2019年で開通30周年を迎えたシーサイドラインはJR根岸線の新杉田から、海沿いの工業地帯や横浜市大附属病院、八景島シーパラダイスなどの観光施設を経由して京浜急行の金沢八景駅に至る路線で、通勤通学や観光の足として親しまれています。現在はこの新杉田〜金沢八景の10.8キロを結ぶ1路線のみですが、2020年1月10日の朝日新聞記事で相模鉄道の瀬谷駅を起点に、再開発が予定されている米軍より返還された上瀬谷通信施設跡を結ぶ交通機関に新交通システム(AGT)を敷設する計画が持ち上がり、事業主体は横浜シーサイドラインが行う構想が持ち上がっており、今注目の事業者と言えるでしょう。
そこで運用されているのがこの2000形で、初代車両の1000形の代替用に2011年から登場しました。正面と車体側面に配される三角形を組み合わせた幾何学模様が印象的ですが、これは沿線に広がる海と水面の煌き、船の帆と旗のはためきを7色で表しており沿線住民の懇談会で決定し多摩美術大学の客員教授が形にしたとのことです。2000形は東急車輌製造(→総合車両製作所)で製造され構体には初めてレーザー溶接を採用しており滑らかで美しい仕上がりが特徴ですが、1000形を長年見慣れた筆者は最初に2000形を実際に見たとき違和感を感じたものの、走り出したら沿線の海ともよく調和するデザインですね。現在は前照灯がLED化された為、登場当初とは印象が違います。
オールステンレス車体の他、VVVFインバーター制御もシーサイドラインでは初採用で、東洋電機製2レベルIGBTを搭載していますが、最近の電車にしては磁励音が大きく独特のサウンドを奏でます。
車内は中央方向に固定されたクロスシートとロングシートを点対象に配置しています。狭い車内なので流動性に配慮し、クロスシート部はドア付近を1人掛けシートで肘掛けを省略する路面電車にもありそうな座席です。液晶画面の車内案内表示器はドア脇に設置し、ブザーだった開閉時の注意喚起はチャイム(営団チャイムの音程違い)に変更されています。ドアはメーカー標準品の為、化粧板が省略され簡素な印象になりました。
車内案内表示は15インチ液晶画面で、初代1000形には案内表示自体備わっていなかったので大きなサービス向上になりました。2019年度増備車では17インチに拡大されています。
前述の上瀬谷地区のAGT路線は事業主体がシーサイドラインということで、将来的には若葉台地区を経由してJR十日市場駅や東急長津田駅方面への延伸構想もあり導入される車両が2000形の亜流になるのか、全く別の新設計車になるのか色々と想像が膨らみますが、今後に期待が掛かりますね。
※2016年の記事の全面改稿