ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

はじめての、ふたりだけの本格旅行『ウィーンからモンマルトル編』

2015年07月17日 | 友達とわたし
7月8日

昨夜から降ったり止んだりしていた雨がまた降り出した。
雨と曇り空がこれほど恋しかったのは久しぶり。
おかげで気温が少しだけ低くなった。
蒸し蒸しとベタつくけれども贅沢は言うまい。この旅行で初めての35℃以下なんだから。



数年前から食べるとすぐに粘膜が腫れるので食べられなくなっていた夏のフルーツ。
大好物のチェリーも桃もイチゴも、例え信用できるお店のオーガニックの物もだめだったので、この数年はずっと我慢してた。
南フランスの田舎の、ジルが買った近所のオーガニック畑からのだけが、全く腫れたりすることなく食べられた。
すごく久しぶりで、すごく嬉しくて、すごく美味しかった。
だから多分、腫れの原因は農薬だけじゃなく、水や空気など環境全体に及んでいるのだと、しみじみ考えた夏だった。


ケーキの飾り屋さん。




中央奥のコンクリートの塊のような建物は、戦争中に軍によって建てられたもので、その醜い姿を街中に晒している。
一刻も早く解体したいのだけども、あまりに頑丈なためどうしても壊せないままなんだそうな。


タイルの外壁が美しい。


ロシア教会。


ここも落書きが結構多いけれども、フランスと同様に、別段消そうと躍起になっているような様子はない。


ベルヴェデーレ宮殿に向かう。




曇り空の景色も、なぜかウィーンだと美しい。




カモさんたちも、昨日の熱波から逃れることができて、ホッとしてるような気がする。


夫いわく、ボインボインのスフィンクス像。






この方々も、さぞや昨日は暑かっただろうて…。






遠い彼方に見えるシュテファン寺院。


塔のてっぺんをズームしてみた。


その下のバルコニーみたいなとこも。


夏は割合あっさりとしてる。


夫はこの、垣根とベンチの関係が気に入ったらしい。


内部の写真撮影禁止だけれど、建築物はオッケーなので、いきなりどうしてここに登場しているのか意味不明なミドリのおっちゃんを撮った。


その後ろでは…お、重たたた…。




修復中。


この部屋にも唐突に、床を奇妙な物体が…。


この宮殿にはクリムトの作品が展示されていて、あまり気が乗らない風の夫と一緒に、ちょいと覗いてみた。
思っていたよりも『抱擁』の絵が小さかった。
彼の絵は、キンキラが使われていない時代の、草木や家を描いたものが好き。自分的には。

さてさて、本日のメイン、ホイリゲでの夕食に出発。トラムに乗って行く。


ああ懐かしい。


ホイリゲはウィーンのワイン酒場。自家製ワインと簡単な家庭料理を出してくれる。
佐和子のお気に入りのこの店は、滅多に観光客が来ないので、お店の人に英語を話せる人がいない。


炭酸水を自分で作る。ウィーンの水道水は山からのお水なので、すご~く美味しい。


佐和子にすっかりおんぶに抱っこで注文してもらった。みんなすごーく美味しかった!










満腹満腹、さあ帰ろう。




7月9日

ウィーンとお別れの朝。
昨日雷が鳴って、その後シュルシュルと気温が落ちた。夜中は寒いぐらいだった。
そうだよなあ、これがほんとだよなあ、でももう帰るんだよなあと独り言ちながら寝た。

キッチンの窓から。


佐和子んちの天井はメチャクチャ高い。3メートル以上は優にある。


バターフィンガー揃いの家族が、とても大切にしてきた食器を次々と欠けさせて、これがもう最後の、唯一無事に残ってくれてるねん、と佐和子が言ってたカップに、
思いっきり重たい蜂蜜の瓶を落として欠けさせてしまったわたし…許せ佐和子。


ちなみにバターフィンガーとは、動作がぞんざいで食器をしょっちゅう傷つけたり壊したりする人のことで、まあ、指にバターがついているごとく食器を落とす、という感じ。


素人がいい加減に仕上げた我が家の天井とは大違い。


床もすてき。


親思いの優しい佐和子は、毎週必ず決まった曜日に、お母さんに電話をかける。
わたしは彼女を、佐和子のおばちゃんと呼んで、ずっと慕ってた。
佐和子のおばちゃんは、若い頃からとても苦労した人で、その分人にとても優しかった。
一人娘の佐和子を、それはそれは自慢に思っていて、いつも目を細め、少し笑みを浮かべながら、娘のことを見守っていた。
わたしの母は、人一倍、いや、人十倍厳しかったので、優しいお母さんがいる佐和子がものすごくうらやましかった。
スカイプ電話で話す佐和子の横に陣取って、わたしもおばちゃんと話させてもらった。
「まうみちゃん、ほんま、まうみちゃん?」
何度もそう聞かれて、その口調も声も昔のまんまで、懐かしい気持ちが涙といっしょにこみ上げてきた。
おばちゃん、会いに行くからね、待っててや。

いろいろいっぱいお世話になりました。


ウィーンの一階はこんなふうに階段を上る。地面のすぐ上にある階は0階。


玄関ホールも大好き。


ウィーンからパリに戻る。




帰りの飛行機が朝早く出るので、ド・ゴール空港の敷地内にあるホテルに泊まるよう夫が手配してくれたホテルに向かう。


このホテルがまた楽しくて、建物の中に入るとまず、パソコンがずらりと並んだカウンターがあって、客が自分でチェックイン、チェックアウトをするようになっていた。




廊下の両側は、それぞれテーマがある開放型の部屋。










部屋は超シンプル&ハイテク。おばちゃんには馴染むのにちょいと時間がかかった。




最後の最後まで旅を楽しもう!ということで、モンマルトルの町で夕食を食べることにした。
ところが…、


丁度通勤ラッシュの時間と重なったからか、来る電車がどれもギュウギュウに混んでいる。


結局、2本電車を乗り過ごした。

モンマルトルの町は坂道と階段だらけ。


坂道の途中にある小さな広場には、メリーゴーランドが回ってた。


そのすぐ横で、フィドルとギターのライブをやっていて、二人ともにすごく上手かったので、大勢の人たちが立ち止まって聞いていた。


この教会もなかなか良かったけれど、もう教会はたくさん観すぎてゲップが出そうだったので省略。


ステンドグラスがちょっと面白かった。


いろんな窓の向こうに、いろんな人のいろんな暮らしがあるのだろうな。


バテ気味のわたしは、レストラン探しを夫に任せ、近くの公園で一休み。
偶然目の前にあった『愛してます』ボード。




Yelpという、美味しいレストラン探しの強力な助っ人(ネットサービス)を使い(まさかフランスでもあるとは知らなんだ…)、夫が見つけてくれたレストランが、
ほんっとに美味しかったっす!特にこのロゼ。多分これまでの、決して短くない人生の中で、いっちゃん美味かったかも。




マーマイト好きのウィルのために。


この明るさで夜の10時、というのが、さまざまな混乱を招いた旅だった。




7月10日

今日は夫の50歳の誕生日。マイルストーンの仲間入り。
ようこそ50代へ!って…わたしゃあと1年と9ヶ月もしたら、60代に突入しちゃうんだけどもさ。

まるで工場のベルトコンベアーのような、空中をジグザグに交差するエスカレーター。


さあ、我が家に帰ろう。
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はじめての、ふたりだけの本格旅行『オーストリア・ウィーン編』

2015年07月17日 | 友達とわたし
7月6日

マルセイユからウィーンへ

ポップなゲージュツをもう2枚。




リサイクル専用ゴミ箱。


バスがやってきた。


マルセイユ空港に向かうバスの窓からの、マルセイユの街の風景。








すでにカンカン照りの暑い中、汗だくになってビーチバレーボールの観客席を組み立てている人たち。


ぺったりと横広がりなマルセイユ空港。


なんかのんびりしてる。


天空のラピュタを思い出した。




ド・ゴール空港のトイレ。


パリからウィーンへ。




空港まで迎えに来てくれた佐和子と。




駅が広々しててめっちゃきれい!



弱者に優しい社会システム。





7月7日ウィーン観光

駅から地上に出ると…グワァ~ン…"ザ・ウィーン"シュテファン大聖堂に圧倒される。


それにしても暑い…ウィーンなのに暑い…。

夫の風邪を緩和させる薬を買いに。とてもウィーンらしい薬屋さん。中央奥までずっと、いろんな棚があり、薬剤師さんがたくさん働いている。


ここまで暑いウィーンって、もちろんそんなに頻繁には無いだろうけれども、炎天下で客待ちをさせられている馬さんたちが気の毒で気の毒で…。


ごめんね、と心の中で謝りながら、我々は教会の中へ。












必ずここに来ると覗く大好きな楽譜屋さん。




あまりにも暑いので、たまたま入り口のドアが開いていたオフィスビルに入る。こんな所にも歴史がてんこ盛り。




パリでもリヨンでも、歴史があって厳かな建物がたくさんあるのだけれど、やっぱなんか違う気がするウィーンの街並み。








オペラ座の前の名物。カメラを持って歩くアジア人に、流暢な日本語で話しかけている。


ここで合流した佐和子とランチ。




ウィーン風アイスコーヒー。上から、全く甘くない、けれどもめちゃウマなホィップクリーム、真ん中がバニラアイス、んでもってコーヒー。


ここでとんだハプニングが…。

佐和子が、「ここのトイレは面白いからぜひぜひ経験しといてほしい」と、かなり熱心に言う。
なにやら、「個室の扉が透明で初めての時はギョッとするけど、入って鍵をかけたら大丈夫」だそうで、ではでは土産話にと入ってみた。

こんな感じ。


なるほど、このままでは丸見えだ。
めちゃくちゃ気がひける…。
大丈夫だと先に話には聞いていても、ここまで明け透けなドアのトイレはかなり居心地が悪かろう…。
でも、観光中は排泄のチャンスを逃すわけにはいかないと、気を取り直して入った。
鍵をかけ、平常通りに便座に座ったのだけど、なぜか扉のガラスは思いっきり透明のままで、わたしからはすべて普通に見えている…。
あれ?と一瞬思ったが、いやきっとこれは、警察の取り調べ室とかでよくある(といってもドラマや映画で見ただけなんだが)マジックミラーに違いない。
そう自分に言い聞かせながら用を足し始めたら、
入り口のドアが開いて入ってきた女性と目が合ってしまったではないかっ‼️
な、な、なんでやねん⁉️なんで彼女の目とわたしの目が合えるねん⁉️
しかも彼女は思いっきり狼狽えているではないか‼️
ということは、もしかしてもしかして、彼女はわたしのことが見えてるんとちゃうかしらん。
目の前のその女性は、驚愕と戸惑いの表情のまま、おもむろに180度体を回転させて、どういうわけか手を洗い始めた。
けれどもどうしても、トイレの中のわたしからは目が離せないらしく、目の前の鏡の中に映るわたしの様子を伺っている。
もうこうなったらどうしようもない。
ただただ厳かに、用を足し終えるしかない。
その一部始終を見せるのだから、せめて優雅に微笑みなどもおまけして、などと自分を鼓舞しつつ事を終えた。
わたしが外に出るとすぐに、その女性は隣のトイレに入り鍵をかけた。
すると…、
おぉ~❗️
それまですっきり透明だったガラスが曇りガラスに変身して、中の様子は全く見えなくなった。
そして次に入ってきた若い女の子が、わたしが使ったトイレに入ったのだが、やはり同じようにサァッと曇りガラスに変身し、侵入禁止のサインがくっきりと現れた。
ううむ…。
できたらその様子も写真に撮りたかったのだけども、万が一わたしの時のように外の様子が丸見えだったら大変である。
わたしは変なおばちゃん、いや、変態として訴えられるかもしれないのである。
いや、そういう可能性は100%無いことは分かっていたが…ひとまずこの場からは早めに退散した方が良かろうと判断した。
夫と佐和子に一部始終を話したら、新たなアホ話のレジェンドが増えたと大笑いされてしまった。


ビル全体がアンティークを扱っている。


ここではオークションも行われていて、佐和子は一度希望の品を競りにかけ、それ手に入れたという武勇伝がある。




父が大好きだったベネチアンガラス。




実にいろいろなものが展示されていて、中には直接買えるお買い得品も。






長年人々が上り下りした階段は、美しいツヤとともにすり減っていた。


異様に暑いウィーン。






ユダヤ人が迫害された様子を表したモニュメント。






ウィーンはゲイの人たちを支援します、という主張が信号に。




市内の交通機関の充実していることったら。
しかもどの乗り物でも、停留所の電光掲示板に、あと何分で来るという表示が出て、さらにその時間はほとんど正しい。


みなさん、暑いでしょうに…。




ずっと来てみたかった市営アパートメント、フンダートヴァッサーハウス。










彼はオーストリア人の建築家、というより、人と家と自然についての哲学を建物で表現しようとした人だと思う。
実は彼、大阪市環境局舞洲工場(大阪市此花区、ゴミ処理場、2001年)、大阪市舞洲スラッジセンター(大阪市此花区、下水汚泥処理施設、2004年)の設計もしていると知りびっくり!

ここは市営アパートなので、収入が低くなくては住めないので、そこそこちょっと苦しいかも、ぐらいに暮らせている人は住めない。
外観同様内装もやはり、曲線と色彩豊かなものとなっているので、天井や壁、床に至るまで、どこもかしこも真っ直ぐではなくて、とても楽しいらしいのだけれども、
中では住民の人たちが暮らしているので、中の様子を見ることはできない。






太陽の光が強すぎて、見た目と同じ色が撮れないのが超~残念!

初めてのチーズ❤️






それにしてもとんでもない暑さだった。
なんと、100年ぶりだかの42.2℃だったと、近所おじさんが言ってたらしい。
さもありなん…。
佐和子もわたしも、軽い熱中症にかかったみたいにぐったりして、彼女がくれた冷たく濡らしたタオルを首にしばらく巻いて過ごした。

トイレの話は佐和子の旦那さんのウィルにも大受け!
やれやれ…またこれでひとつ、まうみ版『アホレジェンド』が増えてしまった…。
コメント (4)
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