今日の「休日のバッハ」は、コラール前奏曲から1曲。
バッハは180曲近いコラール前奏曲をオルガンのために書いておりますが、実は、オルガン曲は筆者にとって、バッハの全作品の中で「聴き込み度」が最も少ない領域です。その分、これからの人生にはまだ残された楽しみがあるとも言えますが、今日お贈りするのは、これまでに聴いた中で最も印象的なコラール前奏曲「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」(BWV659)です。
この曲を初めて聴いたのは20年ほど前。アレクシス・ワイセンベルクのピアノでした。その時以来、時々取り出して聴きたくなるのがこのコラール前奏曲です。「18のコラール集」というオルガン曲としては比較的知られた曲集の中の1つです。
こんな完成度の高い短編ピアノ曲は、そうそう世の中にあるものではないと思うのがこの曲です。今も、どんな曲とご紹介すれば良いのか、何とか言葉に表そうとしておりますが、言葉になりません。有名なシチリアーノの甘い味わいとは対極にある曲です。
とにかく聴いて頂く以外にはありません。
アップロードしたのは、ブゾーニの編曲によるワイセンベルク盤と、あの丸山眞男がこよなく好んだというヴィルヘルム・ケンプ編曲によるブーニン盤の2つです。
丸山眞男はどうやらマニアックとでも言えるクラシック音楽愛好家だったようですが、よく聴いたのはベートーベン、ブラームスあたりのドイツロマン派の音楽でした。何故、バッハの音楽にさほど傾倒しなかったのか、少し疑問に思っておりましたが、この曲のケンプ編曲のブーニンを聴いて、その一部が理解できた思いでした。
端的に言うと、筆者はブーニンの演奏のところどころに散見される、不自然なリズムを伴った小手先の装飾表現を好ましく思えません。更に極端なのはアンドラーシュ・シフの演奏です。
それらに対し、ワイセンベルクの正攻法とでも言える屈託のない演奏が好ましく思えるのです。
ワイセンベルクを突き詰めるとバッハに、ブーニンを突き詰めるとドイツロマン派に行き着くと言ってもいいかも知れません。
題名の「異教徒の救い主」とは、ユダヤ教から見ての異教徒であるイエス・キリストです。こうした救い主を待ちわびる民衆の気持ちを、どちらが音楽としてより良く表現しているか?個々人の感性は異なりますので、ブーニンの方がゆったりとした繊細な演奏であり好きだと思う方も沢山いらっしゃることでしょう。このあたりを感じとりながら聴いて頂ければと思います。
いつものようにここをクリックして、ウィンドウズ・メディア・プレイヤーでお聴き下さい。期間限定の公開となります。
バッハは180曲近いコラール前奏曲をオルガンのために書いておりますが、実は、オルガン曲は筆者にとって、バッハの全作品の中で「聴き込み度」が最も少ない領域です。その分、これからの人生にはまだ残された楽しみがあるとも言えますが、今日お贈りするのは、これまでに聴いた中で最も印象的なコラール前奏曲「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」(BWV659)です。
この曲を初めて聴いたのは20年ほど前。アレクシス・ワイセンベルクのピアノでした。その時以来、時々取り出して聴きたくなるのがこのコラール前奏曲です。「18のコラール集」というオルガン曲としては比較的知られた曲集の中の1つです。
こんな完成度の高い短編ピアノ曲は、そうそう世の中にあるものではないと思うのがこの曲です。今も、どんな曲とご紹介すれば良いのか、何とか言葉に表そうとしておりますが、言葉になりません。有名なシチリアーノの甘い味わいとは対極にある曲です。
とにかく聴いて頂く以外にはありません。
アップロードしたのは、ブゾーニの編曲によるワイセンベルク盤と、あの丸山眞男がこよなく好んだというヴィルヘルム・ケンプ編曲によるブーニン盤の2つです。
丸山眞男はどうやらマニアックとでも言えるクラシック音楽愛好家だったようですが、よく聴いたのはベートーベン、ブラームスあたりのドイツロマン派の音楽でした。何故、バッハの音楽にさほど傾倒しなかったのか、少し疑問に思っておりましたが、この曲のケンプ編曲のブーニンを聴いて、その一部が理解できた思いでした。
端的に言うと、筆者はブーニンの演奏のところどころに散見される、不自然なリズムを伴った小手先の装飾表現を好ましく思えません。更に極端なのはアンドラーシュ・シフの演奏です。
それらに対し、ワイセンベルクの正攻法とでも言える屈託のない演奏が好ましく思えるのです。
ワイセンベルクを突き詰めるとバッハに、ブーニンを突き詰めるとドイツロマン派に行き着くと言ってもいいかも知れません。
題名の「異教徒の救い主」とは、ユダヤ教から見ての異教徒であるイエス・キリストです。こうした救い主を待ちわびる民衆の気持ちを、どちらが音楽としてより良く表現しているか?個々人の感性は異なりますので、ブーニンの方がゆったりとした繊細な演奏であり好きだと思う方も沢山いらっしゃることでしょう。このあたりを感じとりながら聴いて頂ければと思います。
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