1994年9月4日の関西空港開港に当たり、鉄道による空港アクセスはJR西日本と南海電気鉄道の二社が担う事になり、JR西日本は特急型電車の281系と共に221系の実績を踏まえ快速用として223系0番台を新たに製造しました。開港間近となった同年2〜3月に掛けて6両編成9本と2両編成7本が日根野電車区に配置され、後に設計変更で大量増備され京阪神都市圏輸送の主力車両となる223系グループの初登場になり、1994年度グッドデザイン賞も受賞しています。今年で登場から281系と共に30周年を数えますが、置き換え構想が浮上している281系とは異なり、全車両が体質改善工事を施工され、後継の225系5000・5100番台の登場後も主力車両としての地位を守り続けています。
225系5100番台と併結し、関空・紀州路快速運用に活躍する0番台。本番台はビードレスのフラット外板に正面は丸型の前照灯で、207系1000番台と同様の1C1M方式のGTOサイリスタを素子に用いたVVVFインバーター制御方式を導入するなど他番台には見られない特徴を備えていました。また、編成組み換えの機会が多く1999年には紀州路快速の新設に伴い編成を5両+3両に組み換え、不足する車両数を補うため新快速用2000番台をベースに0番台に仕様を近付けた2500番台が初登場し先頭車4両が新造され0番台の中間車を組み込み、2008年には増発と増車に4両編成への統一のため2500番台3次車が5両から抜いたサハ223-100を組み込む為のクモハ+モハ+クハの3両と0番台3両に組み込むことを前提にモハ223型が単独でそれぞれ合わせて60両が登場。現在は0番台のみの4両編成(H401-409)と、モハ223型2500番台を組み込む編成(H410-416)、更に2500番台にサハのみ0番台を組み込んだ編成(H417・418・H422・423・H426〜432。それ以外は全車2500番台で組成)の3種類が見られます。
安全対策で先頭車への転落防止幌設置が2015年より施工されましたが、登場から25年前後が経過した2018年からは体質改善工事も開始され外観では種別・行先をフルカラーLED化、運行番号表示撤去、前照灯をシールドビームからLED2灯式に換装し従来の尾灯は撤去、排障器一体型の機器保護カバー新設と前面予備ワイパー設置、またVVVFインバーター制御装置の更新が施工され登場時とは印象を大幅に変えました。
空港アクセス主体になることからスーツケースなどの手荷物を持つ利用者が多くなることを考慮して2人掛け+1人掛けとされた車内。登場当時はノルウェーのエクネス社が製造した輸入品で、1人掛け座席には荷物固定用ワイヤーも備えていましたが2006年までに住江工業製に交換されました。座席モケット更新は2011年からで225系5000番台と同一品に改められています。なお写真は2021度以降に施工されたタイプで、吊り手の交換やトイレの車椅子対応化を実施する一方、床材更新や照明カバー撤去は見送られるなど微妙に簡素化されています。
東海道・山陽本線向けの223系グループはWESTビジョンと称する液晶画面に換装された編成が登場する一方で、0番台は登場以来のLED表示が存置されています。多種多様な情報を表示できる液晶画面の案内表示は空港アクセス編成にこそ必要な設備だと思いますが、この点は意外でした。
現在は205系と103系の置き換えも225系で行い、阪和線の一般車両が3ドアで統一されたことから時間帯を問わず普通列車運用にも充当され汎用車的な立ち位置になり、今後も相当長く活躍しそうな予感です。