石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油と中東のニュース(7月16日)

2020-07-16 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・OPEC+閣僚会合で8月から生産緩和決定。年内770万B/D削減。 *
・OPEC月次レポート:今年の世界石油需要落ち込み895万B/D、2021年は7百万B/D増。 **

OPECプレスリリース
**OPEC、サウジ、ロシアの原油生産量推移グラフ。
OPEC全体:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-2-04.pdf
サウジ:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-2-05.pdf
ロシア:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-2-20.pdf

(中東関連ニュース)
・外国人未熟練労働者の50%が失業、帰国見込み。年内にクウェイト150万人、サウジ120万人減
・サウジ、今年のハジ大巡礼の概要公表。自国民及び国内居住の外国人に限定、違反者に罰金1万SR
・UAE、原発第2号炉完成

・UAE火星探査衛星、種子島悪天候のため打ち上げを17日に延期
・クウェイト、Al-Dabdabaの太陽光発電プロジェクト建設中止

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見果てぬ平和 - 中東の戦後70年(40)

2020-07-15 | その他
(英語版)
(アラビア語版)

第5章:二つのこよみ(西暦とヒジュラ暦)

4.うっぷん晴らしとしっぺ返しの悲劇
 前章でイラクはクウェイト進攻により全世界を敵に回したと書いたが、厳密に言えば進攻直後に開催されたアラブ首脳会議でヨルダンを含むいくつかの国はイラク寄りの姿勢を採ったのである。「イスラエルのパレスチナ侵略を容認しながら、イラクのクウェイト併合を非難するのは矛盾している」とするフセイン大統領の主張、いわゆるリンケージ論が一部のアラブ諸国の琴線に触れたのである。ヨルダンの場合、市場価格を大幅に下回る価格でイラクから石油の供給を受けており貧乏な小国ヨルダンはイラクに頭が上がらなかったと言う事情もあった。

 巧妙なフセイン大統領はイスラエルに対して18回にわたりミサイル攻撃を仕掛けた。イラン・イラク戦争のどさくさにイスラエルが自国のオシラク原子力発電所を爆撃したことに対する報復措置というのが国民に対する説明であったが、イスラエルを挑発して戦争に巻き込もうとするのが彼の狙いであった。自衛のためなら先制攻撃も辞さないイスラエルがイラクのミサイル攻撃に黙っているわけはない。実際イスラエル世論は対イラク戦争への参戦一色に染まった。

 それこそフセインの思う壺だった。イスラエルが参戦すれば過去の4度にわたる中東戦争の図式が再現され、イラクの一方的な侵略戦争はアラブ・イスラーム対ユダヤという民族戦争に一変する。この戦争でサウジアラビアは米国など西欧キリスト教諸国を中心とする多国籍軍に駐留を認めており国内外のイスラーム宗教勢力から批判を受けていた。もしイスラエルが参戦すればサウジアラビアを含むアラブ諸国は苦しい立場に立たされることになるのであった。

 米国は必死になってイスラエルを説得し反撃を思いとどまらせた。もし(歴史に「もし」は禁句であるが)イスラエルが参戦していればフセイン政権は間違いなく倒れていたであろう。敵の息の根を止めるまで戦いを止めないのがイスラエルの戦略である。その結果中東は大混乱に陥ることも間違いない。しかし当時の米国はサウジアラビアなどの湾岸アラブ産油国を自陣営に引き留めておく必要があった。イランに加えてアラブ諸国まで敵に回すのは何としても避けたかった。

 イスラエルに対するイラクのミサイル攻撃を大歓迎したのはイスラエル占領地のパレスチナ人であり或いはヨルダンに住むパレスチナ難民たちであった。アラブ各国の首脳は口を開けば「イスラエルを地中海に追い落とせ」と威勢の良いことを言うが、実際に行動に踏み切った為政者はイラクのフセインただ一人だった。フセインなら本当に自分たちの夢を実現してくれるかもしれないという幻想にパレスチナ人たちが取りつかれたのも無理のないことだった。彼らはフセイン支持を声高に叫び日頃のうっ憤を晴らしたのであった。

 声に出さないまでも心の中で快哉を叫んだパレスチナ人もいた。クウェイトに出稼ぎに来ていた者たちである。まともに仕事もできずただ傲慢なだけのクウェイト人に奴隷のようにこき使われていた出稼ぎの彼らは、イラク軍に攻め込まれ、慌てふためいて隣国サウジアラビアに逃げ込んだクウェイト人たちを見て留飲を下げた。そして次にイスラエルがミサイル攻撃を受けたとき、米国に押しとどめられてイスラエルが反撃できないことを知り、ひょっとすればフセインが自分たちの祖国を取り戻してくれるのではないかという期待に胸を膨らませたのであった。

 しかしフセインの野望も、そしてパレスチナ人たちの期待も所詮は邯鄲(かんたん)の夢であった。半年後にクウェイトは解放された(湾岸戦争)。しかしイラクは撤退の置き土産に油田地帯に火を放った。クウェイトの砂漠に真っ赤な炎が立ち昇りあたりには原油の黒い飛沫が飛び散った。クウェイトの上空は黒煙に包まれ、昼なお薄暗い日々が続いたのであった。

ジャービル首長などサバーハ家王族は亡命先のサウジアラビアから舞い戻り、クウェイトは落ち着きを取り戻した。彼らは解放に力を貸してくれた米国をはじめとする多国籍軍の派遣国に深く感謝した。そのために新聞の全面広告も出た。そこにはパキスタン、スーダンなど多国籍軍に参加した国の名はあったが、軍隊を派遣できずその代わりに1兆円という巨額の支援金を拠出しただけの日本の名は無かった。

一方、クウェイトはフセインを支持した者を許さなかった。政府はパレスチナ人とヨルダン人全員を国外追放処分にした。国境の南にあった日本人が操業する石油基地もクウェイトが50%を握っていたためその対象となった。パレスチナ人たちのうっぷん晴らしに対するクウェイト側のしっぺ返しである。しかしクウェイトの行政と経済を下支えしていた彼らを追放すればどうなるかは日の目を見るより明らかだった。クウェイトの受けた傷は深く、それは四半世紀後の今も癒えていない。

(続く)

荒葉 一也
E-mail: areha_kazuya@jcom.home.ne.jp

ホームページ:OCININITIATIVE
(目次)
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吸い上げる米国と中国、吐き出す日本:UNCTAD「世界投資レポート2020年版」(8)

2020-07-15 | その他
(世界ランクシリーズ その9 2020年版)
http://mylibrary.maeda1.jp/0509WorldRank9.pdf

(世界ランクシリーズ その9 2020年版)

3.FDI Inward Stock(FDIインバウンド残高) (続き)
(40年間に全世界で17倍に増加したインバウンド残高!)
(2) 1990-2019年末のFDI Inward Stock(FDIインバウンド残高)の推移
(図http://rank.maeda1.jp/9-G04.pdf参照)
 ここでは1990年末から2019年末までの全世界並びに主要経済大国(米国、中国、日本、インド)及び中東3か国(サウジアラビア、トルコ、イラン)のFDI Inward Stock(FDIインバウンド残高)の推移を概観する。

 世界全体の1990年末のFDIインバウンド残高は2.2兆ドルであった、その後2000年末には3.4倍の7.4兆ドル、2010年末には19.9兆ドルに増加、2019年末の残高は36兆ドルを超えている。全世界のFDIインバウンド残高は1990年から2019年までのほぼ30年間に17倍に膨張している。
 
 国ごとに見ると世界最大の残高を誇る米国は1990年末の残高5,400億ドルが2000年末には5倍の2.8兆ドルに急増、2000年代は増加率が鈍ったが2010年代に入ると再び急拡大し、2019年末の残高は9.5兆ドルに達している。1990年からの30年間の伸び率は世界全体とほぼ同じ18倍であった。

 日本のFDIインバウンド残高は、99億ドル(1990年末)→500億ドル(2000年末)→2,100億ドル(2010年末)→2,200億ドル(2019年末)であり、30年間の伸び率は世界平均を若干上回る23倍である。年代別に見ると1990年代及び2000年代は4~5倍の大幅な伸びを示したが、2010年代はほとんど残高が増えていない。

 これに対して中国の残高の推移は、200億ドル(1990年末)→1,900億ドル(2000年末)→5,900億ドル(2010年末)→1.8兆ドル(2019年末)と1990年代は9倍、2000年代及び2010年代も10年間で3倍の大幅な伸びを示しており、かつて1990年末に米国の30分の1でしかなかったインバウンド残高は、2019年末には5分の1まで縮まっている。

 中国をさらに上回る急成長を遂げたのがインドである。1990年末以降のインドのインバウンド残高は、17億ドル(1990年末)→160億ドル(2000年末)→2,100億ドル(2010年末)→4,300億ドル(2019年末)であり、2000年代は10年間で13倍に急成長し、2010年代には日本を追い越している。

 サウジアラビア、トルコ及びイランの中東3か国を比較すると、1990年末の残高はサウジアラビア152億ドル、トルコ112億ドルであり、イランは20億ドルに過ぎなかった。3か国のFDIインバウンド残高は2000年代に急成長し、2010年末のトルコの残高は1,900億ドル、サウジアラビア1,800億ドル、イランは300億ドルであった。3か国はいずれもこの10年間に10倍以上増加している。2010年代の増加率はそれまでより大きく減速し、トルコの2019年末の残高は2010年末を下回っているほどである。全世界の残高が1.8倍、米国、中国が3倍増加しているのに比べ2010年代の中東諸国のインバウンド残高は増加していない。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
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他を圧する三大産油国 米・露・サウジ:BPエネルギー統計2020年版解説シリーズ石油篇(9)

2020-07-14 | BP統計
(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。 http://mylibrary.maeda1.jp/0508BpOil2020.pdf

BPが恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2020」を発表した。以下は同レポートの中から石油に関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。
 *BPホームページ:
https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/bp-statistical-review-of-world-energy-2020-published.html

3.世界の石油消費量(続き)
(年々増加する中国とインド、減少が続く日本、経済成長・省エネのいずれが真の勝者か!)
(3) 四大石油消費国(米、中、印、日)の消費量の推移
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-3-G03.pdf 参照)
  2019年の世界の四大石油消費国は米国、中国、インド及び日本である。日本は5年前までは世界第3位の消費国であったが、2015年にインドに追い抜かれその差は年々ひろがっている。これら4カ国の1985年以降の消費量の推移には先進国と同時に産油国でもある米国、開発途上国(中国・インド)そして非産油先進国の日本それぞれの特徴が如実に表われている。

世界最大の石油消費国である米国は1980年(1,573万B/D)以降消費が着実に増加、2000年代前半には2千万B/Dを突破し、2005年に2,053万B/Dに達した。その後消費は停滞したが、シェール石油開発により2010年後は国内の石油価格が低位安定し、消費量も増え、2019年には2000年とほぼ同じ水準の1,940万B/Dを記録している。

日本については1985年の消費量は449万B/Dで米国の3割弱であったが、それでも中国(181万B/D)、インド(90万B/D)を大きく引き離していた。1990年代に入り世界経済の発展と共に石油消費量も500万B/Dを超える水準が続いたが、1995年の577万B/Dをピークにそれ以降20年以上にわたり毎年前年を下回るマイナス成長となり2019年の消費量は381万B/Dである。

これに対して中国及びインドは一貫して増加している。1985年に181万B/Dであった中国の石油消費量は1990年以降急激に拡大、1990年の230万B/Dが2000年には470万B/Dに倍増した。2000年に入ると伸びはさらに加速して2003年には日本を追い抜き米国に次ぐ世界第二の石油消費国となっている。2005年は688万B/Dと1990年の3倍に達し、2010年は939万B/D、そして2012年には1千万B/Dを突破、2019年の消費量は1,406万B/Dで、これは日本の3.7倍、米国の70%強である。

インドの場合も1985年の消費量は日本の5分の1の90万B/Dにすぎなかったが、1988年に100万B/Dを超すとその後は10年毎に100万B/D単位で増加、2000年の消費量は226万B/D、2010年は338万B/Dを記録しており、2015年にはついに日本を追い抜き米国、中国に次ぐ世界第3位の石油消費国になった。2019年も消費量は大きく伸び日本の1.4倍の527万B/Dに達している。

日本が省エネ技術により石油消費を抑えたのに対し、中国及びインドはエネルギー多消費型の工業化を推進しており、いずれのタイプが石油消費国として勝者になるか予断を許さない。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp


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石油と中東のニュース(7月14日)

2020-07-14 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
(中東関連ニュース)
・IMF、今年のMENA経済成長見通しを-5.7%に再引き下げ。過去50年で最低の水準に。  *

*IMF4月経済見通しは下記レポート参照。
http://mylibrary.maeda1.jp/0500ImfWeoApr2020.pdf
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吸い上げる米国と中国、吐き出す日本:UNCTAD「世界投資レポート2020年版」(7)

2020-07-13 | その他
(世界ランクシリーズ その9 2020年版)
http://mylibrary.maeda1.jp/0509WorldRank9.pdf

(世界ランクシリーズ その9 2020年版)

3.FDI Inward Stock(FDIインバウンド残高) 
(世界で3番目に高い投資残高を有する香港!)
(1) 2019年末のFDI Inward Stock(FDIインバウンド残高) 
(表http://rank.maeda1.jp/9-T03.pdf参照)
 2019年末の世界のFDIインバウンド残高(FDI Inward Stock)は総額36兆ドルである。2018年末の残高は33兆ドルであり、1年間で残高は3.5兆ドル(11%)増加している。2019年末の残高が最も多い国は米国の9.5兆ドルであり、全世界の26%を占めている。米国一国だけで世界の直接投資の4分の1を吸い上げている。これに次ぐFDIインバウンド世界2位は英国の2兆ドル、3位香港(1.9兆ドル)、4位中国(1.8兆ドル)、5位オランダ(1.7兆ドル)である。

香港は英国植民地時代以来東洋の金融センターとして確固たる地位を保ち、中国への返還後も一国二制度を許されて、社会主義経済の中国と自由主義経済の欧米を橋渡しする金融の拠点となっている。この長い歴史が高いFDIインバウンド残高の要因である。但し、中国政府が香港への介入を強化し、これに対して欧米各国の警戒感が強くなっており、今後も東洋の金融センターとしての名声を維持できるか問題含みである。実際、2018年と比べた場合上位5か国のうち香港を除く4カ国はいずれもインバウンド残高が増加しているが、香港のみは2018年より5%近く減少しており、世界ランクも2位から3位に転落している。

 上位5カ国以外の主な国の残高を見ると、ドイツの2019年末FDI Inward Stockは9,500億ドルで世界10位、米国の10分の1である。ロシアとインドの残高はそれぞれ4.6兆ドル、4.3兆ドルであり、世界ランクでは20位前後につけている。日本のFDI Inward Stock(FDIインバウンド残高)は2.2兆ドルであり全世界に占める割合は0.6%、世界30位にとどまっている。日本の残高は米国の40分の1である。

 中東諸国の中で2019年末の残高が最も多いのはサウジアラビアの2,360億ドルであり、これは日本よりも多い。サウジアラビアに続くのはイスラエル(1,660億ドル)、トルコ(1,650億ドル)、UAE(1,540億ドル)、エジプト(1,270億ドル)である。イランのFDIインバウンド残高はこれら各国より一桁少ない570億ドルにとどまっている。前年(2018年)末残高と比較した場合、イスラエル、トルコ、及びUAEはいずれも140~210億ドル増加している。これに対してサウジアラビアは50億ドルの増加にとどまり、イランの場合はわずか15億ドルの増加に留まっており、いずれも世界ランクが下がっている。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
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データベース更新のお知らせ

2020-07-13 | データベース追加・更新

下記データベースを更新しましたのでご自由にご利用ください。

 

・UAE連邦政府閣僚名簿(2020年7月5日改造)

 

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石油と中東のニュース(7月12日)

2020-07-12 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・コロナ禍拡大懸念して原油価格下落。Brent $42.10, WTI $39.29
・IEA、2020年の需要予測を40万B/D引き上げ。但しコロナ禍で厳しい見通し
・アブダビMubadala、ブラジル第2の製油所の買収交渉入り

(中東関連ニュース)
・シリア人道支援策途切れる:国連安保理で中露が拒否権行使
・レバノンは制御不能の危機的状況:国連人権高等弁務官談
・トルコ大統領:アヤ・ソフィアで24日にイスラム礼拝実施。他のモスク同様、非ムスリムにも見学開放
・クウェイト、外国人削減政策で年末までに外国人労働者150万人帰国見込み
・UAE、外国人のビザ延長政策を再変更
・ドバイ、17億ドルの経済刺激策第2弾
・自分の味方は誰であろうが守る:ゴーン日産元会長Al Arabiya TVインタビューで語る



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今週の各社プレスリリースから(7/5-7/11)

2020-07-11 | 今週のエネルギー関連新聞発表
7/9 BP
Integrating international gas value chains to create lower carbon energy solutions for China

https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/bp-signs-gas-supply-agreement-with-enn.html


7/10 経済産業省
LNG産消会議2020を開催します

https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200710003/20200710003.html
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他を圧する三大産油国 米・露・サウジ:BPエネルギー統計2020年版解説シリーズ石油篇(8)

2020-07-10 | BP統計
(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0508BpOil2020.pdf


BPが恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2020」を発表した。以下は同レポートの中から石油に関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。
 *BPホームページ:
https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/bp-statistical-review-of-world-energy-2020-published.html

3.世界の石油消費量(続き)
(1億バレル目前で足踏みする世界の消費量!)
(2)1970年~2019年の地域別消費量の推移
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-3-G02.pdf 参照)
 1970年の全世界の石油消費量は4,531万B/Dであったが、5年後の1975年に5千万B/D台に、そして1980年には6千万B/D台と5年ごとに大台を超える急増ぶりであった。その後1980年代は横ばい状態であったが、1990年以降再び増加に勢いがつき、1995年には7千万B/Dを超えた。そして2000年代前半には8千万B/D、2013年に9千万B/Dを突破して2019年の消費量は9,827万B/Dに達している。但し最近2年間の対前年増加率は1.4%(2018年/2019年)、0.9%(2019年/2018年)と低く、1億B/D目前に世界の石油消費量は停滞している。

消費量を地域別にみると、1970年には北米及び欧州地域の消費量はそれぞれ1,662万B/D、1,332万B/Dとこの2つの地域だけで世界の石油消費の3分の2近くを占めていた。その他の地域ではアジア・大洋州は世界全体の15% (665万B/D)、ロシア・中央アジアは11% (483万B/D)にとどまり、中東、中南米、アフリカは合わせて9% (389万B/D)に過ぎなかった。しかしその後、アジア・大洋州の消費の伸びが著しく、1980年には1千万B/Dを突破、1990年代に欧州地域の消費が伸び悩む中で、1990年代前半にはついに同地域を追い抜き、2000年の消費量は2,118万B/Dに達した。さらに2007年には北米をも上回る世界最大の石油消費地域となり、2019年の消費量は世界全体の37%を占める3,618万B/Dとなっている。

欧州地域は1970年に1,332万B/Dであった消費量が1980年には1,577万B/Dまで増加している。しかしその後消費量は減少傾向をたどり1990年から2010年までの20年間はほぼ1,500万B/D前後で横ばい状態となり2010年代にはむしろ減少傾向を示し、2019年の石油の消費量は1,490万B/Dで世界全体に占める割合は1970年の29%から15%に半減している。

北米地域については1970年の1,662万B/Dから1980年には2千万B/Dまで伸び、1980年代は需要が停滞した後1990年代に再び増勢を続け2005年には2,484万B/Dに達した。その後は減少を続け2012年には2,200万B/Dまで下ったが、2019年は再び持ち直し2,354万B/Dとなっている。これはシェールオイルの生産が軌道に乗ったことによりエネルギー価格全体が安くなり国内産業が活気を帯びたことが原因の一端であろう。 (天然ガスの生産・消費については後述)。

その他の中東、中南米、アフリカ地域は世界に占める割合は小さいものの、消費量は着実に増加している。特に中東地域は1970年の104万B/Dが2019年には942万B/Dと半世紀近くで9倍に膨張している。中東には石油の輸出国が多いが各国の国内消費の伸びが生産のそれを上回れば、その分輸出余力が減少することになる。この事実は将来の石油需給問題に影を投げかけていると言えよう。

(続く)

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