ウード奏者 松尾 賢 のブログ(アラディーン主宰者)

ウード奏者、ダラブッカ奏者、サズ奏者、歌手、アラブ、トルコのオリエンタル音楽演奏家・作曲家である松尾賢のブログ。

ベリーダンスと音楽の夜@横浜 第48夜 後記

2019-12-25 03:23:38 | ベリーダンス

そして、12月22日(日)は「ベリーダンスと音楽の夜@横浜 第48夜」でした!こちらも大勢の方にお越しいただき、大盛況で終える事が出来ました!誠にありがとうございました!

今年は6回、最多でお世話になった横浜サムズアップでしたが、なかなかあの箱を埋めるには難しい日もあり、そういう意味でも、もう少しブッキングについて考えないといけなかったなぁ、と思ったのですが、これについては、もっとダンサー側と協議していかないと難しいなぁ、と感じた日々でもありました。

ともあれ、サムズアップは、会場もステージも広くて、楽屋(らくや)とは違った音の広がりを感じる特別な場所なので、ミュージシャン側としても、本番では更に気合が入る、ある意味マジックがかかる場所なので、

本当に演奏をしていて楽しいのです。

さて、この夜は、前日とは違って、アラディーンのオリジナル曲は、クリスマス・ソングのみwで、

エジプトの曲のほか、ルーマニアのジプシー・ミュージック、そしてギリシアのセファルディ(スペイン系ユダヤ人)の曲も披露しました。

現在では、アラブの歌謡曲についてはハスィンがほぼメインで歌っていますが、ジプシー・ミュージックの歌については私が歌っているので、久しぶりに2部の半分は私がメインボーカルでしたw。

その中で、カルシラマ(8分の9拍子)のリズムで演奏される
Sien という題名で歌っている曲…、実際はMansevo Dobro(マンセボ・ドブロ:正直な若い男)というギリシアのレンベティコと呼ばれるジャンルの曲を先月に引き続き歌いました。

個人的にはこの曲を気に入っていて、これからも歌っていきたいと思っています。

Masevo Dobro について知りたい方は↓
http://www.jewishfolksongs.com/en/mansevo-dobro

ともあれ、ジプシー・ミュージックの場合、簡単な構成でできた舞曲なだけに、即興演奏部分がとても重視されます。

アラディーンの第1期辺りは、この辺りの曲が多かったのですが、今ではエジプトの複雑で緻密な、アンサンブル重視の曲がレパートリーの中心なので、

メンバーに意識させないと、ジプシー・ミュージックが持つ、荒々しい、粗野なテイストが削がれた、つまらない音になってしまいそうになったのは興味深かったです。(勿論本番では、皆決めてくれましたがw)

それだけ、アラディーンが演奏する音楽というのは幅が広い証拠であって、そういった細部にまでこだわって本番に臨む訳ですから、

アラディーンによる生演奏のライブは、他のグループ、仮に、アラディーンに参加している(していた)メンバーが交わったり、仕切ったとしても、

比較にならないぐらいの熱量を伴った音になるのです。

結局は、バンド・マスターである私の意識によるのですが、

ともあれ、私が参加する以上、他の追随を許さない揺るぎない世界レベルの音楽を提供していきたいので、

アラディーンの音で踊りたい、又は踊っているダンサーの皆さん、そこをもっと理解して「単なる生演奏のベリーダンス・ショー」で終わらせる事無く関わってもらえたら、もっと素晴らしい奇跡を生み出せるでしょう。(勿論、理解している方がほとんどですが)

「ベリーダンスと音楽の夜」という題名で、役割的に私が仕切っていますが、要は、お客さんはフロントに立つ「ダンサー」を見に来ています。

我々が圧倒的な熱量を持つ音を出しているので、ショーにマジックが掛かるのは当たり前、ダンス・パフォーマンスが素晴らしくなるのも当たり前ですが、

本当にお客さんに、「ベリーダンスと音楽の夜」で踊る自分を見に来て欲しいのか、否か?

やはり、その意識があるか、無いかで、ショーの成否が決まると言っても過言ではないでしょう。(そういった意識の高いダンサーさんは決まって多くのファンが来てくれています。)

そういう意味でも、単なる完コピの時代は終わって、更に上を目指す時が、ダンサーにも、ミュージシャンにも訪れたのだ、と言える時が来たと思いますから、

明年は、もっと、その部分を高めたショーを提供していける年にして行きたいと思っています。

という訳で、皆さん、これからもよろしくお願いいたします。

1部:
Alf Layla Wa Layla(Homa)
Nagwa(Mariko)
Fakkarouny(Peco)
Sien(JJ)
Nebtedi Menin El Hekaya(Ayame)
Yearning(Lana)

2部:
Rakkas(Ayame)
Tchiki Tchiki(Homa)
Camera(JJ)
Ya Msaharny(Peco)
Esmaouny(Lana)
Fi Youm Wa Leila(Mariko)
サチノネ(クリスマス・ソング)(Finale)


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ベリーダンスと音楽の夜 第161夜 後記

2019-12-25 03:22:03 | ベリーダンス

さて、12月21日(土)は東京の最後の締めくくりライブとなった「ベリーダンスと音楽の夜 第161夜」でした。年末の忙しい中、大勢のお客様に集っていただき大盛況でした!ありがとうございました!

実は、私はこのライブの約1週間前にインフルエンザに罹ってしまい、最悪ライブに出れなくなるかも、というぐらい重症でしたw。11月が殺人的に忙しくて、その付けが回って来た感じでした。

ともあれ、この日はアラディーンの新レパートリーとなるワルダの「Esmaouny(エスマオウニー):Listen to me:私の話を聞いて」と、

ナガット・サギーラの「Oyuun El Qalb(オユーン・エル・アルブ):Eyes of the heart:心の瞳」の2曲を披露しました。

このどちらの曲も、マッワールと呼ばれる、自由リズムで歌う箇所が結構長くて、その部分を正確に譜面に起こすのがとても大変だった訳ですが、

仕上げてみると、アラビア語の歌詞の韻律とマカームの音の使いかたが活かされて作曲されている事が良く分かります。

マッワールは譜面に起こしにくいのですが、ある意味、アラビア語が話せれば、あとは音程の取り方なので、譜面に起こす必要がないのかもしれません。

が、我々は外国人なので、それを知る必要があります。

実際、YouTube でオリジナルの音源を聞いてみると、オーケストラが歌手のマッワールのメロディを弾いているのが分かります。やはり、こういった細部まで弾き切らないと、アラブ音楽の醍醐味は分からないでしょう。

ともあれ、この日は、アラディーンのクリスマス・ソングを含めたオリジナル曲を4曲と、エジプトの曲で構成された夜でした。

既に、オンリーワンで他の追随を許さないアラディーンのサウンドですが、

アラディーンがさらに飛躍する為の課題はまだまだあります。

が、その課題を一つずつ解決して、明年の東京、中目黒の楽屋でのショーを盛り上げて行きたいと思います。

1部:
Mashaal(Nadia)
Lamma Rah El Sabri Minhu(Akane)
Oyuun El Qalb(Chiri)
ベリーダンスと音楽の夜(美海)
飛天(Iris)
悟空(Sham)
2部:
Alf Layla Wa Layla(美海)
Nagwa(Sham)
Ya Msaafer Wahedak(Nadia)
Fi Youm Wa Leila(Iris)
Enta Omri(Akane)
Esmaouny(Chiri)
サチノネ(クリスマス・ソング)
Rakkas(Finale)


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ベリーダンスと音楽の夜 第160夜 後記

2019-12-22 03:05:43 | ベリーダンス

先月の11月30日(土)は「ベリーダンスと音楽の夜 第160夜」でした。集客的には残念な結果となりましたが、ショーの内容としては大成功の夜でした。11月はアラディーンの結成月という事もあり、2005年以来、アラディーンのレパートリーがどう変化して行ったか俯瞰できるような曲目でした。

2005年当時は、まだまだアラブ音楽を奏でるミュージシャンが今以上に少なかった上、そのミュージシャンのレパートリーも限られた物しかなかった時代でした。

私もエジプトでウードを学んで来たとはいえ、サマーイやロンガなどのオスマン・トルコで発達した器楽曲を中心に学んで来た為、ベリーダンスの伴奏に合うような曲は数曲程度。

そんな中、個人的に好んで聞いていたジプシー音楽やトルコの舞曲など、簡単な構成の曲をレパートリーとしてダンスの伴奏曲として溜め込んでいきました。

そして、その後、ダンサーが希望するエジプトの曲を譜面に起こして行き、それを理解するために本格的にアラビア語を学ぶようになり、そしてアラビア語で歌えるように歌モノも精力的にレパートリーに加えて行き…。

という事を地道に行って来た訳ですが、そのお蔭で、トルコ、エジプトはもとより、ルーマニア、マケドニア、ギリシア、と、日本で普通に暮らしていたら関わる事が無かったであろう国の曲を演奏するようになりました。

実際、アラディーンが関わって14年以上の間に、ベリーダンスのスタイルもガラリと変わって来ていて、その意味でもアラディーンのレパートリーの変化も同じようにガラリと変わってきました。

今のアラディーンは、2016年7月以降に始まった第3期と言え、正式メンバーとして入ったチュニジア人ヴァイオリニストのハスィンの存在は大きく、アラディーンのサウンド自体も大きく変化しました。

その一つの象徴的な変化として、Kull Da Kan Leih(クッル・ダー・カーン・レイ:なぜ、その全ての出来事が起きたのか?)を歌付で今回演奏した事は特筆すべき点です。

この曲は、私のウードの師匠、常味裕司師の大事なレパートリーとして、インストメンタル曲として聞いてきましたし、私もわざと手を付けて来なかった訳ですが、

アラブ世界ではとてもポピュラーな曲であり、今ではYouTube でも様々な歌手が歌っているヴァージョンを聞く事が出来るようになりました。

つまり、今までは現地でフィールドワークをしない限りレパートリーに成りえなかった曲も、インターネットの発達で、情報は求めて行きさえすれば日本にいても手に入るようになった訳です。

時代が大きく変化して来たと言えます。

ただ、情報はいくら簡単に大量に入っても、それを扱う人間は、結局はアナログ的で、これだけは素人では太刀打ちできません。

そういう意味でも、まだまだ進化を遂げて行くであろうアラディーンを、今後さらにどう発展させていくか、これがこれからの大きな課題です。

その意味でも「ベリーダンスと音楽の夜」という月例イベントのマネージメントも大きな課題です。

1部:
悟空(インスト)
Misrlou(Yaliel)
月天子(Apsara)
Murakkaz(翠雅)
Faddah(Ray)
Ala Babi Waef Amarin(Nasim)

2部:
天空の舞(インスト)
Mariovska Tresenica(Apsara)
Tchiki Tchiki(Yaliel)
Sien(翠雅)
Mashaal(Ray)
Kull da Kan Leih(Nasim)
Rakkas(Finale)

 

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早稲田大学ICC企画「トルコ文化ナイト」で演奏して参りました!

2019-12-19 23:45:44 | アート・文化

先月11月25日(月)は、早稲田大学ICC(異文化交流センター)が企画した「トルコ文化ナイト」にて演奏してまいりました。

実は、初めて早稲田大学の早稲田キャンパスを訪問しましたw

私の高校時代の同期生で、早稲田大学の大学受験に現役で合格を勝ち取った人間はおらず(少なくとも同級生にはいなかった。)、確か指定校推薦枠があって、推薦で入った人が一人いた気がしましたが、

そういう意味でも、遠い存在だった早稲田大学に、まさか自分が呼ばれて演奏するとは!と、内心感動してましたw。

さて、事前の打ち合わせで、ICCの職員の方とお話しさせて頂きましたが、その方は不思議と中東と縁があり、中東諸国に訪問されていて、共通の話題もあり、とても盛り上がりました。

早稲田大学には海外の留学生が8千名もいるそうで、私が参加した「トルコ文化ナイト」にもトルコからの留学生が何名も参加していて、そのうちの一人は流暢な英語でプレゼンを行っていました。

また、ユヌス・エムレ・インスティチュートとという、トルコの観光省に所属する文化センターから、豪華な民族衣装や、トルコの楽器の展示、そして、トルコについてのプレゼンなどがあり、

そして最後に、私がウードで、ロンガ、サマーイなどのトルコの古典器楽曲や、フォーク音楽を披露しました。

参加したのは日本人の学生だけでなく、文字通り様々な国籍の留学性もいて、英語、日本語を交えた交流会となり、とても充実した時間でした。

早稲田大学ICCは、こういうイベントを学生が企画し、一年間に300回(!)、つまり、ほぼ毎日、海外の様々な国を紹介をする交流イベントを行っているそうで、職員の方がそれを実現するようサポートしていて、本当に素晴らしいなぁ、と思いました。

自分の大学時代を振り返ってみると、構内には結構アジアからの留学生が多くいましたが、私の専攻した教育学部には海外からの留学生は一人もいなかった上、大学時代には、まさか自分が中東の音楽を演奏するなんて、全く想像すらしなかったわけですから、人生とは不思議なモノです。

とはいえ、現在の中東は、いつ終わるか想像すらつかない内戦や、民主主義とは程遠い政治状況など、混迷を極めていると言っても過言ではない状況です。

その影響は、少なからずも、日本で中東の音楽に携わるミュージシャン、それも権力者側からの甘い汁にすり寄る連中にはある訳ですが、

自分は、日本という法治国家で、宗教・政治双方からの圧力や制限の影響を受ける事無く、自由に活動できている事に感謝です。

自分はこれからも、民衆側に立ち、正視眼で生きて行こうと思います。

ともあれ、早稲田大学ICCの皆さん、お疲れ様&ありがとうございました!


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今週の土、日のショー、残席あり!

2019-12-18 23:33:10 | ベリーダンス

今週末の土、日と、アラディーンとして本年最後の「ベリーダンスと音楽の夜」を行います。両日ともに席がありますので、皆さん、お時間のある方は是非ともお越しください。

●12月21日(土)
「ベリーダンスと音楽の夜 vol.161」
@中目黒 楽屋
TEL/FAX 03-3714-2607
http://rakuya.asia/top.shtml
Open/17:00~
Show/18:30~ 2stage
Charge/4,500yen
ご予約はお店に直接お願いいたします。

ベリーダンス /Chiri、Sham、Iris、Akane、美海、Nadia

松尾賢/ウード
平井ペタシ陽一/ダラブッカ
安藤亮輔/ベース
佐々木絵実/アコーディオン
ハスィン・ジュベリ/ヴァイオリン

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●12月22日(日)
「ベリーダンスと音楽の夜@横浜 vol.48」
@THUMBS UP(サムズ・アップ)
横浜市西区南幸2-1-22 相鉄ムービル3階
TEL : 045-314-8705
FAX : 045-323-2558
http://www.stovesyokohama.com/

Open/17:00~
Show/18:30~ 2stage
Charge/4,500yen(予約)/5,000yen(当日)
ご予約はお店に直接お願いいたします。

ベリーダンス /Mariko、Peco、Ayame、Lana、JJ、Homa

松尾賢/ウード
平井ペタシ陽一/ダラブッカ
安藤亮輔/ベース
佐々木絵実/アコーディオン
ハスィン・ジュベリ/ヴァイオリン


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