町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

富士山の麓を行く富士急行6000系(6502編成)トーマスランド号

2024年11月20日 | 関東地方の中小私鉄

富士急行では2012年よりJR東日本の205系を改造した6000系を譲受し、それまで主力だった1000系の置き換えを進めますが2018年に導入された埼京線用0番台を改造した6500番台は富士急ハイランド内に設けられた「きかんしゃトーマス」のミニテーマパークである、トーマスランドのラッピング車として運用を開始しました。車体のみならず、車内設備も物語の主人公トーマスとその仲間達がラッピングされる本格的な仕様です。

下降式の側窓と寸法を拡大したドア窓を備えるJR東日本独自仕様をベースとした6500番台6502編成。富士急行に在籍する6000系の中では唯一の形態で、種車は川越車両センターに在籍していたハエ28編成のうち、モハ205-287(クモハ6502)+モハ204-287(モハ6602)+クハ204-107(クハ6552)を転用しており、クモハ6502は通常の先頭車から移植する形で接合する改造を施しています。写真は2023年夏で、この時まで大型ヘッドマークを掲げて運転されていましたが、最近は外されています。

特別仕様として注目される6502編成ですが、JR東日本の205系時代も埼京線・川越線で最後まで活躍し、新製時の1989年から1996年までは京浜東北線に配置され、1991年から約7ヶ月間は山手線に貸し出され運用されたことがあるなどオーソドックスな見た目に反して、異色な経歴を辿った編成でもありました。

初代トーマスランド号は富士急行が独自に設計・製造した5000系が就いており、2019年2月23日まで運用されていました。1975年に製造された富士急行初の冷房車で、地方私鉄にしては意欲的な設計でしたが老朽化と部品の枯渇で6000系に置き換えられることになり、本系列の引退で富士急行の自社発注車は消滅となりました。現在は写真のモハ5001(相方の5002は解体)が下吉田駅構内にて保存されています。

車内も全面的にトーマスのキャラクターでラッピングされ、座席モケット、ブラインドにドアステッカーまで専用のものが用意される凝り様です。ちなみに車内案内表示器はLEDを採用していましたが、本編成よりLCD表示になりました。運用は富士急行のホームページで公開されており、狙って乗車することも可能になっています。

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上州に転じた虹色電車・上毛電気鉄道700型(元・京王3000系)

2024年06月11日 | 関東地方の中小私鉄

1990年以降、上毛電気鉄道では親会社である東武鉄道から3000系を譲受し300型として運用していました。その後、3050系改造の350型が加わり300型を置き換えますが、これら両形式は昭和初期に製造された車両に対し、後に登場した新形式との設備の格差を改善する目的で登場した機器流用車でした。そのため車体は比較的新しい一方、走行機器は旧来の吊り掛け駆動方式のままで1990年時点でも老朽化が進行しており、台車にも荷重制限があり冷房化も不可能となっていたためサービス改善上や保守面からも問題になっていました。そこで導入されることになったのが1996年より廃車が始まっていた京王3000系で、1998年より700型として2両編成8本を導入し元東武鉄道の350型を置き換え、2000年からはワンマン運転を開始しています。

上電初の高性能車で冷房車となった700型。Mc+Tcの2両編成を組成しますが、当時3000系は北陸鉄道・岳南鉄道へも譲渡されていたため、元々の先頭車に京王6000系抵抗制御車の廃車発生品を組み合わせて電装化した編成(711〜714編成・718編成)と、中間車のデハ3000・3050+デハ3100に先頭車化改造を実施し種車の機器を活用(715〜717編成)したグループがあり、正面の7色のカラーマスクは種車の色に関係なくフィヨルドグリーン塗装とされました。マスコンは京王5000系や都営地下鉄車の廃車発生品を用いています。

2005年11月からは711F以外の編成に対しカラーマスクの塗装変更が実施され、8編成全てが異なる色になり京王井の頭線時代同様にレインボーカラーと称されるようになり(ただし京王時代と色は違います)、完成時には記念乗車券も販売されました。写真は712編成のロイヤルブルーで、群馬県みどり市に本社を置く株式会社スナガのラッピング電車とされ車体に同社のマスコットキャラクター「コップン」が配されています。

フェニックスレッドの713編成は2020年4月より群馬ディスティネーションキャンペーンが実施され、群馬県のマスコットキャラクターを「ぐんまちゃん列車」に抜擢されました。ラッピング編成はイラストを描くだけでなく、京王時代は急行板を掲げていた位置にヘッドマークを掲出しています。

サンライトイエローの714編成。当初は塗装変更のみでしたが、群馬県内に展開する不動産会社であるオネスティー石田屋の協賛で「走る水族館」になり、正面のみならず車内にも海をイメージしたラッピングを施工しており、海洋生物の紹介もされている楽しいデザインです。上電ではたびたび季節に合わせたイベント列車が運転されますが、通年運用されるラッピング車では一番気合いが入った編成と言えるでしょう。

クリーム色の化粧板と臙脂色の座席の組み合わせで京王井の頭線時代の雰囲気を色濃く残している車内。登場時は非冷房車であった為、天井には送風装置としてファンデリアが設置され、改造で冷房を新設した後も残存しているのが特徴です。一番前寄りの座席はワンマン運転で料金機を設置するため、撤去されました。近年は座席シートモケットを交換した編成も出ています。

さすがに新造から50年、改造からも26年が経過し老朽化も進行していることから置き換え計画が立てられており、03系改造の800形を導入し3編成を置き換える予定で最初にパステルブルーの716編成が離脱しています。他社譲渡分の元3000系も置き換えが発表されている為、東京から一番近いところを走り京王時代の面影も濃い700型の活躍を末永く期待したいですね。

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26年振りに登場した新形式、上毛電気鉄道800形(元・東京メトロ03系)

2024年06月09日 | 関東地方の中小私鉄

群馬県の前橋市から桐生市を結ぶ上毛電気鉄道では、1998年より京王井の頭線の元3000系を譲受した700型を導入し運用されて来ましたが、車齢が最も古い編成で50年以上が経過した2018年度に同型式の代替として新造車の導入が発表され、2019年・2021年に各1編成を導入する計画が発表されました。しかし、物価高騰によるコスト面から中古車の導入に計画が変更され、東京メトロ日比谷線で運用されていた03系を800形として譲受することになりました。2両編成3本の導入が計画されており、1本目の編成は2024年2月29日より営業運転を開始しています。

26年振りの新形式となった800形。種車は35編成の03-135+03-835で、135を制御電動車化、835は付随制御車のまま補助電源装置・空気圧縮機・蓄電池を新設する改造を受け車両番号はデハ811+クハ821に改められました。上毛電気鉄道向け改造が済んだ後の2023年11月27日には、古巣の日比谷線で性能確認の試運転を実施したことが特筆されます。この編成の導入でパステルブルー塗装の700型716編成が定期運用を離脱しています。

大胡駅で在来の700型と並ぶシーン。今後2編成が追加で2027年までに導入される計画で、代替で廃車となる700型の部品を確保して他5編成の延命を図るとされています。正面の帯色は引退した編成と同じ色であることから、800形も編成毎に違うカラーになるもと思われます。

車内は2両固定編成化の為、妻面貫通扉は撤去されワンマン運転用の運賃表示器・料金機と整理券発行機、またバリアフリー対策に車椅子スペースと冬季に備えて半自動ドアボタンが新設されています。車内の改造は最小限にされ、注意喚起のステッカーも東京メトロ時代のものをそのままの状態にしていることから、日比谷線で運用されていた頃の雰囲気を残しています。

次駅を表示する運賃表示器が設置されましたが、ドア上のLEDによる車内案内表示もチャイムと共に稼働しており行先・次停車駅・開く扉を表示しています。在来車に比べて大幅な進歩ですね。

残る2編成4両の導入でサービス改善と当面の700型5編成の維持が可能になりますが、既に同型は経年が60年に届こうとしている為近い将来の置き換えは避けられず、その際は計画にあった新造車になるのか、また新たな中古車になるのか今後に注目です。

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里山に転じた軽量ステンレス車体のパイオニア・秩父鉄道7500系

2024年06月03日 | 関東地方の中小私鉄

秩父鉄道では吊り掛け駆動方式の旧性能車を置き換える為、日本国有鉄道(1987年3月よりJR東日本)より1986年から1989年に掛けて101系電車の譲渡を受け1000系として運用していました。国鉄が製造したカルダン駆動方式の通勤型電車が譲渡されるのは比較的珍しい事例で、3両編成12本を組成するため36両が渡り秩父鉄道の主力車両として運用されましたが2000年代末期になると車齢が40年を超え老朽化が目立つようになり、東急電鉄で廃車が始まった8090系により置き換えを進めることになりました。いずれも大井町線で運用されていた5両編成の内、1・4・5号車で構成される3両編成7本が7500系として導入され、新たな主力車両になっています。

東急時代の赤い帯から側面を緑帯、正面を緑と黄色のグラデーション帯に改めて印象が変わった8090改め7500系。本形式は航空機の強度解析で使用される有限要素法を用いたコンピューターによる設計で、車体強度を保ちながら1両当たりの重量を約2トンも軽量化しており、日本が独自開発した初の量産軽量ステンレス車とされる画期的な車両です。東急時代の1980年〜1988年頃までは東横線急行用に使用され、その後みなとみらい線直通を見据えた電動車比率向上の為に先頭車を非常用貫通扉を備える電動車化するためデハ8590が登場し編成組み換えが発生、非貫通正面の8090系は5両編成に統一され大井町線に集約されました。その大井町線にも副都心線直通を控えATOに対応できなくなった9000系が東横線より続々と転入し8090系の廃車が開始、秩父鉄道入りが実現することになりました。

長らく通常の緑帯仕様で運用が続きましたが、現在はフルラッピングの機会が増えて2021年より7501Fは観光需要喚起を目指して秩父市・秩父アニメツーリズム実行委員会と連携し同市が舞台になったアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のラッピング車に起用され、超平和バスターズトレインとして現在も運用されています。運転開始初日の2021年4月3日は秩父駅で出発式が開催され、出演声優らによるテープカットや特別な車内放送が実施されました。

東急で運用されていた頃の面影が色濃く残る車内。写真は超平和バスターズトレインのデハ7501で車内にもラッピングが施工されています。東急時代は付随制御車でしたが、3両編成化で電動車化され主電動機点検蓋が設置されたのが東急時代との相違点です。

ドア上にはLEDスクロール式の車内案内表示器とチャイム、扉開閉表示灯を設置している他、寒冷地を走行するため車内保温対策として半自動機能も追加されました。

ついこの間来たような感覚が抜けませんが、秩父鉄道に来てから既に14年の歳月が経過してしまいました。本家の東急からは既に8000系列は全て引退し、部品の枯渇が問題になり始めている事や長野電鉄もメカニズムが殆ど同じ元東急田園都市線の8500系置き換えを表明、伊豆急行も8000系に代わる車両の導入を示していることから本形式も安泰とは言えず、近いうちに代替が表明されるか注目ですね。

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