ウード奏者 松尾 賢 のブログ(アラディーン主宰者)

ウード奏者、ダラブッカ奏者、サズ奏者、歌手、アラブ、トルコのオリエンタル音楽演奏家・作曲家である松尾賢のブログ。

アラブの歌と音楽の夜 第一夜 後記

2015-07-14 04:21:02 | 日記

昨日は、念願だったコンサートを行う事が出来ました。誠にありがとうございました!更に、日曜日の夜だったにも関わらず、大勢の方々にお越し頂きまして、本当に感謝!でした。

MCの中でも話した通り、結成してから10年の間に、この規模のコンサートを行いたかったのですが、色々あってなかなか実現できず仕舞いでした。

特に、自分の理想形とするウードの演奏技術について、ずっと試行錯誤の連続だった事が二の足を踏んでいて事の一番の原因ではありました。

ここでも書かせて頂きますが、自分のメインの楽器をウードに選択して、本当に失敗したと、何度も心の底から思いました。手を出して以来、これほど難しい楽器は無いのでは、と挫折感の連続でした。

35歳で、本格的にこの楽器を始めた事も原因ですが、追究すればするほど、自分の音楽に関する姿勢を根本から叩き直されたのは勿論の事、未だに足りなさを実感させられる日々です。

ある時、「ウードはヴァイオリン並みに極めるのが難しい楽器」であるという結論に至りました。それぐらい難しい楽器です。2005年のエジプト滞在から帰国後、ウード奏者として見切り発車してプロ活動を始めた事を思い返してみて、我ながら自分の無謀ぶりに冷や汗を感じます。

とはいえ、十年一剣と言う通り、常味裕司と言う稀有な演奏家に10年毎月頑張って学び、更にアラディーンで毎月イベントを開催して来て実力を磨き、

満を持して行った「アラブの歌と音楽の夜」と言うコンサートの第一夜、勿論、様々な反省点は沢山ありましたが、それ以上の感動と結果で終える事が出来ました。

今まで追及し表現して来たアラブ音楽のコンサートの一つの形でした。

私がこうやってウード奏者、ダラブッカ奏者として存在しているのは、勿論ベリーダンス諸姉妹の御蔭です。特に、私が結婚していた「アレグラ」の存在抜きには考えられません。

彼女達の存在が無ければ、私にとって、アラブ音楽は単なる一民族音楽というカテゴリーの中で留まっていたでしょうし、ここまで追及し、曲目のレパートリーを増やす事も出来なかったと思います。

そういう意味でも、わざわざ昨夜見に来てくださったダンサーの皆さんは、特に特別な存在であって、お互いにアラブ音楽と言う物の素晴らしさを分かち合えて、とても嬉しく思います。

この10年間のアラブ音楽への研鑽の一つの結論として「アラビア語の歌」がこの音楽の大きな魅力の一つであり、そこから全てが始まっている、というのが私の結論です。

その意味でも、昨年より、エジプトで研鑽して来た木村伸子ちゃん、チュニジアで研鑽して来た益田彩香ちゃん、そして何より、チュニジア人ヴァイオリニストのハスィン・ジュベリと知り合えた事が大きな励みになりました。

この3人の存在が無ければ、今回のコンサートの成功は無かったと思います。

やはりアラビア語とアラビア語圏で実際に生活した事が無ければ分からない事が多々あり、それを身体的に感じてきた彩香ちゃんの歌、伸子ちゃんの唸るタクシーム、そして、ハスィンの歌と卓越したヴァイオリン演奏とタクシームを核に、

ミッチーのカーヌーン、私のウードと歌、安藤君の安定したベースに、流石と思わせる濱ちゃんのレクが、それぞれ際立ちながら絡み合った、音のアラベスク文様が今回のコンサートの音でした。

と、長々と書いてしまいましたが、定期的に、この「アラブの歌と音楽の夜」を行っていきたいと思います。

コンサート終了後、イナコ先生から「歌が上手くなったわね」と言われて感無量です(笑)。

「アラブの歌と音楽の夜 第一夜」
1部:
Samaai Nahawand Safar Ali(サマーイ・ナハワンド・サファル・アリー)(エジプト~サファル・アリ)
Bint Al Shalabiya(ビント・シャラビーヤ:シャラビーヤの少女)(レバノン~フェイルーズ)
Shat Iskandaria(シャット・イスンダリーア:アレキサンドリアの浜辺))(レバノン~フェイルーズ)
A3tini Al Naaya Wa Ghannii(アーティニー・ナーヤ・ワ・ガンニー:ネイを持ってきて、そして、歌ってください)(レバノン~フェイルーズ)
Tahat Al Yasmeena(タハッティル・ヤスミーナ:ジャスミンの木の下で)(チュニジア~へディ・ジュイニ)
Nassam Alaina Al Hawa(ナッサム・アライナル・ハワ:我らの上にそよ風が吹く)(レバノン~フェイルーズ)

2部:
Al Hob Al Awwal(エル・ホッブ・ル・アッワル:初恋)(エジプト~ムハンマド・アブドゥル・ワッハーブ)
Al Nahar Al Kharid(エン・ナハル・ル・ハリッド:永遠なる河)(エジプト~ムハンマド・アブドゥル・ワッハーブ)
Ana Fi Intizaarak(アナ・フィンティ・ザーラック:あなたを待っています)(エジプト~ウンム・クルスーム)
Ana Albiy Lik Mayyaal(アナ・アルビー・リク・マイヤール:私の心は、あなたへと傾く)(エジプト~ファイーザ・アハメッド)
Enta Omri(エンタ・オムリ:あなたは私の人生)(エジプト~ウンム・クルスーム)
Sawah(サワー:さすらい人)(エジプト~アブドゥル・ハリム・ハーフェーズ)


告知 アラブの歌と音楽の夜

2015-07-11 21:29:49 | 日記

さて、明日は兼ねてから行いたかったアラブ音楽と歌のコンサートを行います。

アラディーンを2005年に結成して以来、ずっと考えていた音楽のみのコンサートですが、私自身が理想とするウードの演奏方法について、ずっと試行錯誤して来た事もあり、

また、共演するミュージシャンの選択についても中々ピンとくる人もいず、結局は構想10年、みたいな感じになりました。

ともあれ、去年から出会う人々にも恵まれ、また私個人も、ウードの右手の使い方にようやく一つの答えを出す事も出来、更に新しいウードも手に入れた事もあって、ついに機会到来という感じです。

先ずは、2015年からの10年の音楽活動の手始めとして「アラブの歌と音楽の夜」というコンサートを始動をしたいと思います。

今回は、チュニジアに留学し、ウード奏者のハリッド・ベッサ氏に学んだ益田彩香さんと、チュニジア人ヴァイオリニストのハスィン・ジュベリを迎えて、

レバノンで最も有名な歌手のフェイルーズの曲目を中心に、ファイーザ・アハメッド、ウンム・クルスームの歌曲や、古典曲、エジプトの器楽曲を演奏いたします。

日曜日の夜ですが、お時間のある方は是非お見逃しなく。

●7月12日(日)
「アラブの歌と音楽の夜」
@音や金時
杉並区西荻北2-2-14 喜志コーポB1
TEL:03-5382-2020
http://www2.u-netsurf.ne.jp/~otokin/
Open/18:30~
Show/19:30~ 2stage
Charge/3,000yen
※予約は必要ありません。お店に直接お越しください。

松尾賢/ウード&歌
益田綾香/ウード&歌
ハスィン・ジュベリ/ヴァイオリン&歌
木村伸子/ヴァイオリン
鈴木未知子/カーヌーン
安藤亮輔/ベース
濱元智行/レク&ダフ


6月のベリーダンスと音楽の夜 後記

2015-07-11 16:13:17 | 日記

随分時間が経ってしまいましたが、6月27日(土)「ベリーダンスと音楽の夜 第110夜」、ならびに28日(日)の「ベリーダンスと音楽の夜@横浜 第30夜 」、大盛況で終える事が出来ました!お越し頂いた皆様、誠にありがとうございました!

27日(土)は、今年で4年連続で出演して頂いている、Azarahさん、そして、去年より出演して頂いているカスバベリーダンススタジオの Amani さん、同じくカスバベリーダンススタジオ所属で、初出演のSalima さん、そして、本当に昔からの友人である、Mislina Yukie さんの4人の素敵なダンサーの皆さんが、それぞれの個性を光らせてのパフォーマンスを繰り広げて頂きました。

それぞれ、エジプトの歌謡曲で踊ったり、ルーマニアのジプシーの曲で踊ったり、と、とても華やかで盛り上がりました。演奏していて、我々も、とても楽しかったです。

28日(日)は、Huleya主宰の Studio Borboleta oriental dance company 次世代の一押しダンサーを中心としたショーでした。

リハーサルの時、何人かの方々は、どう踊って良いか困惑した感じでしたが、それはそれとして、本番当日は、皆さん、とても素晴らしいパフォーマンスでした。

やはり、基礎がしっかりしているダンサーは、生演奏で踊ると更に良いパフォーマンスになるなぁ、と改めて感じました。

特に、28日は、急遽、ヴァイオリンにハスィンが参加してくれる事になり、歌がつくはずではなかった曲目もハスィンが歌ってくれる事で更に素晴らしい楽曲になり、そのダンスが一段と明確なパフォーマンスになったように思いました。

どちらの夜も、予定していたヴァイオリニストが降板し、急遽、27日に伸子ちゃん、28日にハスィン、と、ヴァイオリニストを差し替える事が出来、無事に演奏できてホッとしました。勿論、今回の為に、二人のヴァイオリニストと個人的に別リハーサルを行い準備しました。

今後は、木村伸子ちゃんがレギュラーメンバーとなり、ハスィンも横浜や、他のショーでレギュラーメンバーとなります。

やはりヴァイオリンの音は、オーケストラにおいて特に重要なパートであり、ヴァイオリンの音でそのグループの音が決まると言っても過言ではありません。

その意味では、単なる参加型のミュージシャンはアラディーンには必要ありません。不動のダラブッカ、ベース、ウードの中低音域のガッチリした土台に、中高音域の自在のアコーディオンと、キラキラと輝くカーヌーンの合間を、自在にうねるヴァイオリンがあるべきで、そういう意味でも、アラディーンに中途半端な気持ちやレベルのミュージシャンが参加しても、お荷物になるだけで、我々にとっても、そのミュージシャンにとっても良くありません。

そういう意味では、現在のアラディーンは、とても高いレベルに来ていると確信しています。

また、Facebookの日記上でもお伝えした新しいウードを披露する事もでき、6月は劇的な良い変化を迎えたターニングポイントなのだと、振り返って見ると、そう思えます。

7月は、結構ライブが沢山で、ちょっと乗り切るのが大変ですが(笑)、頑張って良い演奏を届けて行きたいと思います。

 


ベリーダンスと音楽の夜 第109夜 後記

2015-06-06 01:25:18 | 日記

本日は、様々なイベントが重なってはいたものの、大勢の方にお越し頂き、誠にありがとうございました!今日は、「ベリーダンスと音楽の夜 第109夜」でした。

今回は、久しぶりの共演となるMaysoonさん、そして、私がこの音楽を始める以前からの知り合いであり、こちらは、本当に久しぶりの共演となったNourahさん、そして先年より出演して頂いているMomo さんの3人の素晴らしいダンサーの皆さんに出演して頂きました。

途中、「ファッカローニ」という曲のイントロ部分を演奏している時、地震があって中断しましたが、それ以外は大きな事故もなく、とても良いショーでした。

ショーの内容も、エジプト、トルコ、バルカン・ジプシーと、それぞれ現在のベリーダンスで使われている曲を中心に、アラディーンならではのヴァラエティに富むオリエンタル音楽&ダンスで、とても楽しかったと思います。

皆さん、ありがとうございました!


5月30日(土)は、「ベリーダンスと音楽の夜 第109夜」です!

2015-05-22 00:00:05 | 日記

来週の5月30日(土)ですが、毎月恒例、アラディーンの「ベリーダンスと音楽の夜 第109夜」があります。

今回は、久しぶりの共演となる、Nourahさんが出演します。彼女はトルコのババズーラと共にヨーロッパ公演を何度も行っている実力派のダンサーです。今の日本で主流になっているエジプシャン・スタイルとは違う、トルコ・スタイルをベースにした、アーティスティックなパフォーマンスで魅せます。

そして、こちらも久しぶりの出演となるMaysoonさん。エジプシャンをベースに、常に安定していて、技術的にも、とても高いパフォーマンスを披露してくれます。

最後に、昨年より参加して頂いているMomoさん。サディアの元で研鑽していた頃から彼女の事を知っていますが、とても花があって、今後の活躍が期待できるダンサーです。

また、アラディーンの演奏も、ますます磨きが掛かって来ていて、更に良い音になってきています。トルコ、アラブのオリエンタル音楽を奏でる7人編成の豪華なサウンドは、他では絶対に聞けません。

特に、私のウード、自分で言ってしまいますが(笑)、アリ・スリティ師系列のリーシャ(撥)の持ち方を教わってから、本当に演奏が楽になった事もあり、

また3月から見直してきた左手の運指の新たな挑戦も功を奏して来ていて、自分でも良い演奏が出来ていると思います。

まだまだ席に余裕がありますので、お時間のある方は、是非ともお越しください。

5月30日(土)
「ベリーダンスと音楽の夜 vol.109」
@中目黒 楽屋
TEL/FAX 03-3714-2607
http://rakuya.asia/top.shtml
Open/18:00~
Show/19:30~ 2stage
Charge/4,000yen
ご予約はお店に直接お願いいたします。

ベリーダンス /ベリーダンス /Maysoon、Nourah、Momo

松尾賢/ウード
平井ペタシ陽一/ダラブッカ
安藤亮輔/ダブル・ベース
未知子/カーヌーン
佐々木絵実/アコーディオン
山宮英仁/レク
酒井絵美/ヴァイオリン