2024年7月5日付けで、JR東日本と西日本はそれぞれ在来線車両の機器類や部品の共通化に向けて検討を行う旨の発表がされました。これは、物価の高騰や部品調達の困難な状況を受けてのもので、先ずは主電動機や行先表示器、集電装置などから共通仕様を導入し事業者毎の独自性や効率化を見ながら順次拡大していくとされています。1987年の国鉄分割民営化以来、独自の進化を遂げてきた東西のJR車両ですが、国鉄時代に先祖帰りするような動きを見せることになりました。
これまでJR東日本は209系・E217系電車の実績を基に通勤型と近郊型の分類を超えた一般型車両(新系列電車)のE231系を開発し、その後はE233系、E235系、また幹線ながら短編成が求められる線区向けにE131系を開発し首都圏近郊路線の内、中距離電車が走る区間もロングシートを主体とした4ドア化を推し進めました。
対してJR西日本では、国鉄から引き継いだ103系、205系が運用されていた阪和線、奈良線、関西本線にも3ドア・転換クロスシート・トイレ設備を備えた近郊型電車でこれらの置き換えを進め、大阪環状線も3ドア通勤型の323系(写真)を導入し、4ドア車が運転される路線はJR京都線・神戸線とJR宝塚線の一部区間、JR東西線、JR学研都市線など大幅に縮小されています。このように全く異なる環境ですが、どこまで共通化を進めるのかが気になるところ。
標準ガイドラインが制定されたこともあり、E231〜235系をベースにした車両は関東大手私鉄に瞬く間に普及し、中部地方や近畿地方でも既にこれらの部材・部品を採用した車両が登場していますが、今回の発表で更に踏み込んだ内容になります。
企業規模や経営体力から見て、JR東日本が主導になって進めるものと思われますが、需要が東京都心部程ではない地方交通線や郊外の幹線には西日本仕様を盛り込んだ車両が現れる可能性も出て来るわけで、今後開発される新型車にますます注目が集まります。筆者は4ドア車両が少数派になった西日本では10年以内には登場するであろう207系辺りの後継車にE235(あるいはE237?)ベースの車両をそのまま導入出来ればかなりの効率化になるのでは・・・などと想像していますが、これからの動きが色々と楽しみになりますね。
※写真は過去の記事より