2015年より大規模なリニューアル工事が施工され、新開発のフルSiC(炭化ケイ素)適用VVVFインバータ制御を搭載し鉄道車両世界初の栄誉を授かった小田急の1000形ですが、気づけば最初の施工車である1066Fが登場して以来5年の歳月が経過してしまいました。その後、2016年には1255F6両+1055F4両に中間車化改造を施し新たに10両固定編成化した1095Fが登場、同じ改造内容で元1252F+1052Fの1096Fが加わりました。しかし、この後のリニューアル施工は4両編成と新製時から10両固定編成だった1091F・1093F・1094Fに施工されるのみで、残りの分割可能編成の固定編成化は止まってしまっているのが現状です。
2019年度にリニューアル工事を施工された1094F。中間車に構体の接合部が無い為、新製時からの10両固定編成であることが伺えます。工事メニューは他編成と同一なようで、目立つ変化は見られません。
上の1094Fと共に、元地下鉄対応編成だった1063F4両編成。この編成は比較的早く2016年に施工され、同年の海老名検車区のファミリー鉄道展にも展示されました。電連を2段に増設した為、物々しいスカート周りが特徴です。
4両編成のリニューアル車は10両編成を組成する際に必ず3000形の後期型6両編成(TIOS搭載車と連結するようになっており、初期の1・2次車や8000形6両編成との連結は行いません。両者を見比べると、世代によるステンレス車体の構造の違いが際立ちます。
既に技術が確立していることもあってか、走行機器と共に前回紹介した車両と車内設備は基本的に同じ仕上がりです。新型車と比較しても遜色無い水準ですが、工事のペースが上がらないのは手を掛け過ぎているのも要因かも知れないですね。
固定編成を優先している状況を見るに、次回の工事は未リニューアル施工で残る1092Fと唯一の8両固定編成である1081Fが有力候補かと思いますが、その他の編成は果たして10両固定編成化改造が再び施工される様になるのか、非常に気になる点です。以前の8000形の更新は実に2002年から2013年まで、11年の歳月を費やしており1000形も同じような道筋になるのかも知れないですが、既に経年32年という事から、6両と一部4両のリニューアルを中止して5000形で置き換え、廃車にする・・・などという方向に計画が変わらない事を強く願うばかりです。