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http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0233BpGas2012.pdf
BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2012」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量、貿易量のデータを抜粋して解説したものである。
(天然ガスの埋蔵量世界一はロシアである!)
1.世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数
(1)2011年末の確認埋蔵量
2011年末の世界の天然ガスの確認可採埋蔵量(以下単に「埋蔵量」と言う)は208兆立方メートル(以下tcm: trillion cubic meter)であり、可採年数(R/P)は64年である。
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-G01.pdf 参照)
埋蔵量を地域別に見ると中東と欧州・ユーラシアがそれぞれ38%であり、この2地域だけで世界の埋蔵量の4分の3を占めている。これら2地域に次ぐのはアジア・大洋州8%、アフリカ7%、北米5%、南米4%とほぼ同じ程度でこれらすべて合わせても全体の24%にとどまる。このように世界の天然ガスの埋蔵量は一部地域に偏在していると言える。
埋蔵量を生産量(次章参照)で割った数値が可採年数(R/P)であるが、2011年の天然ガスのR/Pは64年である。これを地域別で見ると中東地域の100年以上に対して北米はわずか13年にすぎない。その他欧州・ユーラシア(76年)、アフリカ(72年)が全世界の平均を上回っており、中南米は45年、アジア・大洋州は35年である。
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-T01.pdf参照)
次に国別に見ると、世界で最も天然ガスの埋蔵量が多いのはロシアの45tcmで世界全体の21%を占めている。第二位はイラン(33tcm、16%)、第三位カタール(25tcm、12%)、第四位トルクメニスタン(24tcm、12%)であり、これら4カ国だけで世界の埋蔵量の6割を占めている。5位以下、10位までは米国(世界シェア4.1%)、サウジアラビア(3.9%)、UAE(2.9%)、ベネズエラ(2.7%)、ナイジェリア(2.5%)、アルジェリア(2.2%)と続いており、上位10カ国の世界シェア合計は79%に達する。
因みに天然ガス生産国の一部はガス輸出国フォーラム(GECF)を結成している。GECFは2001年に結成され、現在は正式メンバーがロシア、イラン、カタール、アルジェリアなど12カ国及びオブザーバーがノルウェーなど3カ国の合計15カ国で構成されている(*)。GECF加盟国の2011年末の天然ガス埋蔵量は合計128tcmであり、全世界の埋蔵量の61.5%を占めている(正式メンバー国のみの場合は59.1%)。これは石油の埋蔵量でOPEC12ヶ国の占めるシェア(68%)に比べても決して低いものではない。
(*)ガス輸出国フォーラム(GECF)メンバー
正式加盟国(12ヶ国):ロシア、イラン、カタール、ベネズエラ、ナイジェリア、アルジェリア、エジプト、リビア、オマーン、トリニダード・トバゴ、ボリビア、エクアトール・ギニア
オブザーバー参加国(3カ国):ノルウェー、カザフスタン、オランダ
GECF自体は加盟国相互間で世界の天然ガス市場の需給・価格情報を共有することが目的であり、OPEC(石油輸出国機構)のような生産カルテルではない。しかし消費国の一部にはGECFを「天然ガスのOPEC版」と警戒する向きもあり、今後の動向が注目されている 。
(続く)
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