町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

栃木県内のローカル輸送を担うJR東日本E131系600番台(日光線・宇都宮線)

2025年03月01日 | JR東日本

宇都宮線(東北本線)宇都宮〜黒磯間と日光線では2013年より京葉線・埼京線で運用されていた205系0番台を寒冷地向けに改造した600番台の転属により、それまで運用されていた211系1000・3000番台と107系が置き換えられました。しかし205系も登場から30年近く経過し老朽化が目立ち始めたことや省力化の一環でワンマン運転を実施するため、千葉支社管内に導入されたE131系0番台をベースに耐寒耐雪仕様の3両編成としたE131系600番台が導入されることになり、2021年6月21日に公式発表、同年8月19日には小山車両センターにて報道公開が実施されました。営業開始は2022年3月12日のことで、同時に上野東京ラインのグリーン車連結編成による黒磯乗り入れが廃止され運転系統を宇都宮で分離し、日光線と共にワンマン運転を開始しています。

日光線普通列車で運用中のE131系600番台。中間車であるモハE131の登場は本番台が初で、このモハは上り方(宇都宮線基準で宇都宮寄り)台車にのみ主電動機を搭載する0.5M方式を取り電動車比率を1:1としています。列車密度が低く、寒冷地で勾配が続く日光線に対応するため、ドアレールヒーターやセラジェット噴射装置とブレーキチョッパ装置、ブレーキ抵抗器にクモハE131には霜取り用パンタグラフを搭載しており他番台に比べて物々しい雰囲気になりました。帯の茶色と黄色の組み合わせは宇都宮市の火焔太鼓の山車、日光市に点在する社寺の高級感をイメージしています。

宇都宮線では朝の通勤通学時間帯に6両編成で運用される列車も設定されていますが、日光線では定期の全列車が3両のため、205系600番台の4両から1両減車になったことで混雑が悪化し沿線の学生の積み残しが発生したため問題視されたことがありました。これを受けて2025年3月ダイヤ改正より宇都宮〜鹿沼間の列車を増発が予定されています。

車内は観光路線を走行しますが通勤時間の混雑に対応するため横須賀線・総武線快速用のE235系に近いロングシート仕様とされ、茶色と僅かに黄色味を帯びた薄紅色を組み合わせた本形式初の暖色系になりました。クハE130には車椅子対応大型トイレを設置しています。

車内案内表示装置は他線区向け番台と同じく17インチ液晶画面1台を千鳥に配置しています。205系600番台では日光線観光列車「いろは」に改造された編成を除いてドアチャイムのみの設置だったため、ここだけは改善された箇所といえます。

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通勤電車最長の編成で活躍するJR東日本E231系0番台(常磐線快速・成田線)

2025年02月09日 | JR東日本

常磐線の直流電化区間である上野〜取手間で運転される快速列車には国鉄時代の1967年以来103系電車が主力として用いられ、JR東日本発足後の1987年からは10両+5両を併結した通勤型電車では最長となる15両編成での運転も開始されました。これらの置き換えのため、中央・総武緩行線に次いでE231系0番台が増備されることになり2002年3月3日より運転を開始しました。中央・総武緩行線向け車両の仕様を基本としながらも分割・併合に対応する機能や旅客へのサービス向上対策でVIS(情報提供装置)とJR東日本の通勤車両ではワンマン列車を除いて自動放送装置が搭載されるなど、機器類は更に進歩しています。

白い前頭部マスクにエメラルドグリーンとウグイスの二色の帯を巻いていますが、当初は103系のカラーを引き継いだエメラルドグリーン単色でした。しかし千代田線と直通する常磐緩行線との違いを出すため営業運転開始直前にウグイスの細い帯が加えられています。現在のJR線で全車両が普通車の通勤車で15両運転を行うのはこの常磐線快速のみとなっています。2015年には上野東京ラインの開通に伴い、朝夕通勤時間帯に東海道本線の品川まで乗り入れる運用も設定されました。

10両基本編成の取手側と5両編成の両側先頭車には自動分併装置が搭載されており、常磐線の15両の他に成田線の我孫子支線では10両編成・5両編成がそれぞれ単独での運用の他に5両編成2本を併結した10両が見られます。行先表示器には行先駅名のみを表示している仕様でしたが、上野東京ライン開通による品川までの運転区間拡大を受けて路線名と行先駅名を交互に表示するように改修されています。また2007年よりスカートを尖った大型のものに交換したため、登場時に比べて正面の印象が変化しました。現在は前照灯のLED化が進行していますが、こちらは相模線から引退し廃車になった205系500番台の流用品だそうです。

車内はロングシートで中央・総武緩行線向けと同様ながら、暖房器を斜め吊り構造にすることで、暖房効果を高めている他、車端部の荷物棚を僅かに延長するなど微細な見直しが図られています。ドアは半自動機能はありませんが、折り返し待ちや待避などで長時間停車することもあるため、「3/4閉」機能が乗務員室のドアスイッチに追加され、3箇所のドアを締め切ることが可能になっており後年追加されたドア注意ステッカーの車外側にも案内があります。

0番台ながら乗客視点で一番違うのがこのLED2段表示を可能にした車内案内表示装置で、次の停車駅や乗り換え案内、開く扉の方向や運行情報などを表示し情報量が大きく向上しました。この設備は1000番台国府津車両センター配置分と2007年度の小山車両センター向け増備車にも採用されますが、常磐線快速では始発駅で主な駅への所要時間も表示している他、下の段に表示する案内の文面が他線区では「この電車は、〇〇線です」に対し「この電車は快速〇〇行きです」と表示するなど色々他線区とは違いが見受けられます。

早いもので初登場から23年目を数えますが、現在はVVVFインバーター制御装置も更新が完了しサービス面でも遜色ないことから、まだまだ長い期間活躍しそうです。

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海から山へと転じたJR東日本211系・長野車

2024年12月21日 | JR東日本

東北本線(宇都宮線)・高崎線で長らく活躍していた211系1000・3000番台は、上野発着の列車をグリーン車連結編成で統一するため、E231系1000番台をに追加で増備し一部編成が幕張車両センターへ転出し2006年3月から千葉以東の区間の普通列車で運用されるようになりました。しかし短期間で京浜東北線から転入の209系に置き換えられ、2013年3月16日ダイヤ改正で高崎車両センター配置の編成と共に3両編成化の上で長野支社長野総合車両センターへと転用され大糸線から運用を開始。翌年2014年3月以降は中央本線・篠ノ井線・信越本線と飯田線に運用範囲を拡大しています。2011年からは、上野東京ラインの開通を控えて2007年以来停止していたE233系3000番台の増備が再開され、東海道本線用の0・2000番台とグリーン車を組み込んだ3000番台の本格的な置き換えが開始され、置き換えられた編成は3000番台が長野・高崎支社へ、0・1000・2000番台は長野へと転出し経年の高い115系の置き換えを完了させました。現在は置き換え計画がまだ先延ばしになるようで1000・3000番台に通風器を撤去する延命工事が実施されています。

JR東日本管内の中央本線普通列車の主力になっている211系6両固定編成。写真は東海道本線から転属して来た編成で暖地向け仕様でしたが転用に当たり付随車のサハ・サロを廃車としドアの半自動対応化や暖房装置の増強、スノープロウ一体型スカートへの換装などを実施しています。6両編成については通風器撤去や屋根周り修繕などの延命工事は施工されておらず、今後の動向が気になるところです。

3両編成で単独または2本併結の6両と柔軟な運用に就く1000番台。3000番台とは特に区別なく使用され、中央本線では東京都の立川から岐阜県の中津川までの他、定期列車で写真のように富士急行線への直通運転を毎日行うなど非常に幅広い運用が見られます。こちらは延命工事が順次施工され、今しばらくはその姿を見れそうです。

ボックスシートが並ぶ0・1000番台車内。観光需要や乗車時間が比較的長いことを考えてか、セミクロスシート仕様の両番台は全て長野総合車両センター向けに転用されました。シートモケット交換は転出前に施工されイメージを変えています。

通勤通学対応で東海道本線向け2000番台付属編成で初めて採用され、3000番台にも及んだロングシート仕様の車内。ラッシュ時間帯は効果を発揮しますが、車内が広い分冬季は寒くなりがちなのが難点です。それでも115系に比べると乗り心地は改善されました。

今後は中央本線の立川〜高尾間にはホームドア設置計画が存在し、それを踏まえてか幕張車両センターのE131系が遥々遠征して試運転を実施しました。これは、近い内の211系置き換えによる立川〜大月間の4ドア車統一を視野に入れていることが予想されます。211系自体も東海道本線からの転用車は経年40年が見えており、本格的に引退が始まるのも遠くなさそうなので今のうちに楽しんでおきたいですね。

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JR東日本中央線快速用E233系、グリーン車連結編成が続々営業運転入り

2024年11月18日 | JR東日本

東京三多摩地域から東京都心部を直結するJR東日本の中央線快速電車では、2006年度よりE233系が初めて導入され全車両がロングシート・トイレ設備無しの10両固定編成(T編成)と6両+4両分割対応のH編成の2種類で運用されていました。2004年以降から首都圏の中距離路線である高崎線・宇都宮線・常磐線などにもグリーン車サービスを順次拡大し、国鉄時代から東海道線・横須賀線・総武線快速にはグリーン車が連結されていたため、今日の首都圏に於いて唯一中央線快速は主要幹線でモノクラスの通勤仕様車のみが運用される路線となっていました。しかし、2015年2月4日のニュースリリースでグリーン車サービスを東京〜大月間と直通運転を行う青梅線立川〜青梅間に導入することが発表され、同時に導入区間の駅ホームを始めとした地上設備を12両編成対応とすることが明らかになりました。2018年4月3日にはトイレ設備の新設と、2023年度末からのサービス開始とより具体的な発表がされますが2022年度には世界的な半導体不足により車両製造スケジュールに遅れが見込まれるため1年程度の延期とされてしまいます(車両自体は2022年7月にサロE233-1+サロE232-1が初めて落成)。その後は各線での試運転を経て実に2年後の2024年10月13日より、来年3月ダイヤ改正まで普通車扱いで営業運転を開始しました。

8両+4両の12両編成となったE233系0番台H57編成。2007年度に旧東急車輛で製造され、前述のサロE233+E232のトップナンバー2両はこの編成に組み込まれました。トイレ新設工事は長野総合車両センターで2021年度にモハE233-257に施工され、同時にモハE233-857へ改番されている他、モハE232-257にはSC86型補助電源装置が設置されました。サロ組み込み直後となる2022年7月22日には8両編成で豊田〜国府津間で本線試運転を初めて実施し、普段の入線は有り得ない山手貨物線・東海道貨物線を走行したことで大きな注目を浴びたのは特筆されます。

まだグリーン車が連結されず10両編成を示すボードを正面に掲出しているT1編成。段階的に増結を実施するため10両と12両の混在は避けられないことから、モノクラス10両編成にはこのようなボードが掲げられるようになりました。社員お手製らしく、デザインは複数種確認されています。ちなみに余談ですがT編成は固定編成のため、グリーン車が連結されることにより山手線、横須賀・総武線のE235系11両を上回り、単独の固定編成では最長の12両貫通編成となります。

営業運転を開始したグリーン車の(2階席)車内。基本的に内装は横須賀・総武線快速向けのE235系サロと類似した雰囲気に。普通車扱いでの営業入りなので枕カバーは省略された状態です。この中央線向けサロでの大きな特徴は、グリーン車ながら乗降時間短縮のため普通車同様に両開き扉を備え、それに伴い窓配置や車端部の座席配置が見直されている点です。2階建て車両で両開き扉といえば、かつて常磐線に1両だけ試作されたクハ415-1901が思い出されますが、車種は違うとはいえ久々に採用された格好ですね。

車椅子対応トイレ設備が新設された普通車車内。H編成ではモハに設置され改番が発生しましたが、10両固定編成のT編成では6号車に連結されていたサハE233-500に設置の上で4・5号車のモハユニットと位置を入れ替える工事が発生しました。初めて改造を受けたのはT37編成で、2019年5月13日に出場しています。比較的停車駅が少ない中央特快の運用や、列車本数が減少し駅間距離も長くなる高尾〜大月間への乗り入れが存在するので、ありがたい変化といえるでしょう。

2025年3月改正までは無料の普通車扱いということで連日大盛況のようですが、今後もグリーン車連結編成は更に増加し狙って乗るのも容易になるでしょうから、是非一度は乗り心地を体感してみてはいかがでしょうか?

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JR東日本・JR西日本で在来線車両の機器と部品を共通化へ

2024年07月09日 | JR東日本

2024年7月5日付けで、JR東日本と西日本はそれぞれ在来線車両の機器類や部品の共通化に向けて検討を行う旨の発表がされました。これは、物価の高騰や部品調達の困難な状況を受けてのもので、先ずは主電動機や行先表示器、集電装置などから共通仕様を導入し事業者毎の独自性や効率化を見ながら順次拡大していくとされています。1987年の国鉄分割民営化以来、独自の進化を遂げてきた東西のJR車両ですが、国鉄時代に先祖帰りするような動きを見せることになりました。

これまでJR東日本は209系・E217系電車の実績を基に通勤型と近郊型の分類を超えた一般型車両(新系列電車)のE231系を開発し、その後はE233系、E235系、また幹線ながら短編成が求められる線区向けにE131系を開発し首都圏近郊路線の内、中距離電車が走る区間もロングシートを主体とした4ドア化を推し進めました。

対してJR西日本では、国鉄から引き継いだ103系、205系が運用されていた阪和線、奈良線、関西本線にも3ドア・転換クロスシート・トイレ設備を備えた近郊型電車でこれらの置き換えを進め、大阪環状線も3ドア通勤型の323系(写真)を導入し、4ドア車が運転される路線はJR京都線・神戸線とJR宝塚線の一部区間、JR東西線、JR学研都市線など大幅に縮小されています。このように全く異なる環境ですが、どこまで共通化を進めるのかが気になるところ。

標準ガイドラインが制定されたこともあり、E231〜235系をベースにした車両は関東大手私鉄に瞬く間に普及し、中部地方や近畿地方でも既にこれらの部材・部品を採用した車両が登場していますが、今回の発表で更に踏み込んだ内容になります。

企業規模や経営体力から見て、JR東日本が主導になって進めるものと思われますが、需要が東京都心部程ではない地方交通線や郊外の幹線には西日本仕様を盛り込んだ車両が現れる可能性も出て来るわけで、今後開発される新型車にますます注目が集まります。筆者は4ドア車両が少数派になった西日本では10年以内には登場するであろう207系辺りの後継車にE235(あるいはE237?)ベースの車両をそのまま導入出来ればかなりの効率化になるのでは・・・などと想像していますが、これからの動きが色々と楽しみになりますね。

※写真は過去の記事より

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