1970年代当時の伊豆箱根鉄道駿豆線は、親会社に当たる西武鉄道や国鉄から譲受した17メートル車体の旧性能電車が運用されていました。これらの形式は吊り掛け駆動方式かつ非冷房であった為、車両大型化と共に冷房化を目的として3000形が導入されることになります。前回はラブライブ!サンシャイン‼︎のラッピングを纏うステンレス車体の2次車を記事にしましたが、今回は普通鋼製車体で製造された1次車グループです。
正面窓周りが窪んだ独特な前頭部が目を引く3000形1次車。車体幅は2900ミリと地方私鉄にしては大柄で、収容力が大幅に向上しました。新製時から冷房車として登場し、京急800形に準じたワンハンドル式運転台や乗り心地の良い空気バネ台車など一気に近代化されています。1970年代末期の東海道線・御殿場線は非冷房でコイルバネ台車の113・115系が主力だったこともあり、国鉄とは比べ物にならない水準にまで近代化されました。
現在では軌道線時代の塗装を再現した第1編成以外は広告電車となっており、ドア部分に広告を貼り付けています。写真の第3編成の広告主はアサヒ飲料の缶コーヒーWONDAで、ドアが赤色で着色されたことから目立つ姿になりました。
修善寺駅で特急踊り子として直通して来たE257系と並ぶ3000系。中央本線時代のE257系は定期では小田原までの入線だった為、大雄山線と顔を合わせてはいたものの駿豆線車両との並びは初になりました。
観光需要に応える為、セミクロスシート仕様とした車内設備。戸袋窓に二段サッシ窓が並ぶ為、国鉄113系にも類似した雰囲気を感じますが、ドア間・車端部とも窓の大きさが全て揃えられている為、均整が取れたデザインとなっています。