今朝、偶然スイッチを入れたNHKで、今回の大震災の補正予算審議のTV中継が行われておりました。他称(あるいは自称)、政界の水戸黄門、渡部恒三氏が「こんな時に政争に興じている場合ではない」と、いつもの調子で、涙ながらに田舎芝居顔負けの熱の入った演説をしておりました。
このやりとりを微笑みながら聞いて、しきりに頷いている多数の与野党議員を見て、一体この国の政治家はどういう人種なのだろうかと思いました。
国会議員は、当面の大震災の復興のための緊急処置を講じることはもちろん必要ですが、それだけに終わってしまうのなら、村議会議員と全く変わりありません。
もし国難と言うなら、より具体的にどういったことが国難なのか問題提起をし、それに対し、国家として今現在処するべきことを真摯に議論し、方向付けをしていくのが国会ではないかと思うのです。
「国家債務危機」(ジャック・アタリ著)、これこそが今回の大震災を契機として、何としても避けなければならない問題だと思います。
今、世界の耳目を集めているギリシャ。1800年から1949年までに計5回デフォルトをしております。その間ドイツも5回、イギリスは7回、ポルトガルも6回デフォルト。日本は戦後1回デフォルト。アメリカはまだゼロ回です。
とりわけドイツのデフォルトのケースが最悪ですが、これは、第一次世界大戦後にドイツに課せられた1320億金マルク(330億ドル)にも達する賠償金、当時のドイツのGDP比2000%にも及ぶ額に起因しておりました。
これはとても返済できる金額ではなく、その後、賠償金の延滞を理由にルール地方を占拠されたドイツは経済が破綻し、何と、マルクの価値が1兆分の1に下落するハイパーインフレに陥ってしまったのです。しかも、その後世界大恐慌が発生し、ドイツは再度強烈な不況に陥り、260億ドルにヘアカットし59年間払いにするヤング・プランが調印されました。
しかし、これでもまだドイツは賠償金の支払いが不能となり、1932年のローザンヌ会議で更に賠償金が30億金マルク(当初の44分の1)にまで減額されました。にもかかわらず、ドイツ経済は立ち直ることが出来ず、結局ナチスの台頭を許したのですが、そのナチスは賠償金の支払いを一方的に拒否。しかし、1990年のドイツ統一を機に支払いは再開され、何とアメリカへの債務は2010年10月4日に完了。完済までに89年を要したことになります。(しかしまだ他国への債務の支払いは2020年まで残っています。)
こうした事実は全く知りませんでした。
ドイツの場合は第一次世界大戦後の過大な賠償金が発端でしたが、今回の日本の大災害の場合は、規模の差こそあれ、復興資金のための国家財政の悪化が、「国家債務危機」としての引き金を引くことになることを最も懸念せねばなりません。
過去の歴史をひもとくなら、国家の債務というのが妥当な水準にまで低下し、国民の国家に対する信任が向上するためには、経済成長と大胆な歳出カットが必要なことが証明されております。
この2つをどうやって復興のための資金需要の急増の中で実現するのかこそ、国会議員に課せられた最重要の課題だと思うのです。
折しも、格付け会社2社は日本国債の格付けの引き下げ(もしくは引き下げの示唆)を行っております。日本国債のCDSも2008年から5倍以上に急騰し、110bp(1.1%)にまでなっております。ヘッジファンドは、格付け会社の動きと軌を一にし、日本国債の空売りで、それこそ未曾有の利益をたたきだそうと虎視眈々と狙っております。
そこでヘッジファンドが上げる利益は、金利水準が2%上がっただけで巨額の利益となり、その分、日本の金融機関は計100兆円の損失が生じて、自己資本はもちろん吹っ飛び、日本経済は大混乱に陥ります。その金融機関に公的資金を投入しようにも、国債発行以外には手段のない政府は、更にその足下を見透かされて、国債金利をスパイラル的に上げていきます。
こうなると、リーマンショックどころの話ではなく、まさに日本沈没。第一次世界大戦後のドイツのようなハイパーインフレを伴う大混乱に陥ること必至です。
このシナリオは決して非現実的なことではありません。これをどうやって救うのかこそ、今の政治家に課された最重事項ですが、経済成長の息を止める安易な復興税を始めとした増税の話や、国債増発の話しか出てこないのが、全くもってこの国の悲劇としか言いようがありません。
ここは将来のハイパーインフレを招来しないためにも、新規国債に頼らない復興資金捻出と、それこそ国家公務員の給与の大胆なカットなどを含む、歳出削減による資金捻出、それに、コンサルタントの吉田繁治氏が言っているような、外為特会の持つ外貨準備を構成する米国債を売っての資金捻出などについて、真剣に議論し実現して欲しいものです。
日本が手持ちの米国債を売れば、確かに米国債は大きく金利上昇するでしょう。中国も追随して売るかも知れません。それはそれで世界経済の大きな波乱要因となるかも知れませんが、かといって、日本発の信用恐慌で世界経済が沈没する、そのリスクと比べてどちらがよりましかについて、日本の政治家に判断させるのは所詮無理なことかも知れませんが、政策を決定する権限を彼らが握っている以上、何としても政治家連中を動かして、この「国難」を首尾良く回避させる方策を実現させる以外にありません。
悲しいことですが、このような国の命運の帰趨を制するような決定事項を、その能力のない政治家に託す以外にはないという、この悲劇の結末については、国民全体で受け止める以外にはなさそうです。
このやりとりを微笑みながら聞いて、しきりに頷いている多数の与野党議員を見て、一体この国の政治家はどういう人種なのだろうかと思いました。
国会議員は、当面の大震災の復興のための緊急処置を講じることはもちろん必要ですが、それだけに終わってしまうのなら、村議会議員と全く変わりありません。
もし国難と言うなら、より具体的にどういったことが国難なのか問題提起をし、それに対し、国家として今現在処するべきことを真摯に議論し、方向付けをしていくのが国会ではないかと思うのです。
「国家債務危機」(ジャック・アタリ著)、これこそが今回の大震災を契機として、何としても避けなければならない問題だと思います。
今、世界の耳目を集めているギリシャ。1800年から1949年までに計5回デフォルトをしております。その間ドイツも5回、イギリスは7回、ポルトガルも6回デフォルト。日本は戦後1回デフォルト。アメリカはまだゼロ回です。
とりわけドイツのデフォルトのケースが最悪ですが、これは、第一次世界大戦後にドイツに課せられた1320億金マルク(330億ドル)にも達する賠償金、当時のドイツのGDP比2000%にも及ぶ額に起因しておりました。
これはとても返済できる金額ではなく、その後、賠償金の延滞を理由にルール地方を占拠されたドイツは経済が破綻し、何と、マルクの価値が1兆分の1に下落するハイパーインフレに陥ってしまったのです。しかも、その後世界大恐慌が発生し、ドイツは再度強烈な不況に陥り、260億ドルにヘアカットし59年間払いにするヤング・プランが調印されました。
しかし、これでもまだドイツは賠償金の支払いが不能となり、1932年のローザンヌ会議で更に賠償金が30億金マルク(当初の44分の1)にまで減額されました。にもかかわらず、ドイツ経済は立ち直ることが出来ず、結局ナチスの台頭を許したのですが、そのナチスは賠償金の支払いを一方的に拒否。しかし、1990年のドイツ統一を機に支払いは再開され、何とアメリカへの債務は2010年10月4日に完了。完済までに89年を要したことになります。(しかしまだ他国への債務の支払いは2020年まで残っています。)
こうした事実は全く知りませんでした。
ドイツの場合は第一次世界大戦後の過大な賠償金が発端でしたが、今回の日本の大災害の場合は、規模の差こそあれ、復興資金のための国家財政の悪化が、「国家債務危機」としての引き金を引くことになることを最も懸念せねばなりません。
過去の歴史をひもとくなら、国家の債務というのが妥当な水準にまで低下し、国民の国家に対する信任が向上するためには、経済成長と大胆な歳出カットが必要なことが証明されております。
この2つをどうやって復興のための資金需要の急増の中で実現するのかこそ、国会議員に課せられた最重要の課題だと思うのです。
折しも、格付け会社2社は日本国債の格付けの引き下げ(もしくは引き下げの示唆)を行っております。日本国債のCDSも2008年から5倍以上に急騰し、110bp(1.1%)にまでなっております。ヘッジファンドは、格付け会社の動きと軌を一にし、日本国債の空売りで、それこそ未曾有の利益をたたきだそうと虎視眈々と狙っております。
そこでヘッジファンドが上げる利益は、金利水準が2%上がっただけで巨額の利益となり、その分、日本の金融機関は計100兆円の損失が生じて、自己資本はもちろん吹っ飛び、日本経済は大混乱に陥ります。その金融機関に公的資金を投入しようにも、国債発行以外には手段のない政府は、更にその足下を見透かされて、国債金利をスパイラル的に上げていきます。
こうなると、リーマンショックどころの話ではなく、まさに日本沈没。第一次世界大戦後のドイツのようなハイパーインフレを伴う大混乱に陥ること必至です。
このシナリオは決して非現実的なことではありません。これをどうやって救うのかこそ、今の政治家に課された最重事項ですが、経済成長の息を止める安易な復興税を始めとした増税の話や、国債増発の話しか出てこないのが、全くもってこの国の悲劇としか言いようがありません。
ここは将来のハイパーインフレを招来しないためにも、新規国債に頼らない復興資金捻出と、それこそ国家公務員の給与の大胆なカットなどを含む、歳出削減による資金捻出、それに、コンサルタントの吉田繁治氏が言っているような、外為特会の持つ外貨準備を構成する米国債を売っての資金捻出などについて、真剣に議論し実現して欲しいものです。
日本が手持ちの米国債を売れば、確かに米国債は大きく金利上昇するでしょう。中国も追随して売るかも知れません。それはそれで世界経済の大きな波乱要因となるかも知れませんが、かといって、日本発の信用恐慌で世界経済が沈没する、そのリスクと比べてどちらがよりましかについて、日本の政治家に判断させるのは所詮無理なことかも知れませんが、政策を決定する権限を彼らが握っている以上、何としても政治家連中を動かして、この「国難」を首尾良く回避させる方策を実現させる以外にありません。
悲しいことですが、このような国の命運の帰趨を制するような決定事項を、その能力のない政治家に託す以外にはないという、この悲劇の結末については、国民全体で受け止める以外にはなさそうです。