町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

川崎鶴見臨港バスで運用される最新世代の三菱ふそう・エアロスター

2024年08月31日 | 京浜急行バスグループ

川崎鶴見臨港バスに於いて最古の部類に入る浜川崎営業所に配置される車両は管内に日野車体工業の本社工場が存在していたことから長きに渡り日野自動車を指定メーカーとされていました。しかし2004年10月で日野車体工業は、いすゞ自動車との合弁会社であるジェイ・バス株式会社として統合されることになり本社機能も石川県小松市に移転したため方針が変更され、2007年から三菱ふそうトラック・バスが三菱自動車工業から分社化し川崎市内に本社機能を置くことになった関係で、新たに三菱ふそうが指定メーカーとなりました。これにより臨港バスでは少数派だった三菱ふそう車の導入が本格的に開始され、他営業所では日野自動車・いすゞ自動車の車両を導入しながらも、浜川崎営業所の一般路線車は三菱ふそう車が中心になっています。

現在の主力車両である2PG-MP38FK(3H596号車・2018年式)。エアロスターノンステップ仕様車の登場は2009年のことで、AT仕様車が選択されています。2015年からの増備はライト周りをモデルチェンジしたMP38系列に移行しました。三菱ふそう車は塩浜営業所にも配置されていた時期がありましたが、2010年で全廃されているため現行の三菱ふそう一般路線車は浜川崎管内だけで見られます。

増備のたびに改良されているエアロスターですが、写真の2019年式(3H626)からはLEDテールと新開発のドライバー異常時対応装置(Emergency Driving Stop System:EDSS)を搭載しました。鉄道車両に於けるデッドマン装置・EB装置に相当する装備で、緊急時には運転席と運転席後方の非常ボタンを操作することで安全に停止し、車外ではハザードランプ点灯とクラクション鳴動で異常を周囲に知らせる機能を備えています。なお短尺車が基本ですが、この2019年式のうち3H629・3H630は標準尺での導入となり、3H626〜3H628とは車体の長さが異なっています。

2018年式の3H596号車をリア部より。行先表示器は長きに渡り3色LEDでしたが、本年式よりオージ製フルカラーLEDを採用し系統を色分けして表示することを可能にしており、視認性が向上しています。

車内設備はノンステップエリアを1人掛け前向き座席、後部に2人掛け座席を配置する標準的都市型レイアウトで都営バスなどでも見られる仕様でタイヤハウス上の座席は日野・いすゞ車では省略されてしまっていますが、この三菱ふそう車では健在でバスマニアには嬉しいところです。

 

 

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耐雪仕様の少数派、スノープラウ装備の東急5050系5178F

2024年08月09日 | 東京急行電鉄

東京メトロ副都心線直通を控えて、急ピッチで増備が進められた東横線向け5050系は、2013年度で編成単位での増備は一旦終了となりました。しかし2014年2月15日、関東平野部でも記録的な大雪に見舞われた深夜0時30分頃に元住吉駅構内で5155Fによる下り元町・中華街行きの各駅停車が先行していた横浜高速鉄道Y516Fに追突する事故が発生しました。このため使用不能になったY516Fの代替として、東急5156FがY517Fとして横浜高速鉄道側に転出し東急側は2016年に車内設備を田園都市線5000系の6ドア車置き換え用中間車と同等に改め、スカートをスノープラウ一体型とした5177Fを製造しています。これでも8両1編成が不足している状態でしたが、2019年には2020系の設計を反映させた5178Fが登場し、この2編成のみ車内の配色や走行機器が異なるという異端な存在になっています。

スノープラウが厳つい印象を与える5178F。この編成より列車無線をアナログ・デジタル兼用に変更している他、編成全体で赤帯の幅が若干細くなっています。入籍は2019年ですが、営業運転開始は2020年2月21日のことで2020系よりも新しい5000系グループの編成になりました。

目立つスノープラウ一体型スカート以外にも、2編成のみ全密閉式主電動機(型式名TKM-16)を搭載しているなど様々な相違点がありますが、他社線直通運転含め特に制限は無く他編成同様に広範囲で運転されています。

カラーが2020系と同様になり、5177Fでは設置されていたヘッドレストが廃止され床面デザインも変更されたことで、また印象が変化した車内。ドア内側の化粧板も艶消しの滑り易い仕上げで戸袋への引き込み防止を図っています。

17インチ液晶画面は2020系では日立製作所製が採用されましたが、こちらは他の5050系に合わせて三菱電機セサミクロを搭載しアニメーション表示を行っています。

先代の8000系列も様々な仕様変更を行い、やはり異端的な車両も多かったですが5000系列も同じように少数派のバリエーションが現れており歴史は繰り返されるようです。

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1500形置き換え用に増備を開始した京急1000形1500番台(22次車)

2024年08月05日 | 京浜急行電鉄

京急では2002年以来増備が始まった1000形により旧来の初代1000形・800形・2000形の置き換えを進めて来ましたが、2021年度の東洋電機技報第143号(新1000形20次車電機品)にて令和4(2022)年以降も1500形置き換え用に増備を行うとの記述があり、更なる製造の継続が判明。その後京急による2022年度の鉄道投資計画でも環境負荷低減の取り組みとして1500形を1000形で置き換えることについて触れられました。そして翌年2023年の9月7日よりデュアルシートの1890番台の一部設計を盛り込んだ1000形1500番台6両編成が営業運転を開始しています。年末の12月29日には8両編成の1700番台も運転を開始しました。

22次車の1500・1700番台は20次車同様ハイフンを用いた方式を採用しています。前者は川崎車両、後者は総合車両製作所で製造され、特に川崎車両製造の編成は同社独自の構造で雨樋の出っ張りが目立つようになり、増備再開から早くも目立つ差異が生まれました。またこれまでの6両と異なり、2・5号車は付随車サハとなっています。

外観は中央部に常用貫通路・貫通扉を設置しているため平面的だった1890番台から一転し非対称デザインを再び採用。しかし、標識灯は1890番台同等品になり、先頭車の乗務員室扉付近には座席が復活したため細い客窓を新設しています。主回路機器も同一品である一方、静止型インバータについては新型のRG4103-A-M形(東洋電機製)を初採用し、5号車のサハ1501-5に搭載しています。

車内は19次車までに準じていますが、側窓上部から天井までの化粧板が無地の桜色になっている他、中間車の車端部の一般座席側にはロングシートを2人掛けとして車椅子・ベビーカーのフリースペースを新設、また4人掛けボックス席と写真でも確認できる乗務員室直後の座席は1人分が独立した形状になりました。

細かな設計変更が見受けられる一方で車内案内表示装置は左右一体型の液晶画面が踏襲されました。ドアチャイムもこれまでと同様の音色です。

早くも登場からバリエーションが生まれている1000形1500・1700番台ですが、1500形の置き換えを達成する頃にはGTOサイリスタ素子によるVVVFインバーター制御のまま運用が続いている600形の置き換えも視野に入ってくる筈で、その際にはまた1000形の新しいバリエーションが生まれるのか今から興味深い点です。

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