町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

新車の輝きを再び取り戻した江ノ電2000形

2019年02月24日 | 小田急グループの鉄道・路線バス

かつて江ノ電には、現在の東急世田谷線の前身である玉川線で長年主流だったデハ80形電車を譲受し改造した600形が4両在籍していました。現在も世田谷線宮の坂駅前に保存車があることや、江ノ電の併用軌道区間にある和菓子の扇屋に前頭部が据えられている為、若い世代でも比較的馴染み深い存在かと思われますが、老朽化が進み他形式との連結運転が不可能で弾力的な運用が組めなくなっていた600形の代替の為に1990年に登場したのが2000形電車で、同形式の登場により在籍する全ての旅客車両が相互に併結可能な連接車になりました。

3編成が在籍する内、先陣を切って登場した2001編成。1000形グループのリニューアル完了後は2000形にも及ぶことになり、現在は3編成全てが施行済みで登場時とは大幅に印象を変えています。主要な走行機器は1501編成で採用したものを踏襲していますが眺望を考慮し拡大した正面・側面窓に加えて、乗客向けにはドア上には営団01系・02系に類似した路線図式車内案内表示や、初代500形以来となる自動放送装置(テープ式)も搭載され、登場〜営業運転開始した1990年度グッドデザイン賞を受賞しています。

江ノ電のスターと化した古豪の305編成と併結運転中の姿。1000形のリニューアル時には菱形パンタからシングルアームパンタへの換装が実施されましたが、2000形にもこれが及び唯一の下枠交差形を搭載する編成でしたが、リニューアル工事でシングルアーム化され特徴が失われてしまいました。これで、菱形の形状のパンタを搭載する編成は300形305編成のみとなっています。なお正面の行先表示は窓下部分に幕式を設置していましたが、リニューアルで1000形グループと同じフルカラーLED式表示を上部に設置しました。新年の挨拶や花など様々な内容を表示出来るのは周知の通りですが、下の写真でも分かるように最近は300形と高徳院の大仏様の顔を季節の花などのイラストと交互表示しているようで、遊び心たっぷりの演出には脱帽です。

車内の様子。扉の幅は他形式が1000mm幅に対し、通勤電車の片開きドアとしては標準的な1200mmに拡大されています。車端部はボックスシートを配置していましたが、混雑緩和の為にリニューアルで撤去され、オールロングシート化し座席モケットは“えのんくん”の柄が入った青になりました。化粧板や床材も新品に交換され、新型車と見間違う雰囲気です。

路線図式案内表示に代わり新設された液晶画面。他社で標準的な17インチより僅かに大きい17.5インチです。多言語表示も行っており、情報量が格段に向上しました。陳腐化・劣化も無く、大規模なリニューアル工事も施行されたことから今後も主力として長きに渡り活躍するでしょう。

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臨海副都心のニューフェイス

2019年02月12日 | 首都圏のモノレール・新交通システム

新交通ゆりかもめでは、2013年より初期製造の7000形置き換えと輸送力増強の為に新形式の7300形を導入し運用していますが、所定の6両編成18本の計108両が出揃った2016年で増備が終了し、2017年には1編成も導入されませんでした。しかし年が明けた2018年の11月には改良増備型で形式を7500形に改めた編成の導入が始まり、2020年までに7200形の置き換えを進めるとしています。

登場記念のマークを貼り付けて(現在は既に撤去済み)運転中の7500形。外観は7300形と大差ありませんが、「ブルー・ウィンド」をコンセプトに掲げ、「青い風を受けて優雅に飛行するユリカモメ」のイメージで正面には青色が加わっています。また、非常に特徴的な設備として、青色LEDによる「発光式自動運転灯」が新たに設置されており、自動運転中は写真のように帯状に点灯させていることから、遠目にも判別出来るようになっています。

この角度からでは分かりにくいですが、先頭車屋根上や妻面も青が配されています。決して目立つ場所ではないにも関わらず、こうした処理を施す辺りはコンセプトを徹底して守っていますね。

車内も7300形を踏襲しますが、天井のラインフローファンや座席袖部に設置されている手摺り、また判別しにくいですが先頭車両の正面ガラスが改良され、映り込みを低減させるなど更なる改良が施されています。

1画面だったドア上の車内案内表示も他社で主流の2画面に増設されました。向って右は動画広告や沿線情報などに使用されると思われますが、登場記念ということで7500形の製造から搬入までの様子を収めた映像が流されていました。駅構内にも新型車導入の告知ポスターが掲出されたり、一日乗車券の図柄が実車写真になるなど本形式に掛ける気合いは相当なもののようです。

 
いよいよ来年で、初代車内7000形の派生形式である7200形も引退し、ゆりかもめ車両は7300・7500形になる事となりました。近隣を走行している東京臨海高速鉄道りんかい線でも開通以来運用されて来た70-000形に代わる新型車の導入が発表されており、東京ベイエリアに華を添える車両の顔触れも様変わりする日は近いようです。


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板橋区交通公園の保存車(2)都営バスBU04

2019年02月06日 | 都営バス

公園に設置されている路線バスは数多く存在するものの、その多くは遊具の延長のような扱いであり経年劣化が進むと撤去〜解体の道を辿ってしまうことが殆どのようです。その中でも、辛うじて僅かな車両が保存に近い形で設置されているケースがあり今回紹介する板橋区交通公園の元都営バスBU04もその一つです。

局番もそのままに園内で余生を送るG-C457号車(いすゞ製BU04V・1975年式)。今は亡き大塚営業所の所属車両で、いすゞシャーシに川重車体製ボディーを架装するグループです。文京区や豊島区の路線を中心に運用されていました。廃車は1987年で、都電7508号車と共に、既にこの地で30年余の時を過ごしています。

後方から。モノコック車ながらスケルトン車で採用のナックルカラーに塗装変更を受けたこの車両ですが、緑部分はすっかり色褪せて薄緑に近くなってしまいました。前面は行き先方向幕が埋め込まれてしまっていますが、こちら側は残存しています。

車内は柵で仕切られ、開放時間も限定している為か一部破損はあるものの、比較的良好な状態です。もちろんこの時代に冷房などなく、一部の窓には木製の床に紺色の座席モケットの組み合わせは今の40代以上の都民には懐かしい組み合わせのはず。

車内後方から。中扉付近には本棚が設置され絵本などが並べられていますが、この車両の現役当時はツーマン体制の路線も存在し、その場所が車掌が乗務するスペースでした。

かつては屋根が設置されていたようですが、それが撤去されてしまい雨晒しになっているので、車体外観が残念なことです・・・。数少ないツーステップバスで更に貴重なモノコックの保存車ということで、どうか管理している板橋区には、修繕や上屋の再整備などをお願いしたいところですね。そこまでの予算を割くのは難しいのかも知れませんが・・・。

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板橋区交通公園の保存車(1)都電7508号車

2019年02月04日 | 東京都電

都電荒川線で比較的近年まで活躍が見られ、荒川車庫に隣接する都電おもいで広場に保存車が存在することで少数派の割に馴染み深い向きも多いと思われる都電の7500形ですが、今回紹介する板橋区交通公園にも都営バスのBU04と共に、7508号車が静態保存されています。

東武東上線の大山駅から歩いて約12分、団地と住宅に囲まれた公園の一角に同車は鎮座しています。1962年、都電の廃止に向けて計画が進む中登場した7500形は20両が製造され、この後の新型車は荒川線単独に移行してから1990年に登場する8500形まで途絶えることになり、かつて都内各地に路線を展開していた都電時代の最後の新型車両になりました。7508号車は1986年まで活躍しており、ワンマン化改造を受けている為ドア部分のステップを埋め込み、バックミラー設置を行っています。

行先方向幕は前後で異なっており、保存場所への入口側は荒川車庫行きで反対側は早稲田行きの表示でした。幕の手入れなどは一応されているようです。なお、板橋区内の都電の路線は、巣鴨車庫から志村橋に至る41系統志村線が存在しましたが、この7500形は新造時は渋谷区の青山車庫に配置され、同車庫が廃止されると7501〜7510号車は荒川車庫へ、7511〜7520号車は江東区の柳島車庫へそれぞれ転出しており、板橋区内を走行した実績はありませんでした。

木製の床と青モケットの座席が懐かしい車内。当然ですが冷房など無く首振り扇風機のみの設置です。よく見たら、一台は持ち去りにでも遭ったのか欠損していました・・・。片方の運転席仕切り部には本棚が設置され、図書室のようにも扱われています。

改造された運転席周り。中央付近にワンマン⇔ツーマンの切り替えや放送装置の設定を行うためのスイッチがあります。鍵付きで管理している為か、公園の保存車にしては幾分か部分が残されていますね。

定期的な手入れは行なわれていますが、車体には錆びが目立ち一部窓が破損した様子も見受けられたので、そろそろ再整備を期待したいですね・・・。

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京王8000系大規模改修車を撮る

2019年02月01日 | 京王電鉄(電車・バス)

1992年の登場以来、京王線系統の主力車両として活躍する8000系電車ですが、高幡不動で分割・併合を実施する特急が2006年で廃止後は4両+6両が半固定状態で運用されるようになりました。翌年には編成の順序を入れ替え、従来とは逆に新宿側6両+京王八王子側4両の組み合わせになり、使用されなくなった中間先頭車は乗務員室の機能も停止し2011年には正式に書類上の形式を付随車に変更しています。そして、2014年からは中間付随車化された旧先頭車の乗務員室撤去と室内更新が開始され大きな変化を見せました。

上り準特急で八幡山付近を走行する8708F。この編成への更新工事は2015年11月で、比較的早期の施工になり、修繕工事を実施する一方でVVVFインバーター制御装置は登場時からの日立製作所製GTOサイリスタを維持しています。前から数えて6両目の微妙に色が変わっている箇所が新造の客室部分を設置して完全に中間車化した元先頭車ですが、この角度では分かりにくいですね。

2017年に大規模改修を受けた8704F。京王では2015年に8000系の更新に当たって新型インバーター装置を導入し2023年を目標に全編成の機器更新を完了させる計画を発表し、車体修繕の他にVVVFインバーター制御装置も段階的に更新されるようになりました。それまでのGTOサイリスタから同じく日立製作所のSiCハイブリッドタイプに改められ、消費電力を更に低減させています。前照灯は2019年に白色LEDに換装され印象が変化しました。

元先頭車両だったサハ同士の連結部分。アイボリー塗装で特徴的だった前頭部を切断の上、新しく製造した客室部分を接合する大改造ですが極力違和感を抑えた仕様になっています。小田急1000形の中間車化改造車はやや大雑把な仕上げなのとは対照的ですね・・・。

更新前は暖色系の構成で、アイボリー系の化粧板に座席は斜め格子模様入りのローズ系でしたが、大規模改修工事では化粧板を艶のある白に改め座席は緑系とし、6000系以来の京王線車両の特徴だった角張った窓のドアもRの大きい標準的なサイズの複層ガラスを持つ新品に交換されています。しかし、写真でも僅かに判別出来るように窓の天地寸法を戸袋・側面窓に合わせている他、手掛けの位置が他社とは左右逆になっていることから単なるメーカー標準品ではないことが窺えます。なお吊り手は当初、枕木方向を向いている丸形でしたが、何故か回転は出来ない固定式になっており評判が悪かったのか後年の改修車では通常タイプの円形に戻っています。ドア上部の車内案内表示器は、下部分に注意喚起のランプを設置したもののLED式のままでしたが、換装は必要無しとの判断されたのでしょうか?

年間3編成程度のペースで施工することを発表していた8000系の改修工事ですが、2019年1月現在、10両編成で遂に未施工のまま残存するは8712Fのみとなりました。いよいよ長きに渡り見られた分割特急の名残が完全に消滅する日は近いようです。

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