町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

JR東日本・JR西日本で在来線車両の機器と部品を共通化へ

2024年07月09日 | JR東日本

2024年7月5日付けで、JR東日本と西日本はそれぞれ在来線車両の機器類や部品の共通化に向けて検討を行う旨の発表がされました。これは、物価の高騰や部品調達の困難な状況を受けてのもので、先ずは主電動機や行先表示器、集電装置などから共通仕様を導入し事業者毎の独自性や効率化を見ながら順次拡大していくとされています。1987年の国鉄分割民営化以来、独自の進化を遂げてきた東西のJR車両ですが、国鉄時代に先祖帰りするような動きを見せることになりました。

これまでJR東日本は209系・E217系電車の実績を基に通勤型と近郊型の分類を超えた一般型車両(新系列電車)のE231系を開発し、その後はE233系、E235系、また幹線ながら短編成が求められる線区向けにE131系を開発し首都圏近郊路線の内、中距離電車が走る区間もロングシートを主体とした4ドア化を推し進めました。

対してJR西日本では、国鉄から引き継いだ103系、205系が運用されていた阪和線、奈良線、関西本線にも3ドア・転換クロスシート・トイレ設備を備えた近郊型電車でこれらの置き換えを進め、大阪環状線も3ドア通勤型の323系(写真)を導入し、4ドア車が運転される路線はJR京都線・神戸線とJR宝塚線の一部区間、JR東西線、JR学研都市線など大幅に縮小されています。このように全く異なる環境ですが、どこまで共通化を進めるのかが気になるところ。

標準ガイドラインが制定されたこともあり、E231〜235系をベースにした車両は関東大手私鉄に瞬く間に普及し、中部地方や近畿地方でも既にこれらの部材・部品を採用した車両が登場していますが、今回の発表で更に踏み込んだ内容になります。

企業規模や経営体力から見て、JR東日本が主導になって進めるものと思われますが、需要が東京都心部程ではない地方交通線や郊外の幹線には西日本仕様を盛り込んだ車両が現れる可能性も出て来るわけで、今後開発される新型車にますます注目が集まります。筆者は4ドア車両が少数派になった西日本では10年以内には登場するであろう207系辺りの後継車にE235(あるいはE237?)ベースの車両をそのまま導入出来ればかなりの効率化になるのでは・・・などと想像していますが、これからの動きが色々と楽しみになりますね。

※写真は過去の記事より

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登場10周年を迎えたE233系6000番台・横浜線

2024年05月01日 | JR東日本

長きに渡り国鉄時代は首都圏に新型車を投入し、捻出される経年の浅い車両を周辺線区や地方電化路線に転用する手法が採られて来ました。横浜線もその一つで、かつては山手線などで活躍した73形や103系が回されており、車両のカラーも不揃いなまま運用されている姿が日常的に見られました。転機が訪れたのは分割民営化から1年が過ぎた1988年で、転用車から直接新型車を導入する方針に転換した為、ドア窓の寸法を拡大した独自の205系電車が導入され大幅なサービス改善が行われました。

その205系も、近年のJR東日本の施策で新車に更新されることとなり、2014年2月から写真のE233系6000番台によって僅か半年で置き換えられました。車体の幅を拡大したことから定員が1割増加し、輸送力増強も同時に実現しています。今年で登場から早くも10年目を迎え、現在はATO関連機器や非常用梯子の設置などワンマン運転への準備工事が進んでいます。

横浜線の特徴として、正面と帯に「YOKOHAMA LINE」のロゴと葉のマークを掲出していますが、JR東日本の通勤電車でオリジナルロゴが配されるのは初のケースでした。葉のマークは沿線の神奈川県横浜市・相模原市・東京都町田市の市の木に指定されている欅の葉をモチーフにしているそうです。

車内の座席はラインカラーと同じ緑系ですが、これは東神奈川駅で同一ホームに発着し、直通運転を行う京浜東北・根岸線の同系列との識別も兼ねています。座席以外はほぼ他路線向けと同一ですね。

車内案内表示は首都圏で御馴染みの17インチワイド液晶画面ですが、製造メーカーは日立でドアチャイムの音程が京浜東北線・根岸線用とは異なる他、戸閉装置もリニアモータ式を採用しました。分類としては通勤型で尚且つ同一線区を走行しながら、何故このような違いがあるのか謎です・・・。

2020年7月には横浜線と京浜東北・根岸線向けにワンマン運転対応のE235系を導入し捻出したE233系を他路線に転用する計画が報道されていましたが、前述のようにワンマン改造工事が2022年から施工されるようになった為、中止は確定しE233系の継続使用の方針になったようです。さすがにコロナ禍と半導体不足の影響下で1000両以上の新造車を導入するのは無理があったようですね。

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京浜工業地帯のニューフェイス、JR東日本E131系1000番台・鶴見線

2024年04月03日 | JR東日本

京浜工業地帯の通勤路線として機能する鶴見線は2004年以来、山手線・埼京線からの転属車に先頭車化改造を施した205系1100番台3両編成により運転されて来ました。編成両数が奇数である為、中間車の改造や先頭車の電装化を行わない新系列電車の転用はできないことから後継車に注目が集まっていましたが、2023年7月23日に横浜支社からのプレスリリースでE131系(1000番台)を8編成24両新造し導入することが発表され、同年12月24日から営業運転を開始しました。国有化からJR東日本発足後以来、鶴見線は首都圏他線区からの転用車で賄われており、前身となる鶴見臨港鉄道以来実に80年振りの完全な新型車でもあります。

JR東日本の新系列電車はE231系以来、2950mm幅で裾を絞った車体を基本としていますが、鶴見線は車両限界が小さい箇所が点在することから2778mmのストレート車体で設計され、地下鉄乗り入れ対応車両のような外観になり正面は貫通式前面風のデザインですが、実際は非貫通全室運転台構造になっているのも特徴的です。カラーリングは海をイメージしたスカイブルーと、1980年の101系転入時より同線のラインカラーとされるイエローの構成で、正面のドット模様は過去に活躍した車両のカラーリングで歴史を表現しています。

国有化以降は長らく首都圏で使用された旧性能電車が配置され、平成に入ってからも17m車体に両運転台のクモハ12が大川支線用に残存するなど、工業地帯の特異な沿線環境から人気を集める一方で車両面は近代化から常に2〜3世代遅れている印象があった鶴見線ですが、今回のE131系登場で一気に若返りを果たしました。

ストレート車体であることに加えて久々にステンレス無塗装仕上げのドアが採用され、都営交通か私鉄の新型車のような印象を受ける車内。非貫通構造の乗務員室になっていることから仕切り扉も引き戸から通常の外開き式に改められています。使用する機会は殆ど無いと思いますが、他番台と共通化されている為か半自動ドア扱いを可能にしており、ドアボタンも備えられています。

車内案内表示装置は17インチ液晶画面を1台設置しており、表示内容は鶴見〜扇町間は赤、海芝浦支線は青、大川支線は黄色と色分けして表示されています。こちらも鶴見線では初採用の設備になりました。

鶴見線初の新型車として運用を開始したE131系は、これまでの形式と違い相当な長期間活躍することと思いきや、将来的には他線区に転用することを考慮して寒冷地での運用を想定した霜取りパンタグラフ増設の準備工事が実施されていることが明言されており、加えてJR東日本では2030年頃の実用化を目指して水素電車を開発中で鶴見線と南武支線で試験を繰り返している点からも、実用化が決まればこの2線区に導入することを想定しているように思われ、E131系の活躍は意外にそれほど長くないのかも知れません。

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東京湾岸で活躍する快速ランナー・JR東日本E233系5000番台

2024年03月05日 | JR東日本

京葉線では暫定開業以来、主に京浜東北線と横浜線からの転入車である103系と1990年の東京延伸以来、正面形状をオリジナルスタイルとした205系が長らく主力として運用されていました。その後、E231系の登場で中央総武緩行線から201系、また同線と山手線からは205系、更にE233系により置き換えられた209系500番台が転入しますが、都心部に乗り入れる主要路線の中で新系列電車による置き換えが進む中、京葉線は連接車体の試作車であるE331系が2007年3月18日に1編成が運用を開始したのみで、他線区からの転属車が主力となる状況が続いていました。

2009年、遂にE233系の導入が発表され翌年2010年7月1日より運転を開始しました。京葉線向けの仕様は5000番台に区分され、カラーリングは205系同様にワインレッドとされています。本形式の導入により201系とE331系は廃車、209系500番台は1編成を残して武蔵野線に転属、205系は一部廃車と日光線・宇都宮線向けに4両化の上で転出、並びに富士急行向けに6000系として改造され譲渡が実施されました。

当初の計画では250両が新造される予定でしたが、実際に登場したのは240両で、1編成のみ残された209系500番台と共に共通運用されており、朝夕は分割可能編成が外房線勝浦と内房線上総湊、東金線大網〜成東間までロングランする他、間合いで内房線内完結運用も設定され、千葉駅へも乗り入れを行なっています。

車内設備は比較的長距離で駅と駅の間隔が離れている閑散路線にも乗り入れますが、分割編成も含めて全車両トイレ無し、ロングシートとこれまで運用していた201・205系の仕様が踏襲されました。半自動ドアも設定されませんでしたが、3/4閉機能が設置されており内房線・外房線・東金線での長時間停車時に使用されることがあります。

車内案内表示器は1000・2000番台に続き17インチ液晶画面を採用し、本番台ではモバイルWiMAXを採用し、旅客向けの路線情報を表示する画面は2000番台の新デザインに準拠しています。

ところで、京葉線といえば2024年3月16日のダイヤ改正で朝夕通勤時間帯の快速を全便各停に変更の上で新木場〜蘇我間無停車の通勤快速の廃止を打ち出し、千葉市長や千葉県知事を始め千葉県財界からも反発の声が上がっている事が全国的なニュースで取り上げられましたが、反発を受けて朝通勤時間の快速の運転を継続する極めて異例の対応が為されるなど、何かと話題を集めています。遂には国会でも言及され国土交通大臣の斉藤鉄夫氏が「ダイヤ設定には地元自治体などとコミュニケーションをとるよう、鉄道事業者に指導している」と答弁しましたが今後のダイヤ改正で、どの程度沿線自治体の声が反映されるか注目されるところです。

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登場から30年余を数える“Boso View Express”JR東日本255系

2024年03月03日 | JR東日本

千葉県房総半島に至る内房線・外房線方面と東京を結ぶ特急列車には国鉄時代の1972年以来183系電車を充当していましたが、平成時代に入り登場から20年以上が経過すると老朽化・陳腐化で置き換えが視野に入るようになりました。折しも同時期には東関東自動車道延伸と東京湾横断道路(現在の東京湾アクアライン)着工など高速道路網が相次いで整備されていた為、マイカーや高速バスへの競争力強化と房総特急のイメージアップを目的として255系が登場することとなりました。JR東日本発足後の特急電車として初のVVVFインバーター制御を採用し、当時の通商産業省(現・経済産業省)のグッドデザイン商品に選定されるなど意欲的な設計が評価された車両ですが、登場から30年以上が経過し、JR東日本の特急車としてはかなりの古参の領域に達しています。 

京葉線内の海沿いの高架線を行く255系。観光特急らしく拡大された窓とビビットなカラーリングが目を引きますが、ホワイト部分は夏のビーチ、ブルーは深みのある太平洋、イエローは太陽の光と房総半島に広がる菜の花畑をイメージしており、ブルーとイエローは同じ地区で運用される普通列車(209系)の帯色に採用されました。

登場時は保安装置の関係で京葉線経由の列車に限定運用されていましたが、2004年度に横須賀線・総武線快速の品川〜錦糸町間の地下区間がATCからATS-Pに切り替えられ、総武本線の運用にも保安装置の改造無しで対応できるようになっています。首都圏の電車では比較的珍しく東芝製GTOサイリスタによるVVVFインバーター制御を搭載していた為、起動・停止時には独特の磁励音を耳にすることが出来ましたが、2014〜2016年度に掛けてIGBTによる新インバーター制御装置に換装されています。

普通車の車内。座席は255系用に新規設計され、シートピッチは970ミリを確保しています。観光需要の多さを踏まえて4人向かい合わせ時でも使用可能なインアームテーブルを肘掛けに収納し、これはグリーン車でも採用されました。

グリーン車車内。普通車よりもゆとりを持たせる為にシートピッチを1160ミリとしています。観光のみならず旺盛な遠距離通勤需要にも応えるため、本形式以降はグリーン車の車内設備も2人掛け+2人掛けの配列が基本とされるようになっています。

来る2024年3月ダイヤ改正では、これまで成田エクスプレス専用車であったE259系を房総方面各列車に転用し、255系は引退かと思われましたが、実際のプレスリリースでは続投を示唆する記述がありました。今後どれくらいの期間運用に入るのか注目ですね。

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