町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

海へ山へとロングランする西武鉄道40000系

2024年07月11日 | 西武鉄道

西武鉄道では初代スマイルトレインである西武30000系の後継車として、また地下鉄直通にも対応したデュアルシートの座席指定列車としても運用出来る車両である40000系を2017年に登場させました。同年3月25日から横浜高速鉄道みなとみらい線、東急東横線、副都心線系統の元町・中華街から西武秩父方面を結ぶ「S-TRAIN」として運用を開始しています。西武鉄道の車両としては実に約90年振りの川崎重工業製の車両であり、日本では現在のところ形式に40000を用いた唯一の存在です。2019年12月26日からはロングシート仕様・トイレ設備無しの50番台も登場し、池袋線系統での主力車両とされ、現在も増備が続いており、それまで主力だった6000系のステンレス車の一部とアルミ車の全編成が地上専用車とされ、前者は新宿線への転用が進行しています。

土日祝日に運用される主に観光客をターゲットにした副都心線系統のS-TRAIN西武秩父行き。運転パターンは平日と休日で異なり、平日は有楽町線の豊洲発着で設定され、通勤輸送に特化し遠近分離のため都心側ターミナルの池袋駅を通過することが特徴となっています。東急電鉄にとっては初の有料座席指定制列車でもあり、運転開始初日は東急横浜駅の岸哲也駅長(2017年当時)が「東急線を西武の列車が走ることは昔は到底考えられなかった」とインタビューに答えており、かつての伊豆半島や箱根の観光開発を巡り熾烈な争いを繰り広げていたことを思うと、大変画期的かつ時代が変わったことを予感させるものでした。

S-TRAINの運転から1年後の2018年3月10日からは「拝島ライナー」が設定され、西武新宿線・拝島線系統にも運用範囲が広がりました。なお、デュアルシート装備の0番台もロングシートモードで通常の西武線内の準急・急行や副都心線系統のFライナーに充当されることもあり、その場合は座席に設置されているコンセントやトイレも使用可能なため、ちょっとした乗り得列車とも言える存在です。

クロスシートモードでS-TRAIN充当時の車内。リクライニング機構こそありませんが、座り心地は上々で、先述のコンセントも設置されており、いわゆるライナー列車としては十分なレベルでしょう。なお、車椅子対応・ベビーベッド完備のバリアフリー仕様トイレは4号車に設けており、S-TRAIN以外にも快速急行などの比較的長時間の乗車が想定される列車に入った場合などは安心の設備です。

車内の液晶画面は0番台は天井に枕木方向の配置になっていますが、ドア上にも設置しています。西武仕様の動画広告と東急の路線図の組み合わせが広域ネットワークらしさを感じますが、車内放送は全区間に渡り石毛美奈子氏が担当しており、東急線内でも西武鉄道の音声による案内放送を聞くことができる珍しい仕様となっています。

 

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JR東日本・JR西日本で在来線車両の機器と部品を共通化へ

2024年07月09日 | JR東日本

2024年7月5日付けで、JR東日本と西日本はそれぞれ在来線車両の機器類や部品の共通化に向けて検討を行う旨の発表がされました。これは、物価の高騰や部品調達の困難な状況を受けてのもので、先ずは主電動機や行先表示器、集電装置などから共通仕様を導入し事業者毎の独自性や効率化を見ながら順次拡大していくとされています。1987年の国鉄分割民営化以来、独自の進化を遂げてきた東西のJR車両ですが、国鉄時代に先祖帰りするような動きを見せることになりました。

これまでJR東日本は209系・E217系電車の実績を基に通勤型と近郊型の分類を超えた一般型車両(新系列電車)のE231系を開発し、その後はE233系、E235系、また幹線ながら短編成が求められる線区向けにE131系を開発し首都圏近郊路線の内、中距離電車が走る区間もロングシートを主体とした4ドア化を推し進めました。

対してJR西日本では、国鉄から引き継いだ103系、205系が運用されていた阪和線、奈良線、関西本線にも3ドア・転換クロスシート・トイレ設備を備えた近郊型電車でこれらの置き換えを進め、大阪環状線も3ドア通勤型の323系(写真)を導入し、4ドア車が運転される路線はJR京都線・神戸線とJR宝塚線の一部区間、JR東西線、JR学研都市線など大幅に縮小されています。このように全く異なる環境ですが、どこまで共通化を進めるのかが気になるところ。

標準ガイドラインが制定されたこともあり、E231〜235系をベースにした車両は関東大手私鉄に瞬く間に普及し、中部地方や近畿地方でも既にこれらの部材・部品を採用した車両が登場していますが、今回の発表で更に踏み込んだ内容になります。

企業規模や経営体力から見て、JR東日本が主導になって進めるものと思われますが、需要が東京都心部程ではない地方交通線や郊外の幹線には西日本仕様を盛り込んだ車両が現れる可能性も出て来るわけで、今後開発される新型車にますます注目が集まります。筆者は4ドア車両が少数派になった西日本では10年以内には登場するであろう207系辺りの後継車にE235(あるいはE237?)ベースの車両をそのまま導入出来ればかなりの効率化になるのでは・・・などと想像していますが、これからの動きが色々と楽しみになりますね。

※写真は過去の記事より

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新形式導入で最後の活躍を見せる東武8000系初期車

2024年07月01日 | 東武鉄道

新形式導入と既存車両の転用改造で廃車が進行しながらも東武野田線で現在も運用が続く8000系が登場したのは1977年8月2日のことで、当時は昭和初期の旧型車の車体を18メートル車体・両開き3ドアに更新した3000系が主力を占めていたため高性能カルダン駆動・冷房車が配置される事例となりました。1983年には伊勢崎線・東上線から撤退した7800系更新車の5000系列配置に伴い一度は転出するも、1989年より10000系列増備により再び配置されるようになり、2004年〜2013年までは8000系で統一された時期もありました。2013年の60000系の登場で完全置き換えが進むかと思いきや増備が終了してしまい、残存する8000系の置き換えは2025年より新形式80000系により再開されることになりました。

首都圏の通勤輸送を担う非ワンマン路線ながら稼働中の編成は経年が非常に高く、行先方向幕・ハロゲン式前照灯を備える編成も比較的目立ちます。写真の8163Fは元・東上線所属車で森林公園検修区に新製配置され車体修繕は1996年8月12日に施工されました。野田線への転用は2010年12月28日のことで、運用を前に春日部支所でデッドマン装置・運転状況記録装置を新設しています。

東上線からの転属車が比較的多数を占めますが、8159Fは新製から一貫して伊勢崎線系統で運用されている現在では数少ない編成で、春日部検修区と七光台支所を行ったり来たりしていました。1997年2月12日に修繕を受けており、8000系の中でも古参の部類でしたが車齢47年目となる2020年8月頃にデジタル列車無線装置の取付改造を受けました。

塚田駅で10030系と並んだシーン。8166Fは前照灯LED化と行先表示の3色LED化を施工されているため印象が違います。 10030系は1988年から登場した10000系のマイナーチェンジ車で8000系の後継車的な立ち位置ですが、正面マスクは8000系修繕車を参考にしていることが分かりますね。なお10030系も8000系と共に80000系での置き換え廃車が予定されています。

車内設備は以前記事にした後期車と変わりませんが初期製造車はドア内側が周りの配色に合わせて塗装仕上げになっており、他事業者では見られなくなって久しい珍しい存在になると共に一層の古さを感じさせます。

新形式80000系の外観と車内が発表され、いよいよ先が見えた感のある野田線の8000系ですが、6両と比較的長編成かつ車掌乗務の区間で速達種別に充当されるのも見納めになります。少し待てばやって来る今のうちに沢山記録しておきたいですね。

 

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