2023年1月での引退が東急電鉄から予告され、さよならヘッドマークが掲出された8500系の8631F・8637Fの2編成の内、8631Fが本年5月25日で運用を終了しました。これに伴い、登場以来の先頭部に赤帯を配した標準的なスタイルの8500系が消滅し、残るは青帯でBunkamuraの広告電車となっている8637Fを残すのみとなりました。
今回引退を迎えた8631F。この編成は1983年度に増備された15次車に分類されるグループで、翌年4月の田園都市線全通(中央林間〜つきみ野間開通)に伴う運用数増加を控え登場し、10両固定編成で落成しました。
乗り入れ先の東武伊勢崎線内を走行する場面。8631Fは先述のように1983年に登場の後1997年に行先表示LED化、2003年には東武鉄道直通対応化とスカート新設が施工され、三社に跨がり埼玉県北部までのロングラン運用に就く姿も見せるようになりました。近年の置き換えサイクルが早くなった首都圏大手私鉄車両ながら、同一線区で39年に渡る長期間の活躍になりました。
車内設備(過去の記事より再掲載)は登場時は臙脂色だった座席がオレンジとブラウンの組み合わせに交換された他、2000年にバリアフリー対応の為に車椅子スペースを3・9号車に新設した以外それ程変化はありませんでしたが、末期は注意喚起のステッカーが増えて賑やかになっていました。
8631Fの運用離脱で、長らく東急では御馴染みだった首を振る扇風機も消滅となりました。こちらは東芝製の扇風機で、防護網の少ないものや羽根の中心部が砲丸状になっているものなど、複数の形態が見られましたが2000年頃からこの仕様になって行きました。
かつては400両もの大所帯で、昭和から平成初期に掛けて田園都市線のみならず東急の顔的存在の8500系でしたが、いよいよ迫り来る終焉に時代が如何に進んだかを実感させられます。8637Fは引き続き来年1月まで運転される予定ですが、こちらも最後まで活躍を見守りたいですね。