埼京線・横浜線へのE233系投入が完了し、気付けば首都圏の通勤型はE233系一族で埋め尽くされそうな勢いですが、怒涛の新車攻勢に曝されながらも未だに205系が主力車両として活躍する武蔵野線。現在のところは置き換えの計画なども特に発表されず、今しばらく現状を維持することと思いますが山手線に導入予定のE235系が本格的に量産体制に入れば他線区(一番有力視されているのは中央総武緩行線のE231・209系500番台ですが・・・)からの転入車か何かであっさりと置き換えられてしまうことが予想されます。そんな訳で、今の所見向きもされていませんが恐らく首都圏主要線区では最後になるであろう205系5000番台を知人を東京ディズニーランドへ送った際に舞浜駅でちょっと撮影してみました。
武蔵野線は京葉線との直通運転を行っており、西船橋~東京間では日中約20分毎にその姿を見ることができます。ホーム先端へ行き、何の編成が来るかな・・・?とカメラを構えていると、やって来たのはM30編成でした。武蔵野線の205系は最近行先表示幕の劣化で三色LEDに換装され始めたのですが、この編成もそのひとつです。私のような撮影下手な人間にはちょっと厄介・・・(汗)
編成や前面形状など幾つかのバリエーションがある中で、この編成は武蔵野線では最多数派を占める山手線からの転入車です。2002年から投入されたE231系500番台に置き換えられてこの武蔵野線に転属して来たのですが、転属に当たっては電動車の数に余裕が無い為京葉線に存在する急勾配に4M4T組成で対応するため電動車をVVVFインバーター制御方式に改造し、新たに5000番台に区分(付随車はそのまま)されました。この改造で搭載されたVVVF制御装置はJR東日本では非常に珍しく東洋電機が製造したもので、2代目京成3000形や京急2100形の機器更新車で聞かれる磁励音を発するのが特徴になっています。東京を代表する環状線の山手線から、その東京圏の外環状線の一部である武蔵野線・京葉線で活躍することになったのは何かの運命でしょうか・・・。
レンズの調整をうっかり忘れてしまい、おかしな構図になってしまいましたがM36編成。拡大されたドア窓に原型の正面スタイルを踏襲した後期車に分類されるJR東日本オリジナルタイプの205系のひとつで、この編成の他に大窓・原型前面はM1・M2編成が存在します。
M36編成は、他の5000番台とは異なり非常に複雑な経歴を持っていることで知られています。もともとこの編成は南武線用に6両編成で落成し、中原電車区に配置されていました。ところが1993年に中央総武緩行線に列車増発で転属することになり、209系に置き換えられて捻出された京浜東北線の編成から捻出された中間車を組み込んで10両編成を組みミツ14編成を名乗っていました。2002年にE231系0番台の投入が同線に進むと京葉線に再び転属しケヨ21編成となりました。この当時、京葉線の205系は丸みを持たせた白いマスクのモデルチェンジ車のみの在籍だったため、唯一の原型正面の編成として異彩を放つ存在でした。その後京葉線で他の205系に混じり運用されるも、2007年に再び転機が訪れます。同年に川越線で踏切事故が発生してしまい川越車両センターの205系の電動車ユニットが使用不能になったため、当該編成に電動車を1組提供し休車になってしまいました。約1年半が過ぎた頃、2008年9月に長野総合車両センターでVVVFインバーター制御化改造を受けて新たに武蔵野線用とされ編成番号は在来編成からの続番であるM36編成となり現在に至ります。
このM36編成の運用開始に伴い、代わりにVVVF化改造を受けていないM66編成が横浜線の増発用に転出していきました。この複雑な経歴と共に、武蔵野線では少数派の大窓+原型正面ということから密かに注目を集めています。何れの編成も時代の流れに従い、新型車に主力の座を明け渡して武蔵野線・京葉線で運用されることになったわけですが今や首都圏の重要路線に成長した近代路線で長編成を組み東京都心へ毎日乗り入れ、また日本を代表する巨大テーマパークへのアクセスという重責を担っているのは、これ以上にない幸せな環境といえるかも知れません。
京葉線では「さざなみ」「わかしお」で運用される255系、JR東日本の特急形電車では初のVVVFインバーター制御車になった同系ですが気付けば今年で21年目を迎えてしまいました。209系910番台の制御装置をベースにしている為、東芝製のGTO-VVVF制御装置を搭載しています。余り関東地方では聞き慣れない磁励音を奏でるこの255系は私のお気に入りですが、経年を考えると後継車の話も聞こえてきそうで今後が気になるところです。
おまけに現代の京葉線の主力、E233系。在来形式を瞬く間に一掃しあっという間に主力車になりました。首都圏の通勤路線であるにも関わらず、他線からの転入車ばかりだった頃「なんで新車が入らないんだ・・・」とやきもきしていましたが、E233系投入が発表された時は物凄く嬉しかったことを思い出します。
最後に舞浜駅らしいカットを一つ、走り去るE233系と東京ディズニーリゾートの正面ゲートにホテル群です。一応、葛西臨海公園の観覧車も入っているのですが、この写真では架線が架かっているので分からないですねw 何となくこの光景を見て名残惜しさを感じるのは決して私だけではありますまい。
明日はクリスマスライナーが運行されたディズニーリゾートラインの記事をお届けいたします。