京急では2002年以来増備が始まった1000形により旧来の初代1000形・800形・2000形の置き換えを進めて来ましたが、2021年度の東洋電機技報第143号(新1000形20次車電機品)にて令和4(2022)年以降も1500形置き換え用に増備を行うとの記述があり、更なる製造の継続が判明。その後京急による2022年度の鉄道投資計画でも環境負荷低減の取り組みとして1500形を1000形で置き換えることについて触れられました。そして翌年2023年の9月7日よりデュアルシートの1890番台の一部設計を盛り込んだ1000形1500番台6両編成が営業運転を開始しています。年末の12月29日には8両編成の1700番台も運転を開始しました。
22次車の1500・1700番台は20次車同様ハイフンを用いた方式を採用しています。前者は川崎車両、後者は総合車両製作所で製造され、特に川崎車両製造の編成は同社独自の構造で雨樋の出っ張りが目立つようになり、増備再開から早くも目立つ差異が生まれました。またこれまでの6両と異なり、2・5号車は付随車サハとなっています。
外観は中央部に常用貫通路・貫通扉を設置しているため平面的だった1890番台から一転し非対称デザインを再び採用。しかし、標識灯は1890番台同等品になり、先頭車の乗務員室扉付近には座席が復活したため細い客窓を新設しています。主回路機器も同一品である一方、静止型インバータについては新型のRG4103-A-M形(東洋電機製)を初採用し、5号車のサハ1501-5に搭載しています。
車内は19次車までに準じていますが、側窓上部から天井までの化粧板が無地の桜色になっている他、中間車の車端部の一般座席側にはロングシートを2人掛けとして車椅子・ベビーカーのフリースペースを新設、また4人掛けボックス席と写真でも確認できる乗務員室直後の座席は1人分が独立した形状になりました。
細かな設計変更が見受けられる一方で車内案内表示装置は左右一体型の液晶画面が踏襲されました。ドアチャイムもこれまでと同様の音色です。
早くも登場からバリエーションが生まれている1000形1500・1700番台ですが、1500形の置き換えを達成する頃にはGTOサイリスタ素子によるVVVFインバーター制御のまま運用が続いている600形の置き換えも視野に入ってくる筈で、その際にはまた1000形の新しいバリエーションが生まれるのか今から興味深い点です。