(コロナウィルス関連ニュース)
・ドバイ:エア・フランス、ルフトハンザ等13の航空便運航再開。
(石油関連ニュース)
・リビア、石油の十字路Sirte攻防巡り、トルコと欧米が激しく対立。内戦から国際紛争に拡大。
(中東関連ニュース)
・シャルジャ副首長、英国で死去。 *
・オマーン、技術者の50%以上が女性、米国の19%を大幅に上回る:UNESCO。
*「シャルジャ及びラス・アル・ハイマ首長国系譜(アル・カシーム一族)」参照。
(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0507SovereignRating2020Jul.pdf
3.2017年7月以降の格付け推移(続き)
(アブダビがAAに残りクウェイトは格下げ、ますます格差開くオマーンとバハレーン!)
(2)GCC6カ国の格付け推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-G-3-02.pdf参照)
GCC6か国(UAE、クウェイト、カタール、サウジアラビア、オマーン及びバハレーン)の過去3カ年のソブリン格付けの推移を見ると、まず2017年7月時点ではUAE及びクウェイトの格付けが最も高いAAであり、これに続きカタールがAA-に格付けされていた。サウジアラビアはこれら3カ国より3乃至4ランク低いA-であり、オマーンは投資不適格のBB+であった。有力な産油(ガス)国が多いGCCの中で石油生産量がわずかなバハレーンのソブリン格付けはBB-にとどまっていた。
経済力の弱いオマーンとバハレーンはその後下落傾向が止まらず、バハレーンは2017年下半期にBB-からB+に格下げ、またオマーンは2018年上半期にBB+からBBに落ちている。その後2019年下半期までは6カ国ともソブリン格付けに変化は無かった。しかし今年上半期には、アブダビとともに6カ国では最上位の格付けAAを保持していたクウェイトが1ランク格下げされカタールと同じAA-になっている。そしてオマーンは2018年上半期に続いて再び1ランク格下げされBB-になっている。
この結果7月現在のGCC6カ国の格付けは、アブダビが最も高いAAであり、これに続いてクウェイトとカタールがAA-に格付けされている。サウジアラビアの格付けはこれら3か国からやや離れたA-であり、オマーンとバハレーンは上位4カ国に大きな差を付けられ、それぞれBB-及びB+の格付けである。GCCではアブダビ、クウェイト、カタール、サウジアラビアの上位4カ国が投資適格であるが、オマーンとバハレーンは投資不適格である。
以上
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
3.2017年7月以降の格付け推移
ここでは2017年7月以降現在までの世界の主要国及びGCC6か国のソブリン格付けの推移を検証する。
(1) 世界主要国の格付け推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-G-3-01.pdf参照)
ドイツは過去3年間常に最高のトリプルAの格付けを維持している。米国はドイツより1ランク低いAA+を、また英国は米国より1ランク低い格付けAAを過去3年間続けている。中国及び日本はドイツ、米国、英国に比べさらに低い格付けである。中国は2017年上期まではAA-であったが、同年下期に下方修正され現在は日本と同じA+である。
新興経済国のメキシコ、インド、南アフリカ及びブラジルの2017年7月の格付けは、メキシコが投資適格のBBB+であり、インドは投資適格で最も低いBBB-であった。因みにS&PはBBBを「債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い」と定義付けている。
南アフリカとブラジルは投資不適格の格付けBBであるが、南アフリカはBB+、ブラジルはBBであり南アフリカの方が1ランク高い。格付けBBの定義は「より低い格付けの発行体ほど脆弱ではないが、事業環境、財務状況、または経済状況の悪化に対して大きな不確実性、脆弱性を有しており、状況によっては債務を期日通りに履行する能力が不十分となる可能性がある。」とされている。
2018年上半期には南アフリカ及びブラジルが1ランク格下げされ、それぞれBB及びBB-とされ、メキシコとインドは格付けに変更はなかった。4か国はその後今年1月までは同一格付けを維持してきたが、今年上半期にメキシコはBBB+からBBBに格下げされた。また南アフリカも1ランク下に格下げされ現在はブラジルと同じBB-格付けである。
子ここでは触れていないが中東のクウェイト、オマーンも今年上半期に格下げされており、レバノンは高度なインフレと通貨危機に陥っているレバノンの格付けは昨年までのCCCから一挙に無格付けに転落している。これは新型コロナウィルス危機による世界的な景気後退の影響が経済のぜい弱な新興国に集中して現れたと見ることができる。今後その他の新興国、さらには欧米先進国の一部にも格下げが波及する可能性がある。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp