町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

一味違う標準車体、独自色が光る新京成電鉄N800形(4次車)

2023年08月31日 | 京成グループの鉄道

新京成電鉄では20061210日に開始された京成千葉線への直通運転開始に伴い、老朽化が進行していた800形・8000形の一部の置き換え用として親会社である京成電鉄3000形をベースにしたN800形の導入を決定、2005528日より運用を開始しました。社名からも分かるように京成電鉄の子会社でありながら1971年登場の800形以来、8000形、8800形、8900形と独自設計の新型車両を導入していましたが、実に34年振りに京成電鉄の車両をベースにした車両の導入となっています。なお導入は2005年、2010年、2012年、2015年、2018年の各年度に1編成ずつと段階的に行われ現在は6両編成5本の30両が在籍しており、新京成独自の仕様変更と増備の際の改良で比較的少数の割にバリエーションが見られる形式です。今回捉えたのは、201512月に増備された4次車に相当するN848編成です。

車体の下半分がジェントルピンクとホワイトでポップな印象を与えるN800形。当初本系列は沿線に広がる4つの自治体(松戸市・鎌ケ谷市・船橋市・習志野市)を表すマルーンとクリーンな企業を示す新京成のイメージのホワイトを組み合わせた太帯と窓周りの3本の細帯で構成されていましたが、2014年から新カラー化が施行され、本車からマルーン帯を経験せずジェントルピンク帯で新造されています。

このN848編成では若干の改良が為されており、行先表示は通常の3LEDを踏襲する一方で灯火類が8800形で試験を行っていた白色LEDに改められており外観の印象が変化しています。また、新京成初の乗降促進放送の採用の他、自動放送装置も新造時から搭載となりました。

京成3000形に準拠しつつ三角形吊り手や88008900形のイメージを引き継ぐカラーで独自色が光る車内設備。ドア脇には新京成伝統の鏡の他、側窓ブラインドは沿線の特産品である梨と葡萄のイラストが入ったものを採用しています。

ドア上の車内案内表示器はLEDスクロール式でしたが、このN848編成からはコイト電工の液晶画面「パッとビジョン」を設置しました。この画面はLED表示器の配線をそのまま活用できるメリットがある為、サイズはLED表示器のままとなっており改造で取り付けたかのような仕様となっています。ドアチャイムも独自の間伸びした音で、標準車体ながらしっかり個性をアピールしているところが面白い形式です。

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東京都心と国際空港を結ぶJR東日本E259系・成田エクスプレス(初代塗装)

2023年08月27日 | JR線

1991319日より東京都心部・神奈川県横浜市からの成田空港アクセス列車として新設された特急成田エクスプレスでは長らく同列車専用に開発された253系電車が充当され、順調に利用者が増加していました。一方で目的地の成田空港では2005年よりB滑走路延伸で大型旅客機の離着陸回数増加を目論み工事に着手、2010年度完成との方針を打ち出し更なる空港利用者の増加が見込まれることとなります。これを受け、古くから東京都心〜成田空港アクセスを担い成田エクスプレスとは競合関係にある京成電鉄の特急スカイライナーには新型車導入の構想が持ち上がり、加えて北総鉄道を経由し空港に乗り入れる新線(京成成田スカイアクセス線)2010年開通に向けて動き出しました。これらの動きからJR東日本も253系に代わる新型車両の導入を決定し2009101日より2代目となるE259系の運転を開始しました。

都心に向けて総武本線の複々線区間を快走するE259系。JR東日本の特急型電車ではお馴染みのアルミ合金製車体ですが、溶接箇所を削減するなど更なる改良が施されています。東京駅で横浜方面と副都心の新宿方面からの列車を分割併合する運用に対応する為、先頭車は貫通扉と自動幌装置を備えており、先代の253系では連結しても通り抜けできない構造でしたが本系列では通路が構成され編成間の通り抜けを可能にしています。運転を開始した2009年には財団法人産業デザイン振興会よりグッドデザイン賞が、翌年には鉄道友の会よりブルーリボン賞、2011年にはブルネル賞(鉄道唯一の国際デザインコンペティション)をそれぞれ受賞しました。

空港アクセス用に登場したE259系ですが、臨時列車への起用もされるようになり201212月の週末から202038日まで空港輸送とは関連しない東京〜伊豆急下田間の臨時特急マリンエクスプレス踊り子号での運用の他、2014726日から土休日に限り定期成田エクスプレスを延長する形で富士急行線河口湖まで運転したこともあり、こちらは20193月ダイヤ改正時の「富士回遊」新設に伴い終了しました。この為、臨時ではありますが伊豆急行線・富士急行線の2社の私鉄路線に乗り入れた実績があります。またユニークな点では新型コロナウイルス流行に伴うテレワーク増加で、両国駅3番線ホームに本系列を留置し車内テレワークの実証実験にも用いられました。

普通車車内設備。海外からの観光客も多く利用するため、情報案内の充実を図るべく17インチ液晶画面による車内案内表示器を天井にも設置しました。この為に天井高さは床面から2305mmを確保しており、開放感のある室内空間となっています。

グリーン車車内。座席を本革製とし、跳ね上げ式フットレストを設けて普通車と差別化を図っています。先代253系ではコンパートメントが設置されていましたが、E259系では解放型客室とされました。

長らく空港アクセスに特化していた成田エクスプレスですが、2022312日より日中時間帯も千葉に停車するようになり、また2023324日にはE259系の塗装デザイン変更が発表され、新塗装のコンセプトに空港アクセスに限らない多様な都市間輸送特急との記述があり、今後は成田エクスプレス以外の列車の充当を示唆する動きを見せています。今後の他路線への進出に期待ですね。

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横須賀線・総武線系統の新しい主力・JR東日本E235系1000番台

2023年08月09日 | JR線

横須賀線・総武線快速には長年主力だった113系の置き換え用に近郊型に区分される車両では初となる4ドア車のE217系が1994年から導入され、1999年までに置き換えを完了させました。その後は東海道線への一時的な転出や機器更新改造などはありつつも全車両健在で安定した活躍を続けていましたが2018914日、JR東日本の定例会見にてE2351000番台をE217系置き換え用に導入することを発表、20201221日より営業運転を開始しています。山手線用0番台の登場から約5年目のことですが、E235系初の中距離輸送対応型になりました。

E217系同様に久里浜寄りから付属編成4両+基本編成11両で構成されるE2351000番台。帯色は横須賀色のクリーム1号と青20号の2色が継承されています。山手線とは違いホームドア未整備駅が多い郊外路線を走行する為、路線カラー帯はドア部に施すのではなく従来通り横方向に通されるようになりました。一世代前のE233系では帯がドア部も貫いていましたが、本系列では省略されE231系以前に戻ったような印象を受けます。

本番台では車両側の機器を始め、線路と架線の地上設備の状態を監視するモニタリング装置を搭載しており、走行中に記録したデータを常に地上システムへ送信しています。また、停電時にも最寄駅まで運転を継続出来るように非常用電源装置をJR東日本では初採用しました。この為、2号車と6号車のみ空気タンクが屋根上に設置されています。

基本編成と付属編成の連結部分。先頭車形状が完全な平面になっているためか従来のE231233系よりも更に連結間隔が狭くなっている印象です。将来的には同じ線路を走行する東海道線の同系列に合わせて連結位置の変更も視野に入れているようですが着手は置き換え完了後になるでしょうから、もうしばらく掛かりそうですね。

車内設備はE217系ではセミクロスシート車が存在しましたがE235系では普通車は全車両ロングシートとされました。座席の袖仕切りも形状が変更され、乗客からの要望により透明化された部分が廃止されています。また、縦長の吊り手も本番台からは他社でも見られる通常の形状に戻りました。2022年度の増備車(F-14編成)からはコストダウンと思われる仕様変更が発生し、妻面貫通扉やドア両脇の化粧板省略(ステンレス仕上げ)や荷物棚のパイプ式化、半自動ドアボタン形状変更やロールバー削減など初期車に比べて退化したかのような仕上がりになっており、今後はこちらが主流になるようです。

グリーン車車内(2階席で撮影)E235系列初となる2階建グリーン車ですが、E231233系列では1階席と2階席では座席モケットの色を変えていましたが、本系列では12階と平屋部も全て同じカラースキームで統一されています。普通列車ながら電源コンセントを各席に備えており、サービスレベルは大幅に向上しました。

ドア上の車内案内表示は0番台に続き日立製作所製で他形式・他社でも主流の17インチではなく、21インチ画面と大型のものを設置しており、表示可能な情報量は格段に向上しています。観光客の利用も多く、空港アクセス路線としても機能する横須賀線・総武線系統の路線には相応しい設備ですね。

今後もE217系置き換えの為に順次増備が続きますが、この横須賀線・総武線快速用以外に計画されていた京浜東北線を始め、東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)仕様の導入は中止になってしまった為、次にE235系列が導入されるのはどこになるのか、今後に色々期待が膨らみます。

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短編成でフレキシブルに活躍する房総半島アクセス特急・JR東日本E257系500番台

2023年08月07日 | JR線

中央本線、房総半島各線への特急列車には国鉄時代から引き継いだ183189系が主力として使用されていましたが、2000年代が近付くと老朽化も目立つようになって来た為、置き換えが計画され快適性の向上に主眼を置いた特急型電車としてE257系列が開発されました。当初は2001年より中央本線「あずさ・かいじ」用に0番台車が導入されましたが、房総半島各線の特急「さざなみ・わかしお・しおさい(あやめにも2015年まで充当)」で運用するべく普通車のみで構成される500番台が登場しました。5両編成と首都圏で運用の特急電車にしては短編成ですが、列車や時期により2編成併結の10両編成になる運用も設定され需要に応じ柔軟な対応を可能にしています。

身軽な5両編成単独で海沿いの京葉線の高架線を快走するNB-03編成。車体のカラーは白で夏のビーチ、青で深い太平洋、黄色で陽光と菜の花をイメージしており側面扉横にはbosobと幕張新都心の建造物をモチーフにしたロゴが入っています。

基本番台では非貫通先頭車が存在しましたが、500番台では両先頭車共に常用貫通路と自動分併装置を備えて2編成併結に備えています。20041016日から運用を開始し、約1年後の20051210日には房総半島方面の特急用183189系を全編成置き換えました。

10両編成で総武本線の複々線区間を行くNB-2編成他の10(後部5両車番不明)。登場から10年余りは安定して活躍していましたが、転機が訪れたのは2015314日ダイヤ改正による特急の削減で、NB-10NB123編成が所属は幕張車両センターのまま豊田車両センター常駐とされ、富士急行線直通列車に充当されることになりました。2019年にはホームライナー廃止で更に2編成が余剰となり、4編成(NB-06071314)が修善寺行き踊り子向けの2500番台に、豊田車両センター常駐分+2編成(NB0812)が波動輸送用の5500番台に改造され、特に5500番台は高崎線系統の「あかぎ」「草津・四万」で定期運用を開始しています。

車内設備は2人掛けリクライニングシートが並ぶオーソドックスな仕様で座席モケットは海をイメージしたと思われる青色系です。快速列車などに充当の際には枕カバーを取り外して運用します。

登場から19年目に入るE257500番台ですが、あまり経年も感じさせずフレキシブルな運用に対応可能なことから今後も相当長く活躍しそうですね。

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東京メトロ05系13次車の兄弟系列・東葉高速鉄道2000系

2023年08月05日 | 第三セクター鉄道(首都圏・関東)

京成電鉄に代わる都心部へのバイパスルートとして計画された東葉高速鉄道は、千葉県と沿線自治体の船橋市・八千代市に営団地下鉄(東京メトロ)・東武鉄道・京成電鉄・新京成電鉄が出資して設立され1996427日に西船橋〜東葉勝田台間の16.2キロが開通しました。開通に際しては予想を遥かに上回る建設費の為に予算を削減する必要に迫られたことから当時廃車が進んでいた営団5000系を譲受した1000形電車を運用して来ましたが乗り入れ先の東西線が新CS-ATCの導入を決定したことを受け、営団地下鉄時代も合わせると経年40年余に達する1000形の改造ではコストが増大することが判明したため0513次車と設計を共通化した新造車の2000系を導入し、2006年に置き換えを完了させています。

帯色以外は0513次車と同一形態の2000系。当初の計画では前頭部形状を大きく変更する計画もあったようですが、共通化のメリットが失われる為現在の表面仕上げ変更に落ち着いたようです。帯色は先代1000形同様に「サンライズ(朝日・日の出)の赤」「デイタイム(昼間)の白」「サンセット(夕日)のオレンジ」の3色が引き継がれました。

2000系は05系とは違いJR中央線・総武線への直通運転には対応していませんが、保安装置の有無以外は0513次車と共通であることから行先に中央線・総武線で05系が定期運用される駅名が含まれ、東西線内で東京メトロ車運用の非常時の代走の際に表示したり、始発駅(中野)出発前にはJR東日本仕様の音声で旅客案内を行うことがあります。

車内は05系が赤系の座席を採用していたのに対し、「緑・木に囲まれた沿線のロケーションをイメージ、明るく清潔感あふれる空間を醸し出すこと」を目指して座席は常緑樹をイメージした緑系、袖仕切りは楓をイメージした木目調、床材は習志野台地の土を表した淡い茶色仕上げとして違いを明確にしています。

ドア上の車内案内表示器はLEDスクロール式を千鳥配置としており、旧営団チャイムも鳴動します。母体となった05系はLED表示を17インチ液晶画面化と共にチャイムの換装(三菱電機の汎用チャイムへ)が進行している為、現在は東葉高速車でしか見られない設備です。

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