町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

いずっぱこ近代化の嚆矢・伊豆箱根鉄道3000形1次車

2021年10月01日 | 西武グループの鉄道・バス

1970年代当時の伊豆箱根鉄道駿豆線は、親会社に当たる西武鉄道や国鉄から譲受した17メートル車体の旧性能電車が運用されていました。これらの形式は吊り掛け駆動方式かつ非冷房であった為、車両大型化と共に冷房化を目的として3000形が導入されることになります。前回はラブライブ!サンシャイン‼︎のラッピングを纏うステンレス車体の2次車を記事にしましたが、今回は普通鋼製車体で製造された1次車グループです。

正面窓周りが窪んだ独特な前頭部が目を引く30001次車。車体幅は2900ミリと地方私鉄にしては大柄で、収容力が大幅に向上しました。新製時から冷房車として登場し、京急800形に準じたワンハンドル式運転台や乗り心地の良い空気バネ台車など一気に近代化されています。1970年代末期の東海道線・御殿場線は非冷房でコイルバネ台車の113115系が主力だったこともあり、国鉄とは比べ物にならない水準にまで近代化されました。

現在では軌道線時代の塗装を再現した第1編成以外は広告電車となっており、ドア部分に広告を貼り付けています。写真の第3編成の広告主はアサヒ飲料の缶コーヒーWONDAで、ドアが赤色で着色されたことから目立つ姿になりました。

修善寺駅で特急踊り子として直通して来たE257系と並ぶ3000系。中央本線時代のE257系は定期では小田原までの入線だった為、大雄山線と顔を合わせてはいたものの駿豆線車両との並びは初になりました。

観光需要に応える為、セミクロスシート仕様とした車内設備。戸袋窓に二段サッシ窓が並ぶ為、国鉄113系にも類似した雰囲気を感じますが、ドア間・車端部とも窓の大きさが全て揃えられている為、均整が取れたデザインとなっています。

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伊豆箱根鉄道3000形6次車・HAPPY PARTY TRAIN号

2021年09月25日 | 西武グループの鉄道・バス

伊豆箱根鉄道駿豆線では前回記事にした70002編成をJR東海直通用として導入しましたが、直通運転計画の頓挫や通勤時間帯の混雑に対応させる為、従来の3000形をステンレス車体に設計変更し、大雄山線所属車と一部の部品を共通化したマイナーチェンジ車を増備する方針になりました。

1997年に落成し3000形としては最終増備車となった3506編成。ワイパー形状が他編成とは異なる他、側面には行先表示器を設置しています。協賛しているメディアミックス作品の「ラブライブ!サンシャイン!!」の楽曲「HAPPY PARTY TRAIN」の発売(MVには駿豆線の3000形や伊豆長岡駅を始めとした沿線の光景が登場しています)を記念してラッピング電車に抜擢され、現在に至るまでこの姿で運用に就いています。車体全体に施されるフルラッピングは伊豆箱根鉄道では初の事例でした。

7000形によるOver The Rainbow号は運転終了になりましたが、こちらは今までと変わらず引き続き運用されています。今年で運転開始から4年余りが経過しましたが、この手のタイアップ企画にしてはかなり長期間に及んでいますね。

1987年に導入された5次車。ラッピングが無い素の状態ですが、ステンレス車体に3扉で側窓の配置はセミクロスシートの車内設備も併せて国鉄211系と類似した印象になりました。

3506編成の車内(クモハ3011で撮影)。この編成のみ3000形の中で唯一LEDによる車内案内表示器を設置している他、吊り手がラブライブ!の登場キャラクターのイメージカラーに交換されています。

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伊豆箱根鉄道7000形“Over the rainbow号”ラストラン

2021年09月23日 | 西武グループの鉄道・バス

伊豆箱根鉄道は神奈川県内で小田原〜大雄山を結ぶ大雄山線、静岡県にて三島から修善寺に至る駿豆線の2路線を運営しており、主に県内の通勤通学輸送を担っていますが、このうち駿豆線は戦後まもなくから東海道本線からの直通列車が設定され現在でも東京発着の特急「踊り子」が平日2往復・土日祝日3往復乗り入れるなど観光路線としても機能しています。近年ではメディアミックス作品である「ラブライブ!サンシャイン‼︎」に協賛している関係で沿線の風景や実在の施設が作中に登場したりキャラクターを描いたラッピング電車が運転されるなど、かつてない注目を浴びるようになりました。本年920日は2年以上も運転されていた7000形電車による“Over the rainbowが最後の運転になるとの事で、元西武の譲渡車と一緒に撮影に行って来ました。

ほぼ車体全体にラッピングが及び、非常に目を引く姿になっていた7000形第2編成。この形式は老朽化していた1000形の代替の他、東海道本線への直通運転を視野に入れ設計された大変意欲的な車両で、中間車は座席指定制とする運用を想定していたことから先頭車は3ドア、中間車は2ドアとした事が最大の特徴で登場から暫くは熱海・沼津・富士といった東海道本線の駅名が行先方向幕に含まれていました(後に交換で消滅)

1998年までは同形式による快速の設定もあり、ハイライト的存在でしたがオール転換クロスシート車両では通勤時間の運用に難がありその後の増備は再び3000形になりますが、現在でも沿線自治体などによるラッピング車などに起用される機会が多くなっています。2017年にはこの第2編成のみ前頭部がステンレス車体に合わせた銀から金に変更されました。

転換クロスシートが並ぶ車内。地方私鉄による新造車としては非常に意欲的で豪華な設備を持っていますが、直通運転の計画が頓挫してしまったことが惜しまれます。特別料金不要な快速として熱海乗り入れなどが実現していたら、本来の性能をフルに活かした走りを披露していたでしょうね。

おまけに伊豆長岡駅〜伊豆・三津シーパラダイス間で運用されているラッピングバス(日野PA-LR234J12005年式)も撮影できました。自社発注のノンステップ車ですが、車内の座席は何故か一昔前の京王電鉄バスと同一品です。

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