町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

本線向け仕様を改良した副都心線対応車・東武東上線50070系

2024年09月26日 | 東武鉄道

東武東上線から有楽町線への直通運転には、1987年以来チョッパ制御車の9000系と1994年からVVVFインバーター制御方式に設計変更した9050系が長らく用いられて来ましたが、東京メトロ副都心線小竹向原〜渋谷間の開通と東急東横線・みなとみらい線直通を控えて2007年6月18日より新たにATOによるワンマン運転とホームドアに対応した50070系が導入されました。2005年より東武では東上線地上専用車として50000系、半蔵門線・東急田園都市線直通運転用に車体幅を変更した50050系を増備していましたが、本系列はそれらの改良型で10両編成7本の70両が製造され、9000系と共通で副都心線・有楽町線直通と地下鉄が関連しない東上線池袋発着の運用まで幅広く使用されています。

東横線内を走行する51071F。50050系に準じた外観・車内を持ちますが主な違いは両側の先頭車に集中し、ホームドアに対応するため客室内のオフセット幅を250mmから120mmに縮小の上で全長を130mm延長、ATOと戸閉制御切替装置、更にクハ50070型にATO送受信装置を新設する比較的大きな変更を盛り込んでいます。乗務員室内には車上CCTVが新たに設置され、コンソール配置も全て一新しハンドル形状も変更になりました。

51071F〜51074Fは当初は固定式の一枚窓でしたが、51075Fでは開閉可能窓(トの字型に窓ガラス部を分割し、上段を下ろす形で開口)に改められ他編成も改造で開閉可能にされました。2011年度製造の51076・51077Fは通常の下降式窓で登場しています。ちなみに車体幅も異なり、51071〜51075Fは2800mmでしたが51076・51077Fは本線用50050系と同じ2770mmに改められています。

車内設備。50000系列では当初座席に薄いパープル系(TBマトリックスと呼称する藤色)でしたが、本系列からキュービックブルーと呼ばれる模様入りの青に変更し、他編成も2011年より交換が開始され10000系列のリニューアル車両にも用いられるようになりました。

車内案内表示装置は他編成同様にLEDスクロール表示式でしたが、やはり2011年度製造の2本では17インチ画面の1台配置に改められ数少ないLCD搭載車となっていましたが、他社と足並みを揃えるため初期の5編成も西武6000系でも採用された左右一体型液晶画面に交換されました。ドアチャイムに関してはそのままの状態です。

9000系置き換え用の副都心線・有楽町線に対応する新系列の開発が発表されましたが、変更点が非常に多い50070系列は今後もこのまま安定した活躍が見込まれそうです。

※一昨日投稿の記事に多数のアクセスがありトータル閲覧数が300万PV、訪問者数が130万人の大台に入りました。深く御礼申し上げます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地下鉄直通運用から撤退が始まった西武鉄道6000系

2024年09月24日 | 西武鉄道

1994年12月7日、西武有楽町線練馬〜小竹向原間開通により営団地下鉄(現在の東京メトロ)有楽町線との直通運転に充当されるようになった6000系は2008年度より東京メトロ副都心線へも進出し、2013年からは東急東横線〜横浜高速鉄道みなとみらい線へも運用範囲を拡大し池袋線系統の主力車両として運用が続いていました。その後は座席指定列車用にデュアルシート・車椅子対応トイレを備えた40000系が登場し、更にトイレ設備を非設置としロングシート仕様とした50番台が加わるもステンレス車・アルミ車共にVVVFインバーター制御装置や車内案内表示装置の更新を受け安定した活躍を見せていましたが2023年3月6日より、ステンレス車の6108Fが地下鉄用のATCやワンマン運転用のモニタ装置を撤去の上で地上専用車両となり新宿線・拝島線系統で運転を開始しました。更に同月21日には6103Fも新宿線へ回送されやはり正式に転属し現時点では6103F〜6108Fが新宿線に籍を移しています。玉突きで新2000系の廃車が進められることになりました。

東急東横線〜東京メトロ副都心線で完結する急行和光市行きに充当される6110F。40000系50番台の増備進行により2024年3月30日にはアルミ車体の50番台も全編成が地下鉄への直通運転を終了し池袋線地上専用車両とされ、現在は6109F〜6117Fが引き続き直通運転に使用されています。地上専用になった編成には非常用貫通扉の窓上部に黄色テープが貼られ、運転台にも地下鉄非対応を示す表記がされました。

池袋線系統で直通運転対応だった頃の6107F。この編成は2024年8月2日より新宿線で運用を開始し、代わりに20000系20101Fが池袋線に転入しています。1994年の登場から1ヶ月間、池袋線で運用され2007年1月まで新宿線に在籍し副都心線対応改造を受け池袋線に復帰した経緯があり、再び元の運用形態に戻ったとも言えます。

車内設備はリニューアルが施されている訳ではないですが小改良が目立ち、車内案内表示装置が登場時からのLEDスクロール表示→15インチ液晶画面(西武呼称ではスマイルビジョン)→左右一体型17インチ画面と変化し、座席モケットも背もたれの人数区分柄が廃止された無地の青色モケットに更新されています。

再更新された画面はワイド化され左右が一体になったような仕様で同じく副都心線・有楽町線に乗り入れている東武50070系のLED表示器置き換えにも用いられているタイプです。写真は夜間の東横線〜みなとみらい線で完結する武蔵小杉行き急行運用で撮影しました。

長らく地下鉄直通運用の主力車両として運用された西武6000系ですが、今後は更に40000系の増備が進められることや、まだ構想の域を出ないものの特急車両001形Laviewの乗り入れ計画が存在し車両側も規格を合わせて設計されていること、また2030年代までに車両新製と他社車両の譲受で直流モーター車の全廃を打ち出している為、6000系の直通運用も遠くない内に見納めになると思われます。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一味違う8両編成、東京メトロ副都心線17000系80番台

2024年09月22日 | 首都圏の地下鉄

7000系置き換え用に登場した副都心線開通後では初となる17000系は、特急・急行主体の運用と有楽町線で使用される10両編成と副都心線系統専用で東急東横線内の各駅停車運用に対応する8両編成の2種類が製造されました。10両編成6本は日立製作所の製造ですが、8両編成は近畿車輛で製造されており、車体裾、前頭部スカートの処理や乗務員室扉形状・寸法、VVVFインバーター制御装置が異なっており微細ながら相違点があります。

東急東横線からの副都心線直通各停運用に充当される8両編成。東横線でも副都心線との直通運転開始を控え一部の駅で10両編成対応化を実施していますが各駅停車のみが止まる駅と、みなとみらい線新高島駅は8両にしか対応できず延長も困難なために副都心線系統に限り10・8連混用になりました。前者は2021年度内、後者は2022年度に出揃い長年の主力車両であった7000系の置き換えを完了させています。

走行機器はフルSiC-MOSFET素子を用いたVVVFインバーター制御とPSMS(永久磁石同期電動機)の組み合わせは共通ながら、10両編成の制御装置は三菱電機製(型式:MAP-214-15V335)、8両は日立製作所製(VFI-HR4420E)とされ、日立製は電機子チョッパ制御車を思わせる磁励音を発するのが大きな特徴となっています。

車内設備に関しては基本的に10両・8両ともに目立った違いは見受けられないですが、天井周りの造作(冷房装置ラインデリアの整風板の形状)に若干の違いがあります。

車内案内表示装置も三菱電機セサミクロによる17インチ液晶画面です。写真で見られる後続の特急・急行を途中で待ち合わせることを案内するのは各停ならではの表示です。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中部地方在来線の新しい主力車両、JR東海315系

2024年09月18日 | JR東海

2020年1月22日、JR東海は発足直後に国鉄時代の技術を改良し製造された211系5000・6000番台、213系5000番台、311系の置き換えのため、315系通勤型電車の製造・投入を発表しました。1999年に同社の標準形式として増備が続いた313系以来、23年振りに大量増備されることになる形式であり、日本車輌製造の次世代ステンレス車体・台車のブランドである「N-QUALIS(エヌ・クオリス)」を採用する初の車両となっています。現在は神領車両区と静岡車両区に配置され、中央本線・関西本線・東海道本線・武豊線の各線で運用入りしています。

中央本線で運用されている0番台8両固定編成。2022年3月5日より営業運転を開始し、同年3月12日からは愛知環状鉄道線瀬戸口まで直通運転を実施しています。2023年10月で長らく運用されていた211系5000番台は全廃、313系各番台は東海道本線へ転出し名古屋〜中津川間の普通・快速は全列車が315系で統一され、かつての211系と313系を組み合わせた多様な併結編成は見納めとなりました。

2022年12月22日には4両編成で車外監視カメラを設置した3000番台(C101・102編成)が登場し、投入が予定されている区間で試運転を実施の上、翌年6月1日から関西本線での運転開始、2024年3月15日から東海道本線・武豊線での運転と313系との併結運用も開始されています。また6月1日からは静岡車両区向けの半自動ドア機能を備えたU編成が配置され運用を開始し、写真のように313系2両編成を下り側に必ず併結する形で運転されています。

JR東海では211系5000番台以来となるオールロングシートの車内。座席は首都圏でお馴染みの人数区分がされた片持ち式で、「優しく安心感のある快適な移動空間」をコンセプトにバリアフリー機能やセキュリティ面の強化も行われています。走行機器は新幹線N700Sで実績のある装置を採用していますが、冷房装置にはAIを採用し制御の最適化を図り、液晶画面による車内案内表示器や電気式戸閉装置などJR東海の在来線車両としては初物尽くしで、特にAIによる空調制御は国内の鉄道車両で初の事例です。

17インチ液晶画面は行先・路線図案内用をドア上に1台設置。動画広告用が設けられていないのは需要の差でしょうか。ドアチャイムも鳴動しますが、こちらは313系と同じ音色が踏襲されました。

今後は身延線富士〜西富士宮間と御殿場線沼津〜御殿場間への進出や、閑散路線でのワンマン運転も予定されており、JR東海電化区間の在来線車両は大幅に整理されることになりそうです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

通勤対応型の静岡地区向けロングシート仕様車、JR東海313系2500番台

2024年09月16日 | JR東海

名古屋都市圏輸送に数多く使用されていた113系を始めとする国鉄型車両の置き換えを目的として1999年より製造され導入された313系は2000年度で一旦増備が終了し、静岡支社管内の東海道本線(熱海〜豊橋)は211系5000・6000番台がJR東海発足後から既に配置されてはいたものの、依然として113・115系が主力車両として使用されている状況でした。2006年に入り残存する両形式の置き換えのため、在来車から更なる改良を施した3次車の増備が決定し、このグループの東海道本線向けの編成では初となるオールロングシート仕様の2500・2600番台(3両編成)と2300・2350番台(2両編成)が登場しました。それまではボックス席であった113・115系に比べて車内空間が広くなり、短距離利用者が比較的多い静岡近郊区間の輸送サービスを改善しています。

清水駅付近を走行するT5編成(2500番台)。静岡支社管内ではトイレ設備が無い211系5000・6000番台との併結を基本としていましたが、興津〜島田間の列車では単独の3両編成運用も設定されている他、211系の廃車が進行した現在は313系同士による6両編成も見られるようになっています。

運用範囲は熱海〜豊橋間と御殿場〜沼津間ですが、列車密度の低い路線に対応するため発電ブレーキを搭載している2600番台については身延線や御殿場線の全区間の運用に対応しています。これらの増備と大垣車両区から転属して来た211系5000番台により長らく運用されていた113・115系と身延線区間列車用の123系が全廃となりました。

ロングシートで転換クロス・ボックスシートの他番台よりも車内空間が広くなり、通勤通学時間帯に威力を発揮するようになりました。扉間の長い座席には手すりが設置されていますが、座面から生えるように設けられた他では見られない形態が特徴的です。このレイアウトは一般型気動車のキハ25形2次車以降にも引き継がれました。

車内案内表示は0・1000番台以来の大型一行表示のLED表示です。ドアチャイムも設置されていますが、大垣車両区の東海道本線快速用5000番台と同じく若干音程が低く変更されました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする