都営12号線として1991年に開通以来、関東地方では初採用となる鉄輪式リニアモーター駆動の車両として注目を集めた都営大江戸線12-000形ですが、初期に製造された白塗装の1・2次車は機器の老朽化に伴い新形式12-600形に置き換えられ、2016年6月に営業運転を終了しました。現在は1997年より導入された無塗装アルミ車体の3・4次車が大多数活躍していますが、東京都交通局の公式発表では2018年から2021年に掛けて12-600形を増備し、2021年までに12-000形を代替する旨の発表がなされています。
都営フェスタで馬込車両基地に姿を見せた12-000形。写真の編成は環状線部分の全線開通に伴い1999年~2000年に製造された4次車で、従来の車両が日立製作所製のVVVFインバーター制御装置+東芝製補助電源装置を搭載していたのに対し、VVVF制御装置を東芝、補助電源装置を東洋電機に変更するなど、細かい変更が加わっています。
反対側から。隣の浅草線用5300形と並ぶと、車体のサイズの違いが非常に良く分かります。都営大江戸線は2000年度の全線開通で単一の地下鉄路線としては日本最長距離になり、駅数も最多となりましたが地上区間を走行する区間は無く(このため単一の地下トンネルとしても最長記録)、2013年度で全駅にホームドアが設置された為車両の全貌を捉えることは不可能になってしまいました。
車内設備に入ると、上すぼみで天井が低い小断面地下鉄車両特有のスタイルを実感出来ます。一般の鉄道車両よりサイズが小さくなるため、車両限界一杯に設計されました。明るい暖色系のカラーも相俟って、圧迫感は全くありません。12-000系では、都営地下鉄特有の客扉内側に設置された四角形の手掛けは採用されず、一般的な形状になっています。
ドア上の車内案内表示器は2段式LEDで、戸開予告装置・ドアチャイムも併設しています。LED表示設置部分と向かい合う側には、紙の路線図を設置しました。
前述したように順次置き換えられる12-000形ですが、小断面の鉄輪式リニアモーター駆動という特殊な構造が災いし、これまでに運用を離脱した1・2次車は全編成が廃車~解体処分となっています。他社への譲渡が不可能な為、仕方ない措置ではありますが、可能なら引退前に木場研修場辺りで車両撮影会などのイベントを期待したいですね。