町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

中部地方在来線の新しい主力車両、JR東海315系

2024年09月18日 | JR線

2020年1月22日、JR東海は発足直後に国鉄時代の技術を改良し製造された211系5000・6000番台、213系5000番台、311系の置き換えのため、315系通勤型電車の製造・投入を発表しました。1999年に同社の標準形式として増備が続いた313系以来、23年振りに大量増備されることになる形式であり、日本車輌製造の次世代ステンレス車体・台車のブランドである「N-QUALIS(エヌ・クオリス)」を採用する初の車両となっています。現在は神領車両区と静岡車両区に配置され、中央本線・関西本線・東海道本線・武豊線の各線で運用入りしています。

中央本線で運用されている0番台8両固定編成。2022年3月5日より営業運転を開始し、同年3月12日からは愛知環状鉄道線瀬戸口まで直通運転を実施しています。2023年10月で長らく運用されていた211系5000番台は全廃、313系各番台は東海道本線へ転出し名古屋〜中津川間の普通・快速は全列車が315系で統一され、かつての211系と313系を組み合わせた多様な併結編成は見納めとなりました。

2022年12月22日には4両編成で車外監視カメラを設置した3000番台(C101・102編成)が登場し、投入が予定されている区間で試運転を実施の上、翌年6月1日から関西本線での運転開始、2024年3月15日から東海道本線・武豊線での運転と313系との併結運用も開始されています。また6月1日からは静岡車両区向けの半自動ドア機能を備えたU編成が配置され運用を開始し、写真のように313系2両編成を下り側に必ず併結する形で運転されています。

JR東海では211系5000番台以来となるオールロングシートの車内。座席は首都圏でお馴染みの人数区分がされた片持ち式で、「優しく安心感のある快適な移動空間」をコンセプトにバリアフリー機能やセキュリティ面の強化も行われています。走行機器は新幹線N700Sで実績のある装置を採用していますが、冷房装置にはAIを採用し制御の最適化を図り、液晶画面による車内案内表示器や電気式戸閉装置などJR東海の在来線車両としては初物尽くしで、特にAIによる空調制御は国内の鉄道車両で初の事例です。

17インチ液晶画面は行先・路線図案内用をドア上に1台設置。動画広告用が設けられていないのは需要の差でしょうか。ドアチャイムも鳴動しますが、こちらは313系と同じ音色が踏襲されました。

今後は身延線富士〜西富士宮間と御殿場線沼津〜御殿場間への進出や、閑散路線でのワンマン運転も予定されており、JR東海電化区間の在来線車両は大幅に整理されることになりそうです。

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通勤対応型の静岡地区向けロングシート仕様車、JR東海313系2500番台

2024年09月16日 | JR線

名古屋都市圏輸送に数多く使用されていた113系を始めとする国鉄型車両の置き換えを目的として1999年より製造され導入された313系は2000年度で一旦増備が終了し、静岡支社管内の東海道本線(熱海〜豊橋)は211系5000・6000番台がJR東海発足後から既に配置されてはいたものの、依然として113・115系が主力車両として使用されている状況でした。2006年に入り残存する両形式の置き換えのため、在来車から更なる改良を施した3次車の増備が決定し、このグループの東海道本線向けの編成では初となるオールロングシート仕様の2500・2600番台(3両編成)と2300・2350番台(2両編成)が登場しました。それまではボックス席であった113・115系に比べて車内空間が広くなり、短距離利用者が比較的多い静岡近郊区間の輸送サービスを改善しています。

清水駅付近を走行するT5編成(2500番台)。静岡支社管内ではトイレ設備が無い211系5000・6000番台との併結を基本としていましたが、興津〜島田間の列車では単独の3両編成運用も設定されている他、211系の廃車が進行した現在は313系同士による6両編成も見られるようになっています。

運用範囲は熱海〜豊橋間と御殿場〜沼津間ですが、列車密度の低い路線に対応するため発電ブレーキを搭載している2600番台については身延線や御殿場線の全区間の運用に対応しています。これらの増備と大垣車両区から転属して来た211系5000番台により長らく運用されていた113・115系と身延線区間列車用の123系が全廃となりました。

ロングシートで転換クロス・ボックスシートの他番台よりも車内空間が広くなり、通勤通学時間帯に威力を発揮するようになりました。扉間の長い座席には手すりが設置されていますが、座面から生えるように設けられた他では見られない形態が特徴的です。このレイアウトは一般型気動車のキハ25形2次車以降にも引き継がれました。

車内案内表示は0・1000番台以来の大型一行表示のLED表示です。ドアチャイムも設置されていますが、大垣車両区の東海道本線快速用5000番台と同じく若干音程が低く変更されました。

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JR東日本・JR西日本で在来線車両の機器と部品を共通化へ

2024年07月09日 | JR線

2024年7月5日付けで、JR東日本と西日本はそれぞれ在来線車両の機器類や部品の共通化に向けて検討を行う旨の発表がされました。これは、物価の高騰や部品調達の困難な状況を受けてのもので、先ずは主電動機や行先表示器、集電装置などから共通仕様を導入し事業者毎の独自性や効率化を見ながら順次拡大していくとされています。1987年の国鉄分割民営化以来、独自の進化を遂げてきた東西のJR車両ですが、国鉄時代に先祖帰りするような動きを見せることになりました。

これまでJR東日本は209系・E217系電車の実績を基に通勤型と近郊型の分類を超えた一般型車両(新系列電車)のE231系を開発し、その後はE233系、E235系、また幹線ながら短編成が求められる線区向けにE131系を開発し首都圏近郊路線の内、中距離電車が走る区間もロングシートを主体とした4ドア化を推し進めました。

対してJR西日本では、国鉄から引き継いだ103系、205系が運用されていた阪和線、奈良線、関西本線にも3ドア・転換クロスシート・トイレ設備を備えた近郊型電車でこれらの置き換えを進め、大阪環状線も3ドア通勤型の323系(写真)を導入し、4ドア車が運転される路線はJR京都線・神戸線とJR宝塚線の一部区間、JR東西線、JR学研都市線など大幅に縮小されています。このように全く異なる環境ですが、どこまで共通化を進めるのかが気になるところ。

標準ガイドラインが制定されたこともあり、E231〜235系をベースにした車両は関東大手私鉄に瞬く間に普及し、中部地方や近畿地方でも既にこれらの部材・部品を採用した車両が登場していますが、今回の発表で更に踏み込んだ内容になります。

企業規模や経営体力から見て、JR東日本が主導になって進めるものと思われますが、需要が東京都心部程ではない地方交通線や郊外の幹線には西日本仕様を盛り込んだ車両が現れる可能性も出て来るわけで、今後開発される新型車にますます注目が集まります。筆者は4ドア車両が少数派になった西日本では10年以内には登場するであろう207系辺りの後継車にE235(あるいはE237?)ベースの車両をそのまま導入出来ればかなりの効率化になるのでは・・・などと想像していますが、これからの動きが色々と楽しみになりますね。

※写真は過去の記事より

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登場10周年を迎えたE233系6000番台・横浜線

2024年05月01日 | JR線

長きに渡り国鉄時代は首都圏に新型車を投入し、捻出される経年の浅い車両を周辺線区や地方電化路線に転用する手法が採られて来ました。横浜線もその一つで、かつては山手線などで活躍した73形や103系が回されており、車両のカラーも不揃いなまま運用されている姿が日常的に見られました。転機が訪れたのは分割民営化から1年が過ぎた1988年で、転用車から直接新型車を導入する方針に転換した為、ドア窓の寸法を拡大した独自の205系電車が導入され大幅なサービス改善が行われました。

その205系も、近年のJR東日本の施策で新車に更新されることとなり、2014年2月から写真のE233系6000番台によって僅か半年で置き換えられました。車体の幅を拡大したことから定員が1割増加し、輸送力増強も同時に実現しています。今年で登場から早くも10年目を迎え、現在はATO関連機器や非常用梯子の設置などワンマン運転への準備工事が進んでいます。

横浜線の特徴として、正面と帯に「YOKOHAMA LINE」のロゴと葉のマークを掲出していますが、JR東日本の通勤電車でオリジナルロゴが配されるのは初のケースでした。葉のマークは沿線の神奈川県横浜市・相模原市・東京都町田市の市の木に指定されている欅の葉をモチーフにしているそうです。

車内の座席はラインカラーと同じ緑系ですが、これは東神奈川駅で同一ホームに発着し、直通運転を行う京浜東北・根岸線の同系列との識別も兼ねています。座席以外はほぼ他路線向けと同一ですね。

車内案内表示は首都圏で御馴染みの17インチワイド液晶画面ですが、製造メーカーは日立でドアチャイムの音程が京浜東北線・根岸線用とは異なる他、戸閉装置もリニアモータ式を採用しました。分類としては通勤型で尚且つ同一線区を走行しながら、何故このような違いがあるのか謎です・・・。

2020年7月には横浜線と京浜東北・根岸線向けにワンマン運転対応のE235系を導入し捻出したE233系を他路線に転用する計画が報道されていましたが、前述のようにワンマン改造工事が2022年から施工されるようになった為、中止は確定しE233系の継続使用の方針になったようです。さすがにコロナ禍と半導体不足の影響下で1000両以上の新造車を導入するのは無理があったようですね。

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古都から空の玄関口を結んで30周年、JR西日本281系「はるか」

2024年04月15日 | JR線

1994年9月4日、大阪湾内に完全人工島からなる世界初の海上空港である関西空港が開港しました。東京(千葉県)の成田空港と共に国際線の発着回数が国内線を上回り、西日本に於ける国際拠点空港とされています。空港までの鉄道によるアクセスは、JR西日本と南海電気鉄道が乗り入れを行なっており、JR西日本は281系電車を登場させ京都・新大阪より関西空港に至る特急列車「はるか」を運転しています。開港と同日に運用を開始し、本年で30周年を迎えることになりました。

9両編成(後部3両は271系)で運転される京都行き「はるか」の281系。S字型の独特な曲線を描く前頭部が特徴で、空に輝く雲をイメージしたシャイニングホワイトの車体に、肩部には無限に広がる宇宙のコスモグレー、裾部は成層圏のストラトブルーを配し、柔らかい印象を与えるデザインで、1994年度グッドデザイン賞とブルネル賞を受賞しました。登場直後は5両編成でしたが、乗車率の高さから1年経たずにサハ281を新造し6両化されています。制御装置は同時期に登場した223系0番台・207系1000番台同様のVVVFインバーター制御を採用し、機器更新も実施されていない為登場以来のGTOサイリスタによる大きな磁励音を耳にすることが出来る数少ない形式になりました。

2019年からはサンリオとのコラボレーションでハローキティのラッピングが施されるようになり、基本6両編成は「Butterfly」「Ori-Tsuru」「Kanzashi」、増結用3両編成と271系は「Ougi」のデザインが施されました。車内や座席の枕カバーにも装飾が施されています。海外でも知名度が高いキャラクターのラッピングは好評を博していますが、ライセンス契約の終了の為か本年より順次元の姿に復元されることが明言されています。

ツートンベージュの座席が並ぶ普通車の車内。通常編成では無地の黄色の枕カバーですがハローキティラッピング編成は、ベージュに近い色のイラストがプリントされたものに交換されている為、オリジナルのカバーより統一感があります。乗車時間が特急列車にしては短いので、リクライニング角度は若干浅めに設定されています。

2列+1列配置のグリーン車車内。大型化され枕が設置されたオーソドックスな座席で、テーブルは普通車同様に肘掛け部分に収納されフットレストは欧米からの利用者を意識したのかバータイプのものが設置されています。

2020年度の新型コロナウイルス感染拡大により271系と共に3両編成は全て運用を離脱する憂き目に遭いましたが、2023年からは水際対策緩和による利用者増加で再び9両編成に戻され、全車両が安定して現在も活躍していますが、2018年には2024年〜2027年に新型車を投入し置き換える計画についても存在していたことがあり増結用の271系についても将来的には281系の置き換えの為に6両編成の組成も視野に入れられていることから、なにわ筋線開通時期と合わせていつまで活躍できるかが気になるところです。

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