石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

今週の各社プレスリリースから(6/28-7/4)

2020-07-04 | 今週のエネルギー関連新聞発表
6/30 出光興産
出光興産とグリッド、業界初の深層強化学習を活用した配船計画最適化の実証実験を完了しました

https://www.idss.co.jp/news/2020/200630_1.html


6/30 出光興産
千葉事業所においてRH装置の効率化改造工事を実施

https://www.idss.co.jp/news/2020/200630_2.html


6/30 三菱商事
エネルギー分野における協業に向けた検討の具体化について

https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/pr/archive/2020/html/0000045615.html


7/1 JOGMEC
組織の一部改編および理事の交代について

http://www.jogmec.go.jp/news/release/news_15_000001_00044.html


7/1 ENEOSホールディングス
CDOオフィスの設置について

https://www.hd.eneos.co.jp/newsrelease/20200701_01_01_1080071.pdf
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他を圧する三大産油国 米・露・サウジ:BPエネルギー統計2020年版解説シリーズ石油篇(6)

2020-07-03 | BP統計
BPが恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2020」を発表した。以下は同レポートの中から石油に関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。
 *BPホームページ:
https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/bp-statistical-review-of-world-energy-2020-published.html

2.世界の石油生産量(続き)
(2010年代に2倍になった米国、減少した中国とイラン!)
(4)主要産油国の生産量の推移(1990年、2000年、2010年及び2019年)
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-2-G03.pdf 参照)
 1990年以降の各国の産油量の推移を見ると、長期的に見て生産量が増加している国がある一方、減少している国など種々のタイプが見受けられる。ここでは米国、サウジアラビア、ロシア、中国、イラン及びブラジルの6カ国について1990年、2000年、2010年及び2019年の生産量の推移を見てみる。

米国とサウジアラビア及びロシアは2019年の生産量がいずれも1千万B/Dを超えており、中でも米国が他の2国を引き離す圧倒的な生産量を誇っている。1990年以降最も目立つ動きを示しているのは米国である。同国の1990年の生産量は891万B/Dであったがその後長期にわたり生産量は減少し、2010年には756万B/Dに落ち込み、3か国の中では最も少なくなっている。ところが2010年代に入ると急激に生産量が増加、2019年の生産量は1,705万B/Dに達し、2010年に比べ2.3倍と言う驚異的な伸びを記録している。ロシアあるいはサウジアラビアと比べても1.5倍近くの差がある。

サウジアラビアは1990年の711万B/Dから912万B/D(2000年)→987万B/D(2010年)→1,183万B/D(2019年)と3カ国の中で最も安定した伸びを示しており、過去30年近くの間に生産量は700万B/D台から1,200万B/D弱まで増加している。

米国、サウジアラビアの2カ国に対してロシアの生産量は特異な変化を示している。即ち1990年の同国の生産量は1,030万B/Dで3カ国の中で唯一1千万B/Dを超えていたが2000年の生産量は逆に3か国の中で最も少ない660万B/Dにとどまっている。これは1991年のソ連邦崩壊による経済混乱の影響である。その後ロシアの生産力は回復し2010年には再び1千万B/Dを超え、米国およびサウジアラビアをしのいで世界一の石油生産国に戻っている。しかし2010年代の生産の伸びは低く、2019年の生産量は1,150万B/Dにとどまり、3カ国の中では最も少なくなり、米国との差は大きく開いている。

 中国、イラン及びブラジル各国の1990年、2000年、2010年及び2019年の生産量の推移を見ると、中国は278万B/D(1990年)→326万B/D(2000年)→408万B/D(2010年)→384万B/D(2019年)、イランは327万B/D(1990年)→385万B/D(2000年)→442万B/D(2010年)→354万B/D(2019年)、ブラジルは65万B/D(1990年)→128万B/D(2000年)→213万B/D(2010年)→288万B/D(2019年)である。

 中国とイランはほぼ同じような動きを示しており、両国とも2019年の生産量が2010年を下回っている点でも共通している。しかし減少の理由は全く異なっている。中国の場合はシェール開発を含め新規油田の発見が進まないためであり、イランは世界第4位の可採埋蔵量があるにもかかわらず(本編第1章参照)、米国の経済制裁で生産が大きく制約されているためである。ブラジルはここで取り上げた6カ国の中では生産量は最も少ないが、増加率では他の5カ国を圧倒している。即ち1990年から2000年の10年間で生産は2倍に伸び、また1990年と2019年を比較すると4.4倍に増加している。

(石油篇生産量完)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
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中堅国家が軒並み格下げ、不吉な予兆?:世界主要国のソブリン格付け(2020年7月現在) (1)

2020-07-02 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0507SovereignRating2020Jul.pdf

 

 

 本レポートは著名な格付け会社Standard & Poors (S&P) の7月1日現在の世界主要国及びMENA諸国のソブリン格付け を取り上げて各国を横並びに比較するとともに、いくつかの国について過去3年間にわたる半年ごとの格付け変化を検証するものである。

 因みにS&Pの格付けは最上位のAAAから最下位のCまで9つのカテゴリーに分かれている。このうち上位4段階(AAAからBBBまで)は「投資適格」と呼ばれ、下位5段階(BBからCまで)は「投資不適格」又は「投機的」とされている。またAAからCCCまでの各カテゴリーには相対的な強さを示すものとしてプラス+またはマイナス-の記号が加えられている 。なおCCC以下でS&Pが債務不履行と判断した場合はSD(Selective Default:選択的債務不履行)格付けが付与され、さらに格付けを行わない場合はN.R.と表示される。

*過去のレポートは下記ホームページ参照。
http://mylibrary.maeda1.jp/SovereignRating.html 

(産油国のクウェイトが格下げ!)
1.2020年7月現在の各国の格付け状況
(表:http://menadabase.maeda1.jp/1-G-3-01.pdf 参照)
2020年7月現在の格付けを半年前の2020年1月と比べると最高格付けAAA(トリプルA)のドイツ、シンガポール等の国々を含めAA格付けの韓国、A+格付けの日本、中国など格付け上位の主要な国々に変動はなかった。

G7の国々のうちドイツ及びカナダはAAAの最高格付けであり、米国は1ランク下のAA+、英国及びフランスはさらに1ランク低いAAである。そして日本はAAAより4ランク低いA+に格付けされ、イタリアは投資適格ではあるがBBBにとどまっている。因みに格付け定義ではAAは「債務を履行する能力は非常に高く、最上位の格付け(トリプルA)との差は小さい」とされ、これに対して格付けAは「債務を履行する能力は高いが上位2つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい」とされている。そしてBBBの定義は「債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い」である。

G7以外の国ではアジア諸国のうちシンガポール及びオーストラリアがAAAに格付けされ、またMENA諸国では、アブダビがAAに、カタール、イスラエル及びクウェイトがAA-に格付けされている。なお産油国のクウェイトはこれまでアブダビと同じ格付けであったが、今年上半期に1ランク格下げされている。

サウジアラビアの格付けはA-である。アジア諸国では香港がAA+、韓国はAA、台湾はAA-であり、中国及び日本の格付けは台湾を1ランク下回るA+である。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp


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石油と中東のニュース(7月2日)

2020-07-02 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(コロナウィルス関連ニュース)
・WHO:中東のコロナ禍拡大に深刻な懸念、MENA22カ国で感染者108万人、死者2.5万人
・エジプト、3か月ぶりに観光客受け入れ再開
・UAE、市民及び居住者の海外渡航に病気治療など7条件明示

(石油関連ニュース)
・米石油備蓄減少で油価2%上昇。Brent $42.07, WTI $39.86
・Shell、第2四半期に220億ドル欠損引き当て見込み、BPも130憶ドル。  *
・サウジアラムコCEO、Daniel Yerginと対談。中国のガソリン需要回復で第2四半期石油市場は楽観

*「ExxonMobil、BP、Shell3社は損失計上:五大国際石油企業 2020 年 1-3 月期決算速報」参照。

(中東関連ニュース)
・アラブ同盟軍、イエメン空爆再開
・IMF、今年のサウジGDP成長率を-6.8%に再度引き下げ。SAMA総裁、悲観的過ぎると反論。  **
・茂木外相記者会見:パレスチナ2国家共存策を支持。  ***

**「大恐慌以来最悪の景気後退(The Great Lockdown):IMF 世界経済見通し 2020 年 4 月版」参照。
***外務省記者発表参照。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken4_000976.html#topic6
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データベース更新のお知らせ

2020-07-01 | データベース追加・更新
下記データを更新しましたのでご利用ください。

・世界及びMENA主要国のソブリン格付け比較(Standard & Poors:2020年7月 vs 2020年1月)

*追って本ブログで解説します。

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吸い上げる米国と中国、吐き出す日本:UNCTAD「世界投資レポート2020年版」(4)

2020-07-01 | 今日のニュース
(世界ランクシリーズ その9 2020年版)

2.FDIアウトバウンド(FDI Outflows, 対外直接投資)
(日本が2年連続で世界一の投資家!)
(1)2019年のFDI outflows(FDIアウトバウンド) 
(表http://rank.maeda1.jp/9-T02.pdf 参照)
 2019年の世界のFDI Outflows(アウトバウンド)の総額は1兆3,100億ドルであった。流入額が最も多かったのは日本であり、金額ベースでは2,270億ドル、世界全体の17%を占めている。日本に次いで流入額が多い米国とオランダが1,250億ドル(9.5%)で並んでいる。第4位は中国(1,170億ドル)、第5位ドイツ(990億ドル)である。これら上位5か国がFDI Outflows全体に占める割合は53%に達しており、直接投資の資金供給源が一部の富裕国に集中していることがわかる。

5位のドイツ以下は投資額が1千億ドル以下であるが、韓国は355億ドルで世界10位の資金供給国である。またロシアとインドのFDI Outflows額はそれぞれ225億ドル及び121億ドルである。中東の主要国ではUAEが最も多い159億ドルであり、世界で20番目にOutflowsが大きい国である。またサウジアラビアのFDIアウトバウンドは132億ドルでインドを上回っている。UAE、サウジアラビア以外で中東の主要な対外投資資金の供給国はイスラエル(86億ドル)、トルコ(28億ドル)などである。これに対してエジプトのFDI Outflowsは4億ドルにとどまり、イランの場合は1億ドルを下回っている。イランは米国の経済制裁のため対外投資もままならないようである。

2019年のFDI Outflows総額は前年(2018年)の9,900億ドルに比べ3,300億ドル、33%の大幅な増加であった。日本は1,430億ドルで2年連続で世界一である。一方、米国の前年のFDI Outflowsは▲906億ドルであった。Outflowsがマイナスであることは、動燃は過去の海外投資の引き揚げが新規の投資を上回ったことを意味している。

中国及びドイツは2018年のOutflowsでも世界2位と5位を占めており、日本と並ぶ資金の供給源である。2018年の対外投資額が3,600億ドルであったロシアの2019年の対外投資額は4割近く減少しているが、FDI Inflowsは2.4倍拡大している(前章参照)。このことからロシアでは2019年は国内外の投資資金が国内に向かったことをうかがわせる。

中東の主要国ではUAEのOutflowsは2年連続150億ドル台で安定している。サウジアラビアは2018年の230億ドルから2019年は4割減少しており、一方イスラエルは4割増加している。両国の投資家の姿勢は対照的である。また金額は小さいがトルコもサウジアラビア同様2019年の対外投資は前年を2割下回っている。イランの2018年の対外投資は7,500万ドルであり、2年連続で極めて低い水準である。
 
(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
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