表された中で動向が気になる8500系ですが、撮影・乗車共に、また新たな楽しみを提供してくれる編成が登場しました。

登場から先頭車両にはシャボン玉の装飾を施し、東急ケーブルテレビジョンやグランベリーモール南町田の広告電車としても活躍した8637F。2008年ごろにステッカーの劣化を理由とし、シャボン玉模様は撤去されましたが青帯は残され、赤帯が主体の東急車の中で異彩を放つ存在でした。今年の上旬まではこのようなシンプルな装いで運用に就いていました。

現在の様子がこちら。当初はドア部分のカラーを4色に変更するのみで運用に入りましたが、4月より公式に東急文化村の広告電車として運用する事が発表され、正面にはステッカーによるヘッドマークと側面にはBunkamuraのロゴと施設の写真が貼り付けられました。乗降ドアを異なったカラーにしている姿はインパクト抜群です。 

8637F車内設備(Bunkamura号に指定される前に撮影)です。この編成は9000系と同時期の1986年登場の為、座席には袖仕切りと中仕切りを設置し、天井の冷房は扇風機を廃止しスイープファンを採用するなど、同系での設計を反映させています。2005年初めには交通バリアフリー法の関係で、同じくTOQ-BOXに指定された8634F(こちらは赤帯を全体に回し、ビルや町並みのイラストから虹色の模様を纏っていました。現在は赤帯のみ存置)と共に、車内案内表示器・ドアチャイムと自動放送の設置が行われています。

LED表示は1000系と同様、表示面に傾斜を付けて蛍光灯の光が当たらないようにした改良品を設置しました。設置直後から直通運転を行う半蔵門線・東武伊勢崎線の表示にも対応しており、自動放送と共に定期運用される全区間で稼動します。これらの設備のお陰か、他の編成と比較してもあまり陳腐化している印象を受けず、乗客へのサービス面も問題無いので一日でも長く活躍して欲しいですね。

 

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