2020年3月26日に2代目の5000形が営業運転を開始してから早くも1ヶ月以上が経過しました。本来なら運転開始に伴う各種イベントが予定されていたところに、中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスの影響で全て中止になり初日は朝のみの運用で終わるなど出鼻を挫かれた感がありましたが、久々の広幅車体の復活ということもあってか、概ね好意的に受け入れられているようです。
快速急行で和泉多摩川駅付近を走行中の5051F10連。同形式は10両固定編成のみの導入で、本年は6編成の導入が予定されています。帯の色は4000形で導入されたインペリアルブルーに加え、アズールブルーの細帯が加わり新しいカラーパターンになりました。
平滑なステンレス車体と流線型でスピード感がある正面スタイルが印象的ですが、何処となく東南アジアのMRT車のような雰囲気も漂わせています。奇しくも1969年から2012年まで活躍した初代5000形では8000形まで続くアイボリーホワイト+ロイヤルブルーの塗装を初採用し、一般車初の冷房車が導入されるなど新鮮な衝撃を与え小田急通勤電車のスタイルを確立しましたが、2代目の5000形も遠い将来「小田急と言えばこの電車」といった車両に成り得るでしょうか。
白を主体にした化粧板とオレンジの座席、フローリング調の床で明るい印象を作り出す車内設備。天井周りの構造や強化ガラス製妻面貫通扉などは東京メトロの新型車と通じるものがあります。側扉は4000形ではE233系と共通の角張った窓でしたが、5000形では四隅にRが付いた独自の物に戻り、手掛けの位置も窓より下に設置するなど従来形式に倣っている部分が見受けられます。なおイメージイラストでは左右両側に設置しているように描かれていましたが、実車では片側のみの設置になりました。また、ドアステッカーも落成直後は窓の真ん中に貼られている写真が確認できましたが、営業運転開始時には広告を貼る為か、若干下の位置に貼り直しているようです。
車内案内表示器は首都圏でお馴染み、三菱電機セサミクロによる17インチワイド液晶画面で、監視カメラも設置しています。ドアチャイムもJR東日本タイプですが、開閉時に3回鳴動するのが標準のところ、本形式では2回しか鳴らないのも特徴です。
今後は2編成目が引き続き川崎重工業で、3・4編成が総合車輌製作所で製造される予定ですが、これに伴って界磁チョッパ制御で残存する8000形8251F・8255Fと1000形ワイドドア車が順次廃車にされることになっています。5000形の増加と引き換えに、これらの形式が見納めになるのは寂しいものがありますが、コロナウイルスが収束したら、在来各形式の乗車・撮影も楽しんでおきたいですね。