町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

京成グループ初代標準車体の最終増備形、京成3000形17・18次車

2024年03月19日 | 京成電鉄

2003年より導入され、老朽化した普通鋼製車体・抵抗制御車の3200・3300形の廃車を2015年度内に完了させた2代目3000形は、その後も引き続き導入され2015年には一部仕様変更を行った11次車が増備されました。このグループより車内案内表示の液晶画面を17インチ化し、更に側面ドアをメーカー標準品である接着式窓ガラス仕様のドアから、金属支持枠としドア窓ガラスが在来車に近いサイズに変更が行われ、外観も印象の変化が生じています。

北総線内を走行する17次車3037編成。2017年度鉄道事業設備投資計画で導入が発表されたグループで3036・3038編成と共に2018年1月より導入されました。何れも8両編成で自社線の特急や快速、都営浅草線関連の直通運転に使用されます。行先表示のLEDが強く、1000分の1シャッターで撮影しても表示内容が切れずに写り込みます。

最終増備車の18次車である3040編成。2018年9月に6両2編成と8両を1編成ずつ2019年2・3月に導入しました。これらの登場で2003年より実に16年に渡る増備を終了しました。写真は千葉県誕生150周年の記念ヘッドマークを付けて本線普通列車に入るシーンです。

車内は基本的にこれまでの3000形を踏襲していますが、全ドア上に17インチ画面が設置されドア本体は窓ガラス支持方式が金属支持になりサイズを在来形式の3700形6次車以降に類似したタイプになっています。本系列でも在来車同様に無塗装ステンレスとされ化粧板の採用は見送られましたが、次期増備の成田スカイアクセス線用3100形からは化粧板仕上げのドアを採用しました。

17インチに拡大された液晶画面。表示内容も若干変更されており、初期のLEDスクロール方式の案内表示を設置していた初期車両もこの仕様の画面に換装されました。

現在3000形は8両編成19本と6両編成29本の326両という大所帯に成長しましたが基本的な仕様は変わらずに増備されたことは実用性を重視する京成らしい車両と云えましょう。

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伝統復活へ向けての序章・・・京急1000形15次車・16次車

2024年03月17日 | 京浜急行電鉄

2007年より1000形ステンレス車の増備を開始してから8年目となる2015年には、15次車として6両と4両が2編成ずつ落成しました。この内の6両編成である1367編成は、車体はそのまま東芝製の永久磁石同期同期電動機(PSMS)を採用、4両編成は2本を併結した8両で都営浅草線直通を可能にするべく、正面中央に常用貫通路を設置する構造に設計変更されるなど、特異な仕様の編成として異彩を放っています。4両編成では、貫通式正面だけではなく、伝統的な赤い電車のイメージを持たせるべくカラーフィルムで紅白塗装を再現し、翌年の16次車にも反映されることとなりました。

4両編成単独で本線普通列車運用に充当中の15次車。紅白の塗装をフィルムで再現しています。丸みのある通常の1000形ステンレス車と比べると、平面的な正面スタイルが特徴で、別形式のようにも見えます。8両編成が重要部検査などの理由で不足した際など、フレキシブルな運用を実現出来るように設計され、実際に貫通路と幌を使用した2編成併結の8両で浅草線直通の他、成田スカイアクセス線の運用にも入りました。しかし、あくまで予備車ということか普段は単独で写真の普通列車や、12両快特の増結と浅草線には直通しない新逗子〜羽田空港間のエアポート急行などの運用が主体のようです。

本線特急に充当される16次車8両編成。塗装車体の17次車と比較すると、ドア周辺や窓枠などに銀の地肌が現れており、一目で判別出来ます。東京メトロなどはアルミ車体に同じ技法で昔の車両の塗装を再現しており、京急もその流れを汲んで16次車のスタイルが主流になるかと思いましたが、結局は伝統を重視し塗装車体を復活させたことには非常に驚きました。

15次車の車内は基本的に既存の無塗装ステンレス車を踏襲しており、オールロングシート配置にステンレス製ドアの仕様を受け継いでいます。変更点は主に乗務員室周り(非常用梯子の設置スペースを客室内側に確保したため旅客の店員が2名減少、仕切り扉を引き戸式に変更)に集中しており写真では変化が分からないですね(残念ながらこの日は先頭車に人がおり撮影が出来ませんでした…)

16次車車内設備。この編成から車端部ボックスシートや化粧板仕上げのドアが復活して、簡素(実際はそれなりのコストが掛かってますが)な印象があった15次車(15次車まではロングシートにメーカー標準品のステンレスドア)までの印象が払拭されました。17次車とは座席端の袖仕切にある透明な部分の形状が僅かに違い、液晶画面も通常の17インチ画面を2台と1台+紙の路線図の千鳥配置になっている点が異なります。

今や関東大手私鉄も標準化が進行して没個性化とも言われることが多くなりましたが、限られた制約の中で個性と伝統を守ろうとする姿勢は高く評価したいですね。

※2019年の記事を修正

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運転開始50年目を迎えた京成スカイライナー

2024年03月07日 | 京成電鉄

成田国際空港へのアクセス輸送を担う京成電鉄の特急スカイライナーは2023年12月30日で運転開始から50周年を迎えることになりました。当初は成田空港開港の遅れから京成上野〜京成成田間のノンストップ特急として運転され、成田空港開港の翌日である1978年5月21日より東京都心部へのアクセスを一手に引き受ける事になり、1991年には成田空港直下(第1ターミナル)への乗り入れと初代AE形に代わるAE100形の登場、並びに競合関係となるJR東日本の「成田エクスプレス」が運転開始し、都心からの空港アクセスルートは長らく両者が共存する形となりました。その後1999年より更なる速達化の為、北総線を経由するルート実現に向けて検討委員会が発足し2002年には新線区間建設と施設保有の事業者が設立され、2010年の開通を目標として計画が具体化しました。これが現在の成田スカイアクセス線(京成成田空港線)で、一部区間で160キロ運転を実施する為、AE100形に代わる高速運転対応の新型車である2代目AE形が登場し、2010年7月17日より運転を開始しています。

AE形の車両デザインと新ロゴマークは世界的ファッションデザイナーの山本寛斎が担当したことで話題を呼び、「風」をテーマにしたデザインとしています。現在は何かとタイアップ企画や特別装飾も見られ、写真は「KENTY SKYLINER」として運用している第4編成で、ケンティーこと男性アイドルグループSexy Zoneのメンバー中島健人が演じる「京成王子」をモチーフにした仕様です。車外のラッピングのみならず、座席の枕カバーが特別仕様になっている他、本人による車内アナウンスも流れています。

50周年を迎えた2023年12月30日からは記念行事が発表され、京成上野・京成成田の両駅には記念装飾が施すと共に、AE3編成に50周年記念マークの掲出が実施されました。来る2024年3月9日には初代AE形の機器流用車である3400形と共に、50周年記念ツアーも実施予定です。

車内は開放感を出す為に大型化した連続窓と天井をドーム型とし、更に2代目AE形と比較して照明装置を2倍設置して明るさと落ち着きある空間を演出しています。

デッキとの仕切り扉上に設置される車内案内表示は国内の鉄道車両向けとしては最大の26インチ画面を設置し、日本語・英語・中国語・韓国語の4ヶ国語による情報提供に加え到着直前には英語、アラビア語、ドイツ語、ヘブライ語、スペイン語、中国語、スワヒリ語、トルコ語、韓国語、イタリア語、モンゴル語、ポルトガル語、ロシア語、フィンランド語、ヒンディー語、マレー語、ペルシア語、フランス語、タイ語、日本語の20ヶ国語で「ありがとう」のメッセージを表示します。

今後成田空港は、C滑走路の新たな建設と分散しているターミナルの集約を計画しており、現在の成田空港駅(第1ターミナル)を廃止し第2ターミナルの南側に新たに建設するされる見込みです。計画は2029年3月下旬の完成を目指しており、夏頃には提言を纏める旨が発表されていますが、実現の暁には空港アクセス特急としての重要度が更に高まります。完成後も2代目AE形が主力としてフルに活躍することと思いますが、完成予定の年は19年目を数え初代AE形が置き換えられている年に近づきます。海外からの旅客が一番最初に利用するであろう日本の鉄道車両ということで、ここはアッと驚く新型車の登場も期待してしまいますね。

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東京湾岸で活躍する快速ランナー・JR東日本E233系5000番台

2024年03月05日 | JR東日本

京葉線では暫定開業以来、主に京浜東北線と横浜線からの転入車である103系と1990年の東京延伸以来、正面形状をオリジナルスタイルとした205系が長らく主力として運用されていました。その後、E231系の登場で中央総武緩行線から201系、また同線と山手線からは205系、更にE233系により置き換えられた209系500番台が転入しますが、都心部に乗り入れる主要路線の中で新系列電車による置き換えが進む中、京葉線は連接車体の試作車であるE331系が2007年3月18日に1編成が運用を開始したのみで、他線区からの転属車が主力となる状況が続いていました。

2009年、遂にE233系の導入が発表され翌年2010年7月1日より運転を開始しました。京葉線向けの仕様は5000番台に区分され、カラーリングは205系同様にワインレッドとされています。本形式の導入により201系とE331系は廃車、209系500番台は1編成を残して武蔵野線に転属、205系は一部廃車と日光線・宇都宮線向けに4両化の上で転出、並びに富士急行向けに6000系として改造され譲渡が実施されました。

当初の計画では250両が新造される予定でしたが、実際に登場したのは240両で、1編成のみ残された209系500番台と共に共通運用されており、朝夕は分割可能編成が外房線勝浦と内房線上総湊、東金線大網〜成東間までロングランする他、間合いで内房線内完結運用も設定され、千葉駅へも乗り入れを行なっています。

車内設備は比較的長距離で駅と駅の間隔が離れている閑散路線にも乗り入れますが、分割編成も含めて全車両トイレ無し、ロングシートとこれまで運用していた201・205系の仕様が踏襲されました。半自動ドアも設定されませんでしたが、3/4閉機能が設置されており内房線・外房線・東金線での長時間停車時に使用されることがあります。

車内案内表示器は1000・2000番台に続き17インチ液晶画面を採用し、本番台ではモバイルWiMAXを採用し、旅客向けの路線情報を表示する画面は2000番台の新デザインに準拠しています。

ところで、京葉線といえば2024年3月16日のダイヤ改正で朝夕通勤時間帯の快速を全便各停に変更の上で新木場〜蘇我間無停車の通勤快速の廃止を打ち出し、千葉市長や千葉県知事を始め千葉県財界からも反発の声が上がっている事が全国的なニュースで取り上げられましたが、反発を受けて朝通勤時間の快速の運転を継続する極めて異例の対応が為されるなど、何かと話題を集めています。遂には国会でも言及され国土交通大臣の斉藤鉄夫氏が「ダイヤ設定には地元自治体などとコミュニケーションをとるよう、鉄道事業者に指導している」と答弁しましたが今後のダイヤ改正で、どの程度沿線自治体の声が反映されるか注目されるところです。

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登場から30年余を数える“Boso View Express”JR東日本255系

2024年03月03日 | JR東日本

千葉県房総半島に至る内房線・外房線方面と東京を結ぶ特急列車には国鉄時代の1972年以来183系電車を充当していましたが、平成時代に入り登場から20年以上が経過すると老朽化・陳腐化で置き換えが視野に入るようになりました。折しも同時期には東関東自動車道延伸と東京湾横断道路(現在の東京湾アクアライン)着工など高速道路網が相次いで整備されていた為、マイカーや高速バスへの競争力強化と房総特急のイメージアップを目的として255系が登場することとなりました。JR東日本発足後の特急電車として初のVVVFインバーター制御を採用し、当時の通商産業省(現・経済産業省)のグッドデザイン商品に選定されるなど意欲的な設計が評価された車両ですが、登場から30年以上が経過し、JR東日本の特急車としてはかなりの古参の領域に達しています。 

京葉線内の海沿いの高架線を行く255系。観光特急らしく拡大された窓とビビットなカラーリングが目を引きますが、ホワイト部分は夏のビーチ、ブルーは深みのある太平洋、イエローは太陽の光と房総半島に広がる菜の花畑をイメージしており、ブルーとイエローは同じ地区で運用される普通列車(209系)の帯色に採用されました。

登場時は保安装置の関係で京葉線経由の列車に限定運用されていましたが、2004年度に横須賀線・総武線快速の品川〜錦糸町間の地下区間がATCからATS-Pに切り替えられ、総武本線の運用にも保安装置の改造無しで対応できるようになっています。首都圏の電車では比較的珍しく東芝製GTOサイリスタによるVVVFインバーター制御を搭載していた為、起動・停止時には独特の磁励音を耳にすることが出来ましたが、2014〜2016年度に掛けてIGBTによる新インバーター制御装置に換装されています。

普通車の車内。座席は255系用に新規設計され、シートピッチは970ミリを確保しています。観光需要の多さを踏まえて4人向かい合わせ時でも使用可能なインアームテーブルを肘掛けに収納し、これはグリーン車でも採用されました。

グリーン車車内。普通車よりもゆとりを持たせる為にシートピッチを1160ミリとしています。観光のみならず旺盛な遠距離通勤需要にも応えるため、本形式以降はグリーン車の車内設備も2人掛け+2人掛けの配列が基本とされるようになっています。

来る2024年3月ダイヤ改正では、これまで成田エクスプレス専用車であったE259系を房総方面各列車に転用し、255系は引退かと思われましたが、実際のプレスリリースでは続投を示唆する記述がありました。今後どれくらいの期間運用に入るのか注目ですね。

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