2020年1月22日、JR東海は発足直後に国鉄時代の技術を改良し製造された211系5000・6000番台、213系5000番台、311系の置き換えのため、315系通勤型電車の製造・投入を発表しました。1999年に同社の標準形式として増備が続いた313系以来、23年振りに大量増備されることになる形式であり、日本車輌製造の次世代ステンレス車体・台車のブランドである「N-QUALIS(エヌ・クオリス)」を採用する初の車両となっています。現在は神領車両区と静岡車両区に配置され、中央本線・関西本線・東海道本線・武豊線の各線で運用入りしています。
中央本線で運用されている0番台8両固定編成。2022年3月5日より営業運転を開始し、同年3月12日からは愛知環状鉄道線瀬戸口まで直通運転を実施しています。2023年10月で長らく運用されていた211系5000番台は全廃、313系各番台は東海道本線へ転出し名古屋〜中津川間の普通・快速は全列車が315系で統一され、かつての211系と313系を組み合わせた多様な併結編成は見納めとなりました。
2022年12月22日には4両編成で車外監視カメラを設置した3000番台(C101・102編成)が登場し、投入が予定されている区間で試運転を実施の上、翌年6月1日から関西本線での運転開始、2024年3月15日から東海道本線・武豊線での運転と313系との併結運用も開始されています。また6月1日からは静岡車両区向けの半自動ドア機能を備えたU編成が配置され運用を開始し、写真のように313系2両編成を下り側に必ず併結する形で運転されています。
JR東海では211系5000番台以来となるオールロングシートの車内。座席は首都圏でお馴染みの人数区分がされた片持ち式で、「優しく安心感のある快適な移動空間」をコンセプトにバリアフリー機能やセキュリティ面の強化も行われています。走行機器は新幹線N700Sで実績のある装置を採用していますが、冷房装置にはAIを採用し制御の最適化を図り、液晶画面による車内案内表示器や電気式戸閉装置などJR東海の在来線車両としては初物尽くしで、特にAIによる空調制御は国内の鉄道車両で初の事例です。
17インチ液晶画面は行先・路線図案内用をドア上に1台設置。動画広告用が設けられていないのは需要の差でしょうか。ドアチャイムも鳴動しますが、こちらは313系と同じ音色が踏襲されました。
今後は身延線富士〜西富士宮間と御殿場線沼津〜御殿場間への進出や、閑散路線でのワンマン運転も予定されており、JR東海電化区間の在来線車両は大幅に整理されることになりそうです。