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http://mylibrary.maeda1.jp/0588ImfWeoOct2023.pdf
IMF(国際通貨基金)が「世界経済見通し(World Economic Outlook、October 2023)」(以下、WEO)を発表した。 このレポートでは全世界、EU、ASEANなどの主要経済圏及び日米中印など主な国々の2022年(実績)から2024年(予測)まで3年間のGDP成長率が示されている。また同時に公表されたWorld Economic Outlook Database(以下、WEO Database)では全世界の国々の2028年までのGDP成長率、名目金額など詳細な経済指標が網羅されている。
本稿では今年(2023年)及び来年(2024年)の成長率を比較し、また前回7月の経済見通しに対してGDP成長率がどのように修正されたかを検証する。そして2021年から2025年の5年間の成長率の推移を比較する。さらに過去6回の経済見通し(昨年7月、10月、今年1月、4月、7月及び今回)で今年の成長率がどのように見直されてきたかを精査する。
*WEOレポート: https://www.imf.org/external/datamapper/datasets/WEO
日本語版:
https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2023/10/10/world-economic-outlook-october-2023
WEO Database:https://www.imf.org/en/Publications/WEO/weo-database/2023/October
(今年の世界の成長率は3.0%!)
1.2023年のGDP成長率(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)
今回10月見通しでは今年の世界の成長率は3.0%とされており、前回7月見通しと同じである。
経済圏別に見るとEU圏の2023年の成長率は0.7%であり、7月の数値から0.2%ダウンしている。またASEAN5カ国は4.6%から4.2%に下方修正され、中東・中央アジア諸国も2.5%から2.0%に引き下げられている。ロシアのウクライナ侵攻によりエネルギー価格が不安定なため成長率が鈍化しているようである。
国別では今年の成長率は米国2.1%、日本2.0%、ドイツ▲0.5%、英国0.5%、ロシア2.2%、中国5.0%、インド6.3%である。インドの成長率は世界で最も高く、世界平均(3.0%)の2倍以上である。中国はコロナ禍以前に二桁の高い成長を続け、その後急激に減速したが、それでも世界平均を上回っており、インドと中国が世界の成長をけん引している。これに対してヨーロッパ諸国は上記の通りEU圏の成長率が1%を下回り、ドイツは主要国の中で唯一マイナス成長と見込まれている。
産油国のサウジアラビアは0.8%であり、前回7月見通しの1.9%から下方修正されている。同じ産油国のロシアは逆に7月見通しの1.5%が2.2%に上方修正されている。ロシアは欧米先進国から経済制裁を受けているが、中国、インドが同国原油を安値で輸入するなどロシア経済への影響力はさほど大きくないのが現実のようである。
(続く)
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