今から4ヶ月前に、後藤政志さんが話してくださっていた『川内原発の工事認可審査について』。
先週の18日に、原子力規制委員会が、九州電力川内原発1号機の、再稼働に必要な『工事計画』を認可しました。
九電は、7月に川内原発1号機を再起動させ、8月に営業運転を再開させようとしているようです。
その『工事計画』の中身を見た後藤さんがおっしゃるには、あまりに杜撰で点検など仕様が無かったと…。
設計の計算、強度計算などを含む、立地段階初期の、計画段階の話と後者の工事認可、保安規定など、膨大な量の物事の審査を、短期間にやってしまっていると。
工事認可の内容は、従来のものはあまり変わってなくて、地震動を変えたからそこだけを修正するというもの。
そしてなにより、その『工事計画書』の主要部分が白抜きで、隠して発表されている。
このいい加減さを、今回こそは、絶対に許してはなりません。
徹底的に追及するよう、あらゆる機関、人に要求しましょう!
↓以下、守田さんからのメールを転載させていただきます。
『川内原発工事認可審査について』2014年11月24日
http://gotomasashi.blogspot.jp/
あまりに杜撰な川内原発工事認可申請(後藤政志さん談)
守田です。
3月18日、原子力規制委員会は、九州電力川内原発1号機の再稼働に必要な「工事計画」を認可しました。
これを受けて九州電力は、1号機の設備の使用前検査を規制委に申請。
30日から、規制委員会によって、再稼働の前に必要な設備の検査が始まることとなりました。
九電は、このもとで、7月にも川内原発1号機を再起動させ、8月に営業運転を再開しようとしています。
これを食い止めるために、私たちは、できるだけのことをしていく必要がありますが、
その一つとして、この、市民には分かりにくい「工事計画」の中身について、知っておく必要があります。
情報を探したところ、元原子炉設計者の後藤政志さんが、解説をしてくださっていることを知りましたが、
それを聴いて、そもそもの、この「工事計画」が、あまりに杜撰な形で提出されていること、点検などしようがないことが分かりました。
なぜか。
答えは単純で、主要部分が白抜きで、隠して発表されているからです。
唖然としました。
この内容をつかむために、後藤さんの解説をノートテークしたので、ぜひご覧になって欲しいと思います。
こうした内容を、私たち市民サイドが、きちんと把握する努力を続けることが、
作業の曖昧さに少しでもくぎを刺すことになり、安易な再稼働を阻んでいくことにつながります。
ぜひ後藤さんの説明に耳を傾けてください。
時間のない方は、文字起こしをお読み下さい!
なお、文字起こしは、主要部分を要約して行っています。
そのため、あくまで文責は守田にあります。
守田がこう聴き取った、という内容であることに留意をしてください。
正確さを期したい方は、ぜひ、後藤さんのお話を直にお聞きいただければと思います。
*****
後藤政志『川内原発工事認可審査について』
2014年11月24日
https://www.youtube.com/watch?v=QcOy_-jcJbM
川内原発は、新規制基準に、一番最初に通った。
現在、工事認可審査を行っている。
主として問題となるのは、そもそもどういう基準で満足するか、という根幹だ。
ところが、それをすっとばしてしまって、工事認可を行っている。
例えば、地震動について設定するのが立地段階、最初の話だ。
こういう地震動で計算すればいいと決めたら、それを具体的にやってみて、耐震設定上、持つか持たないかというのが工事認可になる。
技術屋の方でいうと、いわゆる設計の計算、強度計算など、そういうものが含まれている。
量的に言うと、立地段階の初期の、計画段階の話と後者の工事認可、これに保安規定も入るが、これは膨大な量がある。
それを審査をしているわけだが、その過程をみていると、ものすごい量のものを短期間にやっている。
かなり無理をしながらやっている。
今回、川内原発の件で鹿児島まで行ったのは、現地で、川内原発に対してGOをかけるという話があったので、
技術的な側面から、それは違うのではないか、という意見を表明するためだった。
原子力市民委員会の立場で行って、4名で行って記者会見をした。
私の方からは、とくに原発の安全性の根幹の問題を指摘した。
工事認可の内容は、耐震が主になっている。
従来のものはあまり変わってなくて、地震動を変えたから、そこだけを修正するとなっている。
あとは過酷事故関係となっている。
私が一番言いたかったのは、入り口で見てびっくりしたことだ。
膨大な、全部で万のページになるものだが、そのうちの数千ページをみた。
プラントの配置関係を全部伏せて、白抜きになっている。
どこに何があるか分からない状態になっている。
耐震強度を計算する時に、耐震の解析モデルがあるが、それの高さ方向の値が、すべて白抜きになっている。
もっとすごいのは強度計算について、例えばあるものに力がかかって、それで計算をして発生する応力、計算上出てくる力に材料が耐えられるかなどをチェックする。
ところがその途中部分も白抜きになっている。
大量にそれがなっている。
ひどいものになると、何の計算書か分からない。
その中で、構造についても伏せているものもある。
以前から工事認可で伏字はあったが、こんなにひどいものは初めてみた。
論外だ。
はっきりいって、読む気がしなくなった、ばからしくて。
その時に特に感じたのは、これを規制委員会はどう考えているのかだ。
規制委員会の立場では、一つは、テロ被害などに対して、セキュリティの面で伏せるということだろう。
もう一つに、企業秘密である場合もある。
しかし、どう考えても、大半はセキュリティに関係ない。
企業秘密といったときに、例えば、水素を処理する装置がある。
この性能や構造が、企業秘密だからださないとなっている。
しかしこの装置は、万が一、炉心が溶融するような事故になると、水素が大量に出る。
それをどうやって処理するのか。
私は処理できるというのが怪しいと思っているが、そういうものの性能を伏せるというのは、理解できない。
安全を担保する部分が伏せられているのは、説明を放棄していることだ。
しかも、説明されても、疑わしいところがいっぱいあるのが原発なのだ。
これが、福島の事故でもはっきりわかったことだ。
耐震の話にいくと、昔は、地震動は、せいぜい200ガルとか、せいぜい200と数10ガルだった。
それが、400とか500ガルとかになった。
大きな地震があったので、活断層など見直したら大きくなった。
それを今回、さらに見直したら、620ガルぐらいになった。
これを強度計算で示すが、技術的に難しいのは、地震には揺れの違いがある。
ゆっくりか早いか。
周期がある。
構造物の方は固有周期があり、揺れやすい周期がある。
配管が細かくサポートされていると、細かく揺れる。
広いとゆっくり揺れるが、揺れが大きくなる。
地震動が来て、ものの周期と一致すると共振状態になって、非常に大きな揺れになる。
強度計算で大事なのは、この共振状態。
共振になった時にどうするか。
材料の中には、構造も含めて、減衰除数というのがある。
振動を弱める特性で、それをどう位置づけるかによって、振動が大きくもなるし小さくもなる。
そのデータの作り方の問題がある。
また、非常に長周期の地震が来た時に大丈夫か。
これは、高層ビルなどでも問題になっている。
普通の構造物は、1秒かそれ以下の細かい揺れになるが、高層ビルでは5、6秒とか長いものがある。
原発の中でも、一部そういうところがある。
ここには長周期が関係してくる。
川内原発についての耐震設計について、私の提案は、
地震動設定を変更したのなら、変更の前後の全データを示すべきだ、ということだ。
地震動を変える前は、こういう応力でこうだった。
変えたらこうなった。
それで、許容値を全部並べる。
それで、その計算の内容について、過去とやり方を変えたら、その根拠を示すこと。
当然だが、それを全部分かる形で、一覧にして示すべきだ。
膨大な計算書の中を読め、というのは無理がある。
耐震上、問題になり議論になるところはきちんと抽出し、見える形にして説明すべきだ。
最低限、それぐらいのことをするべきだ。
高浜原発でも、パブリックコメントを求めると言っているが、今のようなやり方ではまったく意味がない。
むしろあれでは、人に説明して分かってもらおうと言う姿勢にまったくなっていない。
大変失礼だ。
これでは、信頼関係はまったく失われてしまう。
そもそも、福島原発事故で、電力会社や原子力保安院への信頼は地に落ちた。
それではまずいということで、規制委員会をつくってやっているはずだ。
それなら、私たちに納得いくような説明をするのが、最低限必要だ。
耐震設定における結果を、分かりやすく表明することを、最低限やるべきだ。
技術的な話は、こういうものが示されて以降の話だ。
終わり
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守田敏也 MORITA Toshiya
[blog] http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011
[website] http://toshikyoto.com/
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先週の18日に、原子力規制委員会が、九州電力川内原発1号機の、再稼働に必要な『工事計画』を認可しました。
九電は、7月に川内原発1号機を再起動させ、8月に営業運転を再開させようとしているようです。
その『工事計画』の中身を見た後藤さんがおっしゃるには、あまりに杜撰で点検など仕様が無かったと…。
設計の計算、強度計算などを含む、立地段階初期の、計画段階の話と後者の工事認可、保安規定など、膨大な量の物事の審査を、短期間にやってしまっていると。
工事認可の内容は、従来のものはあまり変わってなくて、地震動を変えたからそこだけを修正するというもの。
そしてなにより、その『工事計画書』の主要部分が白抜きで、隠して発表されている。
このいい加減さを、今回こそは、絶対に許してはなりません。
徹底的に追及するよう、あらゆる機関、人に要求しましょう!
↓以下、守田さんからのメールを転載させていただきます。
『川内原発工事認可審査について』2014年11月24日
http://gotomasashi.blogspot.jp/
あまりに杜撰な川内原発工事認可申請(後藤政志さん談)
守田です。
3月18日、原子力規制委員会は、九州電力川内原発1号機の再稼働に必要な「工事計画」を認可しました。
これを受けて九州電力は、1号機の設備の使用前検査を規制委に申請。
30日から、規制委員会によって、再稼働の前に必要な設備の検査が始まることとなりました。
九電は、このもとで、7月にも川内原発1号機を再起動させ、8月に営業運転を再開しようとしています。
これを食い止めるために、私たちは、できるだけのことをしていく必要がありますが、
その一つとして、この、市民には分かりにくい「工事計画」の中身について、知っておく必要があります。
情報を探したところ、元原子炉設計者の後藤政志さんが、解説をしてくださっていることを知りましたが、
それを聴いて、そもそもの、この「工事計画」が、あまりに杜撰な形で提出されていること、点検などしようがないことが分かりました。
なぜか。
答えは単純で、主要部分が白抜きで、隠して発表されているからです。
唖然としました。
この内容をつかむために、後藤さんの解説をノートテークしたので、ぜひご覧になって欲しいと思います。
こうした内容を、私たち市民サイドが、きちんと把握する努力を続けることが、
作業の曖昧さに少しでもくぎを刺すことになり、安易な再稼働を阻んでいくことにつながります。
ぜひ後藤さんの説明に耳を傾けてください。
時間のない方は、文字起こしをお読み下さい!
なお、文字起こしは、主要部分を要約して行っています。
そのため、あくまで文責は守田にあります。
守田がこう聴き取った、という内容であることに留意をしてください。
正確さを期したい方は、ぜひ、後藤さんのお話を直にお聞きいただければと思います。
*****
後藤政志『川内原発工事認可審査について』
2014年11月24日
https://www.youtube.com/watch?v=QcOy_-jcJbM
川内原発は、新規制基準に、一番最初に通った。
現在、工事認可審査を行っている。
主として問題となるのは、そもそもどういう基準で満足するか、という根幹だ。
ところが、それをすっとばしてしまって、工事認可を行っている。
例えば、地震動について設定するのが立地段階、最初の話だ。
こういう地震動で計算すればいいと決めたら、それを具体的にやってみて、耐震設定上、持つか持たないかというのが工事認可になる。
技術屋の方でいうと、いわゆる設計の計算、強度計算など、そういうものが含まれている。
量的に言うと、立地段階の初期の、計画段階の話と後者の工事認可、これに保安規定も入るが、これは膨大な量がある。
それを審査をしているわけだが、その過程をみていると、ものすごい量のものを短期間にやっている。
かなり無理をしながらやっている。
今回、川内原発の件で鹿児島まで行ったのは、現地で、川内原発に対してGOをかけるという話があったので、
技術的な側面から、それは違うのではないか、という意見を表明するためだった。
原子力市民委員会の立場で行って、4名で行って記者会見をした。
私の方からは、とくに原発の安全性の根幹の問題を指摘した。
工事認可の内容は、耐震が主になっている。
従来のものはあまり変わってなくて、地震動を変えたから、そこだけを修正するとなっている。
あとは過酷事故関係となっている。
私が一番言いたかったのは、入り口で見てびっくりしたことだ。
膨大な、全部で万のページになるものだが、そのうちの数千ページをみた。
プラントの配置関係を全部伏せて、白抜きになっている。
どこに何があるか分からない状態になっている。
耐震強度を計算する時に、耐震の解析モデルがあるが、それの高さ方向の値が、すべて白抜きになっている。
もっとすごいのは強度計算について、例えばあるものに力がかかって、それで計算をして発生する応力、計算上出てくる力に材料が耐えられるかなどをチェックする。
ところがその途中部分も白抜きになっている。
大量にそれがなっている。
ひどいものになると、何の計算書か分からない。
その中で、構造についても伏せているものもある。
以前から工事認可で伏字はあったが、こんなにひどいものは初めてみた。
論外だ。
はっきりいって、読む気がしなくなった、ばからしくて。
その時に特に感じたのは、これを規制委員会はどう考えているのかだ。
規制委員会の立場では、一つは、テロ被害などに対して、セキュリティの面で伏せるということだろう。
もう一つに、企業秘密である場合もある。
しかし、どう考えても、大半はセキュリティに関係ない。
企業秘密といったときに、例えば、水素を処理する装置がある。
この性能や構造が、企業秘密だからださないとなっている。
しかしこの装置は、万が一、炉心が溶融するような事故になると、水素が大量に出る。
それをどうやって処理するのか。
私は処理できるというのが怪しいと思っているが、そういうものの性能を伏せるというのは、理解できない。
安全を担保する部分が伏せられているのは、説明を放棄していることだ。
しかも、説明されても、疑わしいところがいっぱいあるのが原発なのだ。
これが、福島の事故でもはっきりわかったことだ。
耐震の話にいくと、昔は、地震動は、せいぜい200ガルとか、せいぜい200と数10ガルだった。
それが、400とか500ガルとかになった。
大きな地震があったので、活断層など見直したら大きくなった。
それを今回、さらに見直したら、620ガルぐらいになった。
これを強度計算で示すが、技術的に難しいのは、地震には揺れの違いがある。
ゆっくりか早いか。
周期がある。
構造物の方は固有周期があり、揺れやすい周期がある。
配管が細かくサポートされていると、細かく揺れる。
広いとゆっくり揺れるが、揺れが大きくなる。
地震動が来て、ものの周期と一致すると共振状態になって、非常に大きな揺れになる。
強度計算で大事なのは、この共振状態。
共振になった時にどうするか。
材料の中には、構造も含めて、減衰除数というのがある。
振動を弱める特性で、それをどう位置づけるかによって、振動が大きくもなるし小さくもなる。
そのデータの作り方の問題がある。
また、非常に長周期の地震が来た時に大丈夫か。
これは、高層ビルなどでも問題になっている。
普通の構造物は、1秒かそれ以下の細かい揺れになるが、高層ビルでは5、6秒とか長いものがある。
原発の中でも、一部そういうところがある。
ここには長周期が関係してくる。
川内原発についての耐震設計について、私の提案は、
地震動設定を変更したのなら、変更の前後の全データを示すべきだ、ということだ。
地震動を変える前は、こういう応力でこうだった。
変えたらこうなった。
それで、許容値を全部並べる。
それで、その計算の内容について、過去とやり方を変えたら、その根拠を示すこと。
当然だが、それを全部分かる形で、一覧にして示すべきだ。
膨大な計算書の中を読め、というのは無理がある。
耐震上、問題になり議論になるところはきちんと抽出し、見える形にして説明すべきだ。
最低限、それぐらいのことをするべきだ。
高浜原発でも、パブリックコメントを求めると言っているが、今のようなやり方ではまったく意味がない。
むしろあれでは、人に説明して分かってもらおうと言う姿勢にまったくなっていない。
大変失礼だ。
これでは、信頼関係はまったく失われてしまう。
そもそも、福島原発事故で、電力会社や原子力保安院への信頼は地に落ちた。
それではまずいということで、規制委員会をつくってやっているはずだ。
それなら、私たちに納得いくような説明をするのが、最低限必要だ。
耐震設定における結果を、分かりやすく表明することを、最低限やるべきだ。
技術的な話は、こういうものが示されて以降の話だ。
終わり
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