さて、8月31日は「生演奏で踊るハフラ!vol.3」でした。
主催のSalma さんが情熱を持ってオーガナイズしているイベントの第3弾ですが、毎回、色々と考えさせられるイベントです。
そもそも、生演奏で踊るという機会が日本ではほとんど無いといって等しく、ベリーダンスを教える側、エジプト人や、海外のダンサー、日本人の先生も含め、基本的には、CDなどの固定の音源で振り付けを教えることから始める為、
こうやって、貴重な機会を与えられる側は、きっと戸惑っているんだろうなぁ、なんて思いながら、時間の無い中、さくさくリハーサルを進めて行く訳ですが、
我々のリハーサルの音を録音して、当日初顔合わせで、ゲネで確かめて本番に至る、という人も少なくありません。
こうなると、生演奏で踊るという事の意味合いを、もう少し掘り下げる必要があるのではないか、と、毎回思いつつ、いつも「良かったね」で終わるので、残念な気分になります。
(とはいえ、参加したダンサーの皆さんは、それぞれ頑張ってくれています。)
知識が無い、という事について言えば、ダンサーに限らず、ミュージシャンの方も大した知識がある訳ではない、と言い切っても良いと思います。(勿論、私が尊敬していたり、凄いと認めている人々は除きます。)
私も、こういう活動を始めたころは、トルコと、エジプトの音楽とか、アメリカで作られている中東風ベリーダンス音楽の区別を大して分かっておらず、
エジプトに実際に行って、自分の持っていた知識と、実際に触れる音楽が、かなりかけ離れていたことに衝撃を受け、それから日本に帰ってきて更に勉強しなおした訳ですが、
やっぱり、踊る側も、音楽の基本的な知識を知らないと、せっかく生演奏、特に融通の利く楽団を従える訳ですから、本当の意味での醍醐味が味わえないのではないでしょうか?
例えば、CDと一番違う部分は、タクシームと呼ばれる即興演奏のところ。
タクシームには二つあって、リズムが伴奏に無い、自由リズムの即興演奏タクシームと、一定のリズムの伴奏の上で演奏される即興演奏の二つがあります。
アラビア語で、この区別を何と言うか未だに知らないのですが、トルコ語では、前者をウズン・ハワ、後者をクルク・ハワと呼ぶそうです。
当たり前ですが、即興演奏は、演奏技術がしっかりしていないと出来ません。
この辺りは、ジャズとかの経験がある人や、勘が良いミュージシャンは出来るわけですが、概してジャズ出身のミュージシャンは、演奏時の音程が悪い人が多かったり、オリエンタル音楽の複雑なメロディや、構成についていけない人が多く、
それに対して、音大とか西洋クラシック出身のミュージシャンは、譜面で書かれるている音程や、メロディの演奏は上手でも、即興が出来ない、または出来てもつまらない内容になったりと、
やっぱり、オリエンタル音楽はしっかりと学ばない限り、絶対に出来ない音楽だといって過言ではないと思います。
同じように、ダンサーも、即興で踊れるようになるためには、しっかりした技術が必要になるわけです。今まで共演したダンサーの中で、上手なダンサーは、間違いなく即興も上手です。
ちなみに、タクシームをどう踊れば良いのでしょうか?という質問を受ける時がありますが、それに対する答えは「良いダンサーのコピーをしてください」といつも答えます。
我々も、タクシームを勉強する際は、勿論コピーをします。コピーをしない限り、良いタクシームがどうなっているか、構造が分からないためです。
となると、良い振り付けには、必ずタクシームでの踊り方の振り付けがついている訳ですが、これを自分流に消化して、初めて「自由にタクシームが踊れる」わけで、結局は技術を磨く、音楽を理解するという事に尽きるのです。
色々と書きましたが、一番大事なのは、機会を得て踊ること、つまり経験数が大事なわけで、プロも、プロで無い人も、とにかく、こういった機会を多く持ちたいですね。
次回がいつか分かりませんが、機会があれば、またよろしくお願いいたします。