東京都交通局では都営新宿線の混雑緩和対策として、10-300形の中間車を増備し一部編成を10両に組成変更しましたが、2013年から新製の3次車より設計ベースをJR東日本のE233系2000番台に変更の上で編成単位での増備を実施し、輸送力増強と在来の10-000形置き換えを進めることとしました。この3次車以降のグループは改良を繰り返しながら増備が続き2021年度増備の6次車からは8両編成の初期車置き換え用とされ、同一形式内で車両代替が発生する非常に珍しい事態になりました。
2015年から2017年に掛けて増備された4次車に当たる10-550F。京王線内快速運用に就いている為、通過標識灯が点灯しています。前年の3次車から早速改良され、具体的には正面の東京都マークを白色から緑に、また側面は紺色の細帯一本から黄緑色の帯を追加し客用扉にも帯が掛かるようになった他、空気圧縮機をスクリュー式からオイルフリーレシプロ式に変更しています。
同じく4次車の10-530F。基本仕様はE233系2000番台の仕様を取り入れ、車体デザインやVVVFインバーター制御装置が変更になり情報制御装置は伝送速度が2.5Mbpsから10Mbpsに向上するなど1次車から大きく進歩していますが、長期間併存することも考慮し主要な機器は互換性を持たせているとのことです。
1次車と比較すると配色が一新され、明るさや快適性が大幅に増した車内。座席モケットは背凭れを秋の色付いた木々をイメージした黄色系、座面は緑系とし落ち着きのある空間としています。一方で、ドアはベースになったE233系や他社の標準車両とは違いステンレス無塗装仕上げとされました。実用性重視な公営地下鉄車らしい部分ですが、ここは柄入り化粧板仕上げにするなど、もう一工夫欲しかったですね。
ドア上の液晶画面は3次車では登場当初1台のみでしたが、この4次車からは動画広告表示用の画面も新設(3次車も増設を施行)しています。
今の10-300形グループへの置き換え完了で没個性化した感がありますが、他の都営地下鉄3路線とは全く違うJR車により近いタイプの車両であることや、唯一新宿線のみ日本語の車内放送を担当するアナウンサーが異なるなど謎の独自性もあり、逆に個性的と言えるのかも知れません。
※2018年3月1日の記事を大幅に修正