ウード奏者 松尾 賢 のブログ(アラディーン主宰者)

ウード奏者、ダラブッカ奏者、サズ奏者、歌手、アラブ、トルコのオリエンタル音楽演奏家・作曲家である松尾賢のブログ。

Afghan Star (Full Documentary) - Real Stories

2017-12-31 02:44:22 | 映画
映画「ロック・ザ・カスバ!」のネタ元になったドキュメンタリー映画、「アフガン・スター」(英語字幕版)。

4人の主人公がいて、それぞれがとても興味深いですが、やはりセタラ・フセインゼダの話が一番印象に残ります。

4位で脱落したセタラ・フセインゼダのファイナル・ステージでの歌いながらダンスした事に過剰反応する元知事の演説や、ウラマー(イスラム教の知識人)会議の圧力、タリバーンの殺人予告、「死に値する」「セタラは娼婦だ」などと口にする民衆のヒステリックな反応、更に同じく「アフガン・スター」の出演者からも「あんな事をしてはいけない」などと批判を受けているのを映像で目の当たりにすると、

日本の軍国主義時代を想起しますね。

いつか誰かに教えて貰いたいと思いますが、なぜ女性が人前でスカーフを脱いで歌い踊る事が「死に値する」のか、そう主張するタリバーンの根拠、コーランやハディースのどこにそれが書いてあるのか、是非とも聞いてみたいです。

私の想像では、かつての日本の軍国主義者達がねつ造し、国民を恐怖で縛り付けて押し付けた内容と同じく、

きっと何処にも書いていないと思います。

Afghan Star (Full Documentary) - Real Stories

「ロック・ザ・カスバ!」

2017-12-30 03:09:19 | 映画
年末は、な~んにもしないで映画三昧というのが毎年のスタイルですが、今日「ロック・ザ・カスバ!」という映画を見ました。Amazon プライムで見た訳ですが、アフガニスタンを舞台に実際にあった実話を元に、ハリウッド・コメディに仕立てた、とても面白い映画でした。

「ロック・ザ・カスバ!」の詳細はこちらへ ↓
http://realsound.jp/movie/2016/07/post-2265.html

さて、元になった実話というのはアフガニスタンの人気TV番組「アフガン・スター」に出演したヘラート出身のセタラ・フセインゼダという女性が、ただでさえ女性が人前で、しかもTVに出て歌うという事について反感を買うのに、最終ステージで踊りながら歌う、という絶対侵してはならないタブーを行った事で、元ヘラート知事のイスマイル・ハーンがテレビで不快感をあらわにし、セタラはヘラートに帰る事が出来ず、殺人予告までされて隠遁生活を余儀なくされた、という話だそうです。

さて、この映画を見た後、ふとある事を思い出しました。

それは、2014年にノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイに宛てたタリバン幹部側からの手紙の内容に、結構同調する言動がFacebook やネット上で見受けられた時の事。

その同調した意見を述べた人の中には中東の音楽をベリーダンサーの為に演奏している演奏家もいて、とても驚いた訳ですが、

あの時の騒動を振り返って見ると、要するに「保守的」な事が好きな人は、「伝統」とか「宗教上の理由」という言葉に弱いんだなぁ、と実感した訳です。

こういう事を書くと、お前は進歩的な人間なのか、と問われそうですが、自分は仏教徒であり中道主義者なので、何が正しいのか、生命の本質に迫った所から考える事にしています。

勿論、「伝統」は重んじたいと思いますが、それが時代にそぐわない考え方になったり、形骸化したもの、まして基本的人権や自由を束縛するものであれば「廃止」するべきだと思っています。

あの時の、タリバン幹部の手紙に同調した人たちは、きっと
何故アフガニスタンにタリバン政権が誕生したか、そういった背景の知識が無いからだと思うのですが、

今の日本で女性が歌って踊ることを禁ずる意見を出したら、どうでしょうか?(ちなみに、日本でも女性の参政権が認められたのは太平洋戦争後の1945年。)

自分のFacebook で繋がっているムスリムの友人が、ある時、こう打ち明けてくれました。

曰く「ケンさん、私はケンさんの日記を読んでいますが、ケンさんの記事に「イイね」を押せないので、それを許してください。何故なら、ある時、アラディーンのショーの記事に「イイね」を押したら、自分のムスリムの友人たちから「何故お前は肌を見せている女達(←ベリーダンサー諸姉妹の事)の写真の載った記事にイイねを押してるんだ!」と言われてしまったのです。ゴメンナサイ。」

ああ、なるほど、こういう事を言ってくる人もいるんだなぁ、と実感したのですが、(ハスィンにこの話をしたら笑っていましたw)

いずれにしろ、老若男女、貧乏人、金持ちを問わず参加でき、優勝者には大金が手に入る「アフガン・スター」というTV番組はとても好評なのだとか。

イギリスのパンク・バンド、クラッシュのヒット曲、「Rock The Casbah」の題名が付けられているのに、その曲が1度も流されない変な映画ではありますが、解説にある通り、曲の意味が反映されている内容の、このコメディ映画、

単純に楽しみたいときにお勧めです。

※クラッシュのRock The Casbah のサビ。

The Shareef don't like it (そのシャリーフ(アラブの高貴な血筋の人)は、気に入らない)
Rockin' the Casbah(カスバ(城内)でロックを踊る事を)
Rock the Casbah (カスバを揺さぶる事を)

2018年1月28日(日)はベリーダンスと音楽の夜 第138夜へ

2017-12-27 23:41:09 | ベリーダンス


そろそろ2017年も終わりが近づいていますが、来年1月28日(日)の「ベリーダンスと音楽の夜 第138夜」のフライヤーをやっとアップできました(汗)。日曜日なのでお間違いなく!
今年は1月から3月までレコーディング等に追われていた為、珍しく休止しましたが、来年から毎月のペースに戻ります。

その来年2018年第1弾のショーでもあるので、フライヤーの飾りを変えたりしたので、完成まで時間が掛かりましたが、なかなか気に入っています。

しかし、今年は慌ただしかった1年でしたが、その全ての課題をやり遂げた事もあり、とても成長できたと思っています。

特にウードに関しては、2005年から活動してきて以来、12年目にして、漸く自身の演奏技術に満足が行くようになり、来年からは、ソロのコンサートを増やしていこうと思っていますし、また演奏内容も深めていこうと思っています。

ともあれ、来年の「ベリーダンスと音楽の夜 第138夜」よろしくお願いいたします!

1月28日(日)
「ベリーダンスと音楽の夜 vol.138」
@中目黒 楽屋
TEL/FAX 03-3714-2607
http://rakuya.asia/top.shtml
Open/17:00~
Show/18:30~ 2stage
Charge/4,500yen
ご予約はお店に直接お願いいたします。

ベリーダンス /FaRida、Hikaru、Selena、Nasim、Kumi

松尾賢/ウード
平井ペタシ陽一/ダラブッカ
安藤亮輔/ベース
佐々木絵実/アコーディオン
ハスィン・ジュベリ/ヴァイオリン


ベリーダンスと音楽の夜 第137夜 後記

2017-12-25 00:00:01 | ベリーダンス


12月23日(土)は本年(2017年)最後の「ベリーダンスと音楽の夜 第137夜」でした。満員御礼、誠にありがとうございました!

今回は、初出演のAsukaさん、去年の8月に初出演して頂いた、Chiri さん、Rada さん、2年ぶりの出演となるYoshie さん、数年ぶりの出演のSania さんの5名のダンサーの皆さんでした。

Yoshie さんは10年以上前からの知りあいですが、後の皆さんは、いわば最近知り合った方々で、特にChiri さん、Asuka さんのモダン・エジプシャンのパフォーマンス・スタイルを見ていると、時代は変わったなぁ、なんて思って見ていました。

そういう意味からすれば、明らかにベリーダンスは現在進行形で進化している訳であって、曲はエジプトの黄金時代のクラシック音楽を使っていても、解釈の違いで踊り方が大分変わってきているのだと思いました。

ともあれ、今回はアラディーン側も、ムハンマド・アブドゥル・ワッハーブのYa Musaafer Wahedak(ヤー・ムサーフェル・ワヘダック)の完全版や、今迄インストで演奏していたワルダのWu Maly Bass(ウ・マリ・バス)を歌付きコーラスつきで演奏し、更に初披露となる私の作曲した「水のほとりの物語」など、沢山新しい事を行いました。

ダンサーの皆さんに負けず、私もウードという楽器を最大限に生かして 来年はさらに飛躍発展していく所存です。

来年も皆様、よろしくお願いいたします!

1部:
悟空
Murakkaz(Saniya & Rada)
Alf Layla Wa Layla(ASUKA)
Ya Musaafer Wahedak(Yoshie)
Zay El Assal(Chiri)
ベリーダンスと音楽の夜(Saniya & Rada)
2部:
水滸の物語
Eshuta Ya Amar(Saniya)
Wu Mali Bass(Rada)
Lessa Fakir(ASUKA)
Fakkarouni(Yoshie)
Enta Omri(Chiri)
サチノネ
Rakkas(Finale)

Esmerada bellydance school Nur vol6 (岩手県)後記

2017-12-24 19:07:25 | ベリーダンス


12月16日(土)は岩手県北上市にて、去年からお世話になっております、エスメラルダさんの主催された「Esmerada bellydance school Nur vol6」に、ペタシ君と二人で演奏に行って参りました。皆さん、誠にお世話になりました!ありがとうございました!

今回は生演奏で踊るダンサーの皆さんの内、Yuko さん、Kanoko さんという新しい方が参加、そして去年に引き続き、Yuna ちゃん、Eriko さん、Naima さん、Esmeralda さんが、それぞれ我々の伴奏でパフォーマンスを披露してくれました。

毎回、発表会というのは自分達が主催するライブとは違った緊張感があるもので、今回の場所はさくらホールの中ホール、舞台も広い為、音響の調整やラインティングも前日から念入りに仕込むので、伴奏を行う我々もとても責任が重くなります。

ともあれ、本番は皆さん、私の長いタクシームもしっかりと踊ってくれ、前回よりも曲目がバラエティに富んだ内容で、ウンム・クルスームの曲が4曲(内、歌物が3曲)ととても演奏しがいのある曲ばかりで、

更に、何度も打ち合わせした通り、フィニッシュもバッチリ決まり、とても見応えがあった内容だったと思います。

特に、去年はまだ小学生だったYuna ちゃんも中学生になり、Set El Hosn で踊ってくれましたが、こうやって次世代が育ってくるのを見ると、とても将来が楽しみですね。

エスメラルダさんのスクールは岩手県全域に限らず他県からも参加されている方がいるそうで、打ち上げの席で色々な御当地話を聞けて、とても興味深かったです。

こんな感じで、日本各地でオリエンタル・ダンスの愛好家がいるという事は本当に貴重な事だと思っています。

混乱を極めている現在の中東世界ですが、政治状況が変わっても、住んでいる人々の文化は永続して行きます。

そういう意味でも、中東文化の「一翼を担う」オリエンタル・ダンスの愛好家が増える事は、結果的に中東と日本の文化交流を促進する役割の人々が増える事になる訳であって、どんどん増えて行って欲しいと思います。

また来年も、エスメラルダ・ベリーダンス・スクールの皆様、よろしくお願いいたします!