公開中に見たかったのですが叶わず、録画して今日見ました。
わたしは美瑛に来る前は地図を教える仕事をしていたので、三角点とか、点の記だとかは、身近な場所にありました。
まず最初に、この撮影は本当に大変であっただろうと思いました。
あの景色は全て本物です。
出ていた役者さんの他にカメラマンや監督など相当数のスタッフが、あの険しい山に登ったのだろうと思うと、作家や監督など強い思いを感じずにいられません。
職場の諸先輩からも道なき道を行き、三角点を設置した苦労話をたくさん聞きました。
国土を知るという地味で忍耐の必要な仕事を、マスメディアや陸軍の思惑をももろともせず、やり抜いた事を讃えたい、そんな気持ちになりました。
しかし、陸軍もせっかくの功績も「なかったことにしよう」などとよく言えた物だと思いました。
画面を見ながら悔しくて、「な~に~(怒)」と言っていました。
剣岳を囲む立山連峰の美しい山々。
「登山」を始めるきっかけになった場所です。
どんな思いで剣山に立ち向かったのか。
当時の測量部の人たちと、後世にこの事実を伝えたかった映画人の思いがシンクロして、静かながら素晴らしい映画が出来上がったのだなぁと感じました。
当時の平板測量は、最近まで使っていたアリダードだったんですね~。
山頂までの角度と、方向を計っていたんですね。
アリダードは測量しながら図面を描いていくもの。懐かしく見ました。
まるでドキュメンタリーのような映画でした。
浅野忠信の抑えた演技が、仕事一筋に生きる明治の男性をきちんと表現していたように思います。
浅野忠信はそこで演技しているとは思えないほど、その人物になっていきますね。
しかも脇役としては最高の役者、香川照之が良い味出しています。
剣岳の美しさと地図作りに命をかけた人たちの思いを、受け止めることが出来た映画でした。