ウード奏者 松尾 賢 のブログ(アラディーン主宰者)

ウード奏者、ダラブッカ奏者、サズ奏者、歌手、アラブ、トルコのオリエンタル音楽演奏家・作曲家である松尾賢のブログ。

生演奏で踊る為のワークショップ vol.2 後記

2015-02-27 20:39:25 | 音楽

22日は、朝から4月11日の「生演奏で踊るハフラ」のリハーサル(遅刻してスミマセンでした。)、そしてお昼の2時から「生演奏で踊る為のワークショップ」の2回目でした。

前回のWSでは座学が最初でしたが、今回は実技から始まり、その後、座学という流れでした。久しぶりに木村伸子ちゃんのヴァイオリンと共演、座学も彼女の博識ぶりが光っていました。

今回は、主にタクシームで踊る事のポイントをSadia が説明し、課題曲のSet El Hosnで、彼女の作った振付が、音楽のどこをポイントにしているか、という説明をしながら進行していきました。

Sadia も指摘しているように、「様々なWSに参加して振付を学ぶとき、どうしてその動きなのか、という事を聞いた事は、ほとんど無いと思うので」、こういうような説明を受けるのは、自身が振付を作るときにきっと役に立つのだと思います。

私もWSなどで説明するとき、オリエンタル音楽は、メロディ(マカーム)と、イーカー(リズム)の二つの要素で出来ていて、その二つはとても密接な関係にある事、そしてウード、カーヌーン、ヴァイオリン、など、様々な旋律楽器が同じメロディを、時には一緒に、時には一人で演奏する「単旋律音楽」であることを説明してから、ダンスはそれらの要素を視覚的に表現する役割がある、と説明するのですが、

今まで共演した素晴らしいダンサーは、皆、音をぴったり表現しています。

これは曲によるのですが、本当に素晴らしいダンサーは技術力は勿論の事、様々な「引き出し」=お手本を覚えていて、それを表現できるのだと思います。

これについては、勿論、ミュージシャンも同じで、特にタクシームというマカームを元にした即興演奏を行う場合は、良いタクシームをコピーしたり、サマーイなどの古典曲を多くレパートリーとしている人ほど、内容が豊かです。

ともあれ、「生演奏で踊る為のWS」の意味は、根本的にはオリエンタル音楽で踊る為のワークショップであって、電子音でアレンジされ直したCD音源で踊る場合とは、少し考え方をを変えないとダメなのだと思います。

次回は未定なようですが、継続して行って参りましょう。皆さん、よろしくお願いいたします!


ベリーダンスと音楽の夜 第106夜 後記

2015-02-26 02:18:42 | 音楽

21日は、アラディーン主催の月例イベント「ベリーダンスと音楽の夜 第106夜」でした。満員御礼、誠にありがとうございました!!

今回は、毎年出演して頂いているYildizさん、初共演となるKaderさん、そして今回で2回目の出演となるDonyaさん、JJさんに出演して頂きました。

皆さん、本当に素晴らしかったです。特に病気を押して出演してくれたYildizさん、お疲れ様でした!

また、誕生日を迎えられた方が3人もいらっしゃったようで、3回もHappy Birthday を祝って歌ったのも初めてでした。

素晴らしいパフォーマンス、演奏、そして笑いありの本当に楽しい時間でした。

さて、実は前回、アラディーン側の演奏面で改善すべき点が多々あったので、そこを個々に伝え、ではそこをクリアするにはどうすれば良いか、という事をヒアリングして臨んだ結果、今回の演奏と出音は、かなり良くなりました。

勿論、まだまだ改善の余地がありますが、ともあれ、毎回、反省と次回改善するべき点を見つけてクリアしていく、それ以外に進歩はないのだと思います。

思い返してみると、2005年以来、悪戦苦闘しつづけて、やっと「これだ!」と思えるウードのリーシャの持ち方を最近発見してからは、以前では考えられない位、思う通りに弾く事が出来るようになった訳ですが、(とはいえ、まだまだですが)

実に苦しくて重苦しい思いをしながら一歩一歩努力し抜いてきた日々があったからこそ確固たる実力がついたわけであり、どこかの本で読んだ「伸び悩んでいる時が本当の実力をつけている時」という説明は、至言だなぁ、と思うのです。

逆に、どこかで妥協して「まぁ、これで良いや」とか思ったが最後、慢心と呼ばれる生命の側面によって進歩が止まり、最悪、辞めてしまう結末に結びつく事になる訳で、進歩は永遠に妥協との戦いなのだと思います。

永遠に妥協せず、常に向上していきたいと思います。

今後ともよろしくお願いいたします!

おまけ:ショー終了後、ダフで戯れる、ヤミーンとペタシ君。ダフを指でこすって「クジラの鳴き声」のような音を出す事が出来るのですが、ペタシ君は、その音を出すのがとても上手で、それにチャレンジするヤミーン。そしてそれを面白そうに見ているのがベースの安藤君(笑)


2月19日(木)フラメンコ・ピアノ&ダラブッカ・デュオ後記

2015-02-24 23:14:42 | 日記

無事に終わった!

今日は、阿佐ヶ谷のヴィオロンにてフラメンコピアノの安藤紀子さんとの9年ぶりのデュオでした。

以前共演した時は、ただ、着いていっただけで、理解したとは言い難かった、苦い思い出のライブでしたが、今回は、理解して出来ました。

勿論、まだまだですが、フラメンコのリズム、コンパス、それぞれ奥が深くで楽しかったです。

それに加えて紀子さんのピアノ、そしてオリジナル曲がとても素晴らしくて、ダラブッカでの伴奏をしていて、とても楽しかったです。

最近はウード奏者として旋律楽器ばかりだった事もあったので、久しぶりのダラブッカの演奏は刺激的でした。

このユニット、是非続けて行きたいと思います。皆さん、宜しくお願い致します!


2月1日、ウード・ダルブッカ・レク 合同親睦発表会 後記

2015-02-10 01:07:03 | 日記

2月1日は、ウード・ダルブッカ・レク 合同親睦発表会でした。皆さん、お疲れ様でした!

私も、常味さんに2005年に師事して、今年で10年目に突入。ほぼ毎月欠かさずレッスンを受けたので、100回は確実に越えました。

毎回、学ぶ度に学ぶ事が多くあり、自分が今あるのは、常味先生の御蔭です。

常味さんが、師匠のアリ・スリティ師にどれほど多くの事を学ばれたのか、検討もつかない位です。

さて、今回の発表会で、全体のまとめ役である幹事を務めました。参加された皆さんの協力の御蔭で、無事故で、時間通りに全て進める事が出来ました。皆様、誠にありがとうございました!

私も、ウード部の発表会にウード部生徒として参加にするのは、実は4回目です。(2005年から2015年の間に5回ほど行われている筈)。

初回は、サマーイ・ラスト・アブドゥル・ラフマン・ジャバグジーで、こちらは、エジプトでアラディーン先生から学んだ曲。後の3回は、全て常味さんさんから学んだ曲です。
2回目は、サマーイ・ナハワンド・マスウード・ジャミル(4ハーネが7拍子)、
3回目は、サマーイ・アジャムウシャイラーン・タウフィク・ア・サバーグ、
そして、今回は、バシュラフ・ファラッファザ・イスマーイル・ハキー・ベックでした。

思い起こせば、初参加時はガチガチに緊張していましたが、常味さん始め、皆、暖かい声援を送ってくれ、その声に助けられました。

こんな感じで、発表会は、毎回、演奏が終わると、お互いに褒めあい、たたえ合う優しい雰囲気があり、とても暖かい雰囲気で進んでいきます。

ところで、今回は、久しぶりに今井ドラゴン龍一が参加してくれたり、普段は別の楽器でプロ活動をしているメンバー、船原徹矢、及川景子、永田充、森内清隆が、ウード奏者として演奏したりと、普段では絶対に見る事が出来ない物が見られて、とっても面白かったです。

また、ウード部のみで言うと、関西から6名、岐阜から各1名(私が把握している範囲です、あくまで。他にいたらゴメンナサイ。)と、地方からの参加者も増え、徐々にではありますが全国的に広がっている事を感じました。

特に、ウード部は全体的にレベルアップしていて、とても素晴らしいなぁ、と思いました。

海沼門下ダルブッカ部も、お馴染みの楽しい内容でした。

更に、和田門下レク部も増え、今回は、関西、群馬からの生徒さんを合わせて、なんと7人!

実際、常味さん一人から始まった流れは、徐々にではありますが、大きな流れに成っています。更に更に、大きな流れになっていって欲しいなぁ、と思いました。

実際、日本で、こんなに多くのオリエンタル音楽、特にサマーイや、ロンガ等の古典曲を正確に学べ、更にウードの奏法や表現について学べる所は他には無い、と言っても過言では無いハズです。

去年9月に、9年ぶりにエジプトに訪問した際、色んな所でウードを演奏しましたが、聞いたエジプト人は皆、驚いていました。また、一昨年の終わりから去年にかけて、多くの大使館や、サウジアラビア企業の仕事で演奏しましたが、こちらでも喜ばれました。

つまり、常味さんに教わった事が全く正しかったからです。

ウードを弾いてみれば分かりますが、ギターが得意な人は、とりあえずは弾きこなせます。それで満足な人はそれで良いでしょう。実際に、私は最初、そうでした。

が、その先、つまり曲を表現する段階になって、初めて、これで良いのか?と思える人は先に進める人であり、私は、それに早く気付けて本当にラッキーだと思います。

それに気づけたのも師匠の常味裕司という偉大な演奏家の演奏を見る事が出来たからであり、

常味裕司が受け継いだ、アリ・スリティというチュニジアの人間国宝的存在の力によるものです。

本気でウードだけでなく、オリエンタル音楽を学ばれたい方は、是非、常味さんに学んでください。中東の音大、芸大で学ぶ事と同じだと、私は確信しています。

こんなに、素晴らしい先生がいるのに、学ばないのは絶対に損です。

次回の発表会、もっと生徒さんが増えますように!


ベリーダンスと音楽の夜 第105夜 後記

2015-02-08 10:40:11 | 日記

そして1月31日は、「ベリーダンスと音楽の夜 第105夜」でした。大勢の方々にお越しいただきまして、誠にありがとうございました!

今回のダンサーの皆さんは、Kahoさん、IkuyoさんSalimaさんの3人でした。

Ikuyoさん、Salimaさんはこのイベントに初出演。ともあれ、皆さん、それぞれ個性的で、とても素晴らしいパフォーマンスで、会場もとても盛り上がっていました。

Ikuyoさんは、主にトルコのスタイルで、Salimaさんは、もちろんエジプトのスタイルで、特にAna Bastannakでのパフォーマンスは、見応えがありました。

Kahoさんは、Mastikaの冒頭で、フラメンコのカスタネットを用いて登場するなど、それぞれの持ち味がしっかり出されていて、演奏している我々も、とても気持ちが良い物でした。

皆さん、またよろしくお願いいたします!我々も、頑張ります!

さて、東京ではミュージシャンも増え、生演奏のショーが、割りと気軽に行えるようになって来ました。

特に、ハスィン・ジベリが参加しているアル・クヌースみたいなミニマム編成のグループ、つまり、アラビック・キーボード、歌、ダラブッカ、ダフ、で構成された(しかもアラブ人!)バンドなど、注目すべき存在が出てきました。(私も、ハスィンからは、色々学んでい行きたいと思っています。)

ミュージシャンが増える事は、とても良い事ですが、今後、こういうショーで重要なのは、その質の問題だと思います。

まだまだ、プロのミュージシャンと呼べるレベルのミュージシャンは実際には少ないのが現状だと思います。

批判もあるでしょうが、思っていることを詳しく書いてみると、音楽の知識はとても多くても、演奏技術がとてもプロと言えるほどではないとか、

ウードを弾いていても、ギターの延長程度でしかないとか、

音大出身で、ヴァイオリンを弾きこなすのはとても上手でマカームの音程もしっかり出せるが、結局はJazz の延長とか、Rockの延長とか、そんな理解程度でしかない、とか。

そんな連中が、中東の音楽を演奏をしているとはいえ、結局は、Jazz や、Rock、西洋クラシックの延長では、本質的な物は得られないし、

狭い日本のある地域で「プロです。」と、自称しているレベルで満足している人はそれで結構でしょうが、私は、そんな連中と同じに見られるのは屈辱に近いし、最も恐れている事です。(勿論、そうは見られていない、と思いますが。)

そういう意味では、定期的に中東に行って、技術だけでなく、そこの雰囲気とか文化とか、貪欲に学びに行っているミュージシャンの皆は、凄いと思うし、そういうミュージシャンとは、話も合います。実際、彼ら、彼女たちの演奏からは、それを感じますし、やっぱり素晴らしい。

更に、それ以上に、多くのダンサーの皆さんは、ずーっと以前から、中東を訪れ、本場のショーを見、学んで来られた人ばかりで、実際は、そういうダンサーの皆さんから、自称ミュージシャン共は、学ぶべきなのだと思いますし、多くのミュージシャンは、そういったダンサーを尊敬すべきなのです。

何故ならば、彼女達がいなければ、私のようなミュージシャンが、存在する訳がない。

更に、ベリーダンサーがいるから中東の文化が世界中に広まっているのであって、ミュージシャンの力だけでは、こんなには広まっていない、と言っても過言ではないでしょう。

ともあれ、色々と、書きましたが、今年も頑張ってまいります!

皆さん、よろしくお願いいたします!

珍しく、アングルを変えて私が撮ってみた集合写真(笑)