半蔵門線は1981年以来8000系が主力車両として運用されてきましたが、2003年3月19日より押上延伸に伴う東武伊勢崎線との直通運転開始により2代目の半蔵門線向け車両として08系が登場しました。営業運転は直通開始直前の1月7日より開始され、2003年までに10両編成6本が導入、以降は8000系と共通で東急田園都市線の中央林間(神奈川県大和市)から、東武伊勢崎線の久喜と日光線の南栗橋(埼玉県久喜市)まで、広範囲に渡って運用されています。1994年に8両編成で残存していた先代8000系初期車両の増結用に05系をベースにした中間車両が製造されて以来、しばらく新型車の導入が無かった半蔵門線における待望の「0X系」を名乗る新形式となりました。
車体設計は東西線向けに1999年から導入された05N系の実績を踏まえて、内外共に更なる改良が加えられました。先代の8000系は置き換えが予定されていますが、08系に関しては継続して運用する為に行先表示のフルカラーLED化や一部内装の更新など、細かい改造が施行されています。営団地下鉄では、半蔵門線の延伸が完了した時点での民営化(東京地下鉄への移行)が決定していた為、営団地下鉄最後の新型車となりました。営団時代は非常用貫通扉の黒い部分にSのマークを掲げていましたが、1年3ヶ月余りで東京地下鉄発足に伴い撤去されています。
運用上は8000系と区別されず、三社直通運用に加え、半蔵門線にも直通しない田園都市線内のみで完結する列車が設定されているなど多彩な列車に充当され走行距離も長い事から、比較的遭遇が難しい形式の一つです。今後田園都市線の車両更新の進行すれば、東武30000系に次いで少数派になることと、8000系置き換え用の新型車が落成すれば08系にも走行機器更新や車内外のリニューアルが施行される事が予想される為、その頃には注目を浴びるようになるでしょう。
白を基調に床を藤色で纏めた非常に明るく清潔感のある車内。座席は江戸紫をイメージした濃い紫色のモケットで、路線カラーとイメージを揃えています。
ドア上の車内案内表示は登場からずっと2段式LED表示でしたが、8000系更新車や東急5000系など他形式同様に17インチワイド液晶画面に更新され、同時にドアチャイムも3打点タイプに交換されました。各社共にサービス機器の統一を図った方が良しとの判断かと思いますが、08系は何故かチャイムの音量がやたら小さく、また鴨居下に赤ランプも設置されていないため注意喚起を促す役割を果たしているのかは甚だ疑問です・・・。
今後10両編成19本が在籍する8000系置き換え用の車両が登場すれば主力車両はそちらになるでしょうが、08系には営団地下鉄の面影を残す車両として、細く永く活躍して欲しいものです。