町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

一味違う8両編成、東京メトロ副都心線17000系80番台

2024年09月22日 | 首都圏の地下鉄

7000系置き換え用に登場した副都心線開通後では初となる17000系は、特急・急行主体の運用と有楽町線で使用される10両編成と副都心線系統専用で東急東横線内の各駅停車運用に対応する8両編成の2種類が製造されました。10両編成6本は日立製作所の製造ですが、8両編成は近畿車輛で製造されており、車体裾、前頭部スカートの処理や乗務員室扉形状・寸法、VVVFインバーター制御装置が異なっており微細ながら相違点があります。

東急東横線からの副都心線直通各停運用に充当される8両編成。東横線でも副都心線との直通運転開始を控え一部の駅で10両編成対応化を実施していますが各駅停車のみが止まる駅と、みなとみらい線新高島駅は8両にしか対応できず延長も困難なために副都心線系統に限り10・8連混用になりました。前者は2021年度内、後者は2022年度に出揃い長年の主力車両であった7000系の置き換えを完了させています。

走行機器はフルSiC-MOSFET素子を用いたVVVFインバーター制御とPSMS(永久磁石同期電動機)の組み合わせは共通ながら、10両編成の制御装置は三菱電機製(型式:MAP-214-15V335)、8両は日立製作所製(VFI-HR4420E)とされ、日立製は電機子チョッパ制御車を思わせる磁励音を発するのが大きな特徴となっています。

車内設備に関しては基本的に10両・8両ともに目立った違いは見受けられないですが、天井周りの造作(冷房装置ラインデリアの整風板の形状)に若干の違いがあります。

車内案内表示装置も三菱電機セサミクロによる17インチ液晶画面です。写真で見られる後続の特急・急行を途中で待ち合わせることを案内するのは各停ならではの表示です。

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【悲報】横浜市営地下鉄3000S形、4000形2次車により置き換え廃車へ

2024年04月01日 | 首都圏の地下鉄

横浜市営地下鉄に在籍する3000形グループの内、1999年から導入された3000N形は2022年度に走行機器更新の計画が、3000R形も全編成機器更新の計画がそれぞれ発表されました。2000形の台車など、ごく一部の機器を再利用した3000S形にも当然機器更新の波が及ぶものと思われましたが、3000S形は先に更新計画が立てられていた3000N形と共に4000形2次車の増備で置き換えられることになってしまいました。

今回置き換えられることが決定した青い正面が特徴の3000S形。4次車に相当するグループで、満足度向上の意を込めてSatisfactionの頭文字を取り3000S形と称されます。主に再利用されているのはブレーキ関連装置(後にディスクブレーキシステムに更新)、台車、補助電源装置、ATC装置、車内の手すり類で、これにより新造費は3000形グループの中で最安値となっています。

2000形の置き換え名目で6両編成8本が製造されましたが、2019年には下飯田駅での脱線事故で第53編成が破損し廃車、2024年度には機器の不具合で運用離脱していた57編成がまた廃車になるなど何かと不運なグループでした。それなりに新しい印象なのに後輩達より先に置き換えられていくのも機器流用車の宿命でしょうか。

車内設備は手すりと妻面貫通扉の取っ手を流用しているとのことですが、乗客目線では3000R形と区別は付けられません。恐らく当初は長く使用する予定だったのかLEDによる車内案内表示装置は17インチ液晶画面に換装されており、廃車にするには実に勿体なく感じます。

車両更新計画が迷走している感がある横浜市営地下鉄ですが、公営企業である点や車両の特殊性(第三軌条集電・標準軌の線路幅)から、いわゆる車両譲渡などの可能性が皆無なのが何とも惜しまれます・・・。

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輸送力増強用のマイナーチェンジ車・都営10-300形3〜4次車

2023年06月05日 | 首都圏の地下鉄

東京都交通局では都営新宿線の混雑緩和対策として、10-300形の中間車を増備し一部編成を10両に組成変更しましたが、2013年から新製の3次車より設計ベースをJR東日本のE2332000番台に変更の上で編成単位での増備を実施し、輸送力増強と在来の10-000形置き換えを進めることとしました。この3次車以降のグループは改良を繰り返しながら増備が続き2021年度増備の6次車からは8両編成の初期車置き換え用とされ、同一形式内で車両代替が発生する非常に珍しい事態になりました。

2015年から2017年に掛けて増備された4次車に当たる10-550F。京王線内快速運用に就いている為、通過標識灯が点灯しています。前年の3次車から早速改良され、具体的には正面の東京都マークを白色から緑に、また側面は紺色の細帯一本から黄緑色の帯を追加し客用扉にも帯が掛かるようになった他、空気圧縮機をスクリュー式からオイルフリーレシプロ式に変更しています。

同じく4次車の10-530F。基本仕様はE2332000番台の仕様を取り入れ、車体デザインやVVVFインバーター制御装置が変更になり情報制御装置は伝送速度が2.5Mbpsから10Mbpsに向上するなど1次車から大きく進歩していますが、長期間併存することも考慮し主要な機器は互換性を持たせているとのことです。

1次車と比較すると配色が一新され、明るさや快適性が大幅に増した車内。座席モケットは背凭れを秋の色付いた木々をイメージした黄色系、座面は緑系とし落ち着きのある空間としています。一方で、ドアはベースになったE233系や他社の標準車両とは違いステンレス無塗装仕上げとされました。実用性重視な公営地下鉄車らしい部分ですが、ここは柄入り化粧板仕上げにするなど、もう一工夫欲しかったですね。

ドア上の液晶画面は3次車では登場当初1台のみでしたが、この4次車からは動画広告表示用の画面も新設(3次車も増設を施行)しています。

今の10-300形グループへの置き換え完了で没個性化した感がありますが、他の都営地下鉄3路線とは全く違うJR車により近いタイプの車両であることや、唯一新宿線のみ日本語の車内放送を担当するアナウンサーが異なるなど謎の独自性もあり、逆に個性的と言えるのかも知れません。

※2018年3月1日の記事を大幅に修正

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彩の国の地下鉄電車・埼玉高速鉄道2000系

2023年05月01日 | 首都圏の地下鉄

埼玉高速鉄道は営団地下鉄(東京メトロ)南北線の終点である赤羽岩淵を起点とし、埼玉県川口市方面に延長する形で埼玉スタジアム2002の最寄り駅である浦和美園に至る路線を運営する第三セクター事業者で、沿線自治体の川口市・鳩ヶ谷市(20111011日で川口市に編入)・浦和市(200151日に周辺の市と合併し、さいたま市浦和区)と営団地下鉄、国際興業・東武鉄道・西武鉄道の出資のもとで1992年に設立されました。路線開通は2001年で、開通と同時に営団南北線・東急目黒線への相互直通運転を開始しており、路線バスへの依存度が高かった川口市東部・北部と旧鳩ヶ谷市域の交通状況を一気に改善しています。2023318日からは東急・相鉄新横浜線開通に伴い相模鉄道との直通運転(直通運転への充当車両は東急・相鉄車のみ)も開始した他、将来的には浦和美園から東武野田線の岩槻駅を経て、東北本線(宇都宮線)の蓮田駅までの延伸も計画されています。

開通に備えて導入され現在も運用されているのがこの2000系で、営団地下鉄に検査業務を委託する前提で計画された為、「埼玉高速線の車両に係わる業務受委託契約(新造車両)」が1996年に締結され南北線9000系の技術情報の提供を受けて製造されました。初代車両でありながら形式が2000系とされたのは、登場年と路線の完成した年(西暦2000)に由来します。ベースになった南北線の9000系は流線形に近い形状の前頭部でしたが、本系列では対照的に側面に周り込む曲面ガラスを用いながらも平面スタイルになり、新造時からスカートを設置してシャープさ、力強さを感じさせるデザインとしています。2000年代の新造車両ながらパンタグラフにシングルアーム式を採用せず従来からの菱形を搭載しているのも今となっては珍しくなりました。

先頭部形状の他にもアルミ車体を採用しつつ側扉がヘアライン仕上げのステンレス製標準品になり中央部の側窓がピラーを廃した一枚窓とされ、電気的にもIGBT素子を用いたIPM2レベル方式のVVVFインバーター制御で、ノイズのような独特の磁励音を発する三菱電機製の装置を搭載し、編成が電動車と付随車でユニットを組むMT組成(9000系では三菱電機IGBT-VVVF1415編成のみの他、電動車同士がユニットを組んでいます)など、基礎的な部分は設計を共通化しながらも非常に独自の色合いが濃くなっています。

車内は白の化粧板に石畳をイメージした灰色の床面で清潔感のある配色です。座席はバケットシートではない平板タイプで、埼玉県の県花であるサクラソウの花びらのイラストを入れて人数区分としています。ドア上の大きな画面が目を引きますが、これは2020年から新設されたダイナミックビークルスクリーンと称されるデジタルサイネージで、筐体内部にカメラとIoT機器が搭載され混雑状況や室内の温度をAIが解析し、環境の変化に応じて表示する内容を変更できる鉄道車両では世界初の事例になりました。

新造時から設置されているドア上の2段式LEDによる車内案内表示器。千鳥配置とされ、これが設置されていない側には2006年度より動画広告用の液晶画面が設置され、「SaiNet Vision」として配信を開始し現在は先述のダイナミックビークルスクリーンに置き換えられています。この為、LED表示とデジタルサイネージが同居する珍しい配置になりました。

今後の埼玉高速鉄道では乗り入れ先である南北線・東急目黒線に合わせて8両編成化が計画されており、81編成を先ずは新造導入し2000系は6両編成のまま運用を継続することが明らかにされています。2021430日には埼玉県・さいたま市は岩槻延伸に向けて部局長会議を設置したことを発表しました。実現の頃には2000系も登場から30年を超え、南北線の9000系共々置き換え計画が浮上してくるかと思いますが、色々と注目に値する路線です。

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大規模修繕で躍動感あるデザインに一新・東京メトロ南北線9000系(初期車)

2023年04月15日 | 首都圏の地下鉄

19911129日、南北線駒込〜赤羽岩淵間の部分開業と同時に営業運転を開始した9000系は2016年で登場から25年が経過した事からB修繕(20年程度が経過した車両に施工の大規模修繕工事)が発表され、量産先行車第1編成を含む初期製造の8本が対象になりました。東京メトロ南北線では都営三田線、東急目黒線と共に8両編成化を推進していますが、これらの編成は増結の対象外とされ6両編成で継続して運用することが明言されています。一番最初にリニューアルされたのは第5編成で、2016815日より運用入りし、運用復帰前には報道公開もされました。

B修繕後の第3編成。量産先行車の実績を踏まえて南北線第一期開業に向け導入された量産車編成です。急勾配が多い路線である為、出力増強を求められたことから当時の営団地下鉄で初のGTOサイリスタを用いたVVVFインバーター制御車となりました。1992年にも予備車として第8編成が登場しており、制御装置のメーカーは第2-4編成が日立製作所、第5-8編成が三菱電機製とされ、6両化の際には4両編成だったこれらに組み変え工事を実施した為、量産車は機器が編成内で統一される一方先行車の第1編成のみ日立・三菱が混在し、制御装置が発する磁励音が編成内で異なる特徴的な組成となっていました。

三菱製GTO-VVVFだった第8編成。先頭車にはスカートが新設され、エメラルドの帯色は踏襲しつつ柔らかさと躍動感を持たせたウェーブデザインになり車体上部にも装飾が施され、行先表示はフルカラーLED化されるなど大きく印象を変えました。意外な事に集電装置のシングルアームパンタへの換装は行われず上昇検知装置の追設に留まるのが興味深い点です。編成により分かれていた制御装置は三菱電機フルSiC-MOSFTによるものに統一され主電動機出力が190kwから225kwに増強した新規品に換装、代わりに中間の9300号車を電装解除し3M3T組成に改めています。

化粧板・床敷物が更新され、大型の座席端の袖仕切りが目立つ車内設備。特徴的だった車端部のボックスシートは撤去されフリースペース化されました。これにより、東京メトロの車両は在籍する車両全てがロングシート車となり、デュアルシート装備車を導入した京王電鉄と入れ替わりに大手私鉄ではクロス(ボックス)シート設備が存在しない唯一の事例になりました。

車内案内表示器は登場時としては非常に画期的だった2段表示が可能なLEDスクロール式のものを搭載していましたが、液晶画面に更新されました。同時に開閉時のチャイムも1回のみ鳴動する営団地下鉄タイプから3回鳴動するスタンダードなタイプに改められています。

2019年に8編成全ての修繕が完了し、何もなければ10年程度は安定して活躍するものと思いますが南北線は先述の8両化や品川延伸を始め、相互直通運転を行う埼玉高速鉄道も1編成のみであり、仕様は未定であるものの8両編成の新型車導入を発表しています。令和世代の車両と遜色ないB修施工車とはいえ、今後の計画次第では未更新のまま残る後期車と共に丸ごと置き換えられてしまうこともあり得るかも知れませんね。

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